2022年3月31日木曜日

RICOH YF-20D のジャンクを手に入れたのだが…

よせばいいのに他に行くところがないものだからついハードオフのジャンク箱をのぞき込んでこいつを見つけてしまった。RICOH YF-20Dという赤プラカメ。110円のところを15%オフの93円でゲット。

このカメラに関する情報がネット上でほとんど見つけられない。オークションとかメルカリとかのクソ情報ばかり。
見た目から推測して80年代後期の赤い家電カメラブーム期のデザインぽい。1987年製ということだけわかった。
今の若者はRICOHがカメラメーカーだったこともしらないかもしれない。つい近年までデジカメとかで頑張ってた。もうコンデジを作ってるメーカー自体がなくなった。

このカメラはおそらく単焦点シャッター1速、フィルム感度を切り替えることで絞りが変えられる簡易なプラカメだと思った。電池質が溶液がはみ出して汚かったけど、掃除をすれば仕えそうだと思った。これから桜の季節に持ち歩いたら楽しそうだと思った。だが…、その見通しは甘かった。
このカメラが電池を入れないとシャッターが切れない。モーターがフィルムを巻き上げる時に、スプロケットがシャッターチャージのための歯車を回転させるタイプ。なので作動を確認できなかった。

家に持ち帰って電池接点をガリガリこすって掃除して電池を入れたら、ずっとガーっと内部でモーターが回りっぱなし。電池を抜き取らない限り止まらない。仕方なく分解する。精密ドライバーで表面にあるビスをすべて外す。なんとか苦労してプラスチックの外皮をはがす。すると…
こういうユニット。思っていた以上に内部構造が複雑。モーター巻き上げでフラッシュ内臓のコンパクトフィルムカメラは意外にややこしい構造をしていることがある。
コンデンサーは感電しないよう注意が必要。(自分、過去2回ぐらいジャンクカメラをいじってて目の前で火花が散ったことがある)
電池室奥から派手に漏れ散らかした溶液が金属部品を完全に腐食させてしまっている。コンコンとドライバーで叩いて振るとサビの粉がバラバラと落ちてくる。どこにハマっていたのか不明なスプリングも落ちて来た。きっと内部のピンなども崩落している。歯車もさび付いてる。これは修理不可能。手に負えない…。

93円で入手したにしても、こういう使えないカメラは要らない。ゴミというか、オブジェ小物でしかない。ネジ部品取りジャンク箱行き。
今回、ひとつの教訓を得た。モーターで巻き上げる80年代カメラで電池質がヨゴレまくった個体は修理不可能なものがある。もう2度と買わないようにしよう。

これも授業料。自分はこれまでジャンク品で修理がまったくできないか失敗したものは5台ほど。(それでもまだ少ない方だと思う)
やはりジャンクフィルムカメラは初心者にはオススメできない。失望することも日々多い。
いちおう、前面のレンズカバー裏側構造も載せておく。世界のどこかで誰かの役にたつかもしれないから。

もうここ数年まったくジャンクカメラ漁りを止めていた。5年ぐらい前からまったく程度のいい欲しいようなジャンクフィルムカメラが見つけられなくなっていた。
かつて飽きる程見かけたKONICA C35EFとかKyocera Samuraiとか、500円以下でまったく見つけられない。誰かが漁りつくして修理して転売とかしたのかもしれない。

2022年3月30日水曜日

西野七瀬がA STUDIO+に登場 

西野七瀬A STUDIO PLUS (3月25日放送回)に登場するというのでチェックした。女優として次々と注目作に出演。西野は今ノリに乗っている。髪を後ろで束ねると清楚に見える。

この番組は売り出し中の若手女優がアシスタントを務める形式だったのだが、ちょっと前からジャニーズの藤ヶ谷を起用している。
このトークバラエティがスタジオ観覧を入れていないのに女性たちの歓声や笑い声などを足していてなんだかなと思う。
西野は大阪府出身なのだが、MC鶴瓶師匠と小学校が同じで地元が300mほどしか離れていない。それ、以前聴いたことあるような気もするけど驚く。

この番組は鶴瓶師匠が事前にゲストの関係者に取材に行くところが他のトークバラエティと違う。西野はそれが誰か気になって緊張していた様子。
父、母、兄の西野家全家族の後ろ姿写真が映った。どうやらスタジオに西野家を呼び出してトーク取材をしたらしい。この番組に出演することは家族ぐるみで慶事。西野家にとっても一大イベント。
中学3年当時の写真は、親知らずを抜いた直後で、腫れていた箇所を手で覆い隠しているそうだ。かわいい。
中学時代に竹下通りでスカウトされたエピソードを披露。
母が乃木坂オーディションに応募という話も、本人は「受かるわけない」と思っていた。

