2018年6月30日土曜日

村上龍「ラッフルズホテル」(1989)

友人の本棚にこの本があったのできまぐれで読んだ。村上龍「ラッフルズホテル」(1989)の1992年集英社文庫版。

村上龍はハルキと並んで海外でも有名な日本人作家なのだが、自分、今まで1冊たりとも、1文たりとも読んだことがなかった。村上龍も1冊ぐらいは知ってないといけないな…という理由で読みだした。

ベトナム従軍カメラマンの過去を持ち、帰国後に事業で成功した妻子持ち男(狩谷)が再びポートレートカメラマンとして成功するのだが、心に空洞をもっている。
ニューヨークに滞在中に訪ねて来た日本の若い女優(萌子)に「私を撮って」と言われて面食らう。そこ、男女双方からの視点でなぞるように繰り返して描かれる。

やがて女に恐怖を感じた男はシンガポールへと逃げる。なんとなくカンで追いかける女。現地で大金持ち限定の観光アテンドサービス業の若者(結城)が加わる。そして舞台はマレーシアへ。

ざっくり説明すると、ちょっと頭のおかしい女優が80年代シンガポールを舞台に、ふたりの男を振り回す話。この女優が他者とまったく会話が成立しない。

あ~、お金に不自由しない男女って嫌だね~って小説w かみ合わない会話をしながら高い酒を飲む。

これ、なんの予備知識もなく読み始めたのだが、同名映画のノベライズ作品だった。バブル時代を代表する小説?
格調の高さも感じる文芸作品になってる。ちょっと真似のできない作風だと感じた。

村上龍の文体には感心した。読者を酔わせ、ピリッと辛辣で鋭い言葉で満ちていた。細部にリアリティも感じた。龍は武蔵美在学中に群像で新人賞、芥川賞という輝かしい天才だったことも納得。
シンガポールで悲しんでる人間に会ったことがない。みな、へらへら笑って生きてるような気がする。この国では、悲しみという概念が成立しないのだと思う。
この本、ところどころでシンガポールをディスってる?

シンガポールって80年代から今もイメージがたいして変わっていない。社会の底辺を外国人労働者が支え、庶民からむしり取った金でできた薄っぺらいビルと豪邸の金融都市。薄っぺらい国。行ってみたいと思うこともない。たぶん英語もできないような日本人もばかにしてる。
金融で成功した大金持ちシンガポール人とか、今後の人生で関わることもないだろうと思う。

2018年6月29日金曜日

まさみ巡礼「磯沼ミルクファーム」

「ゴロゴロ屋」の次にまさみご一行様が向かった先が磯沼ミルクファーム(八王子市小比企町)さんだ。
撮影スタッフは「ゴロゴロ屋」のある通りから放牧地を右に眺めながらここへやってきたのだが、駐車場は反対側にぐるっと回って細い道を入った場所にある。
日曜日ということもあって、家族連れの車が10台ぐらいはあった。八王子の隠れた人気スポットなのかもしれない。
だが我々の目的はまさみのいた風景がそこに実際にあることを確認するのみ。
ウエンツが子牛を抱き上げた牛小屋。
自分、たぶん酪農家を見学するの小学生以来w 貴重な体験。
いろんなカラーの牛がいるんだ。
アイスが食べたくてここまで来たのに直前になってワッフルに変えるのがいかにもまさみらしい。
まさみの食べていたワッフルと山田のアイスを購入。
これを購入した窓口、見上げると葡萄棚だった。
アイスをそこで食べてワッフルは持ち帰った。ついでにヨーグルトも購入。
子羊もいた。自分もこんなふうに動物を育てて暮らしたい。
完熟コーヒー牛糞堆肥も販売していた。コーヒー?
「50回目のファーストキス」の評判がなかなかよさそうだけど、福田雄一だし、だいたい想像つくし。

2018年6月28日木曜日

綾辻行人「水車館の殺人」(1988)

