2020年7月18日土曜日

アガサ・クリスティー「親指のうずき」(1968)

アガサ・クリスティー「親指のうずき」を1976年深町眞理子訳ハヤカワ文庫で読む。クリスティマラソン68冊目。
BY PRICKING OF MY THUMBS by Agatha Christie 1968
トミー&タペンスのベレズフォード夫妻はエイダ叔母さんの暮らす養老院サニーリッジ園を訪問。この叔母さんが耄碌してるうえに偏屈。このふたりのこともよく覚えておらず、とくにタペンスを信用しない。

訪問から3週間後にエイダ叔母さん死去。葬儀も終わり部屋の遺品を整理しに再訪するとそこに「あれ?こんな絵飾ってあったっけ?」運河のほとりにピンクの家の画。
タペンスはこの絵の家をどこかで見たことがある…気がする。
この絵は同じくサニーリッジで暮らすランカスター夫人から、前回の訪問から葬儀の間に贈られたものだった。タペンスはこの老婦人と会話も交わしていた。なにやら怖い妄想も話した。

だが、このランカスター夫人は親族が「再び一緒に暮らせるようになった」と連れ戻されていた。サニーリッジを仕切るミス・パッカードが止めるのも聴かずに。
このランカスター夫人も、連れ帰ったジョンソン夫人も、一時滞在したはずのホテルの宿帳に名前がない。行方不明…。

タペンスはトミーが諫めるのも聞かずに車を運転し「運河の家」を見つけ出す。このタペンスの行動力とコミュ力が毎回毎回感心する。こんな立ち入ったことを日本の田舎では初対面の人から聞き出せない。
家を描いた画家も判明。そのサットン・チャンセラー村では過去に女児連続殺人事件も起こっていた!魔女のような老婆とちょっと頭の弱い夫、牧師、宿屋の女将、などなどと出会い話を聴く。

やがてタペンス行方不明。そしてトミーが動き出す。ランカスター夫人を園に入れる手続きをした弁護士事務所などを調査。
そうこうしてるうちに娘から「マーケット・ベイジングの病院にいるプルーデンス・カウリーって初老の婦人、ママじゃない?!」と電話。

これ、基本的に展開が「運命の裏木戸」と同じなのだが、「親指のうずき」のほうが面白いし何やら薄っすら怖い。
ラストは「マスカレードホテル」のまさみと松たか子みたいだった。
ただしく英国サスペンスだった。自分としてはクリスティ作品の上位クラス。クリスティ女史78歳のときの作品。円熟。

ベレズフォード家にはアルバートという執事がいるのだが、この人がエイダ叔母さんの遺品の机から重大な証拠を発見。この人有能。トミーとアルバートのやりとりも面白い。

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