自分はいつごろ卒業したいのか?その意志を自分で言いに行く。それが乃木坂卒業スタイルらしい。
西野の場合は後輩が増えるにつれ、「ずっと自分が目立つ場所に居続けるのも回らないし止まる気がした」「自分も新しいことをしたかったし、それがグループにとってもいいきっかけになればいいな」という思いから決断したと語る。
鶴瓶師匠はそんな西野の話ぶりを「静かで冷静で良い」と評価。スターになる人はやはり人と違う。

西野父によれば「人をかき分けて前へ出るな」と教育してきたらしいのだが、それを西野はピンときてない様子。ぜんぜん覚えてないw
西野は父親に反抗する時期がなかった。自分のすべてを肯定してくれる人なので今も好き。父の枕の匂いが好きだったというエピソードにはMCふたりも驚く。
「何か問題でも?」というように自信満々そのエピソードを話す西野。「みんなやってると思ってたw」
ずっと反抗期だった兄を見て育った七瀬は、母から叱られても一切口答えをしなかった。すると余計怒られたという。

家族以外にMCふたりが取材した相手が伊藤かりん。え、かりんってこんな顔だったっけ?そういえば顎の手術をしたんだった。かりんが西野をよく外に連れ出す。この番組のためにかりんが西野を陽動。
海外旅行にふたりで出かけたりもした。その段取りを仕切ったのもかりん。現地での支払いはかりん。後日その半額を銀行振り込みするのが西野とかりんのスタイル。

西野が今お気に入りだというお笑い芸人男性ブランコについてもトーク。グッズのトレーナーもプレゼントされる西野。
あと、ゲーム実況ユーチューバーにも取材。ゲーム実況動画を見る話では鶴瓶師匠がまったく話についていけてない。知らないおじさんとゲームをしてるとか、よくイメージできていない。「エラい時代やな」たぶん自分もいずれそうなる。てか、ゲームをまったくしない自分はすでによくわかっていない。(だからアシスタントMC藤ヶ谷が必要なのか。)
西野の初舞台を演出した劇団☆新感線いのうえひでのり氏にも鶴瓶師匠は取材。いのうえ氏はまた西野と一緒に舞台をしたいと話した。西野「私は人との出会いに恵まれている」「演技の仕事は難しいと思う事が多い」
あと、西野が好きなマンガといえば「銀牙 流れ星銀」。作者の高橋よしひろ氏にも取材。グッズをゲットしてきてプレゼント。かわいい。

今、西野七瀬の魅力が大爆発している。今年5月で28歳になるとは思えない清楚で素朴で可憐な可愛らしさ。自分にはまさみの次にかわいく見える。たとえ西野にどんな酷いことをされても微塵も腹が立たないだろうと思うぐらいに好き。

2022年3月29日火曜日

島田荘司「透明人間の納屋」(2003)

島田荘司「透明人間の納屋」を読む。もう島田荘司を読む気はなかったのだが、講談社ミステリーランド版(2003)の図書館リサイクル本を無償で手に入れたから読む。
奥付の検印をみると図書館が購入してから18年経っているのだが、あまり読み込まれた感じがしないキレイな物だったので連れて帰った。読み終わったら元の場所に戻してくる。

自分は講談社ミステリーランドシリーズをてっきり児童向けだと思ってた。ほとんどが小学生が主人公になってる。漢字のすべてにフリガナがふってある。実際BOでは児童書コーナーに置かれてることが多い。

小学生目線一人称語りはこども主観こども文章であっても、これは大人でないと理解がむずかしい。子どもには難解な単語も使ってるし、理解しがたいたとえ話、表現、科学知識もある。つまり、子どももギリ読める大人向け小説だった。大人が童心に帰って読む本なのかもしれない。

「The Invisible Man's Virus」というタイトルがついている。じゃあ何でタイトルが「透明人間の納屋」なんだ?

装丁にがんばってる。だが、掲載されてるイラストが落書きのような抽象ヘタウマ画。この絵からは何もイメージが得られない。わざわざ掲載されてる意味が不明。

昭和52年の夏が舞台。主人公の少年ヨウちゃん(9さい)は母子家庭。水商売の母親は深夜2時にならないと帰ってこない。家の裏にある印刷工場のやさしい青年真鍋さんといつも一緒に遊んでる。いろいろな天文知識と科学知識を教えてくれる。学校の先生よりも上手に教えてくれる。(え、それ合ってる?という知識も語って聴かせてる。透明人間になる薬とか。)
ときには夜中に浜辺へ行って流星を見たりする。印刷工場に出入りする大人たちをこども視点で観察してる。

この少年の母親のことをよく思わない水商売の同僚真由美が、居酒屋チェーン店経営の篠崎と一緒に過ごすホテルの4階角部屋から突如あとかたもなく失踪する事件が起こる。真由美は篠崎と結婚することを強く望んでいた。なので自分から失踪するとは考えられない。そのへんを推理作家松下謙三がささっとまとめて前後関係を語る。

5日後、海岸で真由美の水死体が発見される。そして篠崎逮捕。だが、密室から失踪した謎は残されたまま。
透明人間になる薬で真由美は部屋から脱出した?ああ、そういうファンタジー要素を盛り込んだこども視点のファンタジーなのか…と失望しかけたのだが、だがしかし!