綾辻行人「水車館の殺人」の1992年講談社文庫版を手に入れた。100円。
「時計館の殺人」が雰囲気があって面白かったので、2冊目の綾辻行人。

やっぱりこれも嵐の夜の洋館クローズドサークルミステリー。ゴム仮面車いすの主人、岡山県警とか、あきらかに横溝正史「犬神家の一族」リスペクト。
山奥の洋館とか、執事とか、幽閉された美少女とか、いつの時代だよ!という、社会派リアリズムヒューマン刑事ドラマとかクソくらえ!な、雰囲気と面白いストーリー展開重視の娯楽作!いかにもカーオタが書いた力作という感じ。

女中が塔から転落し水路を流れ、死焼却炉からバラバラ死体が!そして、そばに左手薬指が落ちていた!
1年後に島田探偵が屋敷そのものへの関心から興味本位で調査。

絵画が紛失し宿泊していた僧侶が失踪するトリックのおぞましさはカーの某有名短編を思わせた。
詳しい間取り図がありがたい。登場人物たちと一緒に洋館内部をぐるぐる歩いてる気分になれる。

現在(1986)と過去(1985)を行ったり来たりするのはわかりずらくて困惑した。さらに12年前の交通事故の件もある。
だがそれでもやっぱり、パズルのピースがピタッとはまっていくラストは興奮の面白さ。

自分、この水車館が時計館に続いて綾辻作品2作目だが、時計よりもこちらの水車のほうが面白かった。今後しばらく綾辻作品を探し歩かないといけないな。

この作品も新装版が出ている。できることなら新装版で読むほうがいいかもしれない。新装版の表紙イラストの洋館が自分が頭の中でイメージしていたそのものだった。

2018年6月27日水曜日

本田翼26歳のバースデー

本日6月27日は本田翼26歳のバースデーなのでお祝いしたい。

26歳になっても女優業が順調。7月9日からフジで「絶対零度」というドラマに出演するのだが、え?刑事なの?しかも潜入捜査?たぶんきっといろんなコスプレシーンがあるんだろうな。

事前に上戸彩主演って聞いてたけど、沢村一樹が主演っぽい。上戸彩の「特別出演」ってどういうことだ?本田は沢村、上戸、横山についで4番目にクレジット。

若手女優、刑事役やりがち。
アクションもあるのかよ。近づいてくる男はすべてハイキックで倒してほしい。
美少女すぎて街に出るだけで周囲からストレスを受け、引きこもりになっていた本田翼13歳。すでに美人だ。

最近話題のひらがなけやき小坂さんもやはり引きこもりがちだったそうだが、超絶美少女すぎて周囲から好奇の視線をあびることがつらかったんだろうなと推測。
これからもずっとちゃらい男に対しては厳しく当たってほしい。

高校を卒業したらモデル仕事を辞めるつもりでいた本田が26歳になってもドラマで活躍できているのは嬉しい誤算。

桐谷が陥落しそうw 本田は結婚などに走らずに、本田の時代を造ってほしい。

2018年6月26日火曜日

まさみ巡礼「ゴロゴロ屋」

長澤まさみは6月5日放送の「火曜サプライズ」の「アポなし旅」に初出演。
映画「50回目のファーストキス」宣伝のために山田孝之、ウエンツ瑛士と一緒に京王線山田駅周辺で地元民オススメの飲食店グルメを求めて歩いた。

で、地元民もオススメする中華料理店ゴロゴロ屋をなりゆきで訪問。

火曜サプライズで紹介された店は放送直後はとても混むので、20日ほど間を空けて行くのがロケ地訪問趣味のベテランである我々のルール。
まさみにゆかりのある店というわけでもなく、巡礼するのもどうかと思ったのだが、他にすることもないので行ってみた。
いつもの友人とふたりで、朝食兼昼食として訪問してみた。日曜日の11時15分ごろたどりついた。駐車場は4台ほど。頭から突っ込んで駐車すると出るのが大変だ。
まさみたちが座ったテーブルは6人掛けなので、我々はその奥の4人テーブルに座った。
まさみの座った席をながめながら食事をすることになった。開店して間もないからなのか、店内がやや暑い。
まさみと同じものを注文する。ゴロゴロチャーシューあんかけご飯と半ラーメン(1080円)。そして青島ビール(500円)。
この半ラーメンがとてもおいしかった。メンマですら美味しかった。
そして、ゴロゴロチャーシューあんかけご飯の美味しさも異常。この量ならビールが5本は飲める。
油淋鶏(780円)も注文。店員(20代ぐらいの中国人青年)は何かを察したかもしれない。
こいつもとても美味しい。
たぶんこの店は何を注文しても美味しいだろうと思う。実際地元民でかなり繁盛していたようだ。また来たい。
店内にとくにまさみや山田のサインのようなものはなかった。
次に磯沼ミルクファームさんを訪問。つづく。

