2018年6月21日木曜日

アガサ・クリスティー「鏡は横にひび割れて」(1962)

アガサ・クリスティー「鏡は横にひび割れて」の橋本福夫訳昭和54年版ハヤカワ・ミステリ文庫(昭和56年第10刷)を手に入れた。100円で購入。
THE MIRROR CRACKED FROM SIDE TO SIDE by Agatha Christie 1962 
このカバーは映画「クリスタル殺人事件」(EMIフィルム・東宝東和配給)からの写真を使用したものらしい。できることなら真鍋博イラストカバーのものがよかった。

この作品が自分にとって初ミス・マープル。15ぐらいのときクリスティー作品を何冊か読んだときミス・マープルにも出会ってるはずなのだが、途中で挫折。子どもだった自分にはセント・メアリ・ミード村の日常とお婆さんたちの会話がまったく頭に入ってこなかったのだ。今ならきっと理解できるはず。

3月にテレビ朝日で放送された「大女優殺人事件」を見てしまったがために、犯人と動機が分かった状態で読んでしまうはめになった。
ドラマ映像を頭の中から振り払いながら読むことになる。登場人物のキャラはだいぶ違うからいいのだが、野戦病院協会と引っ越し祝いパーティーの会場と階段の間取りはどうしたってドラマ映像を参照してしまう。

村の新興住宅地を散歩中に転倒したマープル婆さんを助けてくれた親切なバドコック夫人が女優の邸宅でのパーティーで毒殺される。

主人公のはずのミス・マープルは窓辺で編み物してるかお茶飲んでるかしかしていない。事件後は噂話を女中から聴いたり、映画雑誌をたくさん読んでみたり、スコットランドヤードからきたクラドック警部と話をするだけという素人安楽椅子探偵お婆さん。
各キャラクターの性格を見抜き、人が注目しないポイントに注目する。頭のよさに感心しかない。

この作品は驚くべき動機がすべて。事前にブックレビューを検索してから読んではいけない。あのテレ朝ドラマを見るんじゃなかった。おかげでラストが劇的に感じられなかった。

スポーツ紙を切り貼りした脅迫状とか、女刑事のパルクールとか、ラストでの旦那の「証拠はあるのか」と悪あがきの末のさめざめとした愁嘆場とか、すべて無駄で余計な改悪に思えた。やっぱり原作のほうがアッサリドライで面白い。クリスティーは偉大。

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