そして四半世紀。ヨウちゃんと母は東京へ出て、ヨウちゃんは大学を出て大手商社で働き、多摩川べりのマンションに住む。母はめっきり老け込んだ。
そしてある人物が手紙を持ち込む。ここから急転直下のこども時代のあいまいなままだった真実がバババッとクリアになっていく。

これはとても島田荘司らしい展開。伏線がたくさんあった。日本にとって数十年に渡って頭の痛いあの問題がまさか裏にあったとは!まさか身近にいた人々がアレだったとは!ネタバレになるので多くは語れない。
これは島田荘司の作品中でもわりと印象の強い一冊。15歳以上の読者にオススメ。

2022年3月28日月曜日

武田玲奈「真・鮫島事件」(2020)

「真・鮫島事件」(2020)を見る。これもコロナ下公開((コロナ下制作))映画。脚本監督は永江二朗。制作はキャンターで配給はイオンエンターテイメント。
ネット掲示板上で「鮫島事件」として語られ、誰もが口を閉ざすネット都市伝説がテーマ。
主演が武田玲奈なので見た。

ヒロイン武田玲奈は新宿の街を歩きながら友人たちとスマホで会話。ショートパンツ姿がすごい。痩せてるしスラっと脚が長い。化粧が濃い。鼻が高い。
登場シーンからもうマスク姿だ。それでも顔の小ささと目の大きさがハッキリわかる。

自宅に帰るだけで不気味で不審な現象が起こる。エレベーターの作動が異常、不気味な何かがそこにいる。
家に帰ってマスクを取る。まずすることと言えばイヤホンつけてパソコンの電源を入れる。コロナ禍で自宅で気の合う仲間とリモート飲み会。

ずっと顔のアップの画像。カメラが近くて毛穴やシミまでもハッキリくっきり映る。こういうの女優は嫌じゃないか。
ちょこちょこと背後にサダコみたいな女が映り込んでいてビビる。このヒロインの部屋がわりと広い。

そして高校時代の同級生あゆみの無残な死。その彼氏(?)が芝居がかった慟哭で仲間たちへ「お前らのせいだ!」と騒ぎ立てる。その男も騒々しく何かに呪い殺される。
パソコン画面と部屋の中で進行するホラー。秋元康が企画した「リモートで殺される」とほぼ同じ質感のコロナ禍ムービー。

ネットインフラにすら作用する物理法則無視ホラー。そんなバカな…というお化け屋敷のような展開。
一人暮らしでこんな恐ろしいものが部屋にやってくるとか、たぶん泣く。夜中にドアをがんがん叩かれただけでもホラー。

SNSで拡散する呪いホラーはかれこれ15年以上の歴史がある。「着信アリ」の時代とそう変わっていない。若者はまず検索。
いわゆる「鮫島事件」のことを調べていたことが原因で起こる恐怖。その事件の真相を知ったものは必ず死ぬ。「リモート飲みとかいいかげんにしなさい!」と、ウェブカメラに向かってマジギレ説教する管理人おばさんがリアルに嫌な怖さ。

武田玲奈が謎を解くために必死でネット検索。その呪いを解く方法は安直じゃないか?その情報を信じていいのか?決めつけていいのか?
事件に巻き込まれたヒロインの兄がバイク事故!というシーンの直後に「着いたぞ」って可笑しい。思わずツッコミを入れた。
異世界とスマホで繋がってる。この兄もよくこんな不確かな妹の指示に従ったりできる。まるでゲーム画面。結果、「お兄ちゃん、逃げて!」ばかり。「七つの大罪」って何か関係あったか?

若手俳優たちのウェブカメラに向かった演技が迫真。必死の怒鳴り合い。
映画としての出来は俳優の演技にのみにかかってる。こういうB級ホラーでキャリアを積み重ねることがその後の大きな仕事につながる。ラスト3まで生き残る男の止まない悪態がうざい。小西桜子がいちばん演技が上手い。

80分という時間がちょうどよい。低予算ホラーとして期待したものが期待したボリュームで出てきた。だが、劇場公開するクオリティになかったかもしれない。もっとかわいい武田玲奈が見たかった。
主題歌は清水理子(虹のコンキスタドール)「ツグム。」

2022年3月27日日曜日

カチンの森 ポーランド指導階級の抹殺(2010)

