2018年6月1日金曜日

ナイル殺人事件(1978)

映画「ナイル殺人事件」(1978)を見た。
これはもちろんアガサ・クリスティー「ナイルに死す」(1937)を映画化したもの。

この時代はクリスティ作品の映画化が相次いだ。日本では市川崑の金田一シリーズもやってた時期。

この映画、こどものころなんとなく見た記憶がある。ラストであの人とあの人がああなって…ということしか覚えていなかった。その後、原作を読んだ。映画は原作を簡略化し、多くの設定を変えている。

エルキュール・ポアロはピーター・ユスティノフ。自分が初めて見た名探偵はこの人だった。最後は関係者を集めて真相を披露するスタイルもこの名探偵が初めて。

だが、その後たくさんのクリスティ作品に触れた自分からすると、ユスティノフによるポアロはかなり原作のポアロとイメージが違うと感じた。デカすぎるw

そして予想外に笑いの要素が多かった。そういえば市川崑金田一も笑いが多い。あんまりシリアスでも陰惨でも娯楽作品としてどうよ?ってことかな。

婚約者を友人の金持ち美人に取られるジャクリーン役がミア・ファロー。自分はこの人をアンドレ・プレヴィンの奥さんだった人だとしか知らなかった。ひょろっと細くて典型的な英国婦人らしい顔だと感じた。

失った恋人サイモンと資産家リネットの新婚旅行でも行き先行き先に先回りして現れるストーカーへと変貌。ちょっと不気味な人だった。
やっと登ったピラミッドの頂上にジャクリーンが居たのにも笑ったけど、アブシンベル神殿の上部にいきなり立っていたのにも笑った。

なんか、この映画ですべての人に犯行の機会があったことを示す再現シーンがコントっぽくて笑ってしまった。
サイモンに話を聞くために大佐と個室に行ったポアロ。手つかずの食事を見つけてすかさず食べようとするシーンは「なにしてんの?」って突っ込んだw
カルナク号の支配人がどう見てもエジプト人でなくインド人だった。コブラに襲われそうになるポアロのシーンとかたぶん原作になかった。

おしゃべりな官能小説家おばさんの娘でオリヴィア・ハッセーが出てる。クリスティ作品には欠かせないカワイイ子。この人は後に日本の歌手・布施明と結婚した人だ。自分は名前しか知らなかった。女優としてスクリーンに映ってる姿を初めて見た。映画ラストで他の登場人物と婚約するのだが、原作と相手が違っていた。

犯人を目撃して殺されるメイドがジェーン・バーキン。この人も自分は女優として映画に出てるのを見たのは初めて。有名なエルメスのバッグに名を残した人だ。シャルロット・ゲンズブールのお母さんだ。ただ、脇役なので出演シーンはわずか。

ポアロとルイス大佐の会話のやりとりも面白かった。金持ち老婆と付き添い看護婦のやりとりも面白い。
140分間退屈しなかった。このクオリティでもっとクリスティ作品を見たいと思った。
この映画を観たことで1940年ごろの英国のお屋敷とか車とか、婦人のヘアスタイルとか衣装のイメージができるようになった。

ピーター・ユスティノフによるポアロは「地中海殺人事件」もある。そちらも見たいと思っているのだが、探したところTSUTAYAになかった。

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