2022年2月28日月曜日

シリーズ横溝正史短編集Ⅲ(2022)

池松壮亮が名探偵・金田一耕助を演じるBSプレミアムの名物企画、30分で横溝正史短編を「ほぼ原作に忠実に映像化」する「シリーズ横溝正史短編集パート3」が2月26日に放送された。
今回も告知されてからずっと楽しみにして待っていた。事前に原作を読み返して放送に備えた。
たしか前回までは1作ごと放送だったんじゃなかったかと思うのだが、今回は一晩で一気に3作品を放送。全3幕というてい。

今回は「女の決闘」「蝙蝠と蛞蝓」「女怪」の三作品。どれも予想外。横溝オタ以外にはあまり馴染みのない短編かと思われる。たぶんどれも初映像化?(女怪はすでに片岡鶴太郎版があることを確認)

「女の決闘」演出:宇野丈良
今まで見て来た30分金田一シリーズの中で一番出演者が豪華だった気がする。
東京で英語を教えていた英国人夫妻の送別パーティで起こった毒殺未遂事件。招待され現場にいた金田一が機転を利かせて被害者女性の命を救う。
とくに、ヒロインともいえる河崎泰子役が菊池亜希子だったのは意外だった。正直自分はもう忘れかけていたモデル女優。結婚して出産(2児の母)した今も美人。この人は顔の構造と声質が櫻坂の関に似ている。

さらに、藤本夫妻がバレエダンサー首藤康之板谷由夏だったのも意外。この3人の配役はぴったりだったかもしれない。
パーティー主催者の英国人がジョン・カビラだったのはびっくり。原作を読んで思い描いていた人と風貌がまったく違っていた。パーティーに来ていた中井夫人がYOUだったのも意外。
ストリキニーネという薬物の名前を連呼すると古めかしく感じる。アガサクリスティーとか読む人にはおなじみの毒物。
一人が毒物によって殺害未遂、そしてもう一人が殺害された事件の背後はこうでした…という事件。わりと単純だが、視聴者は楽しめただろうか。
ドラマロケ地の一部が埼玉県入間市のジョンソンタウンだと見た瞬間に気づいた。

「蝙蝠と蛞蝓」 演出:渋江修平
主人公湯浅役が栗原類だったのは意外。原作を読んでいるときイメージしていた姿とまるで違う。錯乱気味でプライド高いところは良かったかもしれない。

お加代が冨永愛だったのも意外。イメージとまるで違う。てか、そもそも下宿アパートがイメージと違う。もう乱歩作品とかに出てくるような下宿屋は現実には存在しないので致し方ない。
アパート裏の平屋に住む妾(主人公は心の中でなめくじと呼んでいる)役は長井短という女優。調べてみたら「賭ケグルイ双」に出てた人だ。

またしても渋江監督が変態ぶりを発揮した演出だった。一部が舞台演劇っぽい。あの短編では書かれていない行間を自由に描きすぎた30分だった。事前に予想した通り、やはりこの短編が一番面白かった。てか、誰がどう描いてもこの短編は面白い。

「女怪」 演出:佐藤佐吉
金田一耕助の恋を描いた短編。名探偵の忘れれられない女性というと、シャーロック・ホームズに出てきたアイリーン・アドラーを思い出す。
銀座のバーでの耕助と虹子ママのたのしい時間がダンスシーンで描かれているのはこのシリーズならでは。舞台演劇っぽい演出。
今作のヒロイン虹子を演じたのは芋生悠(いもう はるか)。前作では「美しき野獣」にも出ていた。この人はつい最近も女子高生を演じていたはずなのにバーのママ役。調べてみたらまだ24歳。映画でよく見かける若手女優。なのにサディスト夫からの夜の営みに苦しむ女性という役。

でもなによりも驚いたのは、金田一さんが「先生」と呼ぶ「私」役が清水ミチコだったことw 絵面だけで笑える。
伊豆のN温泉という設定だが、この映像作品のロケ地はたぶん相模湖。あの一帯はまだあんな旅館が残ってる。
「猫のように退屈を楽しんだ」という箇所が、本当に猫がじゃれあっているように描いていて笑った。

そしてもう一人の重要キャストが安藤政信。この人が何の役かはネタバレになるので言えない。
金田一耕助の哀しい恋の結末。切ない。ま、金田一シリーズはどれも酷い結末を迎える事件だが。

結果、3作品どれもが配役がぴったりかつ驚きのランナップ。自分としては、金田一が「妖精めいたものを感じた」という泰子に菊池亜希子を選んだことを評価したい。
あと、持田虹子が芋生悠だったことも評価したい。

2022年2月27日日曜日

アニメ映画「ぼくらの7日間戦争」(2019)

アニメ映画版「ぼくらの7日間戦争」(2019 GAGA KADOKAWA)を見る。原作はもちろん宗田理「ぼくらの七日間戦争」。31年の時を超え、まさかのアニメ映画化。監督は村野佑太。脚本は大河内一楼。

1988年実写版を見た直後に見る。この話はたぶんアニメだったらまだ受け入られるのではないか?と思ってた。もうさすがに80年代の囚人と看守のようなウイグル強制収容所型管理教育公立中学校設定は無理。

教室内が明るい。みんな自由に過ごしてるしバスケしてるし陰湿なイジメもなさそう。
廊下を水着姿のギャルが走ってて驚くのだが、陸上女子という設定。今は昔と違ってガチ陸上女子はほぼ水着のような服で他生徒と一緒に過ごしてるのか?

主人公鈴原守(北村匠海)は「誰も自分を気にしてない…」とつぶやく。西洋戦術史オタというレアな存在。住んでる一戸建てを見るとわりと裕福な家庭っぽい。

守は同じ高校で隣の立派な家に住む千代野綾(芳根京子)に密かに恋。ミスコンに出るほどのマドンナ。この子が議員の娘?運転手付き黒塗り車で出かけようとしてる父(悪人相)と東京へ転校の件でもめている。引退する都議(伯父)の地盤を継ぐ国替え?

