2022年2月14日月曜日

オデッセイ(2015)

「オデッセイ」(20世紀フォックス) をやっと見る。日本での公開は2016年の2月。原題は「The Martian」。なんでオデッセイになった?
アンディ・ウィアー「火星の人」(ハヤカワ文庫SF)は古本屋でよく見かけるけど未読。監督リドリー・スコット。脚本ドリュー・ゴダード。

これも宇宙でひとりぼっちになって生還サバイバルもの。火星に一人置き去りにされた宇宙飛行士の絶望的な戦い。

主人公マーク・ワトニー(マット・デイモン)は火星有人探査計画「アレス3」に参加した宇宙飛行士で植物学者。
ヘルメス号で火星に到着したマークらが地表を調べてるととつぜん大砂嵐w 
即退避決定。マークは事故で吹き飛ぶ。火星にもこんな激烈な嵐が吹くのか。着陸船も倒れそう。
指揮官ルイスは現状分析の結果、宇宙服に損傷がある以上生存は無理。よってマークは死んだと判断。ギリギリの状況でしょうがないと言える。遺体は置き去り。火星衛星軌道上のヘルメス号へ戻り地球へ。

だが、マーク・ワトニーは生きていた。
マークは前ミッションからそこにある居住ユニットに避難。腹部に突き刺さった金属片を自ら鉗子で取り除き縫合。金属片が貫通し刺さったままだったので酸素も血液も漏れなかった。
映像収録で日誌を記録。自分が今後どうなるのか?科学者として絶望がよくわかってる。なのにこの落ち着き。諦観?

残されたわずかな物資(空気、水、電気、そんなものがあってよかった)での無人島ならぬ火星サバイバル開始。ソーラーパネルの砂を落として掃除。
さらに火星の土でユニット内に畑をつくる。隊員たちの遺した糞尿堆肥、酸素と水素を燃やしてできた水でジャガイモの栽培に成功。

火星でジャガイモを育てることがこのSFの他と違うところ。植物学者として必要な量をすべて計算。いつか人類が他の惑星に移住するとき、この原作と映画は役に立つ日がくるかもしれないリアリティー。
次のミッションまでの4年間の生存が目標。火星の厳しい環境で生き抜く決意。

一方地球、NASAではマークの葬式。NASA長官は火星地表写真を撮ることを拒む。マークの遺体の写真が新聞に載ると予算が減らされる恐れ。
だが、衛星交信担当官がソーラーパネルや探査車が動いていることを発見。死んだと思ってたマークは実は生きてるんじゃね?だが、どう計算しても食料が足りないはず。なんで生きてる?

マークが生存してることは良いニュースだが、NASAの偉い人たちは世論を気にする。内部でも政治。
みんな遠い所からマークの行動を観察。だけど目的がよくわからない。あれこれ推測。
あと、やっぱりこのハリウッド映画も女性(船長)、黒人&金髪の若い女性(担当官)、中国系やインド系(研究職)らに均等に役を配分してる。特にハリウッドSFにはやたら中国人。

ワトニーは過去の探査計画で廃棄されていた無人探査機「マーズ・パスファインダー」を思い付きと推論で見つける。NASA側でも責任者の黒人がそのことに気づく。パサデナにあるレプリカ機で1996年製静止画カメラ映像の受信成功。これによって地球からのYesNoでのメッセージのやりとりは可能。故障しない機械と電力があれば無敵。

カメラのスピンによるASCIIコード16進法を用いた情報伝達に双方で気づいて運用開始。NASA側の尽力で直接文章送信できるコミュニケーションを確立。科学者同士だと進展が速い。

NASA側が食料物資を送る算段をしてるときに、火星の居住施設が破損して吹き飛ぶ。宇宙服も破損。すぶにテープを貼ってふさぐ。空気が漏れてる箇所をどうやって知る?
施設の修理はなんとかできたのだが栽培中のジャガイモが冷気で全滅。
急造運搬船ロケットを打ち上げるが失敗。(なにやってんだよ)

中国から援助の申し出(不自然w)があり、救助輸送を中国ロケットが引き受け(不自然w)、新たな船の建造が急ピッチで進められる。どう見ても中国市場(マネー)を意識し、中国の宇宙技術を持ち上げ、友好を媚びる映画。

原作にも中国がでてくるから媚中じゃないと擁護する意見も見られるのだが、そう言う人はこの映画をちゃんと見たのだろうか?宇宙開発に多額の予算をさく中国がロケット支援する設定そのものは構わない。だがその演出が異常。
まるでアメリカ企業のテレビCMのようにやたらとポジティブ感を前面に押し出してくるミュージックビデオ。何も考えてない群衆が熱狂する場面の演出に違和感。これまで見て来たマークとNASAの奮闘が徹底リアルだっただけに、余計に違和感。

「ゼロ・グラビティ」ではそれほど媚中は感じなかったが、この映画では不自然なぐらいに感じた。(ただし、面白かった)
日本映画はアメリカみたいに、人種ごとに役の配分を考えなくて済む。(たぶん今後は再び中国人はハリウッドでは悪役)

地球以外の惑星に行こうなんて考えてはいけないという映画。火星ですら距離が遠すぎる。
最後はムチャだろプラン。まるで蜘蛛の糸。

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