2018年6月10日日曜日

ジェイムズ・P・ホーガン「ガニメデの優しい巨人」(1978)

ついにこの本を読む。ジェイムズ・P・ホーガン「ガニメデの優しい巨人」を池央耿訳、表紙イラスト加藤直之による1981年版創元SF文庫で。今回自分が手に入れたものは2010年の第46刷。この本はわりとよく見かける。100円でゲット。
THE GENTLE GIANTS OF GANYMEDE by James Patrick Hogan 1978
ホーガン氏の古典的名作「星を継ぐもの」の続編。早いとこ忘れないうちに読まないといけないと思ってた。
「星を継ぐもの」は地球、月、そして木星の衛星ガニメデの氷の底から発見された2500万年前の巨大宇宙船についての話だったのだが、今作は宇宙船を作ったガニメデ人たちに焦点をあてた作品。
自分が初めて「星を継ぐもの」に触れたのは15歳のときだった。時空を超えてやっと次作を読む。わくわく。

ガニメデの氷の中から発見された巨大宇宙船を調査研究するハント博士やダンチェッカー博士たち。人類が見たことのないミネルヴァ動植物の標本に、地球上の動物には見られない謎の「酵素」を発見する。
化学組成の中に放射性同位元素の組み合わせ比率が一定の箇所が繰り返し存在する!
ここの議論がよくわからないけど、この箇所は最後の最後で活きてくる。ひょっとして人為的に組み込まれたトレーサー?

そうこうしてるうちに、2500万年の時空を超え恒星間旅行から帰ってきたガニメアンの巨大宇宙船と、人類が初めてのコンタクト!
ここから先は藤子不二雄でも読んでいるような、異文明異星人との交流と友好親善の様子がつづられる。古典SFっぽい。
人工知能スーパーコンピューター・ゾラックがインターフェースを通じてたちどころに両者を通訳w 藤子せんせいの「ほんやくこんにゃく」とどっちが先だ?

草食動物のみという環境で進化し育った文明のガニメアンには闘争とか競争という概念がまったくなかった!
両者は異文化コミュニケーションと理解を深めていくのだが、ある過去については口をつぐみ、やがて旅立っていく…。

最後は生物学者ダンチェッカー博士の独壇場!生物の進化、循環系、二酸化炭素耐性と自己免疫プロセスと脳の発達の限界、そして狂暴性と攻撃性…。2500万年前、ミネルヴァの二酸化炭素濃度の上昇という危機に対し、彼らが取った3つの選択肢とは?!第23章がこの本のクライマックス!

ミステリー要素の強い生物進化ハードSFで、その科学も証拠もファンタジーではあるのだが、その世界観が壮大。
「星を継ぐもの」が傑作すぎて「ガニメデの優しい巨人」はかすんで見えるかもしれない。完全には理解できないものの、それでも自分には十分に面白かった。ラストもおしゃれ。

2 件のコメント:

  1. シリーズ第3作「巨人たちの星」と第4作「内なる宇宙」(上下本です)は、わたしの中では未知の世界です。特に第4作は買ってないんだから当然ですが。

    ブロガーさんにはこの勢いでぜひ制覇していただきたい。

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    1. 「巨人たちの星」もすでに読んで感想書いてます。近日中にUPします。
      「内なる宇宙」もすでに上下巻とも100円でゲット!w
      こちらも秋までには読もうかと。

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