2018年6月25日月曜日

エラリー・クイーン「緋文字」(1953)

エラリー・クイーン「緋文字」を読んだ。青田勝訳1976年版ハヤカワ文庫版で。今回自分が手に入れたものは2002年23刷。BOで100円ゲット。
THE SCARLET LETTERS by Ellery Queen 1953
これ、「ローマ帽子」「フランス白粉」よりも前に手に入れていたのだが、自分はもうすでにエラリーは有名作以外はそれほど面白くないことを知っているw 
この「緋文字」という作品も何も良い評判を聞かない。たぶんこれもつまらないのだろうと予想していた。
残念ながらその通りだった。わざわざこのボリュームの長編にする必要性を感じない。

暗くて癇癪もちで猜疑心が強く嫉妬心が強く酒におぼれるノイローゼ作家のダーク、可愛らしい資産家妻マーサのローレンス夫妻の仲がこの1年ですごく険悪。ひょっとして妻マーサは不倫してる?!ということで、よせばいいのに浮気調査の興信所のようなマネを買って出るエラリー。

マーサが不倫相手(?)の老俳優と、ダークに知られずに連絡を取り合う方法が手紙に書かれた赤いタイプ文字?

読んでも読んでも話が展開しなくて呆れたw ずーっと尾行と不倫調査。

1950年代のエラリーくんはすでに50歳ぐらいのはずだ。まだ父親と同居してるのかよ。クイーン警視はまだ現役?!

推理作家のエラリーくんはニッキーという秘書を雇っているのだが、この人は恋人というわけでもないの?なんだかちょくちょくラブコメのような要素も垣間見える。たぶんニッキーはマーサ・ローレンスと親友ということから30代ぐらい?と推測しているのだが。

調べてみたらアメリカは当時も今も姦通罪の国だった!それでいて銃を持つことが許されている。その状況、何が起こるかだいたい予想がつくよね。最後の最後で最悪の事態が発生。

だがちょと待てよと。頭の良いエラリーくんは腑に落ちないことに気づく。目に見えていることはその通りとは限らないってゆう…。あとは陪審裁判の話。

このパターン、いろいろなサスペンスドラマとか見てる人なら、あまり新鮮さは感じないかも…。とにかく前9割がしつこくムダ。

2018年6月24日日曜日

宮崎あおい「ラヴァーズ・キス」(2003)

「ラヴァーズ・キス」(2003 東宝)を10数年ぶりに見返した。というのも、そこに500円で売られていたDVD(2003年7月発売)を手に入れたから。
2003年正月第2弾映画。もう15年前の映画なのか!もう悶絶しそうなぐらいに懐かしい。

こいつを見ようと思った理由は2015年の日本アカデミー賞「海街diary」と同じ鎌倉が舞台の吉田秋生原作マンガだから。6人の男女の交錯する想いを描いたLGBTラブ・ストーリーだった気がする。
成宮寛貴藤井朋章という人物を演じているのだが、この藤井朋章という人物は「海街diary」で香田家の次女・佳乃の彼氏と同一人物!?どうやら「ラヴァーズ・キス」は「海街diary」のちょっと前を描いてる?!
そういったことをいろいろ確認したくてこのDVDを手に取った。これ、もうTSUTAYAに置いてなかったし。
2003年のDVDは今見ると画質がとても見劣りする。え?こんなにぼんやり画質だったっけ?ひょっとしてフィルムで撮ってる?異常にヘンな色合いで見づらい。なぜそんなフィルターを使った?画も音もかなり古臭い。70年代80年代と大差ない。