2010年7月にみすず書房より邦訳が出た「カチンの森 ポーランド指導階級の抹殺」(根岸隆夫訳)を読む。第二次大戦中にスモレンスク郊外カチンの森で起こった大量虐殺事件の真相と顛末。
著者のヴィクトル・ザスラフスキー(1937-2009)はレニングラード出身でレニングラード大で社会学の教鞭をとっていた人物らしい。1975年にカナダに出国し帰化したソ連・イタリア政治関係史の専門家と経歴に書いてある。
PULIZIA DI CLASSE Il massacro di Katyn by Victor Zaslavsky 2006
原書はイタリア語だったっぽい。カチンの森事件とは何か?
1940年4月と5月に、2万5000人以上のポーランド市民が、ソ連内務人民委員部(NKVD、通称秘密警察)によって銃殺された。その大部分は陸軍将校だったが、他に知識人、大学教授、学校教師、実業家、幹部公務員、地主、警察官、国境警備隊、神父たちがいた。犠牲者たちは、ソ連が独ソ不可侵条約(モロトフ=リッベントロプ協定)にもとづいてソ連に分割された東部ポーランドを占領したさいに、捕らわれた。この犯罪はカチンの虐殺と呼ばれている。
1939年9月にドイツがポーランド侵攻を開始し第二次世界大戦が始まった。ドイツに呼応するように100万ソ連軍も宣戦布告もないままポーランドに侵攻。ドイツに占領された側も地獄だったのだが、ソ連に占領されたポーランド(ポーランド国土の52%、人口で3分の1)も地獄だった。

ポーランド人たちを奴隷として強制労働させるのに、いずれ邪魔になるであろう軍人将校知識人階級を、コゼルスク、スタロベルスク、オスタシュコフの3か所に収容した後に、「カチンの森」に連行し処刑し埋めた。
家族たちも財産没収の末に国外追放。スターリンはジュネーブ協定署名を拒否していた。

独ソ戦が始まった後の1943年4月13日、ドイツ・メディアはカチンの森で数千のポーランド将校の遺体を発見したことを発表。国際医学調査委員会を招いて現地調査。

法医学者たちは気づいた。将校たちが冬服を着ていること。死後3年以上経過していること。ナチは処刑したら金歯など貴重品を剥ぐのにカチンの遺体はそのままなこと。弾丸はドイツ製だが旋条痕がソ連製銃によるものであること。創傷がソ連製銃剣によるものであること。すべてソ連による犯行であることを示していた。犠牲者のほとんどが後ろ手で縛られ頭部を正確に撃ち抜かれていた。
(激グロ現場写真を掲載しているのだが、写真が不鮮明なので耐性のある人ならなんとかなるかもしれない。)

この本では1940年3月5日「最終的解決」に署名した7名の局員、スターリン、モロトフ、ベリヤ、カガノーヴィチ、ヴォロシーロフ、カリーニン、ミコヤンの名前を挙げて責任者として糾弾。もちろんそれを粛々と実行したNKVD(KGBの前身)も犯人。

最悪なのがこの事件をソ連は半世紀以上認めていなかったこと。ソ連消滅によってエリツィンが認めるまでずっと隠ぺい。
戦後のニュルンベルク裁判で、ナチスによる犯行とされていたカチンの森事件に疑問を持つ人々が出てくる。疑問を持ったソ連の検察官ゾーリャはニュルンベルクの自室で死体となって発見。これはベリヤによる暗殺。ゾーリャの死を知らされたスターリンは「犬のように埋めればよい」と命令したとされる。疑問を持つこと自体が党と国家への裏切り。

ソ連に気を遣うチャーチルもルーズベルトも真相をほぼ知りながら黙殺。相当に罪深い。

現地調査を担当したナヴィール委員会のパルミエリ教授(ナポリ大学)は証拠を自宅で保管し隠し持っていた。この教授も戦後ずっとイタリア共産党に監視され逐一クレムリンに報告されていた。授業中にも左翼学生から怒鳴られ糾弾され、教授会からも教授団から外すように要求されたりと不当な扱い。酷い。

ソ連はゴルバチョフに至るまで国家機密としてカチンを隠蔽。カチン事件を掘り起こすこと自体が反ソだと喚き散らす。嘘をつくやつの声はデカい。
カチン虐殺事件後の歳月に作成されたソ連の内部資料は、ソ連指導者によるオーウェル的な二枚舌の完璧な例である。かれらはこの件にかんするみずからの責任を意識しつづけていたにもかかわらず、何十年にもわたり、虐殺の罪を問われれば「誠実」な憤りをあらわにして否定してきた。このようにして、たとえば1972年にソ連政府はイギリス政府につよい圧力をかけて、ロンドンのポーランド移民によるカチン犠牲者追悼記念碑の建立をやめさせようとした。イギリスはそれに応じ、ポーランド移民にたいしてロンドン市中心部の追悼碑音流許可願を却下した。さらに私有墓地で追悼碑が建立されることになると、イギリス政府は政府関係者や軍関係者に追悼碑除幕式への参加を禁止した。
ソ連国民のほとんどは「ナチスの仕業」という国家プロパガンダを信じていた。だが一部知識人は、ソ連政府がカチン地域を立ち入り禁止にしていること、国際調査団を拒否していることからソ連当局の犯行だと疑っていく。

