2020年7月29日水曜日

柳田国男「蝸牛考」(昭和5年)

柳田国男「蝸牛考」(昭和5年)という本を読む。蝸牛を指す「デデムシ」という言葉がマイマイ→カタツムリ→ツブリ→ナメクジのように、京都を中心として同心円状に分布してることに注目した「方言周圏論」を記した有名な本。
だが学術書で、しかも柳田の文体もあって読みにくい。

蝸牛を表す言葉は書籍では「和名抄」にある「加太豆不利」(カタツブリ)が古く、長い間京都では蝸牛を指すただ一つの言葉であったことは確からしい。
「円いもの」を昔から日本中「ツブラ」と呼ぶ。沖縄でも「ツブリ・チプル・ツプル」とある。もともと「カサツブラ」から転訛して「カタツブリ」となったらしい。

だが、話ことば、童詞、おんなこどもがそれをどう呼ぶか?それは中央政権の文書よりも重要。
「マイマイ」は貝が巻いている姿から。デデムシは角を出すところから「デイロ・デェロ」。たぶん新しい言葉。

とにかくひたすら各地の蝸牛の方言を列挙。柳田のフィールドワークによる言葉の収集。空前絶後の誰もやったことのない仕事。言語地理学の最初の論文。

だがその後、この説は方言のすべてにあてはまるわけでないことがわかっていく。読んでいてそのすべてに納得いくわけでもない。
それでも方言という謎にちょっとでも関心ある人には十分に面白いし一度は読むべき本。

PS. 乃木坂46の鈴木絢音は自身のブログ(2016年2月18日)で「蝸牛考」と「遠野物語」を買ったと書いている。その後、読了したかどうかについては不明。

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