綾辻行人「Another アナザー」(2009)はまだ読んでなかった。昨年12月、この角川スニーカー文庫版(いとうのいぢイラスト入り)がそこに上下巻そろっているのを見つけて、暇なときに読んでみようかと、歴史小説に紛れ込ませて買い求めた。100円×2=200円で購入。
2012年の橋本愛&山﨑賢人主演の映画版を見たことがある。もうよく覚えていないのだが、おそらくこの原作は映画とはいろいろ違っているに違いない。
アニメ化もされたようだ。この文庫版は表紙をめくるとカラーのアニメイラストが折り込んである。文体が平易。これは中高生向けに違いない。
主人公榊原恒一は中学3年生。父の仕事の都合で、自分を産んだ直後に亡くなった母の故郷へ引っ越す。祖父母と暮らしてる。父親は大学教授でインドにいる。東京の名門私立中から、母の母校である夜見山北中学校へ4月20日に転入する予定が、肺気胸で入院。5月になってやっと入学。
だが、なんとなくクラスの雰囲気がおかしい。いろいろおかしな緊張感がある。
クラスメートに見崎鳴(ミサキ メイ)という眼帯美少女がいるのだが、他のクラスメートには見えていない?!
橋本愛映画版では他のクラスメートの存在感と個性がまるで描かれていなかったのだが、原作はわりと多くのクラスメートが登場する。
夜見山北中3年3組にだけ存在する特異な呪いと世界観を上巻フルでくどいほどにしっかり叩き込む。ある年だけ呪いが発動しクラスメートかその両親、兄弟が変死していく。しかも毎月2人以上。
クラスに死者がひとりまぎれこんでいるらしい。そいつは見分けることができない。結果、3年3組と教職員たちは申し送りで、呪いに対抗する方法を編み出した。だれかひとりをいないものとして扱って、教室の人数を調整。それが鳴と恒一になってしまう。呪いへの対処展開が地味。
まあ、日本独自に進化した物理法則も科学も無視した理不尽ホラー。中高生を対象にしたジュブナイルホラー。
周囲で人が死んでるんだけど、主人公たちの目の前で恐ろしいことが起こるのは最初の1回か2回ぐらい。あーでもない、こーでもないと考えて右往左往する生徒たち。下巻は派手な惨劇クライマックスがあるものの、そこまでがぐだぐだ退屈。
死人は誰か?その点でフーダニットと言えるかもしれない。作者らしい叙述トリックもあってちょっと驚いた。でも全体の印象として、大人が読むには物足りないと感じた。
この本を読んだら「アナザー S」という続編が読めると思っていたのだが、綾辻ホラーはしばらく置いておこうと思う。
2020年7月31日金曜日
2020年7月30日木曜日
西村京太郎トラベルミステリー72「十津川警部のラストラン」(2020)
西村京太郎トラベルミステリー72「十津川警部のラストラン JR札沼線廃線を撤回せよ!殺人容疑者籠城 東京~北海道1200㌔、究極ダイヤトリック!!新十津川駅で待つ女」を見た。当日になって新聞番組表で見て慌てて予約。
今年4月27日の札沼線ラストランは多くの人が当日現地からSNSで発信していた。その後にも動画なんかを繰り返し見た。
北海道の札沼線は国鉄時代は札幌-石狩沼田間を結んでいた鉄道。新十津川-石狩沼田間はとうの昔に廃線だったのだが、札幌-新十津川は残った。
札沼線はかなりの昔から赤字路線。石狩当別までは札幌への通勤客が多いので本数も多いのだが、北海道医療大学駅から終点の新十津川までは驚くほどに何もない区間。
平成になると駅舎も撤去され、貨物車のコンテナみたいなものがぽつんと置かれただけの無人駅が続く。途中にたいして観光地もない。
だが、そんな何もない路線だからこそ全国の鉄道ファンから愛された。車窓の風景が愛された。
この区間が難読駅名だらけ。だが、自分はこの駅名をすべて読める。というのも、人生において札幌新十津川間を1.5往復している。鉄オタでもないのに。
自分が初めて新十津川駅を訪れたのは10数年前。そのときは滝川駅から歩いて行った。そして札幌まで乗った。当時はまだ1日に数本はあったような気がする。
2回目は2009年に釧路をひとり旅して札幌で1日とくに予定がなかった時。札幌から新十津川まで直で行ける朝1本に乗った。当時は石狩当別から石狩月形まで、通学高校生で混んでいる区間があった。(この当時はちゃんとしたデジカメを持っていなくて写真をとっていなくて痛恨)
3回目は2010年にYUIのツアーを見に札幌に友人と行ったとき、大雪山見物の帰りに新十津川駅を見に立ち寄って周囲をなんとなく散策した。このときは札沼線に乗っていないが、駅周辺をうろついていたときに鉄オタたちを乗せた車両がやって来たことは覚えている。
数年前に新十津川には石狩当別から朝10時に1日1本のディーゼル車両が1両編成でやってきて来た線路を戻っていくようになった。日本一早い終電になってしまった。
だが、そんないつ廃線になってもおかしくなかった札沼線もついに今年、北海道医療大学駅から新十津川駅までの区間が廃線が決まる。
そして今年4月27日に、新型コロナ感染拡大のせいでGWを待たずして前倒しラストラン。
2017年に実業之日本社文庫から「札沼線の愛と死 新十津川町を行く」が出版された。
ついに十津川警部が新十津川駅にやって来た!w このドラマは廃線の直前に撮影されている?
自分、学生時代に西村京太郎を5冊ぐらい読んだことあったけど、以後全く読んでいなかった。十津川警部シリーズも一度も見たことがなかった。今回は札沼線を懐かしむために録画して見た。
ドラマは冒頭からいきなり東京の殺人事件の容疑者になってしまった新十津川町出身の男(松尾論)が猟銃を持って新十津川町役場の議会に立てこもるシーン。「札沼線廃止を撤回しろ!」周囲の人は憐れむような目で青年を見る。
その地域で育った登場人物キャラクターたち。それぞれの人生のドラマ。殺人事件は東京で起こるのだが、新十津川町でも多くのシーンをロケ撮影。
ヒロイン黒谷友香(バイオ生物学の新進科学者)の高校時代を演じた子がかわいい。調べてみたらサンミュージック所属の杉本愛里という19歳の女優らしい。元アミューズで元セブンティーンモデルだったらしい。ぜんぜん知らなかった。
この物語の主要登場人物3人は通学に札沼線を使ってる。ということは通学していた高校は月形高校じゃないと無理がある。
周囲に田んぼしかない南下徳富駅。石狩川と樺戸山地の間の平野部分の真ん中を走るのが札沼線。石狩川の反対側には函館本線が走ってる。
高橋英樹、高田純次、黒谷友香、中村俊介が撮影に来ていたというのに目撃ツイートとかもない。目撃もされなかったのかもしれない。周囲に家がないのだから。
事件のカギを説く来訪者用のメッセージノートが出てきて笑った。札沼線の各駅には実際にこういったノートが置かれているそうだ。このノートもどこかで保存されるのだろうか?廃棄される可能性もある。
その日10時に新十津川町にいた中園(中村俊介)が東京駅近くのビルで15時30分に自殺ってありえるのか?札沼線では飛行機に間に合わない。頭を悩ます。
だが、たまたまその場にいた鉄オタたちがアドバイスw 新十津川駅から一駅の下徳富駅で降りてタクシーで砂川駅へ行き、砂川駅からの特急ライラックで札幌経由新千歳から飛行機で行けば間に合う!
