2022年2月26日土曜日

宮沢りえ「ぼくらの七日間戦争」(1988)

「ぼくらの七日間戦争」(1988 東宝)を見る。なんと宮沢りえの女優デビュー作。こどものころからこの映画はなんとなく存在は知っていたけど今回初めて見た。
宗田理はまだ一冊も読んだことがない。手にとったこともない。
監督は菅原比呂志。制作は角川春樹事務所。今も活躍する俳優が多く出演。

かなり厳格な管理教育を行う公立中学校が舞台。通学時間が終わると校門がガシャンと閉まる。まるで兵舎か刑務所。
後に神戸で女子高生が校門に潰され圧死した事件の当事者教師はこの映画を見ていたに違いない。なにかゲームをやってるつもりか?
校長の訓辞を聴く生徒たちの一糸乱れない整列ぶりが陸軍士官学校のようで嫌悪感。

その間に教師が生徒不在の教室で机と鞄を勝手に持ち物検査。これは酷い。佐野史郎先生がヘアブラシなどを「色気づきやがって」と没収するのだが、ちょっと待て。オマエらは髪がボサボサでも逆に指導してくるだろうが。
しかもこいつの日本史授業はまったくためになるとは思えない。歴史年表を書き写してるだけの誰でもできる簡単なお仕事。

大地康雄教諭は生徒たちには大きな声で挨拶させてるのに、自分はだまったままか?人としておかしいだろ。
体育教師倉田保昭は現在の水準では教員を即刻解雇されてるレベル。指導を超えた暴力。度を超えた叱責。必要以上に大きな声を出すな。完全にパワハラ。
当時の教員たちに聞きたい。こんなことして90年代はよい時代になったの?まったくしなくていい余計なことばっかりがんばっちゃって。今の子供たちはこの映画を見ると怖がるらしい。

笹野高史さんが教師役で出てるのだが、まるで戦前の大学教授のような風貌。この時点ですでに60代のような雰囲気で驚く。
賀来千香子先生が80年代らしい美人先生。この人だけは好感度高い。

不満が鬱積した子どもたち8人は集団家出を決行。廃工場で自由気ままにすごす。学校にも来ない。
「まったく今のこどもたちは…」とか言うけど、60年安保、70年安保、安田講堂はどうだったのか?
先生たちはスーツ姿だけど、全員がまるで軍服姿のようなイメージだった。こんな教育を当時は誰もおかしいと思わなかったのか?

こんな理不尽な管理教育と教員たちには、全生徒会紅衛兵で立ち向かうべき。右派だの売国奴だの米帝の狗だのプラカードを首から提げさせて、市中引き回しにするべき。それが民主主義。戦後の日本に生徒会だの委員会だのを持ち込んだのは左翼ではなくGHQ。

おそらく、当時の人気アイドルだった宮沢りえを鑑賞するための映画。宮沢りえは今の水準で見てもかなりの美少女。人気が出るわけだ。

だが、それ以外はこどもだまし映画。正直期待したほど面白くない。
どこをどう楽しんだらいいのかわからない。テンポもよくない。下水道エピソードとか面白くもなんともない。みんなでカレー食ってるときに醜い喧嘩をするな。でぶ少年が昭和顔。

おい体育教師。廃工場とはいっても勝手に扉を電動カッターで破壊するのは許されることじゃないぞ。国の所有物だというなら管理責任者と警察が立ち会え。

戦車シーンはワクワクできたけどハッタリもいいとこ。駐車場でちょこっと動かしてるだけなら何も問題ない。ガールズパンツァーのごとく暴れて走り回って街を灰燼に帰してほしかった。

教師たちをひとりひとり倒していく文化祭。子どもたちによって機動隊が全滅させられるところは爽快。まるで戦国武将のような知略。安田講堂の東大生たちはこんなことすらもできなかったのか。
中学生のこどもたちにあれだけ花火を用意できる金があるのか?まるで隅田川花火大会に匹敵する規模でやりすぎ。結果、雰囲気映画。

ロケ地は館山だったらしい。乃木坂「会いたかったかもしれない」と同じ場所が出てきた。
音楽は小室哲哉。主題歌はTM NETWORK「SEVEN DAYS WAR」。ところどころミュージックビデオみたいになる箇所も好きじゃない。

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