2020年7月20日月曜日

本田翼「空母いぶき」(2019)

「空母いぶき」(2019 キノフィルムズ)に本田翼が出ているので見る。出てなければ見ていない。かわぐちかいじのこの手のマンガも映画も一度も見たことないし見ようとも思わない。

冒頭から日本の領土が敵国勢力に占拠される。政府の閣僚たちが話し合いしながら、中村育二、益岡徹といったおなじみの俳優たちが設定を説明してくれる。佐藤浩市首相が「いぶきか…」とつぶやく。セリフのひとつひとつがかっこよくない。芝居に聴こえる。

この映画がキャストのほとんどが男なのは予想がつく。民間人記者が空母いぶきに2人乗艦している。それが真面目で暗いほんだつばさ。オヤジ記者小倉久寛が呑気で軽薄。ドラマとはいえ分かりやすいキャラ演出。
空母出動!野党がヒステリックに「空母は憲法違反」と叫ぶ映像なんかが挟まれる。

カッコ悪い名前の架空の国。そんな小国が日本相手に潜水艦からミサイル撃ってくるわけないだろ。上陸侵略してくるかよ。日本が舞台なら中国、韓国、北朝鮮、ロシアぐらいしかないだろ。そのどれかが想定のシミュレーションだったらもっと真剣に見た。

西島秀俊と佐々木蔵之介が艦長と副艦長。このふたりが危機に直面し相談しながら衝突しながら、自衛隊初の防衛出動を描けば映画になるという算段。
ミサイル撃ってきた敵機を撃墜して乗組員がみんな暗い顔。どうして?専守防衛の日本は敵国兵士の命も気遣う。
可愛らしい本田翼も艦内の狭い部屋で怯えて不安がるだけで何もできない。自衛隊員がこのふたりに何が起こってるのか何も説明しない。対応が軽薄すぎ。そんなことある?

今の日本のままでこういう事態に直面すれば誰もが鬱屈しますよ…というメッセージのドラマか?平和憲法のタテマエと戦闘現場の人員の合理的判断の齟齬。視聴者の誰もが不快感。
とくに敵戦闘パイロットの件は酷い。こんなエピソードいらない。あの捕虜は銃殺して海に棄てるべき。なぜにこちらを撃ってくる敵兵のことまで気遣わないといけないのか。

「獣になれない私たち」にでてきた関西弁社長がやはり関西弁のデカい声でストレス。射撃のときに「いてまえ!」とか言うのか?

コンビニ店長とバイトの人間ドラマパートとかまったく必要ない。非常事態に店を開いてくれてるレジ店員に早くしろとか言うなよ。店員も「オマエに売るものはない!」ぐらい言え。

国連とか外交交渉とかなんのリアリティも感じない。国連軍の潜水艦が現れたとき笑ってしまった。
日本人は民主党政権下で尖閣の危機を経験をした。あっちのほうがイライラしたし現実を感じた。
これはどの層に向けた誰徳映画なんだ?最後に本田翼記者からのメッセージ動画がバズって若者や子供たちがスマホで見るシーンとかも恥ずかしくて見てらんない。

現場指揮官に演説させるな。男同士のかっこいいを狙った会話をさせるな。そういうのを盛るからつまらなくなる。会話シーンがぜんぶ嫌。
脚本以前にプロデューサーが悪い。センスを感じない。見たいと思える内容ではない。しかも長い。耐えがたいほど長い。
正直この映画よりも「シン・ゴジラ」のほうがリアリティを感じた。娯楽作としてもゴジラにかなり劣る。

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