数年のうちに駅舎もなくなり線路も草に埋もれる運命かもしれない。こうしてドラマに映像として残されたことはまだ幸運だったかもしれない。
南下徳富駅シーン他、何度も流れる曲が聴いたことあるような気がするけど思い出せない。
たぶんフォーレのエレジーがこんな曲だったような…と記憶とカンをたよりに調べてみたら、フォーレのチェロ・ソナタ 第2番 ト短調 Op 117の第2楽章Andanteだった。
明治の初めから北海道開拓使と樺戸集治監が多大の犠牲を払って原生林を切り開いた大切な土地。もっともっと北海道の農業は発展してもらいたい。寂れるばかりでなくどこかで反転攻勢をしてほしい。
唯一の心残りが豊ヶ丘駅で降りなかったこと。(降りてしまったら数時間つぎの便はないが)
今年4月27日の札沼線ラストランは多くの人が当日現地からSNSで発信していた。その後にも動画なんかを繰り返し見た。
北海道の札沼線は国鉄時代は札幌-石狩沼田間を結んでいた鉄道。新十津川-石狩沼田間はとうの昔に廃線だったのだが、札幌-新十津川は残った。
札沼線はかなりの昔から赤字路線。石狩当別までは札幌への通勤客が多いので本数も多いのだが、北海道医療大学駅から終点の新十津川までは驚くほどに何もない区間。
平成になると駅舎も撤去され、貨物車のコンテナみたいなものがぽつんと置かれただけの無人駅が続く。途中にたいして観光地もない。
だが、そんな何もない路線だからこそ全国の鉄道ファンから愛された。車窓の風景が愛された。
この区間が難読駅名だらけ。だが、自分はこの駅名をすべて読める。というのも、人生において札幌新十津川間を1.5往復している。鉄オタでもないのに。
自分が初めて新十津川駅を訪れたのは10数年前。そのときは滝川駅から歩いて行った。そして札幌まで乗った。当時はまだ1日に数本はあったような気がする。
2回目は2009年に釧路をひとり旅して札幌で1日とくに予定がなかった時。札幌から新十津川まで直で行ける朝1本に乗った。当時は石狩当別から石狩月形まで、通学高校生で混んでいる区間があった。(この当時はちゃんとしたデジカメを持っていなくて写真をとっていなくて痛恨)
3回目は2010年にYUIのツアーを見に札幌に友人と行ったとき、大雪山見物の帰りに新十津川駅を見に立ち寄って周囲をなんとなく散策した。このときは札沼線に乗っていないが、駅周辺をうろついていたときに鉄オタたちを乗せた車両がやって来たことは覚えている。
数年前に新十津川には石狩当別から朝10時に1日1本のディーゼル車両が1両編成でやってきて来た線路を戻っていくようになった。日本一早い終電になってしまった。
だが、そんないつ廃線になってもおかしくなかった札沼線もついに今年、北海道医療大学駅から新十津川駅までの区間が廃線が決まる。
そして今年4月27日に、新型コロナ感染拡大のせいでGWを待たずして前倒しラストラン。
2017年に実業之日本社文庫から「札沼線の愛と死 新十津川町を行く」が出版された。
ついに十津川警部が新十津川駅にやって来た!w このドラマは廃線の直前に撮影されている?
自分、学生時代に西村京太郎を5冊ぐらい読んだことあったけど、以後全く読んでいなかった。十津川警部シリーズも一度も見たことがなかった。今回は札沼線を懐かしむために録画して見た。
ドラマは冒頭からいきなり東京の殺人事件の容疑者になってしまった新十津川町出身の男(松尾論)が猟銃を持って新十津川町役場の議会に立てこもるシーン。「札沼線廃止を撤回しろ!」周囲の人は憐れむような目で青年を見る。
その地域で育った登場人物キャラクターたち。それぞれの人生のドラマ。殺人事件は東京で起こるのだが、新十津川町でも多くのシーンをロケ撮影。
ヒロイン黒谷友香(バイオ生物学の新進科学者)の高校時代を演じた子がかわいい。調べてみたらサンミュージック所属の杉本愛里という19歳の女優らしい。元アミューズで元セブンティーンモデルだったらしい。ぜんぜん知らなかった。
この物語の主要登場人物3人は通学に札沼線を使ってる。ということは通学していた高校は月形高校じゃないと無理がある。
周囲に田んぼしかない南下徳富駅。石狩川と樺戸山地の間の平野部分の真ん中を走るのが札沼線。石狩川の反対側には函館本線が走ってる。
高橋英樹、高田純次、黒谷友香、中村俊介が撮影に来ていたというのに目撃ツイートとかもない。目撃もされなかったのかもしれない。周囲に家がないのだから。
事件のカギを説く来訪者用のメッセージノートが出てきて笑った。札沼線の各駅には実際にこういったノートが置かれているそうだ。このノートもどこかで保存されるのだろうか?廃棄される可能性もある。
その日10時に新十津川町にいた中園(中村俊介)が東京駅近くのビルで15時30分に自殺ってありえるのか?札沼線では飛行機に間に合わない。頭を悩ます。
だが、たまたまその場にいた鉄オタたちがアドバイスw 新十津川駅から一駅の下徳富駅で降りてタクシーで砂川駅へ行き、砂川駅からの特急ライラックで札幌経由新千歳から飛行機で行けば間に合う!
数年のうちに駅舎もなくなり線路も草に埋もれる運命かもしれない。こうしてドラマに映像として残されたことはまだ幸運だったかもしれない。
南下徳富駅シーン他、何度も流れる曲が聴いたことあるような気がするけど思い出せない。
たぶんフォーレのエレジーがこんな曲だったような…と記憶とカンをたよりに調べてみたら、フォーレのチェロ・ソナタ 第2番 ト短調 Op 117の第2楽章Andanteだった。
明治の初めから北海道開拓使と樺戸集治監が多大の犠牲を払って原生林を切り開いた大切な土地。もっともっと北海道の農業は発展してもらいたい。寂れるばかりでなくどこかで反転攻勢をしてほしい。
唯一の心残りが豊ヶ丘駅で降りなかったこと。(降りてしまったら数時間つぎの便はないが)
2020年7月29日水曜日
柳田国男「蝸牛考」(昭和5年)
柳田国男「蝸牛考」(昭和5年)という本を読む。蝸牛を指す「デデムシ」という言葉がマイマイ→カタツムリ→ツブリ→ナメクジのように、京都を中心として同心円状に分布してることに注目した「方言周圏論」を記した有名な本。
だが学術書で、しかも柳田の文体もあって読みにくい。
蝸牛を表す言葉は書籍では「和名抄」にある「加太豆不利」(カタツブリ)が古く、長い間京都では蝸牛を指すただ一つの言葉であったことは確からしい。
「円いもの」を昔から日本中「ツブラ」と呼ぶ。沖縄でも「ツブリ・チプル・ツプル」とある。もともと「カサツブラ」から転訛して「カタツブリ」となったらしい。
だが、話ことば、童詞、おんなこどもがそれをどう呼ぶか?それは中央政権の文書よりも重要。
「マイマイ」は貝が巻いている姿から。デデムシは角を出すところから「デイロ・デェロ」。たぶん新しい言葉。
とにかくひたすら各地の蝸牛の方言を列挙。柳田のフィールドワークによる言葉の収集。空前絶後の誰もやったことのない仕事。言語地理学の最初の論文。
だがその後、この説は方言のすべてにあてはまるわけでないことがわかっていく。読んでいてそのすべてに納得いくわけでもない。
それでも方言という謎にちょっとでも関心ある人には十分に面白いし一度は読むべき本。
PS. 乃木坂46の鈴木絢音は自身のブログ(2016年2月18日)で「蝸牛考」と「遠野物語」を買ったと書いている。その後、読了したかどうかについては不明。
だが学術書で、しかも柳田の文体もあって読みにくい。
蝸牛を表す言葉は書籍では「和名抄」にある「加太豆不利」(カタツブリ)が古く、長い間京都では蝸牛を指すただ一つの言葉であったことは確からしい。
「円いもの」を昔から日本中「ツブラ」と呼ぶ。沖縄でも「ツブリ・チプル・ツプル」とある。もともと「カサツブラ」から転訛して「カタツブリ」となったらしい。
だが、話ことば、童詞、おんなこどもがそれをどう呼ぶか?それは中央政権の文書よりも重要。
「マイマイ」は貝が巻いている姿から。デデムシは角を出すところから「デイロ・デェロ」。たぶん新しい言葉。
とにかくひたすら各地の蝸牛の方言を列挙。柳田のフィールドワークによる言葉の収集。空前絶後の誰もやったことのない仕事。言語地理学の最初の論文。
だがその後、この説は方言のすべてにあてはまるわけでないことがわかっていく。読んでいてそのすべてに納得いくわけでもない。
それでも方言という謎にちょっとでも関心ある人には十分に面白いし一度は読むべき本。
PS. 乃木坂46の鈴木絢音は自身のブログ(2016年2月18日)で「蝸牛考」と「遠野物語」を買ったと書いている。その後、読了したかどうかについては不明。
2020年7月28日火曜日
本田翼「リモートで殺される」(2020)
7月26日に日テレ系で「リモートで殺される」というリモート飲み会で起こるサスペンススリラードラマが放送された。本田翼と齋藤飛鳥が出演しているというので見た。このドラマはリモートで製作されたらしい。