この時代のホリプロの人気アイドル女優だった平山あやと、人気若手女優の坂道をずばばばと駆け上がり始めた宮崎あおいのふたりが川奈姉妹を演じている。
宮崎はその後もずっと女優として日本映画を支える名女優として活躍中。だが、平山は…今一体何を?調べてみたら近年は2時間ドラマでたまに見かけるぐらいか。この女優は「ウォーターボーイズ」が一番輝いていたな。平山の声質とセリフ回しと表情が今の佐々木希のそれととても似ているように感じた。

宮崎あおいがおそらく17歳ぐらい。すっごくこどもに見える。宮崎のほうが平山よりも背が高い。
この映画、平山と成宮だけが通常のカップルで、このふたり以外は同性愛片想いを描いている。

第2エピソードが見るに耐えない。幽霊とか実際に映すことないがな。じゃまだしウザい。前回見たときも思ったが、今回もここはスキップしてもよいとすら思った。
この時代、高校生LGBT映画は貴重で製作者側にはチャレンジだったわけだが、そこの描き方に真面目さがもうちょっとあってもよかった。ちょっと不満。

鷺沢を石垣佑磨が演じてる。石垣の演技が酷いw 緒方を演じた阿部進之介という俳優は今も活躍中らしいけど、自分はよく知らない。この映画ではライカを愛する関西弁カメラオタ。(そんなやつ今はいないだろう)
この映画、成宮寛貴が男子キャストで一番しっかりした演技をしてる。この役者は若い時から素晴らしかったんだなと改めて思った。
尾崎を市川実日子が演じてる。宮崎と市川実日子というゼロ年代邦画を支えた天才女優ふたりの演技と存在感がさすがだ。このふたりだけで画がもつ。この当時の市川がまるで今の平手友梨奈みたいだ。

自分、初めて鎌倉に行ったとき、宮崎あおいが楽譜を買っていた新星堂ロックイン鎌倉店を実際に見て「おお」と感動した。2010年に閉店して以来ずっと空き地?
見返してみてやっぱあんまり良いところがなかったw
90年代からゼロ年代に多くのアイドル映画を手掛けた監督の及川中もその後の消息を知らない。

2018年6月23日土曜日

いとうせいこう&みうらじゅん「見仏記」(1993)

四半世紀にわたって継続中のみうらじゅん氏といとうせいこう氏の「見仏記」シリーズの最初の1冊を気まぐれで読み始めた。こいつも友人の本棚にあったから。平成9年の角川文庫版。

1993年というとすでにだいぶ昔感が強い。まだWindows95すら存在しない。ちゃちゃっとインターネットで調べるということもできない時代。

京都で生まれ育ち、小学生の時から京都の寺を回って拝観券やら仏像の写真やらをスクラップブックにまとめていたという、ちょっと普通でなかったみうら少年。12歳にして薬師寺管主・高田好胤の著書への書評を書いたりしていた。

雑誌編集者から作家へ転身したいとう氏とふたりで仏像を求めて、京都奈良だけでなく、日本中の寺を紀行しツッコミを入れる。みうら氏の感想がカンに基づくのに対し、いとう氏は学と知識があるようだ。

自分はいとう氏の本を読むのが初めてだったのだが、この人は文章が上手い。作家なので当たり前だが、テレビでよく見る人なので意外に感じた。
この人が気分屋みうら氏の機嫌にかなり気を遣っている。まるで接待。

みうら氏が「オレは黒石寺を推す!」という表現を使っていて驚いた。「推す」という言葉はAKBが最初だと思ってたからw そんな前から日常語だったのかw
あと、蘇民祭ってこの当時から有名な祭だったって知った。へえ。

あとこの本を読んで「聖林寺の十一面観音像」「浄瑠璃寺の吉祥天像」といった存在を初めて知った。
自分は以前上野の博物館に仏像を見に行ったりもしたけど、特に見方もわからず退屈していた。この本はフェノロサ、和辻、亀井と違ったフリースタイル拝観の魅力を教えてくれた。

2018年6月22日金曜日

長澤まさみ「モテキ見に行ってサクラ」

ロッキングオンH 2012年3月号がそこにあったので連れて帰った。100円。
こいつもたぶん部屋のどこかにあるはずだが、今読もうと購入。この号はつい最近に出た1冊のように思っていたけど、もう6年も経っている。信じられない。