みんなスマホ持ってる。なんとアニメ版は高校2年生に設定を変更。北海道の旧炭鉱町の住宅地に住んでいるという設定。そういえば町の風景が北海道の地方都市っぽい。道がやたら広くて人通りも車もない。駅とか踏切とかわりとリアルに寂れてる。

このふたりは一緒に通学。ま、そのほうが自然か。そして相談。女はせめて17歳の誕生日までこの町に居たい。男は提案「いっしょに逃げよう」女「誕生日までに一緒に家出しよう。7日間のバースデーキャンプ!」そしてどんどんパリピ仲間が加わっていく…。あれあれ。だいぶ88年版とストーリーの根幹が違ってる。

守くんは千代野父の目を陽動するために札幌行き特急券を購入しておくなどの策士。それが戦術家。こいつやるな。
炭鉱廃墟キャンプって楽しいか?いくら夏の北海道の気持ちのいい天気でも不気味なのでは?昭和30年代に建てられたにしては明治近代産業遺産っぽいレンガづくり。トロッコ車庫?これは画とはいっても廃墟マニアの心をくすぐる。
なんで電気が通じてるんだ?と思ったら、町の遺産として普段は観光地として開放。設定上の抜かりはない。(けど、ALSOKとかないのか?)
白樺の森もある。でも、北海道でのキャンプ場でない場所のキャンプは熊とか危険じゃないのか?

で、持ち込んだ食料が食い荒らされてる。ひょっとして自分たち以外にも誰かがいるの?いい感じでサスペンスタッチ。
なんと不法滞在のこども(タイ人)が!入国管理官(どうみても悪人)が追いかける?!もう完全にまったく新しく改変。もはや「7日間戦争」というタイトルは不要。
高校生たちの中に弁護士目指してるインテリ男がいる。「犯罪者をかくまうとほう助罪になる」とその場から立ち去ろうとする。いろいろとキャラもアレンジ。

「こっちが先にいたんだからお前ら出てけよ」って言われるのは納得いかない。こっちは北海道民で市民だ!まあ、子ども相手に何か言っても仕方がない。
この子が態度が悪い。いいか小僧。その日本人高校生を味方につけない限り君は絶体絶命なんだぞ。

「なにかできることはないのか?」気づいたら建物内に閉じ込められていた。そして高校生6人と大人たちとの戦いが始まる。廃墟というレンガづくり要塞での攻防戦。(この建物が窓は塞がれてて進入路が正面ドアしかない。しかも内側から溶接。)

しかも1988年中学生と違って2019年高校生はスマホで連携。これは有利だ。
でも、熟練した操作でトロッコを動かし、侵入してきた管理官職員たちを襲撃するって無理じゃないか?下手したら殺人未遂罪だぞ。結果的に器物損壊罪も。
やっぱりこういうのは子どもたちのドタバタ映画じゃないと無理があるか。

これ、途中まではワクワクしながら面白く見れた。だが、現代にはSNSというものがある。このへんを描くとたちまちつまらなくなる。悪意であふれたネットを夢いっぱいのアニメに出すな。

本多という秘書がいつパワハラ悪徳議員にキレて爆発するのか?とずっとイライラしてた。暴力を振るわれたら殴り返せばいいのに。そのためには会話をすべて録音しておけ。(いい大人が泥団子合戦してるのはちょっとスッキリ)
制御不能熱気球に身をゆだねての脱出は危なくないか?山の中でランタン飛ばすの山火事の心配はないのか。

公共事業をもらうことしか産業も雇用もない地方の現実。中小企業の社長の娘は議員の娘と友だちになって接近?悪徳議員にヘコヘコするのが嫌なら最初から田舎で土建屋をやるな。
そして不法滞在の外国人。そんな社会問題をも扱う映画。
そんなのより宮崎駿みたいな大冒険活劇を見せろ。アニメでぐらい夢を見せろ。

2022年2月26日土曜日

宮沢りえ「ぼくらの七日間戦争」(1988)

「ぼくらの七日間戦争」(1988 東宝)を見る。なんと宮沢りえの女優デビュー作。こどものころからこの映画はなんとなく存在は知っていたけど今回初めて見た。
宗田理はまだ一冊も読んだことがない。手にとったこともない。
監督は菅原比呂志。制作は角川春樹事務所。今も活躍する俳優が多く出演。

かなり厳格な管理教育を行う公立中学校が舞台。通学時間が終わると校門がガシャンと閉まる。まるで兵舎か刑務所。
後に神戸で女子高生が校門に潰され圧死した事件の当事者教師はこの映画を見ていたに違いない。なにかゲームをやってるつもりか?
校長の訓辞を聴く生徒たちの一糸乱れない整列ぶりが陸軍士官学校のようで嫌悪感。

その間に教師が生徒不在の教室で机と鞄を勝手に持ち物検査。これは酷い。佐野史郎先生がヘアブラシなどを「色気づきやがって」と没収するのだが、ちょっと待て。オマエらは髪がボサボサでも逆に指導してくるだろうが。
しかもこいつの日本史授業はまったくためになるとは思えない。歴史年表を書き写してるだけの誰でもできる簡単なお仕事。

大地康雄教諭は生徒たちには大きな声で挨拶させてるのに、自分はだまったままか?人としておかしいだろ。
体育教師倉田保昭は現在の水準では教員を即刻解雇されてるレベル。指導を超えた暴力。度を超えた叱責。必要以上に大きな声を出すな。完全にパワハラ。
当時の教員たちに聞きたい。こんなことして90年代はよい時代になったの?まったくしなくていい余計なことばっかりがんばっちゃって。今の子供たちはこの映画を見ると怖がるらしい。

笹野高史さんが教師役で出てるのだが、まるで戦前の大学教授のような風貌。この時点ですでに60代のような雰囲気で驚く。
賀来千香子先生が80年代らしい美人先生。この人だけは好感度高い。

不満が鬱積した子どもたち8人は集団家出を決行。廃工場で自由気ままにすごす。学校にも来ない。
「まったく今のこどもたちは…」とか言うけど、60年安保、70年安保、安田講堂はどうだったのか?
先生たちはスーツ姿だけど、全員がまるで軍服姿のようなイメージだった。こんな教育を当時は誰もおかしいと思わなかったのか?