てっきりまた「あなたの番です」みたいなドラマが始まったんだと思ってたら単発1時間ドラマだった。どうりで見てて展開が早いと思った。
高校を卒業して7年、仲良しクラスメートが2020年5月の非常事態宣言下でのリモート飲み会同窓会。これが同級生がつぎつぎと殺されフレームアウトして行く。いったい何が?!パニックになりつつ相談の結果、高校の屋上で転落死したクラスメートが浮上。
高校時代の回想シーン。齋藤飛鳥演じるこの子が寂しがりのかまってちゃん。屋上に一人でいる男子にちょっかいをかけてくる。
真剣佑のような真面目イケメンくんには突然キスしようとしたりする。「しよっ♥」というビッチスタイル。飛鳥ちゃんのファンには見るのがつらいシーンw
このドラマ、真犯人こそ明かされるのだが、その背後関係とか犯行の様子とか動機とかは本編ドラマでは明かされない。「真相と続きはHuluで」という日テレHulu商法に非難ごうごうの炎上。
テレビでドラマを見ていた視聴者はモヤモヤしたまま突然ふわっと放り投げられ放置される。それは酷い。
いろいろ考えながら見ていたけど、すべてムダ。もういい。もうドラマの真相とかどうでもいい。
ドラマはどうでもいいのだが、飛鳥と前田敦子のレズキスを目撃し驚く本田。ニヤッと笑う飛鳥が衝撃的でとても良い。ゾワゾワする。レズビアンJKの三角関係と愛憎と嫉妬がからむ殺人事件だったのかよ。
齋藤飛鳥は演技で世間にアピールできたかもしれない。できることならもっと濃厚なキスシーンにしてほしかったw できたら乃木坂内部でキスしていてほしい。
何より28歳の本田がJK制服姿を披露してくれたことが素晴らしかったw 「少女」という映画よりもこちらのほうが断然雰囲気がそれらしい。
本田翼の演技への世間の評価が今でもわりと辛辣なようだ。しかし、まだ本田の引き出しにない演技だったのなら仕方がない。本田はもう28歳で女優歴10年目だが。
本田はYou Tuber としても日本トップクラスの大人気。それに中居宮川と恋愛バラエティショー番組のレギュラーMCまでも務めている。女優としてバラエティタレントとして人気絶頂にある。たぶん相当にお金を持っている。
てっきりまた「あなたの番です」みたいなドラマが始まったんだと思ってたら単発1時間ドラマだった。どうりで見てて展開が早いと思った。
高校を卒業して7年、仲良しクラスメートが2020年5月の非常事態宣言下でのリモート飲み会同窓会。これが同級生がつぎつぎと殺されフレームアウトして行く。いったい何が?!パニックになりつつ相談の結果、高校の屋上で転落死したクラスメートが浮上。
高校時代の回想シーン。齋藤飛鳥演じるこの子が寂しがりのかまってちゃん。屋上に一人でいる男子にちょっかいをかけてくる。
真剣佑のような真面目イケメンくんには突然キスしようとしたりする。「しよっ♥」というビッチスタイル。飛鳥ちゃんのファンには見るのがつらいシーンw
このドラマ、真犯人こそ明かされるのだが、その背後関係とか犯行の様子とか動機とかは本編ドラマでは明かされない。「真相と続きはHuluで」という日テレHulu商法に非難ごうごうの炎上。
テレビでドラマを見ていた視聴者はモヤモヤしたまま突然ふわっと放り投げられ放置される。それは酷い。
いろいろ考えながら見ていたけど、すべてムダ。もういい。もうドラマの真相とかどうでもいい。
ドラマはどうでもいいのだが、飛鳥と前田敦子のレズキスを目撃し驚く本田。ニヤッと笑う飛鳥が衝撃的でとても良い。ゾワゾワする。レズビアンJKの三角関係と愛憎と嫉妬がからむ殺人事件だったのかよ。
齋藤飛鳥は演技で世間にアピールできたかもしれない。できることならもっと濃厚なキスシーンにしてほしかったw できたら乃木坂内部でキスしていてほしい。
何より28歳の本田がJK制服姿を披露してくれたことが素晴らしかったw 「少女」という映画よりもこちらのほうが断然雰囲気がそれらしい。
本田翼の演技への世間の評価が今でもわりと辛辣なようだ。しかし、まだ本田の引き出しにない演技だったのなら仕方がない。本田はもう28歳で女優歴10年目だが。
本田はYou Tuber としても日本トップクラスの大人気。それに中居宮川と恋愛バラエティショー番組のレギュラーMCまでも務めている。女優としてバラエティタレントとして人気絶頂にある。たぶん相当にお金を持っている。
2020年7月27日月曜日
エラリー・クイーン「黒い犬と逃げた銀行強盗」(1941)
角川つばさ文庫の「見習い探偵ジュナの冒険」シリーズ第2弾は「黒い犬と逃げた銀行強盗」。2017年1月に初版。
ハヤカワ・ミステリ文庫版がながらく廃版で入手困難なので、児童書とはいえこの文庫の価値は高い。たぶん大人も読んでいる。
つばさ文庫の前作「幽霊屋敷と消えたオウム」が1944年発表の「緑色のカメの秘密」。新訳が出版順になっていないけど、新訳を企画してくれただけで十分にありがたいし、これがなければ一生読まなかったかもしれない。角川さんに感謝だ。
エデンボロ村のアニーおばさんの家で暮らす少年ジュナが主人公。この子が聡明で正義感があり頭が良い。スコッチテリア犬のチャンプはすでにいる。
親友トミーとバス釣りに出かけようと思って釣り針を買おうと思ったら小さな村の商店にはない。それで村から5キロ離れたクリントンの街へ出かける。そこで銀行強盗事件に遭遇。自分もチャンプももう少しで銃で撃たれるという危ない目に遭う。
たまたまそこにいて犯人に襲い掛かった正義の老犬が撃ち殺され怒りに燃えるジュナ。直前に車に乗った人相の悪い男から、カナダへ行く道を尋ねられていた。あいつらが銀行強盗だ。
ジュナは傲慢で無能な警察署長に伝えた。すぐさま犯人たちを追いかけたのだが行方をくらませた。犯人の車は何処へ消えた?ジュナは友人から自転車を借りて捜査を始める。
大工のブーツ爺さんが最近元気がない。セッドとモリソンというふたりの男たちが不審な行動。モリソンは釣りが趣味のはずなのにボートの扱いに慣れてない。ブーツさんの盗まれたペンキが森の中で発見。などなど、ジュナは発見し記憶に留め考える。
やがて、ジュナは銀行強盗一味に捕らえられ、地下室の柱に縛り付けられる。そして、池の水が引き入れられ大ピンチ!
この「黒い犬」は「緑のカメ」ほどには謎解き要素がなくて、正直やや面白さで劣っていたように思う。だが、アメリカ東海岸の田舎村(電話があるのは1軒だけ)の暮らしぶりがイメージできてそれなりに楽しかった。
THE BLACK DOG MYSTERY by Ellery Queen, Jr. 1941エラリー・クイーン・ジュニア名義で1941年に発表されたジュブナイルミステリー「黒い犬の秘密」の2017年中村佐千江新訳による児童向け書籍。
ハヤカワ・ミステリ文庫版がながらく廃版で入手困難なので、児童書とはいえこの文庫の価値は高い。たぶん大人も読んでいる。
つばさ文庫の前作「幽霊屋敷と消えたオウム」が1944年発表の「緑色のカメの秘密」。新訳が出版順になっていないけど、新訳を企画してくれただけで十分にありがたいし、これがなければ一生読まなかったかもしれない。角川さんに感謝だ。
エデンボロ村のアニーおばさんの家で暮らす少年ジュナが主人公。この子が聡明で正義感があり頭が良い。スコッチテリア犬のチャンプはすでにいる。
親友トミーとバス釣りに出かけようと思って釣り針を買おうと思ったら小さな村の商店にはない。それで村から5キロ離れたクリントンの街へ出かける。そこで銀行強盗事件に遭遇。自分もチャンプももう少しで銃で撃たれるという危ない目に遭う。
たまたまそこにいて犯人に襲い掛かった正義の老犬が撃ち殺され怒りに燃えるジュナ。直前に車に乗った人相の悪い男から、カナダへ行く道を尋ねられていた。あいつらが銀行強盗だ。
ジュナは傲慢で無能な警察署長に伝えた。すぐさま犯人たちを追いかけたのだが行方をくらませた。犯人の車は何処へ消えた?ジュナは友人から自転車を借りて捜査を始める。
大工のブーツ爺さんが最近元気がない。セッドとモリソンというふたりの男たちが不審な行動。モリソンは釣りが趣味のはずなのにボートの扱いに慣れてない。ブーツさんの盗まれたペンキが森の中で発見。などなど、ジュナは発見し記憶に留め考える。
やがて、ジュナは銀行強盗一味に捕らえられ、地下室の柱に縛り付けられる。そして、池の水が引き入れられ大ピンチ!
この「黒い犬」は「緑のカメ」ほどには謎解き要素がなくて、正直やや面白さで劣っていたように思う。だが、アメリカ東海岸の田舎村(電話があるのは1軒だけ)の暮らしぶりがイメージできてそれなりに楽しかった。
2020年7月26日日曜日
エラリー・クイーン「幽霊屋敷と消えたオウム」(1944)
エラリー・クイーン「幽霊屋敷と消えたオウム 見習い探偵ジュナの冒険」という小学校中級以上向けの児童書が角川つばさ文庫から出てる。中村佐千江新訳で2016年に初版。
クイーン親子はまったく出てこないし触れられない。なのであのジュナとはジュナ違い?
