2022年2月2日水曜日

綾辻行人「緋色の囁き」(1988)

綾辻行人「緋色の囁き」(1988)を2020年講談社文庫新装改訂版で読む。自分、まだ綾辻行人は「館シリーズ」「アナザー」「どんどん橋」しか読んでない。やっと「囁きシリーズ」に突入。
冒頭のページをめくるとダリオ・アルジェントに献呈されている旨書かれているので、おそらくサスペリアのようなホラー。
新装改訂版の表紙イラストは清原紘氏。こちらのほうが旧版より売れそうではある。

ヒロイン冴子は育ての親から引き離され伯母に引き取られ、都内の公立校から関東のはずれにある全寮制女子高に転校する。この聖真女学園がまるで刑務所のような厳しすぎるガチガチ校則。教師たちがみんな冷たく厳しく不気味。規則に反すると教鞭で打たれる。クラスメートもまるで同世代と思えないような喋り方。

ただ、ルームメートの高見恵はわりと普通。冴子にいろいろ学園のことを教えてくれる。「この学園は狂ってる」「サスペリアにでてくるバレエ学校みたい」
このルームメートのことを他の生徒たちはよく思っていないようだ。

厳しい校則によるストレスと生理でヒロインはずっと体調が悪い。やたらと紅い悪夢も見る。この子がずっと重い生理期間中であることがずっと強調される。

そして学園の魔女伝説。「開かずの間」と35年前の生徒の死の噂。
するとほどなくルームメートの高見恵が開かずの間で焼死体となって発見?!校長の父(市のドン)から警察に圧力がかかって自殺として処理?
恵は自殺なんかしない!と疑問を持つ兄高見俊記がやってくる。35年前の事件を調べ始める。
さらに、新しくルームメートになった千秋は庭で何者かに刺殺される。通り魔による犯行とされる。(だとしたらすぐに非常警戒線を張れよ)

冴子を疫病神呼ばわりして騒ぎを起こした君江は、反抗的な生徒を謹慎させるための独房ともいわれる土蔵に収容されるのだが、やっぱり何者かに雨の中追い回され殺害。
冴子はますます冷たい目で見られる。魔女!と糾弾される。追い込まれて2階教室の窓から転落。なのに、気を失って自分から転落したことになってる…。

実はこの教室では厳しすぎる管理指導への反動として、魔女狩りと魔女裁判が行われていた。目立つ子は魔女として死刑判決。制裁が行われていた。その主導者が転校生だった城崎綾(美少女)とその取り巻き5人。そのうち2人が殺された。

俊記は事件を捜査した老刑事に話を聴くなど調査。さらに、冴子が幼少の時に軽井沢で一家惨殺事件があったことを知る。生存した冴子と母。母は事件の6年後に精神病院で死去。
そしてさらに魔女狩りFIVEの2人も殺害される。そしてリーダー城崎綾も殺害。

寮内は騒然として冴子を犯人だとして捜しまわってる。しかし、小柄な冴子は城崎綾殺害現場のテーブルの下。殺害現場で幼少時の忌まわしい記憶がフラッシュバック。
そこに俊記が駆け付け犯人と対峙。そして意外な真相。

これはサスペンスホラーでミステリー要素はないヤツかな?と思って読んでいた。十分に意外な真相だった。「緋色の囁き」も傑作と言っていい。なによりサスペリアぽい雰囲気が魅力的。
発表から34年。どうしてまだ映画化やドラマ化の話がないんだろう。
ちなみに、佐々木琴子は昨年夏ごろこの本を読んでいる。

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