こんな理不尽な管理教育と教員たちには、全生徒会紅衛兵で立ち向かうべき。右派だの売国奴だの米帝の狗だのプラカードを首から提げさせて、市中引き回しにするべき。それが民主主義。戦後の日本に生徒会だの委員会だのを持ち込んだのは左翼ではなくGHQ。

おそらく、当時の人気アイドルだった宮沢りえを鑑賞するための映画。宮沢りえは今の水準で見てもかなりの美少女。人気が出るわけだ。

だが、それ以外はこどもだまし映画。正直期待したほど面白くない。
どこをどう楽しんだらいいのかわからない。テンポもよくない。下水道エピソードとか面白くもなんともない。みんなでカレー食ってるときに醜い喧嘩をするな。でぶ少年が昭和顔。

おい体育教師。廃工場とはいっても勝手に扉を電動カッターで破壊するのは許されることじゃないぞ。国の所有物だというなら管理責任者と警察が立ち会え。

戦車シーンはワクワクできたけどハッタリもいいとこ。駐車場でちょこっと動かしてるだけなら何も問題ない。ガールズパンツァーのごとく暴れて走り回って街を灰燼に帰してほしかった。

教師たちをひとりひとり倒していく文化祭。子どもたちによって機動隊が全滅させられるところは爽快。まるで戦国武将のような知略。安田講堂の東大生たちはこんなことすらもできなかったのか。
中学生のこどもたちにあれだけ花火を用意できる金があるのか?まるで隅田川花火大会に匹敵する規模でやりすぎ。結果、雰囲気映画。

ロケ地は館山だったらしい。乃木坂「会いたかったかもしれない」と同じ場所が出てきた。
音楽は小室哲哉。主題歌はTM NETWORK「SEVEN DAYS WAR」。ところどころミュージックビデオみたいになる箇所も好きじゃない。

2022年2月25日金曜日

アガサ・クリスティー「チムニーズ館の秘密」(1925)

アガサ・クリスティー「チムニーズ館の秘密」を読む。高橋豊訳のクリスティー文庫版(2004年初版)で読む。2018年の夏に100円で見つけて買っておいたものをようやく取り出して読む。私的クリスティマラソン81冊目。
THE SECRET OF CHIMNEYS by Agatha Christie 1925
初期クリスティのスパイ物。ローデシアで英国婦人たちを案内中の旅行会社社員アンソニー・ケイドくんは旧友のジェイムズ・マグラスくんとばったり再会。

国王夫妻が暗殺され共和制に移行した「ヘルツォスロバキア」なる架空の小国の元大臣貴族が書き記した回顧録原稿を、ロンドンの出版社に持ち運べば1000ポンドもらえる。自分は金鉱の有力情報を持ってて掘りに行くので、代わりにロンドンに行ってくれないか?
アンソニーは旅行会社をすぐに辞めて、マグラス名義で船で英国に帰国。

一方そのころ英国では政府高官ケイタラム卿と外務省ロマックス氏がひそひそ話。チムニーズ館にその王子がやって来る。英国はこの小国の石油利権を狙ってる。回顧録原稿を持ったマグラスという人物が英国にやってくるので原稿を事前に回収する交渉をしたい。
回顧録が出版されると困る王政擁護派も原稿を狙う。アンソニーはホテルで襲われたりもする。

開始数章を読んだだけで面白い。クリスティー女史の書く大人たちの会話、男女の会話、おっちょこちょいの会話がユーモアがあってオシャレ。男女が出会ったり、死体が見つかったりする正しい英国スパイスリラー。
だが、展開はほとんど屋敷内部で起こるので地味。

アメリカ人探偵、フランス警察の刑事、フランス人家庭教師、イタリア人、などが登場する古典的な国際スパイもの。実はアイツの正体はアレで…という展開にはそれなりに驚けた。
これがバトル警視初登場作。ほとんど表情を変えない有能刑事。

第一次大戦後のオーストリアハプスブルク家の没落と逆行するようなロマンス小説。じつは貴種流離譚。ラストはちょっとダラダラ長かった。

2022年2月24日木曜日

桜井日奈子「ういらぶ。」(2018)

映画「ういらぶ。」(2018 アスミックエース)を見る。原作は星森ゆきも「ういらぶ。 -初々しい恋のおはなし-」。制作は共同テレビ。監督は佐藤祐市。脚本は高橋ナツコ。平野紫耀(King & Prince)主演のJK向けスウィーツ映画。

ヒロインは「岡山の奇跡」こと桜井日奈子。なんと岡山県でロケ撮影された映画。自分、この子にまったく胸がときめいたことがない。かわいく見えない。
だが、玉城ティナが出てるので見る。

和泉凛(平野)は春名優羽(桜井)のことが好きでたまらないのにドSを装い優羽に「オマエはゴミ」とダメ出しばかり。凛の躾のせいで優羽は卑屈で愚鈍。支配し付き従わせてる。周囲からはいじめてるように見える。けどふたりは相思相愛。

このふたりと、暦(玉城ティナ)、蛍太(磯村勇斗)の4人は毎朝一緒に通学。同じマンションで同じ階の幼なじみ4人組は周囲から羨望の眼差し。

そういったキャラと4人グループ内のやりとりを見て楽しもうっていうマンガドラマ。
凛が処かまわず時をかまわず妄想夢オチするの何なの?そんなんで実生活でやっていけるのか?
化学実験ではみんな白衣を着る学校なんてあるのか。生徒が実験で火傷してるのに担当教諭は何も責任を感じてないように見える。
数分おきに数秒の短いアイキャッチのようなものがある。そんな映画あり?

開始26分後、凛の恋のライバル佐伯和真(伊藤健太郎)登場。優羽が一時的に引っ越した家のお隣さん。金髪男。引っ越し荷物を運ぶ手伝いをしてるところを凛に見られて火花バチバチ。
佐伯が一流の進学校の生徒ということで母親が勝手に家庭教師にして部屋に連れてくる。いくら親でもそんなことをいきなり勝手に決めていいのか。この男は娘のことを狙ってるのに部屋にふたりきりにするとかありえない。

凛は嫉妬のあまり優羽を完全無視するようになる。まったく、なんて男だ。平野が伊藤に壁ドンしてどうする。あきらかに佐伯のほうが彼氏として最適。

高校生に高校生の家庭教師もありえない。それは勉強会じゃん!と思ってたら、やっぱり凛も部屋にやってきて3人で一緒に勉強会。
佐伯の妹が桜田ひより。ものすごく積極的で前に出てくるおしゃべりJC。(これは読者からも視聴者からも嫌われるキャラ)

チーム幼なじみVS佐伯。凛「オマエは優羽の何を知ってるんだよ」佐伯「知らないから惹かれるんだよ」

凛は体育館で女子から告白される場面をあえて優羽に目撃させる。優羽は驚きのあまりブタのような声を漏らす。なんだこの演出。優羽は凛の「かのじょ(仮)」という地位に昇格。

この凛という男とつきあうことは害悪でしかないように見える。ほぼホスト。強引に体を求めるとか、どうせこれも妄想夢オチだろうと思ってたら、ガチなのかよ。
優羽は凛からいろいろ優しくされるのだが、それだと好きじゃない?!幼なじみの関係に戻りたい?!