巻末に解説とかないので不明なのだが、エラリー・クイーンにはジュニア向けのシリーズがあるらしい。
日本の少年少女に戦時中のアメリカの少年探偵ものを読んでもらおうという角川の素晴らしい企画。イマドキなイラスト入り。
ジュナ少年は靴磨きの客を探しに広場へ。そこで昼寝してる青年新聞記者ファーロングさんと出会う。そこへ時間だから社に戻るように言いにやって来た小間使いアルバイト少年ベンと出会う。
このベンくんがポケットにカメ(ウォーターベリーという名前がある)を入れている。このカメがなんと時間を教えてくれるカメ。
新聞社にやってきた不動産業のアーキンス氏は借り手のつかない幽霊屋敷があって困ってる。幽霊を追い出すお祓いのできる人を募集したい。
これは記事になるかもと思ったのだが、この屋敷の近所のベンは屋敷の中に誰かがいる雰囲気を感じ取る。
ジュナくんとベンくんは思い切って屋敷にアタック。すると少女が中から扉を開けたのだが、その奥から叱りつける男の声。慌ててドアが閉まる。
このときカメのウォーターベリーが屋敷の中へ取り残される。カメを取り返さないと。
ジュナが実家で買ってたスコッチテリアのチャンプはカメを見つけるのが得意。たまに街に買い出しに出てくる大工のブーツさんにチャンプを連れてきてもらおう。おばさんが犬が苦手だからベンの家で預かってもらおう。
チャンプは緑の羽根のついて帽子の怪しい男に吠える。アーキンス氏(こいつは何か隠してる)の車に轢かれそうになる。屋敷の中にスペイン語を話すオウムがいる。屋敷で会った少女をパン屋で発見。世間を揺るがす偽造紙幣事件。などなど、様々な不思議と遭遇。
この本の登場人物たちがほぼ全員ちゃんとしてる。屋敷に潜入するのに許可を得たり、チャンプを連れてきてもらうブーツさんにガソリン代を支払わなきゃと靴磨き16回分を前借したり、新聞社をクビになったファーロングさんのことを心配したり、子どもながらに気をつかう。感心しかない。庶民なのに紳士。
ジュナくんの勇気と知恵、そして秘密情報部員マクハチェット氏の協力で事件を解決。ジュナくんがまるっと伏線を回収し事件を説明。
これは面白かった。童心に帰って楽しくページをめくれた。乱歩の少年探偵団シリーズよりもクオリティが高く、親子で読みたい本だといっていい。なんでアニメ化されないの?
角川つばさ文庫さんに感謝だ。こんな面白くて心優しい気分になれる少年向け冒険ミステリーは他にない。この企画をどんどん進めてほしい。
THE GREEN TURTLE MYSTERY by Ellery Queen, Jr. 1944エラリー・クイーン国名シリーズや短篇集「冒険」にちょくちょく出てくるクイーンのアパートメントの少年執事ジュナが主人公のシリーズ?!そんなのあんの?
クイーン親子はまったく出てこないし触れられない。なのであのジュナとはジュナ違い?
巻末に解説とかないので不明なのだが、エラリー・クイーンにはジュニア向けのシリーズがあるらしい。
日本の少年少女に戦時中のアメリカの少年探偵ものを読んでもらおうという角川の素晴らしい企画。イマドキなイラスト入り。
ジュナ少年は靴磨きの客を探しに広場へ。そこで昼寝してる青年新聞記者ファーロングさんと出会う。そこへ時間だから社に戻るように言いにやって来た小間使いアルバイト少年ベンと出会う。
このベンくんがポケットにカメ(ウォーターベリーという名前がある)を入れている。このカメがなんと時間を教えてくれるカメ。
新聞社にやってきた不動産業のアーキンス氏は借り手のつかない幽霊屋敷があって困ってる。幽霊を追い出すお祓いのできる人を募集したい。
これは記事になるかもと思ったのだが、この屋敷の近所のベンは屋敷の中に誰かがいる雰囲気を感じ取る。
ジュナくんとベンくんは思い切って屋敷にアタック。すると少女が中から扉を開けたのだが、その奥から叱りつける男の声。慌ててドアが閉まる。
このときカメのウォーターベリーが屋敷の中へ取り残される。カメを取り返さないと。
ジュナが実家で買ってたスコッチテリアのチャンプはカメを見つけるのが得意。たまに街に買い出しに出てくる大工のブーツさんにチャンプを連れてきてもらおう。おばさんが犬が苦手だからベンの家で預かってもらおう。
チャンプは緑の羽根のついて帽子の怪しい男に吠える。アーキンス氏(こいつは何か隠してる)の車に轢かれそうになる。屋敷の中にスペイン語を話すオウムがいる。屋敷で会った少女をパン屋で発見。世間を揺るがす偽造紙幣事件。などなど、様々な不思議と遭遇。
この本の登場人物たちがほぼ全員ちゃんとしてる。屋敷に潜入するのに許可を得たり、チャンプを連れてきてもらうブーツさんにガソリン代を支払わなきゃと靴磨き16回分を前借したり、新聞社をクビになったファーロングさんのことを心配したり、子どもながらに気をつかう。感心しかない。庶民なのに紳士。
ジュナくんの勇気と知恵、そして秘密情報部員マクハチェット氏の協力で事件を解決。ジュナくんがまるっと伏線を回収し事件を説明。
これは面白かった。童心に帰って楽しくページをめくれた。乱歩の少年探偵団シリーズよりもクオリティが高く、親子で読みたい本だといっていい。なんでアニメ化されないの?
角川つばさ文庫さんに感謝だ。こんな面白くて心優しい気分になれる少年向け冒険ミステリーは他にない。この企画をどんどん進めてほしい。
2020年7月25日土曜日
浜辺美波「アリバイ崩し承ります 特別編」(2020)
2020年の2月から3月までテレビ朝日「土曜ナイトドラマ」枠で放送されていた「アリバイ崩し承ります」は全7話で終了したのだが、放送終了後にAbemaTV独占で特別編「時計屋探偵とお祖父さんのアリバイ」が前後編に分かれて配信された。
これが本放送よりも前の話。孫娘ヒロインと亡くなった祖父(森本レオ)とのエピソード。
アリバイ崩しのアマチュア名人だった祖父が中学生の孫娘にアリバイ崩し問題を出題していく話。そしていよいよ免許皆伝の最終問題。これが本放送よりも前の話。孫娘ヒロインと亡くなった祖父(森本レオ)とのエピソード。
祖父の指示に従いヒロインが行動している間に、いったいどうやって店の振り子時計の針を止めたのか?
この謎がお茶の間で祖父と孫が一緒になって解く問題として適切なレベルで感心。小学生が見ても十分に楽しい。大人も楽しい。
しかも浜辺のセーラー服姿も見れるという大サービス。いったいなぜこのストーリーを本放送から外して配信にした?そこだけが不満。
父親は国会議員ですというボンボン刑事成田凌も登場。このふたりはこんな昔から会っていた。学生服姿で両脇に女子高生をはべらせるという、やっぱりいけ好かない野郎。こいつをテキトーにあしらう浜辺が良い。すべての女子はこのヒロインを見習うべき。
解決編ともいえる後篇には元AKB48大和田南那が出演しているのだが、これがチョイ役すぎて逆にびっくり。自分はあんまりAKBのことは知らないけど。
それにしてもセーラー服浜辺美波が完璧美少女。まだまだもっといっぱい女子高生役をやってほしい。
2020年7月24日金曜日
有栖川有栖「月光ゲーム Yの悲劇 ’88」(1989)
有栖川有栖の長編デビュー作「月光ゲーム Yの悲劇 ’88」(1989)の創元推理文庫版(1994)をやっと見つけられたので読む。ほぼ新品同様のキレイな1冊だった。100円ゲット。
自分が手に入れたものは1999年の第21刷(!)。版を重ねて売れ続けてる名作という扱い。
おなじみの江神部長と英都大学推理小説研究部の有栖川、望月、織田の4人が長野まで山キャンプに出かけ、火山噴火と地震に遭遇し退路を断たれ、しかも連続殺人に遭遇するというクローズドサークル展開。エラリー・クイーンに傾倒する著者ならではの正しい新本格。
これ、最近だと創元推理文庫のミステリーフェアで浜辺美波がオビに「ひと息で読んでしまうくらい面白い!」と書いていた。若者にも読まれてるっぽい。設定が「屍荘の殺人」っぽい。
山の中腹のキャンプ場で江神とアリスらは他大学の登山キャンプ学生たちと出会い、夜はゲームしたり歌を歌ったりと学生らしい交流をする。楽しさのあまりアリスはもう1日滞在を伸ばす。だが翌朝、神戸から来た短大生のサリーと呼ばれる女子がいない。「先に帰るわ」とメモ書き。
そして法学部学生のナイフで刺された死体発見。地面に「Y」と読み取れるダイイングメッセージ。
そうこうしてると突然前触れなく火山が噴火!噴石が飛んできて逃げ惑う。
登山道が大規模に崩壊で下山できない。山の上に取り残されてしまった。
江神らはそんな極限状況で犯人を推理。全員の身の回り品を調べたりするしか捜査方法はない。
夜にまた噴火する。するとまた一人行方不明。そしてまたナイフで刺された死体。スケッチブックにまたしてもyの文字。もう食料も尽きた。決死の下山へ。
登場人物が多すぎのように感じた。大学生は名前でしか区別がつかずキャラをつかみにくい。結果誰が誰だかわからないまま終わりがち。
その点でクリスティは大抵の作品で登場人物パターンは同じ。お屋敷の当主、息子、娘、甥、姪、弁護士、医者、庭師など、キャラをつかみやすい。
ラストのわずかなページで江神探偵が犯人を指摘する。
2番目の殺害での犯人の行動。河原への道に落ちてるマッチの燃えカス、そのへんのロジックは美しい。だが、現実問題としてはイメージしずらい。
ダイイングメッセージに深入りしないのは正しい。その真相はそれほどのものでもない。
この状況で得た情報のみからロジックで導き出した答えなので動機もなにもわからない。
で、真犯人の告白。この動機が納得しがたい。正直、ほとんどの人が「は?」という顔になったかと思う。ピンとこないし弱い。大学生ってそんな短い間に殺人につながるほどの運命の恋に落ちるものなの?