この本を読むと、元KGBのプーチン、ラブロフ外相、国連大使たちが無責任で的外れな言い訳と話のすり替え(しかも声がデカい)に終始することが不思議な事ではないとわかる。ロシア人は昔からそう。

ロシアからシュタウフェンベルク大佐のような人物が現れてプーチン派をやっつけることを期待する人もいるのだが、それは望み薄。今のロシア人はほぼ全員、目立たず声をあげずしてスターリン時代を生き抜いたDNA。反抗するような性格の人はほぼ皆無。ロシア知識人と一般市民との間には大きな断絶がある。たぶん両者は言葉も通じない。交流することもない。

ロシアに対して最も強い抗議をしているのがイギリスのジョンソン首相。ロシアが今までやってきたことを一番よく知っているのがたぶん英国。

PS. 2010年4月にポーランド政府専用機がカチン事件70周年追悼式典に向かう途中墜落し、カチンスキ大統領夫妻を始めとする政府要人たち乗員乗客96名全員が死亡する大惨事が起こっていたことを初めて知った。さらに、カチンスキ大統領が双子で、兄弟共に政治家だったことも知った。

2022年3月26日土曜日

山田杏奈「樹海村」(2021)

「樹海村」(2021 東映)を見る。「犬鳴村」とほぼ同じ質感で作られた第2弾。脚本監督は全作と同じく清水崇
今回のヒロインは山田杏奈山口まゆ。若手女優はホラー映画に出がち。

樹海の中を走る一本道を車でパトロールする國村隼。自殺者を見回ってる?いきなり歩いてる青年がいたりしてビビる。だが、ボロボロの衣服を着た子どもが飛び出してきてビビる。そしてタイトルが出る。

次の場面では近年のホラー映画のお約束となりつつある能天気ユーチューバーが樹海の中を独りで歩きながら自撮りスマホ実況配信。こういうことするなよ。
で、自殺者?という人が歩いているのを発見。インタビューを試みようとするも見失う。そして…、ヤバすぎる結末までが実況配信される。
ちょっとまて、このアッキーナという女は「犬鳴村」でも呪われて死ぬ役じゃなかったか。

その配信を見ていたのがヒロイン天沢響(山田杏奈)。典型的なひとり部屋ネットユーザー。姉の友人が結婚するので引っ越し準備中。森の中の一軒家。この家からしてなんかこわい。
で、床下スペースで謎の「箱」を発見する。異常に不気味なコンクリートブロック。この箱を開けることに響は異常に恐怖を感じる。
これが「呪いの箱」?!「前の所有者が置いていったんだろうな…じゃあ処分しとくわ」という男性が箱を持ってクルマに乗り込もうとした矢先にトラックにはねられ即死。テンポがスピーディーすぎるだろ。

山田杏奈は特別かわいいとか美人というわけでないのでリアル。都市伝説ホラーをネット上の仲間たちとワイワイ楽しそうにチャットしてる最中に霊現象とか。

で、箱を発見したときその場にいた人に次々と起こる不幸な事故。これは「箱」のせいだと考えざるをえない。金髪男の実家住職が一晩かけてお祓いすることになる。みんなで泊る。
妹が隣で寝てるのに姉の蒲団に金髪男が夜這いという女犯(にょぼん)w

部屋を抜けだした響は住職(高橋和也)がお祓いをしているところを目撃。あきらかに焦燥。そして響は寺の本堂が霊だらけなのを見る。悪夢は止まらない。

翌日、なぜかアッキーナ捜索隊というオフ会w ホラー映画でありがち風景。響はつぎつぎと不気味な幻覚を見る。呪いの箱が感心するほど不気味。
そしてその夜、寺は炎上。監視カメラ映像によれば、火をつけたのは響?!
響を統合失調症と診断する医師が塚地武雅。(内村コントみたいでちょっと笑ってしまった)
え、響の母親は13年前に自殺してる?!原日出子さんはお婆ちゃんだったのか。
放火娘の家族にはひどい嫌がらせ。これが日本の田舎だ!

「箱が置かれた家は家系が絶える」「子どもを呪いから守るため箱を樹海に戻た」という母から聞いたという話を響は姉に伝える。
そして祖母が急死。新婚の親友美優も呪いの箱と赤ん坊の声に導かれ行方不明。どんだけ強い呪いなんだよ。
ここから先は姉鳴(山口まゆ)が主人公になる。早く謎を解かないととんでもないことになる。
姉妹の死んだ母が安達祐実なのかよ。「犬鳴村」みたいに時空を超える。呪いの箱が昔からわが家にあった?!