えっ?!佐伯の祖父は星野村でペンションをやってるだって?!そこで凛と優羽が大切なものを埋めた?
なぜか佐伯兄妹はチーム幼なじみフォーの6人と一緒に出かける。
BBQの湖畔がすごく絶景スポット。なのにいきなり口喧嘩の修羅場が始まる。何やってんの。
暦(玉城ティナ)が徹底的に優羽の味方でいい友だち。つねに傍に寄り添ってる。優羽のことが好きなんじゃないのか?

凛は佐伯妹と森の中でふたり。連絡のとれない優羽を探すよりも流星群がみたいとねだる佐伯妹のわがままに振り回される。キスまでせがまれてると、そこに優羽。「ハート型の岩っ!」またしても駆け出して山の中で姿を消す。気づけば周囲は真っ暗。
そして凛と優羽は想い出の場所へ。もう幼なじみのままではいられないだろ…という男女のイライラする心のすれ違いドラマ。

このヒロインはキスすらも自分からはしたくない?どういう関係がいいのかは人それぞれ…というドラマ。
結果、3組のカップルができて6人全員ハッピーエンド?けど、大人の視聴者は見ても何も面白くない。

桜井日奈子は見た目も個性的でコメディエンヌ向き。玉城はさらにもっと気の強い役だと輝く。

2022年2月23日水曜日

中公新書2566「海の地政学 覇権をめぐる400年史」(2019)

中公新書2566「海の地政学 覇権をめぐる400年史」竹田いさみ著(2019)を読む。著者は獨協大教授で海洋安全保障の専門家だそうだ。
書名には地政学と入っているけど地政学の本ではない。アルフレッド・マハン(1840-1914)やハルフォード・マッキンダー(1861-1947)といった名前も出てくるけどほんの少し。この本の主題ではない。

この本は「15世紀の世界航路拡大を振り返りつつ、17世紀にはじまる海洋覇権をめぐる英蘭戦争、大英帝国の興隆、二つの世界大戦と冷戦、さらに海洋秩序の模作や現在の課題など、海洋史400年を、地政学的な視点を取り入れながら、描くものである。」というもの。

この本では大航海時代はあまり触れない。15世紀にはスペインとポルトガルしか外洋を航海できる帆船と技術を持っていなかった。そのころ英国の主要産業は毛織物と海賊(?!)
(教皇子午線とかトルデシリャス条約とか、かろうじて高校時代に見聞きした単語は覚えていた。人類史上初めて海上に線が引かれた。)

イギリスとオランダの海洋覇権をめぐる戦いとかもほんの少し。国際法の父と呼ばれるオランダのグロティウス(1583-1645)にはすこし触れる。初めて海洋自由論を発表。「いずれの国家も海洋を支配してはならない」と英国をけん制する論理武装。

この本のほとんどがアメリカを扱う。かつて鯨油を求めて大海へと進出して海洋覇権への挑戦を開始。
自分、ペリー艦隊って太平洋を渡って浦賀にやってきたんだと思ってた。アメリカ東海岸から喜望峰を回ってマラッカ海峡を通って日本にやってきてた。知らなかった。
ランプ燃料に鯨油を使っていた時期はほんの短い期間。すぐに石油から精製された灯油へと置き換わる。世界は石油を求めて覇権を争うようになる。(人類が石油を使うようになってまだせいぜい百数十年)

アメリカが大艦隊を持つきっかけとなった人物がセオドア・ルーズベルト(1858-1919)
すでにハワイを盗み取ったアメリカ帝国は次にキューバとプエルトリコが欲しい。海軍次官からマッキンレー政権の副大統領を経て大統領となったルーズベルトは米西戦争でグアムとフィリピンも得る。コロンビアから独立させたパナマに運河を作る。

そして米英日の海軍軍拡レース。そして第一次大戦。そして米英主導の軍縮。「航行の自由」という言葉を初めてウィルソン大統領が提唱。
(空母を運用し実戦で使用した国はアメリカ、イギリス、そして日本の3か国だけ。)

この本で一番重要な箇所は第4章「海洋ルールの形成」。世界は30年かけて「国連海洋法条約」へ取り組み始める。
アメリカにとって転機となったのがトルーマン大統領。連邦政府と州政府の間に漁業資源と海底資源の管理をめぐる主導権の争い。そしてトルーマン宣言で初めて「大陸棚」という概念が登場。
これがメキシコ、アルゼンチンやチリに飛び火。中南米諸国がこぞって原油が眠る海底資源を意識し大陸棚と漁業資源に関する宣言をするようになる資源ナショナリズムへ。これがやがて排他的経済水域(EEZ)へと発展。この動きにアメリカは反対w

国際ルール制定へ向けた動きは国連へ。領海は3カイリと主張(公海は広いほうがいい)するアメリカとイギリス、4カイリを主張するスカンジナビア諸国、12カイリを主張するソ連。
(アメリカはレーガン政権になってから12カイリを主張。ソ連のスパイ戦がアメリカ沿岸に来ると困るしw)

紆余曲折を経て、領海12カイリ、接続水域24カイリ、排他的経済水域200カイリで国連海洋法条約が1982年に採択され94年発効。日本は96年に批准・公布。

だが、肝心のアメリカが調印しないw 
反対する理由が深海での資源開発のありかた。国連では多くの投票権を途上国が握ってる。途上国からすると先進工業国の資本と技術で深海底資源を分割領有化される心配から、深海底の資源は「人類の共同財産」とした。アメリカはそこが不満。技術力のある国が自由に資源を開発したい。リベラル。

この本はさらに第5章「国際ルールに挑戦する中国」が衝撃。
中国は国連海洋法条約よりも早く領海法という国内法を制定。領海法のほうが国際法よりも上位にあることを明文化。
「中国は実効支配してない島々や海域を一方的に領有していると法律に記載し、あたかもすでに領有権があるかのようなイメージを作り上げる新手を編み出した」w