さらにもう一点。自分はフィルムカメラを使い倒してるのでわかるのだが、アレの隠し場所としてカメラを使うのはムリじゃないか?と思う。
フィルムがちゃんと巻き上げレバーに噛んでスプロケットを通ってる時とそうでない時の指の感触の違いに気づかないカメラマンは、自分の感覚からすれば考え難い。
微妙な装填ミスで失敗写真につながりかねない時代のカメラなら、指の感触や音につねに最新の注意を払いながらシャッターを切る。
学生たちが登山届を出してないのはアレだが、遭難を知らせるのに「狼煙」を焚いたりしないわけ?それに夜間は展望台から懐中電灯で点灯消灯を繰り返したりしないの?
これをもって有栖川有栖の英都大学推理小説研究部シリーズの長編4作はすべて読み終わった。
自分としては「孤島パズル」>「双頭の悪魔」>>「月光ゲーム」>「女王国の城」という評価。
これをもって有栖川有栖作品は卒業しようと思う。
自分が手に入れたものは1999年の第21刷(!)。版を重ねて売れ続けてる名作という扱い。
おなじみの江神部長と英都大学推理小説研究部の有栖川、望月、織田の4人が長野まで山キャンプに出かけ、火山噴火と地震に遭遇し退路を断たれ、しかも連続殺人に遭遇するというクローズドサークル展開。エラリー・クイーンに傾倒する著者ならではの正しい新本格。
これ、最近だと創元推理文庫のミステリーフェアで浜辺美波がオビに「ひと息で読んでしまうくらい面白い!」と書いていた。若者にも読まれてるっぽい。設定が「屍荘の殺人」っぽい。
山の中腹のキャンプ場で江神とアリスらは他大学の登山キャンプ学生たちと出会い、夜はゲームしたり歌を歌ったりと学生らしい交流をする。楽しさのあまりアリスはもう1日滞在を伸ばす。だが翌朝、神戸から来た短大生のサリーと呼ばれる女子がいない。「先に帰るわ」とメモ書き。
そして法学部学生のナイフで刺された死体発見。地面に「Y」と読み取れるダイイングメッセージ。
そうこうしてると突然前触れなく火山が噴火!噴石が飛んできて逃げ惑う。
登山道が大規模に崩壊で下山できない。山の上に取り残されてしまった。
江神らはそんな極限状況で犯人を推理。全員の身の回り品を調べたりするしか捜査方法はない。
夜にまた噴火する。するとまた一人行方不明。そしてまたナイフで刺された死体。スケッチブックにまたしてもyの文字。もう食料も尽きた。決死の下山へ。
登場人物が多すぎのように感じた。大学生は名前でしか区別がつかずキャラをつかみにくい。結果誰が誰だかわからないまま終わりがち。
その点でクリスティは大抵の作品で登場人物パターンは同じ。お屋敷の当主、息子、娘、甥、姪、弁護士、医者、庭師など、キャラをつかみやすい。
ラストのわずかなページで江神探偵が犯人を指摘する。
2番目の殺害での犯人の行動。河原への道に落ちてるマッチの燃えカス、そのへんのロジックは美しい。だが、現実問題としてはイメージしずらい。
ダイイングメッセージに深入りしないのは正しい。その真相はそれほどのものでもない。
この状況で得た情報のみからロジックで導き出した答えなので動機もなにもわからない。
で、真犯人の告白。この動機が納得しがたい。正直、ほとんどの人が「は?」という顔になったかと思う。ピンとこないし弱い。大学生ってそんな短い間に殺人につながるほどの運命の恋に落ちるものなの?
さらにもう一点。自分はフィルムカメラを使い倒してるのでわかるのだが、アレの隠し場所としてカメラを使うのはムリじゃないか?と思う。
フィルムがちゃんと巻き上げレバーに噛んでスプロケットを通ってる時とそうでない時の指の感触の違いに気づかないカメラマンは、自分の感覚からすれば考え難い。
微妙な装填ミスで失敗写真につながりかねない時代のカメラなら、指の感触や音につねに最新の注意を払いながらシャッターを切る。
学生たちが登山届を出してないのはアレだが、遭難を知らせるのに「狼煙」を焚いたりしないわけ?それに夜間は展望台から懐中電灯で点灯消灯を繰り返したりしないの?
これをもって有栖川有栖の英都大学推理小説研究部シリーズの長編4作はすべて読み終わった。
自分としては「孤島パズル」>「双頭の悪魔」>>「月光ゲーム」>「女王国の城」という評価。
これをもって有栖川有栖作品は卒業しようと思う。
2020年7月23日木曜日
西野七瀬「アンサング・シンデレラ」(2020)
7月16日から「アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋」がついに始まった。
石原さとみ主演の大病院薬剤調合部局の医療ヒューマンドラマ…だと思う。
本来であれば4月9日にスタートしていたはずだった。世界大戦とも呼べるコロナ地獄のせいで撮影が押しに押して中断。病院ロケが困難になったらしい。
そして、主要キャストの清原翔が脳出血で倒れ代役が成田凌に決まるなどの予期せぬ事態も重なり、やっとのことでドラマがスタート。
自分がこのドラマを見る理由は西野七瀬。石原さとみもかわいいのだがすべてのドラマを見ているわけじゃない。今回は乃木坂卒業後の西野にとって地上波連ドラ2本目という注目度の高さから見た。
モデル・女優・バラエティタレントとして活躍中の西野だが、やはり一定数以上の西野を「かわいくない」と見なす人々、その感情を積極的に悪意を持って「ゴリ押し」「嫌い」と発信する層がある。とくに女子は自身が憧れる要素がない女優への評価が厳しめ。
だが、自分は「西野七瀬は特別にカワイイ」と断言できる。
自分も乃木坂に注目し始めた当初はあまり魅力がわからなかった。西野は美人というわけじゃないので卒業後は苦戦するかも…と思ってた。
結果、西野は大所帯アイドルグループで人気ナンバーワンになったというファンの貯金があった。一人立ちして女優キャリアを開始した時点で多くのファンがいた。
活発に動き回る有能でやる気に満ちた石原さとみ着いてまわる西野の、風に舞いヒラヒラと漂うような西野七瀬の体型がすごい。他の出演キャストに比べて、西野の体躯が圧倒的に薄っぺらい。華奢な体型を愛おしく感じずにはいられない。
non-noモデルの中でも西野はたぶん小柄で一番華奢。男というものは一応「女の子は健康的じゃないとな」と言いつつ、こういった痩せたひ弱そうな女の子には「自分が守る!」という本能が働くらしいw
それに西野は暗くおとなしく、ぼんやりしてて、誰かが助けないと生きていけない感じもする。なのに高校時代はギャルという、ちょっと矛盾した事実に混乱も覚える。そこがいいのかもしれない。
自分、このドラマの企画を知ったとき、薬剤師でドラマをつくるのは難しいのでは?と思った。
というのも、薬剤師は日本において、もっとも強く規制で保護された資格職業。多くの人々が最も安泰な資格というイメージを持っているのではないか?現に街の薬局の息子はフェラーリに乗っているという指摘もある。
救急救命医やナースならともかく、薬剤師のどこに劇的なドラマにする要素がある?
このヒロイン相原くるみも病院勤務でやってきた初日に「向いてなかったら辞めればいいし」という心情を吐露する。
分業体制の徹底した大病院において、有能さをアピールするようにテキパキと馬車馬のごとく縦横無尽に働く石原さとみに対する医者たちの戸惑いといら立ちw
食事中にミスを指摘され不機嫌になる小児科医とかいるの?待合室で長時間待たされ声を荒げる男とかいるの?病院なんて「他に行ってくれてかまわない」という経営方針で良いのでは?