長澤まさみがナレーションの仕事をした自然ドキュメンタリー映画「日本列島いきものたちの物語」公開期のまさみ特集。木村伊兵衛賞フォトグラファー梅佳代によるフォトスナップが9ページとインタビュー1ページからなる。

まさみは昔から大人っぽかったけど、八景島シーパラダイスで白イルカと一緒にはしゃぐ第2次ショート期まさみは、今のまさみを知っているとちょっとこどもっぽく見える。まさみはつい最近まで美少女で男の子だった。
今年のまさみはなんと「ドラえもん」でも声優を務めることが発表された。一昨年は「君の名は。」でも声優まさみは大きな話題となった。声の仕事も順調だ。声優まさみは「コクリコ坂」から始まっている。
「吾朗監督とプロデューサーの鈴木敏夫さんが私をビシビシとしごいてくださったからだと思うんですけど、とにかく私の声だっていうことがわからないように、時間をかけて海ちゃんの声を探していったんです。」
「ナレーションとはだいぶ違いますね。やっぱり、声優のお仕事のほうが普段の仕事と近いのでやりやすい気がします」
そして「いきものたちの物語」について
「人間って、感情が表に出せる生きものだから、日々の生活に疲れたときとか物事がうまくいかなかったときとかに、『もうやめたい』『もう死にたいよ』って冗談で言ってしまうときがあるじゃないですか。でも映画を観ると、動物たちはどんな状況にいても生きるのをやめないっていうか、その場その場の状況で必死に生きようとするんですよね。どんな状況になっても前向きに生きていくところにすごく勇気づけられる映画だと思いました」
まさみならではの個性の出たコメントだ。
あと、人間長澤まさみについて語ってる箇所を一部抜粋して引用
「本当の自分を知ってる人って意外に少ないけど、それって当たり前のことだと思うんです。自分を知ってもらおうとする努力をしないと、自分の事を知ってもらうことはできないから。 
でも、昔は人に自分のすべてを知られるのが嫌だったんです。人に教えたくない、自分だけの自分でいていいのかなって。全部を知られちゃうと、それ以上この人はないんだって底を知られちゃうような気がして……それが嫌いだったんだけど、年齢とともにそういうのがだんだんとなくなってきたんです。 
自分が何かを生み出したいとか、伝えたいって思うならば、自分はこういう人なんだっていうことを人に教えてあげないと、なかなかこっちを見てくれないものなんだなっていうことがわかったんですよね。」
21歳から23歳ごろのまさみは、ドラマや映画で相変わらず主演女優だったものの、あまりヒット作にめぐまれなかった時期。女優として多忙な1年を過ごした24歳のまさみがどう考えていたかを知る貴重な手がかりのように感じた。
まさみは2011年後半から今現在まで、出演した作品がすべて話題作になるような注目の国民的女優になってしまった。

現在のまさみはやっぱりあんまり自分の事を世間に発信していない。普段何をしてるのか?たまに雑誌で語ることもあるけど、他の女優に比べればぜんぜんプライベートが知られてない。ラジオパーソナリティーもやっていたけど、あまり自分の話はしなかった。インスタもあまり更新されない。結局まさみは自分を他人に知られたくないタイプの人のまま。おそらく部屋に仲の良い女優友だちを入れることもまったくない。

あと、まさみは大ヒットした「モテキ」についても語っている。
「私も映画館に観に行ったんですよ。すごい混んでるって言われて。行ってみたらガラガラで(笑)。公開してだいぶ経ってたからなんですけど、人が少ない分、最初はみんなが笑ってなかったので、笑いを誘うように笑ってきました(笑)」
「全然バレなかったです。人間って不思議なもので、こうやって観ればいいんだよっていうお手本がいると、遠慮なく自由に観てくれるから、ちょっとサクラしてきました(笑)」
まさみのやらなくていいことまでやってくるサービス精神がすごい。ある意味正しい静岡ガール。

2018年6月21日木曜日

アガサ・クリスティー「鏡は横にひび割れて」(1962)