世界中の国々が認めている無害通航権にも中国は制限を設けている。
「中国は国際ルールとしての海洋法条約を、中国に有利な条文は受け入れ、不利な条文は受け入れないという方針を採用している」w
中国の主張する「九段線」に国際法上の根拠がないことを常設仲裁裁判所(ハーグ)は示した。だが中国は裁定を受け入れていない。
アメリカは国連海洋条約に調印していないが、同法を慣習法として尊重はするという立場。だが、このままではアメリカが「法の支配」と言ったところで中国は聴く耳を持たない。

世界が30年かけてやっと合意に至った緻密で芸術的な国際海洋法条約を1か国でも無視するようになれば、武力を背景に世界の海を好き勝手に扱う国が他にも出てくるかもしれない。

中国を世界の一員だと思っている人は甘い。経済を優先して中国と取引するやつは中国人だと思ってる。
かつて世界秩序に挑戦しようとしたドイツや日本やソ連は滅びた。次は中国の挑戦が退けられる番だと思う。(プーチンロシアも)

2022年2月22日火曜日

乃木坂46「未来の答え」ロケ地巡礼完結編

乃木坂46の3期生デビュー楽曲「未来の答え」(2017)のロケ地である奥多摩町旧小河内小学校の内部をやっと見学に行けた。
奥多摩フィールドというイベントを月イチぐらいでやっていたのだが、コロナ以後クローズされていて行く機会がなかった。やっと行けた。公開日を狙って。
小さな図書室がある。そこで地元有志らしき方々が何か作業をしていたので、顔を見せて挨拶してから内部を見学。昨年11月の事だ。
空いてる教室は何かの物置やらに使われていて、乃木坂の撮影に使用された教室はどこなのかよくわからなかった。おそらく、撮影には2部屋使用している。
桃子の背後に黒板用のコンパス定規がある。同じものがあった。写真を撮り忘れた。
撮影によって部屋の小物なんかはアレンジしたり移動したりしてる。美月の背後の日本地図はたぶんこれ。
みんなが寝ていた部屋はここ。角部屋。
MVでは目立たないように撮ってるけど窓には金網が張ってある。山間地は平地が少ないため、この小学校中学校兼用グラウンドは狭い。おそらくボール遊びで窓ガラスが割れないための措置。
階段の踊り場。卒業制作の絵が飾られている。
渡り廊下を通って体育館へ向かう。この体育館がよくぞこんな場所に…という斜面に建てられている。少しでもグラウンドを広くとるための措置。
廃校となった体育館はもれなく雨漏りから床が腐って抜けていく。だがここはたまに撮影会とかイベントとかに使用されている。いつでも使用できるように頑張って保守整備されている。
もう満足したので帰ることにする。
ちなみにここは旧けやき坂の上村ひなの(現日向坂)も撮影に来ている。
明治から昭和50年ごろまでの古い本が集まってる。おそらく誰か地元名士の収集したお堅い内容の本ばかり。ドイツ語の本やら、翻訳された文学全集やら、中国古典、地図など。散逸しないようにとりあえずここに集めれれている。
かなり古い本で状態が悪い。なので我々が行った日も一部の本が虫干しされていた。貸出や閲覧とかやってない?じっくり読む機会はないのかもしれない。
秋の小河内小グラウンドから見下ろす奥多摩湖の風景がすばらしい。
かつて子どもたちが元気に登下校した階段も、長年放置されると植物に覆われる。
秋の奥多摩が好き。紅葉の進みぐあいを見計ららって、ひと秋に何度も来たい。

PS. 2月21日から乃木坂46時間TVが進行中だが、ほとんどリアルタイムでは見ていない。タイムライン上の話題のみをチェックしてる感じ。この企画は金曜夜から始まって土日メインでないとつきあうことは不可能。
46時間TVは松村や星野がマイペースに好き勝手するシーンがないと46時間TVらしく感じない。

2022年2月21日月曜日

コンタクト(1997)

「コンタクト Contact」(1997 ワーナー)を見る。監督ロバート・ゼメキス。脚本マイケル・ゴールデンバーグ。カール・セーガンの著作を原作とする。これ、自分が初めて海外に出かけたとき機内で放映してたのだがしっかり見てなかった。

壮大な宇宙!という映像。そのバックにアメリカの歴史的音声。
アメリカ一般市民の家庭。ただし父と幼い娘の楽しみはアマチュア無線。全米の遠くのアマチュア無線家とやりとり。
その娘が成長すると巨大パラボラアンテナ(アレシボ天文台)の傍らに立っている主人公ヒロインで地球外生命探査プロジェクト(SETI)研究者エリー・アロウェイ博士(ジョディ・フォスター)。
食事してると自称ライター青年パーマー・ジョスマシュー・マコノヒー)が話しかけてくる。巨大パラボラアンテナを地元民は軍の施設か何かだと思ってる。こいつは神父?けど、すぐいい雰囲気になって男女の関係。

予算獲得に力のある権威的なドラムリン博士はプロジェクトに懐疑的。
しかし、エリーの奔走によってスポンサーを得た研究チームは4年後、ニューメキシコの超大型干渉電波望遠鏡の施設からもうすぐ退去しないといけないという土壇場、こと座のヴェガから「なんだこれ?」という有意な電波信号をキャッチ。慌てふためく研究員たちの芝居と演出がとてもよい。
パラボラアンテナを動かすジョディ・フォスターは「砂漠の巫女」

世間は大きく反応。調査が進むにつれ予想外の事態。電波にはヒトラーの映像?!ベルリンオリンピックが人類初のテレビジョン中継。それをヴェガが受信して返してきてる?
ホワイトハウスからの会見にクリントン大統領?!
驚くべき発見の手柄はエリーでなくドラムリン?!それはエリーも顔が引きつる。政治力ではかなわない。
さらに映像データの裏にさらなる暗号データ?国防総省の機密?研究成果を軍が収容?たたみかけるような展開。エリーは主導権を奪われる。

政府、マスコミ、熱狂する市民、カルト宗教、ネオナチ、活動家、軍、資本家、それぞれが自由に勝手に動くカオス。
ヘリでやってきた大富豪ハデン(社会の黒幕)とエリーの会見。データベースに勝手にハッキングして情報を盗み、エリーの個人情報を調べ上げて協力を持ち掛けてくる。
28光年の先に文明があるとわかったら社会はこうなるのか。エリーはずっと困惑しっぱなし。