幸いなことに自分は同年代の他人に比べて病院に通ったことがたぶんかなり少ない。同じ年の友人はいつも大量に薬の袋を持っているというのに。これからも医者や薬剤師とは関わらないように生きていきたいw
で、ドラマの西野七瀬以外の感動人間ドラマ要素をざっくり編集カットして第1話を保存w いちおう第2話も見るつもり。
石原さとみ主演の大病院薬剤調合部局の医療ヒューマンドラマ…だと思う。
本来であれば4月9日にスタートしていたはずだった。世界大戦とも呼べるコロナ地獄のせいで撮影が押しに押して中断。病院ロケが困難になったらしい。
そして、主要キャストの清原翔が脳出血で倒れ代役が成田凌に決まるなどの予期せぬ事態も重なり、やっとのことでドラマがスタート。
自分がこのドラマを見る理由は西野七瀬。石原さとみもかわいいのだがすべてのドラマを見ているわけじゃない。今回は乃木坂卒業後の西野にとって地上波連ドラ2本目という注目度の高さから見た。
モデル・女優・バラエティタレントとして活躍中の西野だが、やはり一定数以上の西野を「かわいくない」と見なす人々、その感情を積極的に悪意を持って「ゴリ押し」「嫌い」と発信する層がある。とくに女子は自身が憧れる要素がない女優への評価が厳しめ。
だが、自分は「西野七瀬は特別にカワイイ」と断言できる。
自分も乃木坂に注目し始めた当初はあまり魅力がわからなかった。西野は美人というわけじゃないので卒業後は苦戦するかも…と思ってた。
結果、西野は大所帯アイドルグループで人気ナンバーワンになったというファンの貯金があった。一人立ちして女優キャリアを開始した時点で多くのファンがいた。
活発に動き回る有能でやる気に満ちた石原さとみ着いてまわる西野の、風に舞いヒラヒラと漂うような西野七瀬の体型がすごい。他の出演キャストに比べて、西野の体躯が圧倒的に薄っぺらい。華奢な体型を愛おしく感じずにはいられない。
non-noモデルの中でも西野はたぶん小柄で一番華奢。男というものは一応「女の子は健康的じゃないとな」と言いつつ、こういった痩せたひ弱そうな女の子には「自分が守る!」という本能が働くらしいw
それに西野は暗くおとなしく、ぼんやりしてて、誰かが助けないと生きていけない感じもする。なのに高校時代はギャルという、ちょっと矛盾した事実に混乱も覚える。そこがいいのかもしれない。
自分、このドラマの企画を知ったとき、薬剤師でドラマをつくるのは難しいのでは?と思った。
というのも、薬剤師は日本において、もっとも強く規制で保護された資格職業。多くの人々が最も安泰な資格というイメージを持っているのではないか?現に街の薬局の息子はフェラーリに乗っているという指摘もある。
救急救命医やナースならともかく、薬剤師のどこに劇的なドラマにする要素がある?
このヒロイン相原くるみも病院勤務でやってきた初日に「向いてなかったら辞めればいいし」という心情を吐露する。
分業体制の徹底した大病院において、有能さをアピールするようにテキパキと馬車馬のごとく縦横無尽に働く石原さとみに対する医者たちの戸惑いといら立ちw
食事中にミスを指摘され不機嫌になる小児科医とかいるの?待合室で長時間待たされ声を荒げる男とかいるの?病院なんて「他に行ってくれてかまわない」という経営方針で良いのでは?
幸いなことに自分は同年代の他人に比べて病院に通ったことがたぶんかなり少ない。同じ年の友人はいつも大量に薬の袋を持っているというのに。これからも医者や薬剤師とは関わらないように生きていきたいw
で、ドラマの西野七瀬以外の感動人間ドラマ要素をざっくり編集カットして第1話を保存w いちおう第2話も見るつもり。
2020年7月22日水曜日
アイスキュロス「アガメムノーン」(BC.458)
引き続きアイスキュロス「アガメムノーン」(BC.458)を読む。1998年久保正彰訳岩波文庫で読む。
アルゴス王アガメムノーンはギリシャ(アカイア)軍総大将としてトロイアへ遠征して早10年。帰還を待つ王妃クリュタイメーストラー(クリュタイムネーストラーと表記する本も多い)に松明のかがり火でいち早くトロイアのイーリオンが陥落した知らせが届く。長老たちコロスとの対話でそのへんの設定が読者に示される。
そして王の帰還。王の弟メネラーオスの船は帰還の途中で遭難。
王はトロイアの王女で予言者カッサンドラーを捕虜(奴隷)として連れ帰る。この女は何もしゃべれない様子だったのだが、幼い子どもたちが殺されたことを言い当て、アガメムノーン王の死と自身の死を予言する。
カッサンドラーの嘆きの絶叫が独特「おっおっおっおっおぃ、ぽ、ぽぃ、だぁ。」「おぉポローン、おぉポローン!」「ぺぅー、ぺぅー!」ギリシャ人とトロイア人の言葉はまったく違ってたらしい。
クリュタイメーストラーは娘イーピゲネイアが出陣のさいに戦勝祈願の生け贄にされたことでアガメムノーンを恨んでいる。(古代は王の子が生け贄にされてたのか)
そしてアガメムノーン王遠征中に王の従弟アイギストスとの不貞関係。アイギストスの父テュエステースはアガメムノーンの父で先王アトレウスから、殺された幼い息子(アイギストスの兄たち)の肉を饗宴で食わされるという酷い仕打ちへの恨みを晴らすべく、クリュタイメーストラーと共謀しアガメムノーンを暗殺。
アガメムノーン王の死体、アイギストスとクリュタイメーストラーが登場しすべてを告白。
王を殺し僭主となろうとするアイギストスと長老たちコロスと口論のやりとりの最中で劇は突然バッサリ終わる。
信じられないほどの血にまみれた陰惨な呪われた一族。これは子どもたちに読ませられない。
だが、偉大な詩人アイスキュロスの文体は日本語訳でも声に出して読みたいほどに美しい。
暗殺の場面で終わった劇は、アガメムノーン王の息子オレステスが仇討する話へと続く。つぎは「オレスティア」三部作の「供養する女たち」か、ソポクレスの「エレクトラ」が読みたいところ。
アルゴス王アガメムノーンはギリシャ(アカイア)軍総大将としてトロイアへ遠征して早10年。帰還を待つ王妃クリュタイメーストラー(クリュタイムネーストラーと表記する本も多い)に松明のかがり火でいち早くトロイアのイーリオンが陥落した知らせが届く。長老たちコロスとの対話でそのへんの設定が読者に示される。
そして王の帰還。王の弟メネラーオスの船は帰還の途中で遭難。
王はトロイアの王女で予言者カッサンドラーを捕虜(奴隷)として連れ帰る。この女は何もしゃべれない様子だったのだが、幼い子どもたちが殺されたことを言い当て、アガメムノーン王の死と自身の死を予言する。
カッサンドラーの嘆きの絶叫が独特「おっおっおっおっおぃ、ぽ、ぽぃ、だぁ。」「おぉポローン、おぉポローン!」「ぺぅー、ぺぅー!」ギリシャ人とトロイア人の言葉はまったく違ってたらしい。
クリュタイメーストラーは娘イーピゲネイアが出陣のさいに戦勝祈願の生け贄にされたことでアガメムノーンを恨んでいる。(古代は王の子が生け贄にされてたのか)
そしてアガメムノーン王遠征中に王の従弟アイギストスとの不貞関係。アイギストスの父テュエステースはアガメムノーンの父で先王アトレウスから、殺された幼い息子(アイギストスの兄たち)の肉を饗宴で食わされるという酷い仕打ちへの恨みを晴らすべく、クリュタイメーストラーと共謀しアガメムノーンを暗殺。
アガメムノーン王の死体、アイギストスとクリュタイメーストラーが登場しすべてを告白。
王を殺し僭主となろうとするアイギストスと長老たちコロスと口論のやりとりの最中で劇は突然バッサリ終わる。
信じられないほどの血にまみれた陰惨な呪われた一族。これは子どもたちに読ませられない。
だが、偉大な詩人アイスキュロスの文体は日本語訳でも声に出して読みたいほどに美しい。
暗殺の場面で終わった劇は、アガメムノーン王の息子オレステスが仇討する話へと続く。つぎは「オレスティア」三部作の「供養する女たち」か、ソポクレスの「エレクトラ」が読みたいところ。
2020年7月21日火曜日
アイスキュロス「テーバイ攻めの七将」(BC.467)
