2020年7月30日木曜日

西村京太郎トラベルミステリー72「十津川警部のラストラン」(2020)

西村京太郎トラベルミステリー72「十津川警部のラストラン JR札沼線廃線を撤回せよ!殺人容疑者籠城 東京~北海道1200㌔、究極ダイヤトリック!!新十津川駅で待つ女」を見た。当日になって新聞番組表で見て慌てて予約。

今年4月27日の札沼線ラストランは多くの人が当日現地からSNSで発信していた。その後にも動画なんかを繰り返し見た。
北海道の札沼線は国鉄時代は札幌-石狩沼田間を結んでいた鉄道。新十津川-石狩沼田間はとうの昔に廃線だったのだが、札幌-新十津川は残った。
札沼線はかなりの昔から赤字路線。石狩当別までは札幌への通勤客が多いので本数も多いのだが、北海道医療大学駅から終点の新十津川までは驚くほどに何もない区間。

平成になると駅舎も撤去され、貨物車のコンテナみたいなものがぽつんと置かれただけの無人駅が続く。途中にたいして観光地もない。
だが、そんな何もない路線だからこそ全国の鉄道ファンから愛された。車窓の風景が愛された。
この区間が難読駅名だらけ。だが、自分はこの駅名をすべて読める。というのも、人生において札幌新十津川間を1.5往復している。鉄オタでもないのに。

自分が初めて新十津川駅を訪れたのは10数年前。そのときは滝川駅から歩いて行った。そして札幌まで乗った。当時はまだ1日に数本はあったような気がする。
2回目は2009年に釧路をひとり旅して札幌で1日とくに予定がなかった時。札幌から新十津川まで直で行ける朝1本に乗った。当時は石狩当別から石狩月形まで、通学高校生で混んでいる区間があった。(この当時はちゃんとしたデジカメを持っていなくて写真をとっていなくて痛恨)

3回目は2010年にYUIのツアーを見に札幌に友人と行ったとき、大雪山見物の帰りに新十津川駅を見に立ち寄って周囲をなんとなく散策した。このときは札沼線に乗っていないが、駅周辺をうろついていたときに鉄オタたちを乗せた車両がやって来たことは覚えている。

数年前に新十津川には石狩当別から朝10時に1日1本のディーゼル車両が1両編成でやってきて来た線路を戻っていくようになった。日本一早い終電になってしまった。

だが、そんないつ廃線になってもおかしくなかった札沼線もついに今年、北海道医療大学駅から新十津川駅までの区間が廃線が決まる。
そして今年4月27日に、新型コロナ感染拡大のせいでGWを待たずして前倒しラストラン。
2017年に実業之日本社文庫から「札沼線の愛と死 新十津川町を行く」が出版された。
ついに十津川警部が新十津川駅にやって来た!w このドラマは廃線の直前に撮影されている?
自分、学生時代に西村京太郎を5冊ぐらい読んだことあったけど、以後全く読んでいなかった。十津川警部シリーズも一度も見たことがなかった。今回は札沼線を懐かしむために録画して見た。
ドラマは冒頭からいきなり東京の殺人事件の容疑者になってしまった新十津川町出身の男(松尾論)が猟銃を持って新十津川町役場の議会に立てこもるシーン。「札沼線廃止を撤回しろ!」周囲の人は憐れむような目で青年を見る。
その地域で育った登場人物キャラクターたち。それぞれの人生のドラマ。殺人事件は東京で起こるのだが、新十津川町でも多くのシーンをロケ撮影。
ヒロイン黒谷友香(バイオ生物学の新進科学者)の高校時代を演じた子がかわいい。調べてみたらサンミュージック所属の杉本愛里という19歳の女優らしい。元アミューズで元セブンティーンモデルだったらしい。ぜんぜん知らなかった。

この物語の主要登場人物3人は通学に札沼線を使ってる。ということは通学していた高校は月形高校じゃないと無理がある。
周囲に田んぼしかない南下徳富駅。石狩川と樺戸山地の間の平野部分の真ん中を走るのが札沼線。石狩川の反対側には函館本線が走ってる。
高橋英樹、高田純次、黒谷友香、中村俊介が撮影に来ていたというのに目撃ツイートとかもない。目撃もされなかったのかもしれない。周囲に家がないのだから。
事件のカギを説く来訪者用のメッセージノートが出てきて笑った。札沼線の各駅には実際にこういったノートが置かれているそうだ。このノートもどこかで保存されるのだろうか?廃棄される可能性もある。
その日10時に新十津川町にいた中園(中村俊介)が東京駅近くのビルで15時30分に自殺ってありえるのか?札沼線では飛行機に間に合わない。頭を悩ます。

だが、たまたまその場にいた鉄オタたちがアドバイスw 新十津川駅から一駅の下徳富駅で降りてタクシーで砂川駅へ行き、砂川駅からの特急ライラックで札幌経由新千歳から飛行機で行けば間に合う!
数年のうちに駅舎もなくなり線路も草に埋もれる運命かもしれない。こうしてドラマに映像として残されたことはまだ幸運だったかもしれない。

南下徳富駅シーン他、何度も流れる曲が聴いたことあるような気がするけど思い出せない。
たぶんフォーレのエレジーがこんな曲だったような…と記憶とカンをたよりに調べてみたら、フォーレチェロ・ソナタ 第2番 ト短調 Op 117第2楽章Andanteだった。

明治の初めから北海道開拓使と樺戸集治監が多大の犠牲を払って原生林を切り開いた大切な土地。もっともっと北海道の農業は発展してもらいたい。寂れるばかりでなくどこかで反転攻勢をしてほしい。

唯一の心残りが豊ヶ丘駅で降りなかったこと。(降りてしまったら数時間つぎの便はないが)

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