ハデンの的確なアドバイスは暗号メッセージ解読をエリーにもたらす。大統領を補佐する人々との会議でドラムリン博士が主導権を握るために介入してくる様子を見て、これが科学者というものか!手柄の確保のために必死か!と驚く。

メッセージには設計図が含まれていた。ヴェガへ人類を送り届ける装置?
幼いとき父を発作で亡くしたエリーは薬の置き場で後悔。以後、神を信じない。
パーマーが神を信じるのだが、エリーは「オッカムのかみそり」を例に否定。自分が「オッカムのかみそり」という言葉を知ったのはつい最近。このころからSFファンはよく知ってる言葉だったのか。

神を信じないエリーは乗組員に落選。一方で神の存在を認めたドラムリンは乗組員に選ばれる。しかし装置のテスト中に狂ったカルト宗教活動家の自爆テロにより装置もろともドラムリン(こいつはずっと失礼なやつだった)は爆死。(このシーンがド派手すぎ。)

だがエリーは、ハデンから極秘に北海道(そんな半島存在しないw)に建造されていた2号機の存在を知らされる。ロケットと違って打ち上げるのに地球の遠心力は必要ないっぽい。
エリーは装置に乗り込む。(そんなものに乗るの不安しかないw)
ワームホールを抜けて天国のようなヴェガにたどり着く。(2001年宇宙の旅みたい)

そこでエリーが見たものとは?(夢オチ?!)

人類が地球外の文明とコンタクトしたときに起こることのすべてを想像したSF。面白く見ることができた。ヴェガに行く方法がロケットと宇宙船でなかったことが意外。
2010年前後からハリウッドSFで中国の存在感が異常に大きいが、この映画ではまだ日本(忠実な同盟国としての下請け建設)の重要度が大きかったようだ。

2022年2月20日日曜日

メッセージ(2016)

引続き「メッセージ」(2016)を見る。原題は「Arrival」で監督はドゥニ・ヴィルヌーヴ。脚本はエリック・ハイセラー。原作はテッド・チャン「あなたの人生の物語」。配給はパラマウント。日本での公開(ソニーピクチャーズ)は2017年5月。

主人公言語学者ルイーズ・バンクス(エイミー・アダムス)と幼い娘とその死をささっと回想。そして大学生を相手に言語学の講義中。
学生がメール音鳴らしたので注意するとモンタナ州に謎の物体飛来のニュース。この物体は世界各地でも確認。大学も休校。上空にはひっきりなしに戦闘機。
地球外からの物体?信用しないが不安を感じる。そして大統領から非常事態宣言。世界はパニック。

ウェバー大佐(フォレスト・ウィテカー)がルイーズの研究室を訪問。かつてルイーズは軍からペルシャ語の翻訳を依頼され速やかに実行した過去を持つ。彼らの言葉を訳すように命令される。ほぼ強要。音声からだけでは無理だ。
夜寝てたら大佐が庭にヘリでやってくる。「20分待って」「10分でたのむ」

最前線の宿営地にいっきに飛ぶ。宇宙船内の地球外生命体ヘプタポッドの飛来の目的を探りたい。数学と物理が専門のイアン・ドネリー(ジェレミー・レナー)とふたりで調査開始。
防護服着て巨大物体に近づく。こんなの誰だって怖い。え、内部に入れ?
このエイリアンがほぼ「ミスト」に出てくるタコの化け物。獣のような空気を振動させた音声を出すが意味不明。
このエイリアンは触手の先から墨のようなものを吐きだして円環状の記号のようなものを伝えてくる。

ルイーズは自分の名前を伝える。指示を無視して防護服も脱いでしまう。
少しずつ共通に理解できる語彙を増やしていく。こういうの、巨大宇宙船をつくって恒星間旅行してくる側が言語を学べよ。
だが、ヘプタポッドの言語の概念が人間を超越してる。
ルイーズはフラッシュバックに悩まされる。幼い女の子が出てくる。未来を過去の記憶のように見ている?

そしてまたしても中国人民解放軍!ハリウッドのつくるSF映画には必ず中国。中国がどこよりも早くエイリアンに対して攻撃を開始?!

ルイーズはひとりで巨大物体内部へ。ヘプタポッド来訪の理由を知る。彼らは3000年後に人類から助けられる。それに先駆けて人類を助けるための贈り物をする?
ヘプタポッドが人類に与えようとした「道具」とはヘプタポッドの文字言語。ルイーズはヘプタポッドの言語を学ぶ。そして未来を認識できるようになる。
そして中国トップを説得。中国軍が攻撃態勢を解くと巨大宇宙船は空へ消えて行った。

そしてルイーズは生まれてくる娘ハンナが病気で死ぬとわかっていながらイアンと結婚。

正直、なんだこれは?という静かなSFだった。意外にこういうのは日本でウケる可能性はある。

2022年2月19日土曜日

広瀬すず「新解釈・三國志」(2020)

映画「新解釈・三國志」(2020 東宝)が1月21日に金ローで放送されたので見た。脚本監督は福田雄一
主演は大泉洋劉備玄徳を演じた。古代ローマを日本人が演じてもいいらしいから、古代中国も日本人が演じてかまわなくなったっぽい。

自分、三国志というやつにまったく疎い。三国志演義どころか横山光輝もNHK人形劇もゲームも通過していない。高校世界史で得た活字としての基本知識のみ。なのでほぼ予備知識ゼロの状態で見る。つまりこの映画で初めて三国志の登場人物たちが人間として活き活きと動く様子を見る。
三国志の研究家西田敏行が最新研究の成果を発表するというていで映画は始まる。

大泉劉備はまったく古代中国らしくない。現代日本人がウザイ奴ら同士でぐだぐだ口論するいつものフザケ脚本福田コメディ。関羽、張飛と三兄弟の誓いが桜の木の下であることに自分でつっこむメタ構造。まったく映画らしくない。「いやいやいや」とか言いすぎ。

黄巾(山田孝之)孔明(ムロツヨシ)周瑜(賀来賢人)董卓(佐藤二朗)がいつもの福田組の仕事をしてる。ウザすぎるやつら。
その一方で呂布(城田優)とのバトルシーンはちゃんとアクション映画。