そして残された若者3人が失踪した美憂を探して樹海へ謎解きに向かう。スマホのGPSアプリと地図アプリで。
そこに國村と山下リオ。樹海見回りボランティア?このふたりからかつて行われていた「口減らし」という恐ろしい風習を知らされる。だが、「箱」については口を閉ざす。

響が燃やしたはずの呪いの箱はまだどこかに存在する?響はヒステリックに怯える。
担当医塚地も狂って飛び降り自殺。美憂の夫の真上に落ちて二人同時に死亡。
翌日捜索隊が樹海で樹木に埋まった状態の美憂を発見。金髪男は自分の指を切っているかと思ったら首も切る。おぞましすぎる。気づいたら登場人物のほとんどが死亡。とにかくテンポよく恐怖を畳みかけてくる。

鳴はかつて國村が保護した幼い姉妹が自分達であることに気づく。鳴は響の部屋で樹海村と箱の置き場所を示す絵地図を発見。スマホで写真をとって記録。すると背後に箱が出現。
鳴が箱を地図の場所にに戻す。すると樹海で彷徨うアッキーナとフォロワー捜索隊一行に遭遇。みんな疲れ切ってるけどどこか陽気。だが彼らは無残な死体だった。鳴は気絶。

目が覚めると自分は縛られている?!霊たちに指を切断されそうになる。そこに母が現れ助けられる。逃げる途中で樹海の穴に転落。
でもそこはかつて母も落ちた穴。これはとても這い上がれそうにない絶望。蘇る記憶。
そのころ病院の響きは身を挺して鳴を助けようと奮闘。

「樹海村」は「犬鳴村」以上に不気味で怖かった。もうこれからは樹海の道とか通るのが嫌かもしれない。
二段階エンドロールとかやめろ。

樹海とかいうグリーンインフェルノが首都圏近くにあるという事実。いたるところに呪いの存在する日本は怖ろしすぎる。
誰か早くこの恐ろしい呪いをプーチンとその側近たちにかけろ。清水崇がひとこと「プーチンに呪いをかけた」と言うだけでも効果があるに違いない。次回作はそういうのをよろしく。

2022年3月25日金曜日

沈黙 サイレンス(2016)

マーティン・スコセッシ監督の「沈黙 -サイレンス-」(2016 パラマウント)を見る。脚本はジェイ・コックス。日本での公開は2017年1月。配給はKADOKAWA。原作はもちろん遠藤周作の「沈黙」。遠藤は欧米でもその名を知られる日本の大作家という扱い。

この映画、制作されていたときから気にしてた。でも、切支丹弾圧という地獄を描いてるのでそれほど見たくもなかった。その後、原作も読んだ。ようやく見る決心。

冒頭から雲仙の熱湯をかけるという拷問シーン。日本にかぎらず昔からお役人というものは「なぜにそこまでその仕事を頑張れる?」というぐらいにこういうことにシャカリキになる。すごく威張ってる役人がいる。
それは今の日本の警察も同じ。交通違反が起きやすい場所で待機していて不運なドライバーを呼び止めるだけの簡単なお仕事みたいな。一般市民よりも自分たちが上にいるということを確認できるみたいな。

江戸時代初期、イエズス会宣教師ロドリゴ(アンドリュー・ガーフィールド)とガルペ(アダム・ドライヴァー)のもとに、日本で潜伏布教中のフェレイラ(リーアム・ニーソン)が棄教したと知らされる。あのフェレイラ師が?信じられん。
2人は恩師と救いを求める信徒のために、ヴァリニャーノ神父を説得し危険な日本へ渡ることを決意。このへんは原作のイメージそのまま。

マカオでただ一人の日本人キチジロー(窪塚洋介)と出会う。この人は漂流者?本人は否定するけど切支丹?そしてキチジローを案内役に徒手空拳で日本潜入。これは心許ない。

トモギ村の老人(笈田ヨシ)がふたりの前にやってくる。もう長崎は危険すぎる。決死の潜入。村のじいさまは神父不在のため代わって村人を洗礼していた。ロドリゴとガルペが来たことでやっと村人に布教できる。

ロドリゴとガルペのふたりはフェレイラの消息を探るのだがこの村人たちはよその村の事はわからない。村のばあさんがこれ以上ないぐらいに不気味に描かれてる。やたら虫の鳴声が強調されてる。
コヒサン(告悔)にやってくる村の女が片桐はいり。言葉がほとんど通じなくて神父は戸惑う。ちょっと面白いシーン。虱だらけの汚い小屋で一日中過ごすしかない。ふたりはイラついて口論。

ふたりの神父が潜伏していることは五島にも伝わる。どうやってここの居場所を知った?キチジローから聴いた。でもやつは切支丹じゃないのでは?キチジローは8年前に踏み絵により棄教したが家族は処刑された悲しい過去。そうだったのか。小舟で五島に渡るシーンがすごく幻想的。
キチジローは出身地の村に二人を連れて行き布教活動を支援。切支丹の村人はみんな信仰に必死。信仰の証を求める。そしてフェレイラの消息と居場所をつかむ。

だが長崎奉行・井上筑後守(イッセー尾形)がやってくる。霧の向こう側から微笑みながらやって来る。宣教師の身柄引き渡しを要求。モキチ(塚本晋也)ら4人が人質。
踏み絵はクリアするものの、キリスト像に唾を吐くのは無理。キチジロー以外の3人は棄教できずに磔にされ荒波にもまれて絶命。なぜそこまで頑なに信仰を守ろうとする?