アガサ・クリスティー「鏡は横にひび割れて」の橋本福夫訳昭和54年版ハヤカワ・ミステリ文庫(昭和56年第10刷)を手に入れた。100円で購入。
THE MIRROR CRACKED FROM SIDE TO SIDE by Agatha Christie 1962 
このカバーは映画「クリスタル殺人事件」(EMIフィルム・東宝東和配給)からの写真を使用したものらしい。できることなら真鍋博イラストカバーのものがよかった。

この作品が自分にとって初ミス・マープル。15ぐらいのときクリスティー作品を何冊か読んだときミス・マープルにも出会ってるはずなのだが、途中で挫折。子どもだった自分にはセント・メアリ・ミード村の日常とお婆さんたちの会話がまったく頭に入ってこなかったのだ。今ならきっと理解できるはず。

3月にテレビ朝日で放送された「大女優殺人事件」を見てしまったがために、犯人と動機が分かった状態で読んでしまうはめになった。
ドラマ映像を頭の中から振り払いながら読むことになる。登場人物のキャラはだいぶ違うからいいのだが、野戦病院協会と引っ越し祝いパーティーの会場と階段の間取りはどうしたってドラマ映像を参照してしまう。

村の新興住宅地を散歩中に転倒したマープル婆さんを助けてくれた親切なバドコック夫人が女優の邸宅でのパーティーで毒殺される。

主人公のはずのミス・マープルは窓辺で編み物してるかお茶飲んでるかしかしていない。事件後は噂話を女中から聴いたり、映画雑誌をたくさん読んでみたり、スコットランドヤードからきたクラドック警部と話をするだけという素人安楽椅子探偵お婆さん。
各キャラクターの性格を見抜き、人が注目しないポイントに注目する。頭のよさに感心しかない。

この作品は驚くべき動機がすべて。事前にブックレビューを検索してから読んではいけない。あのテレ朝ドラマを見るんじゃなかった。おかげでラストが劇的に感じられなかった。

スポーツ紙を切り貼りした脅迫状とか、女刑事のパルクールとか、ラストでの旦那の「証拠はあるのか」と悪あがきの末のさめざめとした愁嘆場とか、すべて無駄で余計な改悪に思えた。やっぱり原作のほうがアッサリドライで面白い。クリスティーは偉大。

2018年6月20日水曜日

ひらがなけやき「Re:Mind」全12話を見た

2017年10月にテレ東で放送されていた「Re:Mind」をようやく見た。がんばって見た。
女子高生密室監禁サスペンス。ひらがなメンバーたちが理不尽な目にあって泣き叫ぶ。過去2回見ようと思ったけど、開始10分が耐えられず挫折。

第1話が一番見るのがキツイ。だが、ここさえ乗り切れば密室監禁サスペンスを楽しめるようになっていく。
足枷で強制的に晩餐会テーブルに着席させられているというのは新しい。部屋の中を自由に移動できないので相互に対話するぐらいしか知恵を絞れない。スマホとSNSがあるのは現代的。
倒れた西洋鎧からネズミがあふれだす映像は怖い。でかいネズミは怖い。10年ぐらい前は渋谷でよくそのへんをちょろちょろしてるデカいネズミをよく見かけた。

第1話でいきなり井口がいなくなったのは笑った。井口が何かに気づいたとたんに暗転。照明が付くといなくなってる。いくらなんでも1話でいなくなるって酷い。

どうやら密室内部に不在のひらがな2期生渡邉美穂がカギ。3か月前に一体何が?!
クリスティ「そして誰もいなくなった」的な展開?!
セットも英国風?晩餐会テーブルが舞台なのは裏切り者のユダを探せ!ということか。
齊藤京子が常に口汚く乱暴キャラ。尋常じゃなくブチギレてて声がデカい。声の張りかたがまるで舞台女優。ホラー映画だと一番最初に殺されるキャラだけどそうなってないw
佐々木美玲 頭の良くリーダー格か?ひとり冷静に状況を分析。カギは渡邉美穂について思い出すこと?

目覚まし時計のベルが鳴ると暗転してひとり消えるという法則が第2話で気づく。2番目に消されたのは東村。
議論の終わりを告げるベルが鳴るとひとり消えるとかまるで人狼だが、ひとりずつ殺されるわけでなく、パッと消される。(楳図かずおなら斧で顔面叩き割られて殺されてる)
これがどういうことなのか?どう見たらいいのか?物理的にどうなってる?