ナルシスト趙雲(岩田剛典)が連れて来た絶世の美女貂蝉(渡辺直美)を見て大泉劉備3人が「ん?」ってなるシーンとかおかしい。映画のテンポと間合いじゃない。「踊ってみせよ」「こら、イケメン」古代中国人も顔を見合わせて空気を探るとかしたのか。
劉備と孔明が出会う場面のセットがキングダムでも見たやつw
実はこの映画を見た最大の理由は広瀬すずが出てるから。実は貂蝉は広瀬すずが変装していたという。正体を明かすと「キサマ、ほんとはそんなに醜い姿だったのか!」

このシーンのすずはいつものすず独特の節回し。ワンシーンのみの出演。哀しい女スパイ。
橋本環奈は孔明夫人役。頭がよく怖い。自分はこの人物を知らなかったのだが、実在するのか?環奈も笑いで貢献してた。

結果、映画っぽさはないのだが、歴史教養番組の中の再現ドラマとして見れば面白かった。
ちなみにこの映画は中国人が見ると困惑しかないらしい。
牛脂を川に流しても対岸で火事は起こせない気がする。
主題歌福山雅治「革命」。
ひょっとすると数年以内に福田組によるNHK大河ドラマがあるかもしれない。(ないかもしれない)

この福田組方式で英国史(アルフレッド大王、ノルマン朝、プランタジネット朝、100年戦争、ばら戦争、テューダー朝、血のメアリー、エリザベス、スチュアート朝、清教徒革命、名誉革命、アメリカの独立、ナポレオン戦争、ハノーファー朝、ヴィクトリアまで)を描く大河ドラマが観たい。

2022年2月18日金曜日

西尾維新「掟上今日子の鑑札票」(2021)

西尾維新「掟上今日子の鑑札票」(2021 講談社)を読む。昨年4月に出たシリーズ第13作目。自分がシリーズ全てを読んでいる唯一のラノベ。他に読むべき本が大量に積まれている状態から逃れてひと息つくために手にとった。

今回は大企業の重役がビルの一室で狙撃され重傷を負った事件。いつものように隠館厄介が容疑者になって掟上今日子さんを呼び出す。そして事件現場を調査してると今日子さんまでもが頭を狙撃され重体。頭を銃弾が貫通してるのに生きている!?

そして今日子さんは探偵とミステリーに関する用語だけ記憶を失う?!
隠館くんが過去の事件エピソードを回想したりするのだが、自分はもう前作も前前作もよく覚えていないし思い出せない。1回きりしか読んでないし数年前だし。

厄介は自分が逮捕されたビルを調査するために潜入してると地雷を踏んでしまい足を離せなくなる。日本に地雷があるのか?
しかも都会は5Gがあるのにスマホが圏外。これは電波を妨害する装置が隠されている?

厄介はくどいぐらいに頭を巡らせて何とか今日子さんを現場に呼び出して窮地を脱する。
今度は掟上今日子探偵事務所のビルが戦車で砲撃?!さらに、厄介の自宅アパートにはFBI捜査官が家宅捜索?!掟上今日子さんは退役軍人?!

今回はまた何の悪ふざけだ?という荒唐無稽展開で辟易。作者による反戦メッセージ作?正直これまで読んできた掟上シリーズで一番困惑した。ピンとこなかった。
この第13作を最初に手にとってはいけない。正直要らない。
ひょっとすると今作をもって自分はこのシリーズから離脱するかもしれない。

2022年2月17日木曜日

岩波新書1893「ユーゴスラヴィア現代史」(1996)

ユーゴ解体から30年という節目の2021年に、岩波新書「ユーゴスラヴィア現代史」の改定新版(2021)が出たので手にとった。
著者である柴宣弘(1946-2021)の死後、第6章に「少数民族アルバニア人をめぐる二つの紛争」、そして第7章が書き加えられた新版。

実は自分は遠い昔、リュックサックひとつに最小限の着替えを詰め込み、トーマスクック時刻表片手にヨーロッパを鉄道パスで回っていたとき、ベネツィアから足を延ばして、パス範囲外のスロヴェニア・リュブリャーナ、そしてクロアチア・ザグレブまで行ったことがある。
ただ、それは行ってみただけ。一人旅とか何も楽しくなかった。歴史とか文化とか知らなかったし、両国に違いを感じられなかった。
飛び込みで泊まったリュブリャーナのホテルとかまだあるんだろうか?ザグレブのユースホステルとかまだあるんだろうか?夏のザグレブは暑かった印象。

ユーゴのあるバルカン半島はハプスブルク帝国とオスマン帝国の境目。それは民族が複雑に入り組む。
露土戦争、ベルリン会議、セルビア、モンテネグロの独立、バルカン戦争、ハプスブルク帝国などをさらっとおさらい。
「6つの共和国、5つの民族、4つの言語、3つの宗教、2つの文字」でやってきた国家の2度の分裂と解体。このへんのことは高校世界史で習って以来すっかり忘れていた。

第一次大戦後に誕生したユーゴが「第一のユーゴ」。自分はセルブクロアートスロヴェーヌ王国と習った。1929年にユーゴスラヴィアと国名を改称。
ここからキーとなるのが最大勢力セルビアとナンバー2クロアチアの争い。この両民族は言語は似ているのに使用する文字が違う。(この本を読んでスロヴェニア語はこの両国と言語コミュニケーションが難しいことを知った。)
そして次の敵はナチスドイツ。クロアチアのウスタシャ、セルビアのチュトニク、パルチザン、英国とソ連の思惑。
そして第二次大戦後のユーゴスラヴィア社会主義連邦共和国成立。

チトーってカリスマ独裁者だと思ってた。独自の社会主義を目指してスターリンからコミンフォルム追放。以後、ソ連東欧圏との協力が得られずに国民を喰わせていくためにわりと苦戦。反チトーと親ソ連派は政治犯として収容所。
憲法改正で連邦政府の力を弱めたりして国をまとめようとする。経済不振、そして民族主義。コソヴォ問題。

チトーの死後すぐには批判は起きなかったのだが、80年代後半になると主にセルビアでチトーへの尊敬が薄くなっていく。軽んじられ批判されていく。
そして91年、スロヴェニアとクロアチアの独立宣言。クロアチア領内のセルビア人、セルビア領内のクロアチア人たちが紛争に巻き込まれ犠牲となり難民化。