一部始終を見てるしかないロドリゴの苦悩「なぜ神はこれほどまでに苦しい試練を与えながら沈黙を?」

ロドリゴはキチジローに売られる。キチジローは銀貨を投げ与えられる。
ここで初めて小松菜奈と加瀬亮が登場。みんな囚われの切支丹。もれなくみんな汚い身なり。小松はわりと長い英語セリフがある。
そしてロドリゴと井上筑後守と問答で直接対決。お前が信仰を否定すれば村人は助かる。

さらに通辞(浅野忠信)とも問答。必死に表面上だけでも棄教を勧める。だがロドリゴは頑な。イッセーと浅野がほぼ日本全権代表。表面上にこやかで穏やか。

お白洲での一部始終(かなりショッキング)を見せられる。加瀬亮は殺されるためだけの役。
簀巻きにされた百姓が海に沈められる様子を見せられる。ここで小松菜奈も殉教。同僚ガルペも溺死。もうやってることがヤクザ以下で邪知暴虐。この世の地獄。
どうしてこういう仕事を粛々とこなせる役人と手下たちがいるのか?頑張る必要のない仕事を執拗に頑張るのか?暇なのか?
だがそれはスペインにおける異端審問の末の火あぶり処刑だって同じだろ。
そしてロドリゴはフェレイラ元神父と対面。最後の問答。フェレイラも信仰を棄てることを勧める。「もうこの国での布教はあきらめた。」
さらにロドリゴ牢のそばで切支丹村人たちの「穴吊りの刑」が始まる。殉教者たちの苦しみの声を聴かされる。もう発狂するしかない。
ここでようやくロドリゴはイエスの声を聞く。「私を踏みなさい」

日本をまるで収容所列島のように描く。日本は世界で稀なキリスト教が広まらなかった国。国民は祖霊崇拝と日本の神々を棄てられなかった。人々は貧しく教育もないのに妙に理屈っぽい。キリスト教をどんどん独自解釈で曲げていく。それによってザビエルも悩んだ。この国だけは布教は無理なんじゃないか。

もし幕府が禁教政策をとらなければ島原の乱は日本中で起こっていた?太平天国の乱のようなことが起こっていた?井上筑後守の言う通りキリスト教は危険?
心の問題に対して、同じ人間をあそこまで残虐に殺せるのか?日本の官憲は明治昭和になっても社会主義者を同じように扱う。

2022年3月24日木曜日

遠藤周作「侍」(昭和55年)

遠藤周作「侍」(昭和55年)を新潮文庫で読む。支倉常長(1571-1622)については名前しかしらなかった。この小説を読むことでお勉強。

長谷倉六右衛門は貧しく痩せた谷戸で百姓同然の郷士。「また戦さがあれば先祖伝来の黒川の旧領を取り戻せる」が口癖の老いた叔父と、妻とふたりの子と暮らしてる。すでに徳川の時代となり社会も安定。訴えも一向に聞き入れられない。一生この谷戸から出られないだろうな…。
だが、上役の白石さまや石田さまの推挙で、江戸から送られて来た神父と紀州に漂流したサンファン・バプティスタ号に同乗し、使者衆としてノベスパニヤ(メキシコ)に行くように指示される。村の若者たちも従者として。

この小説の主人公は「侍」もしくは「六」と書かれている。この人目線で語られる。
そしてもう一人の主役が通詞ベラスコ神父(ルイス・ソテロ神父 1574-1624 がモデル)。
神父にしては傲慢で出世に野心的。他の会はよく思わないけど、自分のやりようで日本でキリスト教を布教したい。すでに切支丹は御禁制の時代。大弾圧は世界に知られてる。

侍は同僚の田中、松木、西とそれぞれの従者たちと共に、月の浦から出向。途中で2度の嵐、負傷、船酔い、栄養不足などで乗員乗客が死亡する過酷な旅。2か月半の航海の後にノベスパニヤのアカプルコ要塞へ到着。
だが、あれ?日本人が歓迎されていない。侮蔑されたと感じ、怒りと不満はベラスコ神父へ。右も左もわからない異国ではベラスコ通詞を介してしか現地の情報は得られない。本当のことを伝えてくれてるかわからない。