3話以降で美穂をイジメて車椅子生活にした事故の原因をつくった犯人捜しへ。
加藤史帆は以前から声質と喋り方がおかしいと思っていた。なんと初ドラマでは喋れないという役柄w この子はゆる~いコントが向いている。
第3話では潮が消される。これは手の込んだ逆恨み復讐ホラーか?

第4話では初めて回想シーンで密室の外へ。ひらがな2期生・渡邉美穂が登場する。こいつは学園内で何か秘密結社のようなものを率いる影のリーダーか?この汚れた世界を変えるために、私的制裁という間違った手段で正義を主張しSNSに投稿する。

やがて部屋の中にある時計のどれかが12時を指すとひとり消されるという事実に気づく。
そしてベルが鳴る。だがしかし、今回は誰も消されない。
その代わり足を引きずり頭巾をかぶった執事のような男が登場。影山優佳が消される。影山さんはわりと演技ができる子のようだ。
そして私的制裁SNS投稿の犯人捜しへ。

第5話は男が金属バットをコツコツ鳴らして脅しながら議論させる。この回では7名誰も消されないが、頭巾の男の正体が判明する。
第6話は頭巾男の独白が始まる。「俺は佐々木久美に聴いている!お前は佐々木美玲だろ!」には笑った。

この監禁事件の全貌がほぼ明らかに。意外に社会性があって深いテーマだった。だが、これはやっぱり悪霊ホラーなの?

第7話はふたたび渡邉美穂。こいつは高校生なのに研修医とつきあってる。現時点で残された7人(美玲、久美、柿崎、齊藤、加藤、高本、高瀬)はみんなこの研修医の別荘に行ったメンバー?!容疑者候補としてこの研修医と、さらにもう一人幼なじみの存在が?どんどんミステリー要素が強くなる。
そして高瀬のとんでもない告白。急展開!あれ、このドラマ面白いぞ?!高瀬が消される。
第8話で加藤に注目が集まってしまう事態に。この加藤がブサイク。キレる柿崎がカワイイw 
幼なじみは医療事故で死んだ?美穂は自殺したのか?疑心暗鬼の緊迫の討論の末、暗転の最中に加藤が消される。

第9話、もうこれは美穂の呪いなのか?こんどは美穂の父親が浮上。そして高本の告白。
美鈴がすごく綾瀬はるかっぽい。狂気のような洞察力で高本と齊藤が美穂の父親をハニートラップでハメたのでは?と追い詰める。そして高本が消される。
第10話、ののしり合いの末にいきなり齊藤が消される。ついに残りは美玲と久美と柿崎の3人のみ。柿崎は終始議論をリードする美玲を疑う。最大のクライマックスは美玲 VS.柿崎。
自分、今まで柿崎芽実の人気があまり理解できなかったけど、このドラマを見ると素晴らしい演技をしていたことに気づく。柿崎ずっと汗びっしょりで火照った顔で大熱演。このドラマで柿崎人気が上昇したはずだと感じた。

第11話、柿崎も消えた。もうなにも思い出せないと絶望の美玲も消えた。最後に残された久美の前に車椅子の少女が!
そしてこれまでに消えて行った少女たちの呼びかけモノローグ。まるで芥川龍之介の「藪の中」。
あれっ?このドラマはやっぱりイジメ問題啓発ドラマだったの?!

第12話最終回、ええぇっ?!車椅子の少女の正体は!
やっぱり「そして誰もいなくなった」みたいな展開。たしかに驚いたのだが、ラストはすべてが納得いったというわけでもない。で、どういうことだったの?あの女はやっぱりキャリーやサダコみたいな?

でもこれは見てみてよかった。W佐々木、柿崎、影山の熱演がひらがなへの認識を新たにしてくれた。この枠の前クール「残酷な観客達」の10倍は面白かった。

だが、メンタルを傷つけられひとりずつ退場していくメンバーを見せられるのは、まさに坂道グループそのものを見せられているようで気分が落ち込む。