2022年2月27日日曜日

アニメ映画「ぼくらの7日間戦争」(2019)

アニメ映画版「ぼくらの7日間戦争」(2019 GAGA KADOKAWA)を見る。原作はもちろん宗田理「ぼくらの七日間戦争」。31年の時を超え、まさかのアニメ映画化。監督は村野佑太。脚本は大河内一楼。

1988年実写版を見た直後に見る。この話はたぶんアニメだったらまだ受け入られるのではないか?と思ってた。もうさすがに80年代の囚人と看守のようなウイグル強制収容所型管理教育公立中学校設定は無理。

教室内が明るい。みんな自由に過ごしてるしバスケしてるし陰湿なイジメもなさそう。
廊下を水着姿のギャルが走ってて驚くのだが、陸上女子という設定。今は昔と違ってガチ陸上女子はほぼ水着のような服で他生徒と一緒に過ごしてるのか?

主人公鈴原守(北村匠海)は「誰も自分を気にしてない…」とつぶやく。西洋戦術史オタというレアな存在。住んでる一戸建てを見るとわりと裕福な家庭っぽい。

守は同じ高校で隣の立派な家に住む千代野綾(芳根京子)に密かに恋。ミスコンに出るほどのマドンナ。この子が議員の娘?運転手付き黒塗り車で出かけようとしてる父(悪人相)と東京へ転校の件でもめている。引退する都議(伯父)の地盤を継ぐ国替え?

みんなスマホ持ってる。なんとアニメ版は高校2年生に設定を変更。北海道の旧炭鉱町の住宅地に住んでいるという設定。そういえば町の風景が北海道の地方都市っぽい。道がやたら広くて人通りも車もない。駅とか踏切とかわりとリアルに寂れてる。

このふたりは一緒に通学。ま、そのほうが自然か。そして相談。女はせめて17歳の誕生日までこの町に居たい。男は提案「いっしょに逃げよう」女「誕生日までに一緒に家出しよう。7日間のバースデーキャンプ!」そしてどんどんパリピ仲間が加わっていく…。あれあれ。だいぶ88年版とストーリーの根幹が違ってる。

守くんは千代野父の目を陽動するために札幌行き特急券を購入しておくなどの策士。それが戦術家。こいつやるな。
炭鉱廃墟キャンプって楽しいか?いくら夏の北海道の気持ちのいい天気でも不気味なのでは?昭和30年代に建てられたにしては明治近代産業遺産っぽいレンガづくり。トロッコ車庫?これは画とはいっても廃墟マニアの心をくすぐる。
なんで電気が通じてるんだ?と思ったら、町の遺産として普段は観光地として開放。設定上の抜かりはない。(けど、ALSOKとかないのか?)
白樺の森もある。でも、北海道でのキャンプ場でない場所のキャンプは熊とか危険じゃないのか?

で、持ち込んだ食料が食い荒らされてる。ひょっとして自分たち以外にも誰かがいるの?いい感じでサスペンスタッチ。
なんと不法滞在のこども(タイ人)が!入国管理官(どうみても悪人)が追いかける?!もう完全にまったく新しく改変。もはや「7日間戦争」というタイトルは不要。
高校生たちの中に弁護士目指してるインテリ男がいる。「犯罪者をかくまうとほう助罪になる」とその場から立ち去ろうとする。いろいろとキャラもアレンジ。

「こっちが先にいたんだからお前ら出てけよ」って言われるのは納得いかない。こっちは北海道民で市民だ!まあ、子ども相手に何か言っても仕方がない。
この子が態度が悪い。いいか小僧。その日本人高校生を味方につけない限り君は絶体絶命なんだぞ。

「なにかできることはないのか?」気づいたら建物内に閉じ込められていた。そして高校生6人と大人たちとの戦いが始まる。廃墟というレンガづくり要塞での攻防戦。(この建物が窓は塞がれてて進入路が正面ドアしかない。しかも内側から溶接。)

しかも1988年中学生と違って2019年高校生はスマホで連携。これは有利だ。
でも、熟練した操作でトロッコを動かし、侵入してきた管理官職員たちを襲撃するって無理じゃないか?下手したら殺人未遂罪だぞ。結果的に器物損壊罪も。
やっぱりこういうのは子どもたちのドタバタ映画じゃないと無理があるか。

これ、途中まではワクワクしながら面白く見れた。だが、現代にはSNSというものがある。このへんを描くとたちまちつまらなくなる。悪意であふれたネットを夢いっぱいのアニメに出すな。

本多という秘書がいつパワハラ悪徳議員にキレて爆発するのか?とずっとイライラしてた。暴力を振るわれたら殴り返せばいいのに。そのためには会話をすべて録音しておけ。(いい大人が泥団子合戦してるのはちょっとスッキリ)
制御不能熱気球に身をゆだねての脱出は危なくないか?山の中でランタン飛ばすの山火事の心配はないのか。

公共事業をもらうことしか産業も雇用もない地方の現実。中小企業の社長の娘は議員の娘と友だちになって接近?悪徳議員にヘコヘコするのが嫌なら最初から田舎で土建屋をやるな。
そして不法滞在の外国人。そんな社会問題をも扱う映画。
そんなのより宮崎駿みたいな大冒険活劇を見せろ。アニメでぐらい夢を見せろ。

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