クロアチア人とセルビア人とボシュニャク(ムスリム)人の三つ巴戦となったボスニア紛争のとき、ミロシェヴィチが国際世論で悪玉にされたのはカトリック勢力(バチカン)の誘導?!民族浄化してたやん。
そういえば国連を代表して明石康という旧ユーゴ問題担当の人がいたってことを思い出した。結局、外交官としてできることが何もなく、NATO軍の存在に押されはじき出されて辞任という顛末。まったく忘れ去られていた。

この本は旧ユーゴだった国々の現在(2021年のコロナ禍まで)を教えてくれる。子どものころからずっとニュースや新聞の片隅で、なんとなく目にしていたことを整理して教えてくれる。
ああ、そういえばセルビアモンテネグロという国名の時代もあったな。この2国はとくに問題を抱えていない同士の友好国。
旧ユーゴ各国はEU加盟を目指して相互に友好を演出中。

ボリュームがちょうどよい。このぐらいがちょうどよい。ずっと手許に置いておきたい一冊。

2022年2月16日水曜日

Perfume LIVE 2021 [polygon wave](全世界配信)をやっと見た

2021年8月14日、15日にぴあアリーナMMで開催された「Perfume LIVE 2021 [polygon wave]」2DAYSから8月15日公演を、Amazonプライムビデオさんが、昨年12月24日に全世界に向けて7か国語配信。きづいたらもう1か月以上経っていた。やっと見た。
これは連日テレビCMも打っていたし2021年末の大きな話題だった。Perfumeにとってもあの2020年2月の東京ドーム公演がバッサリと、開場直前に中止になって以来のひさびさの有観客ライブ。

2010年の東京ドームからPerfumeのツアーはすべてWOWOWさんの制作と放送だったのだが、今回の公演は配信というスタイルにチェンジ。
放送だとそのとき見てるか録画するかしないと、円盤を買ったりするようなファン以外は見逃してしまい伝わらないわけだが、サブスク配信だと「ちょっと見てみようかな」という視聴者にも伝わる。何度でも見れる。時代の変化に対応したと言える。これは大きな変化と言える。(Perfume 8th Tour 2020 P Cubed in Domeも同じくアマプラで配信開始)
配信で多くの人が見ていて、レビューなんかもネット上に多く見られるので、今回はとくに詳しく実況や感想を書く気にならない。だが自分が見たことを忘れないためにここに記す。

長年Perfumeを追いかけている人なら、オープニングから「不自然なガール」までの流れがはっきり意味を持って伝わってくる。2010年の東京ドーム公演も思い出すし、ステージ上でPerfume以外の出演者(ELEVENPLAY)と共演するのは初の試みだし。Perfumeは変わっていないようで変えてくることもある。
Perfumeのすごいところは10数か所を回るツアーであっても1回限りの大規模公演であっても、あれだけ難しいダンスをしているにもかかわらず、ミスやちょっとした事故がほとんどまったくない。Perfumeはほぼアスリート。中学生から33歳。これが長年3人だけで人知れず苦労と努力の積み重ねで磨いてきたダンススキルというやつ。自信と誇り、勇気と喜び。

この公演がほぼ、幻となった東京五輪MIKIKO案開会式が垣間見える貴重なステージ。テクノロジー演出に圧倒される。未来の風景を見せてくれる。
観客が拍手でしかリアクションを伝えられないのが惜しく感じる。まだ数年はライブコンサートはこのスタイルでいくしかない。「新しい新時代のライブを築いていきましょう!」
「I still love U」を聴くのがひさしぶりすぎてしばらく曲名を思い出せなかった。自分はもう何年もライブコンサートからも夏フェスからも遠ざかってる。
「マカロニ」を聴くとあの淡い色合いのざらざらしたフィルムのようなMV映像が生き生きと脳内で再生される。もう遠い昔すぎる。
「GLITTER」がまるで夢の中にいるようで感動的すぎる。

今もPerfumeは最新演出でなつかしい曲を繰り出してくる。ファンももうみんないい年してるはずなのだが、映像で見かけるファンはみんな若い子たちばかりだ。
「PTAのコーナー」を変らず今もやってくれる。かしゆかのガーリーな体型が今もまったく変りない。のっちのショートパンツのまっすぐな脚も美しい。
今のあ~ちゃんは3人のなかでいちばん足が細くなってる。美人になってる。
この衣装も素晴らしいとしか言いようがない。

「MY COLOR」は毎回毎回感動的。腕の振りは今も体にしみ込んでる。考えなくても自然にできてしまう。
ラストで新曲も披露。歌詞がバックに映し出されていたけど、この時点では曲名は明らかになっていなかった。「マワルカガミ」だということが2月13日のPTA配信で判明。
PS. 世界配信前日には「前夜祭」も生配信された。世界のパフュオタと交流。
司会はPerfumeの3人とは同じ年で中学時代からのお友だちホラン千秋。この人は英語が上手いのは当たり前だとしても、トークと仕切りを聴くだけで頭がいい人だとわかる。
PS. もうだいぶ経ったけど、Perfumeは昨年末の紅白歌合戦にも14回連続出演。紅白ってなかなか振り返って見る機会もない。過去のPerfumeが何を歌ったかとかどんな衣装だったかとかまるで思い出せない。

昨年の視界は大泉洋と川口春奈。川口はいまや人気女優といっていい存在だが紅白司会はまったく意外だった。昨年は渋谷のNHKホールでなく有楽町の東京国際フォーラムからの放送。
披露した曲は「ポリゴンウェイヴ」。8月のライブでも活躍したダンサーと共演。
自分はまったく知らなかったのだが、「おかえりモネ」の清原果耶は「Perfumeがきっかけで芸能界入り」だって?!
14年連続出演ってすごすぎる。子どもの頃は10年以上出てる人って演歌の大御所ぐらいだった気がする。
Perfumeがいなければ2021年も暗いものになっていた。この3人はいつもその場をパッと明るくしてくれる。
PS. Perfumeの3人はそのまま赤坂に移動して毎年恒例のCDTV年越しSPにも出演。その場を明るく盛り上げる。「FLASH」と「ポリゴンウェイヴ」の2曲を披露。毎回毎回新しい衣装だったりするので見逃せない。
2022年も大活躍の予感。はやくコロナは退散してほしい。ひょっとしたら札幌オリンピック開会式出演もワンチャンあるかも…って思ってる。