本上まなみ「ほんじょの虫干。」を2004年新潮文庫初版で読む。1999年に学習研究社より刊行されたものに加筆修正し一部写真を入れ替えての文庫化。
ひさしぶりに寄り道したBOで110円購入。ほとんど読み込まれた痕跡のないほぼ新品なので連れ帰った。自分、これの学研版初版を持っているのだがもうどこに行ったのか忘れた。
たぶん学研BOMB!に連載されていたものに、1998年10月のギリシャ旅行記を加えてまとめて単行本化したもの。なので22歳から23歳ぐらいの本上まなみさんの日常エッセイ集。
当時は本上さんを大人のキレイな女性と認識していたのだが、今思えば、ほぼ乃木坂メンのような年頃だったのかよと。
原稿用紙に万年筆で締め切りに追われて書いたものらしいのだが、やっと演技のキャリアを開始した若手女優の書くその内容はブログのようなもの。それほど凝った文体にはならない。
1998年はもう遠い昔。ギリシャの通貨がドラクマだったりする。この四半世紀で世界だけでなく日本社会もだいぶ変わってしまった。
本上さんも今年50歳で19歳になる長女と12歳になる長男がいるらしい。
本上さんは24歳で突然40代の既婚男性編集者と結婚してしまったという点以外で、嫌いなところはひとつもない。
ちなみに、大阪で生まれ学生時代を京都の短大で過ごした本上まなみさんは読書人。
自分はこの本を読んだ遠い昔に本上さんの影響で樋口一葉記念館や菊坂の旧居跡へ行ったりもした。
あと、立原道造(1914-1939)という詩人建築家の存在を知ったのも本上さんのエッセイによる。
文庫巻末解説は中島らも氏だが、40代のうつ病と投薬による体調不良、そして「タヒにたい」願望と近視乱視老眼三重苦など、ひたすら酷い時期に本上まなみを知った…というようなことが書かれてる。ちなみに中島らも氏はこの文庫解説を書いた2か月後に急死。