引き続きギリシャ悲劇を読む。アイスキュロス「テーバイ攻めの七将」(BC.467)を読む。
昭和39年筑摩書房「世界古典文学全集」第8巻の高津春繁訳を昭和48年に岩波文庫化したもの。この岩波文庫版はとても薄い。
オイディプス王追放後のテーバイはふたりの王子エテオクレスとポリュネイケスが王位を争った。ポリュネイケスを追放したエテオクレスがテーバイ王になる。そしてポリュネイケスがアルゴスの軍勢を率いてテーバイの城壁を取り囲んでいる。という状況で劇は始まる。
エテオクレスは恐れおののく民衆を叱咤する。7つの門を攻めかかる敵方の七将の名を聴いて、こちらも守備に七将を選んで配置する。
この劇はほとんどエテオクレス、使者、コロスだけで進行。少ない。てっきり敵味方の七将の活躍を描くのかと思ってたら肩透かし。これから戦争だ!という場面と、結果だけが使者から知らされる。
七人の武将たちの英雄譚かと思ってたら違うのかよ。使者の口から名前が出るだけ。
テーバイは守られた。だが、エテオクレスとポリュネイケスの兄弟相撃ちで呪われたエディプスの息子たちは滅びる。最後にアンティゴネとイスメネが登場し嘆きと悲しみを交互に形式的に繰り返す。
アイスキュロスが書いたのは1004行目まで。それ以後の布告使とアンティゴネの箇所は後世に付け足されたものと判明しているらしい。
この劇のメインは使者が告げるアルゴス軍の七将たちの様子。盾にどんな装飾がされているのかという報告が重要視されているのが面白い。
あと、日本語訳として声に出して読みたい完成度だと感じた。
昭和39年筑摩書房「世界古典文学全集」第8巻の高津春繁訳を昭和48年に岩波文庫化したもの。この岩波文庫版はとても薄い。
オイディプス王追放後のテーバイはふたりの王子エテオクレスとポリュネイケスが王位を争った。ポリュネイケスを追放したエテオクレスがテーバイ王になる。そしてポリュネイケスがアルゴスの軍勢を率いてテーバイの城壁を取り囲んでいる。という状況で劇は始まる。
エテオクレスは恐れおののく民衆を叱咤する。7つの門を攻めかかる敵方の七将の名を聴いて、こちらも守備に七将を選んで配置する。
この劇はほとんどエテオクレス、使者、コロスだけで進行。少ない。てっきり敵味方の七将の活躍を描くのかと思ってたら肩透かし。これから戦争だ!という場面と、結果だけが使者から知らされる。
七人の武将たちの英雄譚かと思ってたら違うのかよ。使者の口から名前が出るだけ。
テーバイは守られた。だが、エテオクレスとポリュネイケスの兄弟相撃ちで呪われたエディプスの息子たちは滅びる。最後にアンティゴネとイスメネが登場し嘆きと悲しみを交互に形式的に繰り返す。
アイスキュロスが書いたのは1004行目まで。それ以後の布告使とアンティゴネの箇所は後世に付け足されたものと判明しているらしい。
この劇のメインは使者が告げるアルゴス軍の七将たちの様子。盾にどんな装飾がされているのかという報告が重要視されているのが面白い。
あと、日本語訳として声に出して読みたい完成度だと感じた。
2020年7月20日月曜日
本田翼「空母いぶき」(2019)
「空母いぶき」(2019 キノフィルムズ)に本田翼が出ているので見る。出てなければ見ていない。かわぐちかいじのこの手のマンガも映画も一度も見たことないし見ようとも思わない。
冒頭から日本の領土が敵国勢力に占拠される。政府の閣僚たちが話し合いしながら、中村育二、益岡徹といったおなじみの俳優たちが設定を説明してくれる。佐藤浩市首相が「いぶきか…」とつぶやく。セリフのひとつひとつがかっこよくない。芝居に聴こえる。
この映画がキャストのほとんどが男なのは予想がつく。民間人記者が空母いぶきに2人乗艦している。それが真面目で暗いほんだつばさ。オヤジ記者小倉久寛が呑気で軽薄。ドラマとはいえ分かりやすいキャラ演出。
空母出動!野党がヒステリックに「空母は憲法違反」と叫ぶ映像なんかが挟まれる。
カッコ悪い名前の架空の国。そんな小国が日本相手に潜水艦からミサイル撃ってくるわけないだろ。上陸侵略してくるかよ。日本が舞台なら中国、韓国、北朝鮮、ロシアぐらいしかないだろ。そのどれかが想定のシミュレーションだったらもっと真剣に見た。
西島秀俊と佐々木蔵之介が艦長と副艦長。このふたりが危機に直面し相談しながら衝突しながら、自衛隊初の防衛出動を描けば映画になるという算段。
ミサイル撃ってきた敵機を撃墜して乗組員がみんな暗い顔。どうして?専守防衛の日本は敵国兵士の命も気遣う。
可愛らしい本田翼も艦内の狭い部屋で怯えて不安がるだけで何もできない。自衛隊員がこのふたりに何が起こってるのか何も説明しない。対応が軽薄すぎ。そんなことある?
今の日本のままでこういう事態に直面すれば誰もが鬱屈しますよ…というメッセージのドラマか?平和憲法のタテマエと戦闘現場の人員の合理的判断の齟齬。視聴者の誰もが不快感。
とくに敵戦闘パイロットの件は酷い。こんなエピソードいらない。あの捕虜は銃殺して海に棄てるべき。なぜにこちらを撃ってくる敵兵のことまで気遣わないといけないのか。
「獣になれない私たち」にでてきた関西弁社長がやはり関西弁のデカい声でストレス。射撃のときに「いてまえ!」とか言うのか?
コンビニ店長とバイトの人間ドラマパートとかまったく必要ない。非常事態に店を開いてくれてるレジ店員に早くしろとか言うなよ。店員も「オマエに売るものはない!」ぐらい言え。
国連とか外交交渉とかなんのリアリティも感じない。国連軍の潜水艦が現れたとき笑ってしまった。
日本人は民主党政権下で尖閣の危機を経験をした。あっちのほうがイライラしたし現実を感じた。
これはどの層に向けた誰徳映画なんだ?最後に本田翼記者からのメッセージ動画がバズって若者や子供たちがスマホで見るシーンとかも恥ずかしくて見てらんない。
現場指揮官に演説させるな。男同士のかっこいいを狙った会話をさせるな。そういうのを盛るからつまらなくなる。会話シーンがぜんぶ嫌。
脚本以前にプロデューサーが悪い。センスを感じない。見たいと思える内容ではない。しかも長い。耐えがたいほど長い。
正直この映画よりも「シン・ゴジラ」のほうがリアリティを感じた。娯楽作としてもゴジラにかなり劣る。
冒頭から日本の領土が敵国勢力に占拠される。政府の閣僚たちが話し合いしながら、中村育二、益岡徹といったおなじみの俳優たちが設定を説明してくれる。佐藤浩市首相が「いぶきか…」とつぶやく。セリフのひとつひとつがかっこよくない。芝居に聴こえる。
この映画がキャストのほとんどが男なのは予想がつく。民間人記者が空母いぶきに2人乗艦している。それが真面目で暗いほんだつばさ。オヤジ記者小倉久寛が呑気で軽薄。ドラマとはいえ分かりやすいキャラ演出。
空母出動!野党がヒステリックに「空母は憲法違反」と叫ぶ映像なんかが挟まれる。
カッコ悪い名前の架空の国。そんな小国が日本相手に潜水艦からミサイル撃ってくるわけないだろ。上陸侵略してくるかよ。日本が舞台なら中国、韓国、北朝鮮、ロシアぐらいしかないだろ。そのどれかが想定のシミュレーションだったらもっと真剣に見た。
西島秀俊と佐々木蔵之介が艦長と副艦長。このふたりが危機に直面し相談しながら衝突しながら、自衛隊初の防衛出動を描けば映画になるという算段。
ミサイル撃ってきた敵機を撃墜して乗組員がみんな暗い顔。どうして?専守防衛の日本は敵国兵士の命も気遣う。
可愛らしい本田翼も艦内の狭い部屋で怯えて不安がるだけで何もできない。自衛隊員がこのふたりに何が起こってるのか何も説明しない。対応が軽薄すぎ。そんなことある?
今の日本のままでこういう事態に直面すれば誰もが鬱屈しますよ…というメッセージのドラマか?平和憲法のタテマエと戦闘現場の人員の合理的判断の齟齬。視聴者の誰もが不快感。
とくに敵戦闘パイロットの件は酷い。こんなエピソードいらない。あの捕虜は銃殺して海に棄てるべき。なぜにこちらを撃ってくる敵兵のことまで気遣わないといけないのか。
「獣になれない私たち」にでてきた関西弁社長がやはり関西弁のデカい声でストレス。射撃のときに「いてまえ!」とか言うのか?
コンビニ店長とバイトの人間ドラマパートとかまったく必要ない。非常事態に店を開いてくれてるレジ店員に早くしろとか言うなよ。店員も「オマエに売るものはない!」ぐらい言え。
国連とか外交交渉とかなんのリアリティも感じない。国連軍の潜水艦が現れたとき笑ってしまった。
日本人は民主党政権下で尖閣の危機を経験をした。あっちのほうがイライラしたし現実を感じた。
これはどの層に向けた誰徳映画なんだ?最後に本田翼記者からのメッセージ動画がバズって若者や子供たちがスマホで見るシーンとかも恥ずかしくて見てらんない。
現場指揮官に演説させるな。男同士のかっこいいを狙った会話をさせるな。そういうのを盛るからつまらなくなる。会話シーンがぜんぶ嫌。
脚本以前にプロデューサーが悪い。センスを感じない。見たいと思える内容ではない。しかも長い。耐えがたいほど長い。
正直この映画よりも「シン・ゴジラ」のほうがリアリティを感じた。娯楽作としてもゴジラにかなり劣る。
2020年7月19日日曜日
柴咲コウ「メゾン・ド・ヒミコ」(2005)
これ、当時はけっこう話題作で評価も高かったと記憶している。自分はDVDが出たとき1回見てる。それ以来見返す。音楽は細野晴臣。
小さな塗装会社で事務員をつまらなそうにやってるヒロインが柴咲コウ。
このムッツリして暗いヒロインを演じる柴咲コウはたぶん撮影時23歳ぐらい。乃木坂で言ったら白石に相当するような、ちょっと顔の怖い美人。眉毛太い。
縁を切ったはずの父は元伝説のゲイバーママ(田中泯)で末期ガン。自分が田中泯を初めて知ったのはたぶんこの映画だった。
オダギリが柴咲の職場までやってきて父のいる老人ホームで働くように説得。このオダギリ(オダギリ)が手足が長くて細美でスーパーハンサム。
ゲイ、ニューハーフの老人たちが厚化粧で必要以上に気持ちわるく誇張して描いてる。
ヒロインも嫌悪感まるだし。これだと仕事も嫌だろうと思う。
この老人ホーム周辺の住民からも怪訝な目で見られている。ゲイの大学生が裸で海辺で遊んでるとか。
ゲイ同士が共同で住んでいると風紀が乱れているように思われるに違いない。クソガキ中学生男子たちもからかいにやってくる。
自分がこの映画で覚えていたのはオダギリがホームのパトロンじじいとのセッ〇スを柴咲に話して「サイテー」と罵られるシーン。ゲイオダギリが西島秀俊になんとなく探りを入れるシーン。
そして西島秀俊の若社長。ヒロインとの行為のとき「なんで声出すのガマンすんの?」というシーン。
突然アニメや突然バニーガール仮装、ダンスパーティーシーン。笑い要素と娯楽作品要素は好きじゃない。
2020年7月18日土曜日
アガサ・クリスティー「親指のうずき」(1968)
アガサ・クリスティー「親指のうずき」を1976年深町眞理子訳ハヤカワ文庫で読む。クリスティマラソン68冊目。
訪問から3週間後にエイダ叔母さん死去。葬儀も終わり部屋の遺品を整理しに再訪するとそこに「あれ?こんな絵飾ってあったっけ?」運河のほとりにピンクの家の画。
タペンスはこの絵の家をどこかで見たことがある…気がする。
この絵は同じくサニーリッジで暮らすランカスター夫人から、前回の訪問から葬儀の間に贈られたものだった。タペンスはこの老婦人と会話も交わしていた。なにやら怖い妄想も話した。
だが、このランカスター夫人は親族が「再び一緒に暮らせるようになった」と連れ戻されていた。サニーリッジを仕切るミス・パッカードが止めるのも聴かずに。
このランカスター夫人も、連れ帰ったジョンソン夫人も、一時滞在したはずのホテルの宿帳に名前がない。行方不明…。
タペンスはトミーが諫めるのも聞かずに車を運転し「運河の家」を見つけ出す。このタペンスの行動力とコミュ力が毎回毎回感心する。こんな立ち入ったことを日本の田舎では初対面の人から聞き出せない。
家を描いた画家も判明。そのサットン・チャンセラー村では過去に女児連続殺人事件も起こっていた!魔女のような老婆とちょっと頭の弱い夫、牧師、宿屋の女将、などなどと出会い話を聴く。
やがてタペンス行方不明。そしてトミーが動き出す。ランカスター夫人を園に入れる手続きをした弁護士事務所などを調査。
そうこうしてるうちに娘から「マーケット・ベイジングの病院にいるプルーデンス・カウリーって初老の婦人、ママじゃない?!」と電話。
これ、基本的に展開が「運命の裏木戸」と同じなのだが、「親指のうずき」のほうが面白いし何やら薄っすら怖い。
ラストは「マスカレードホテル」のまさみと松たか子みたいだった。
ただしく英国サスペンスだった。自分としてはクリスティ作品の上位クラス。クリスティ女史78歳のときの作品。円熟。
ベレズフォード家にはアルバートという執事がいるのだが、この人がエイダ叔母さんの遺品の机から重大な証拠を発見。この人有能。トミーとアルバートのやりとりも面白い。
BY PRICKING OF MY THUMBS by Agatha Christie 1968トミー&タペンスのベレズフォード夫妻はエイダ叔母さんの暮らす養老院サニーリッジ園を訪問。この叔母さんが耄碌してるうえに偏屈。このふたりのこともよく覚えておらず、とくにタペンスを信用しない。
訪問から3週間後にエイダ叔母さん死去。葬儀も終わり部屋の遺品を整理しに再訪するとそこに「あれ?こんな絵飾ってあったっけ?」運河のほとりにピンクの家の画。
タペンスはこの絵の家をどこかで見たことがある…気がする。
この絵は同じくサニーリッジで暮らすランカスター夫人から、前回の訪問から葬儀の間に贈られたものだった。タペンスはこの老婦人と会話も交わしていた。なにやら怖い妄想も話した。
だが、このランカスター夫人は親族が「再び一緒に暮らせるようになった」と連れ戻されていた。サニーリッジを仕切るミス・パッカードが止めるのも聴かずに。
このランカスター夫人も、連れ帰ったジョンソン夫人も、一時滞在したはずのホテルの宿帳に名前がない。行方不明…。
タペンスはトミーが諫めるのも聞かずに車を運転し「運河の家」を見つけ出す。このタペンスの行動力とコミュ力が毎回毎回感心する。こんな立ち入ったことを日本の田舎では初対面の人から聞き出せない。
家を描いた画家も判明。そのサットン・チャンセラー村では過去に女児連続殺人事件も起こっていた!魔女のような老婆とちょっと頭の弱い夫、牧師、宿屋の女将、などなどと出会い話を聴く。
やがてタペンス行方不明。そしてトミーが動き出す。ランカスター夫人を園に入れる手続きをした弁護士事務所などを調査。
そうこうしてるうちに娘から「マーケット・ベイジングの病院にいるプルーデンス・カウリーって初老の婦人、ママじゃない?!」と電話。
これ、基本的に展開が「運命の裏木戸」と同じなのだが、「親指のうずき」のほうが面白いし何やら薄っすら怖い。
ラストは「マスカレードホテル」のまさみと松たか子みたいだった。
ただしく英国サスペンスだった。自分としてはクリスティ作品の上位クラス。クリスティ女史78歳のときの作品。円熟。
ベレズフォード家にはアルバートという執事がいるのだが、この人がエイダ叔母さんの遺品の机から重大な証拠を発見。この人有能。トミーとアルバートのやりとりも面白い。
2020年7月17日金曜日
玉城ティナ「Diner ダイナー」(2019)
蜷川実花監督の第3作目「Diner ダイナー」(2019 ワーナー)を見る。前作の「ヘルタースケルター」はまだ見ていないし今後も見ないだろうと思う。ダイナ―を見た理由は玉城ティナが出ているのでチェックしようかと思って。
登場人物が全員殺し屋だという。そして独特の色合いと世界観で映画にしようってゆう。たぶんP.グリーナウェイ「コックと泥棒、その妻と愛人」みたいな作風かも?と想像して見始めた。
もう最初から音楽PVのような芝居で玉城ティナによる孤独半生の独白。玉城みたいな子が誰からも必要とされていない女の子役とかシンパシー感じないだろ。
カラフルなメキシコに行きたいと思い立ち、費用30万を稼ぐために怪しいバイトを開始。そして反社会組織によって命の危機にさらされる。
命乞いの結果、藤原竜也のダイナーでウェイトレスとしてこき使われる。なんだこれ?ポップな感じのホラー系おとぎばなし?玉城のロリメイドコスしか見どころない。
まるでマンガ。人の命が軽い。ひたすら困惑。藤原のテンション高い芝居のすごさは認める。
登場人物が全員殺し屋だという。そして独特の色合いと世界観で映画にしようってゆう。たぶんP.グリーナウェイ「コックと泥棒、その妻と愛人」みたいな作風かも?と想像して見始めた。
もう最初から音楽PVのような芝居で玉城ティナによる孤独半生の独白。玉城みたいな子が誰からも必要とされていない女の子役とかシンパシー感じないだろ。
カラフルなメキシコに行きたいと思い立ち、費用30万を稼ぐために怪しいバイトを開始。そして反社会組織によって命の危機にさらされる。
命乞いの結果、藤原竜也のダイナーでウェイトレスとしてこき使われる。なんだこれ?ポップな感じのホラー系おとぎばなし?玉城のロリメイドコスしか見どころない。
まるでマンガ。人の命が軽い。ひたすら困惑。藤原のテンション高い芝居のすごさは認める。
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