頭のいい松木は「我々は捨て石。海の藻屑になればよいし、使者として上手く勤められなければ不忠勤で罰せられる。うるさい土地の訴えをなかったことにできる」と訳知り顔で解説。忍耐と諦めの谷戸で育った六には政治のことなどなにもわからない。

六はベラスコから見ても見栄えのよくない愚鈍な印象。なんでこいつが使者なの?日本人は心を表情に出さないし、どんなに説いてもキリスト教を受け入れない。
一方で六から見たらベラスコは体臭が臭いし、油断のならないやつ。

使者への正式なエスパニヤ国王の返答に半年から1年かかると言われて絶望。勤めを果たすためにはエスパニヤに行くしかない。従者の与蔵も運命を受け入れるしかない。
メヒコからベラクルスに向かう。松木らは日本人商人たちは残り、先に日本に帰る。

途中のプエブラという街近くの村で元修道士だという日本人と出会う。「切支丹に嫌気がささした」「自分は切支丹だがパードレの説く切支丹は信じない」
エスパニヤ人たちは原住民インディオを殺戮した。それを見れば、立派な教会にキリストはいない。憐れなインディオたちの心にキリストはいる。
ワシュテカ族の叛乱で田中の従者が重傷を負う。それが元で後に死亡。落ち込む。

そしてエスパニヤのセビリヤ、トレド、マドリッド。南蛮の街は発展してる。ベラスコは日本人たちを国王に会わせる画策。だが、ベラスコを快く思わないペテロ会が邪魔をする。これは日本人に洗礼を受けさせないといけないかもしれない。
長谷倉らは洗礼に抵抗があったのだが、方便としてしかたなく受ける。(洗礼を受けてしまったことが後々大問題)
長谷倉にはあの針金のように痩せこけうなだれた男の像の姿が何度もフラッシュバック。なぜあの男の姿が必要なのか?と考える。

修道士会議で日本での布教存続派はベラスコただひとり。教会組織としては日本撤退が主流。ベラスコの敗北。
ローマ法王パウルス5世への直訴もむなしい結果。エスパニヤへもどり、ノベスパニアに戻り、田中はお勤めを果たせなかったことを苦に自害。

長谷倉と西はマニラから長崎を経て三陸に帰還。だがあれ?誰も出迎えがない。切支丹禁制がさらに強まってノベスパニヤとの交易と使者を送ったこともなかったことに。
旧領を取り戻すどころか、逆に謹慎でよかったとか、これが政事だとか、運が悪かったとか、不満を持つなとか、言われる。こんなはずじゃなかった。ひっそり目立たぬよう谷戸で暮らすしか選択肢がない。

史実と合ってるのかわからないのだが、この小説では長谷倉と西は自害、日本に再び舞い戻ったベラスコも殉教処刑ということになって終わる。
あの苦難の大旅行はなんだったのか。虚しさ百倍。

切支丹大弾圧に加担した豊臣徳川と諸大名旗本たちは永遠に呪われた。なぜここまで残虐になれるのか。だが、キリスト教の歴史も狂ってる。布教を理由にどれだけ現地人を殺したのか。信仰って一体何なんだろうね?
自分の読んだ感じだと「沈黙」以上の傑作。広くオススメする。

2022年3月23日水曜日

欅坂46「風に吹かれても」(2017)Type-C盤を手に入れた

欅坂46「風に吹かれても」(2017)Type-C盤を手に入れた。このシングルが何枚目のシングルだったのかも思い出せなくなっていた。グループ崩壊の引き金をひいた「不協和音」から半年後の5枚目のシングルだった。

よせばいいのに他に行くところもないので、ついハードオフをのぞいてみた。このCDをジャンク箱の中から55円で見つけた。さらにその日がたまたま15%オフだった結果、46円で手に入れた。救出した。(欅坂のCDは今ではかなり安価)

C/W曲の「それでも歩いてる」という曲がまったく思い出せない。ああ、ひらがなけやき楽曲か。「Re:Mind」の主題歌だったやつか。もう何年もまったく思い出したこともなかった楽曲だ。
これを拾い上げ連れ帰った理由は、特典映像DVD「グループ発展祈願の旅 〜埼玉編〜」(齋藤冬優花、佐藤詩織、志田愛佳、原田葵、平手友梨奈、井口眞緒、柿崎芽実、佐々木美玲)という38分ほどの映像。たぶん見たことないやつ。

だが、家で酒飲みながら見てみたら、なんとなく見た覚えがあった。メンバーが東武動物公園へ出かけ、縁起のいい動物と触れ合おうという企画。
グループ発展祈願の旅という企画が今見ると悲しい。発展どころかまもなく瓦解。どんだけ縁起のいいことをしたところで無駄だった。
みんなあんまり楽しそうじゃないw 齋藤冬優花ががんばって場を仕切ってる。原田葵が今とはまったくの別人というぐらいに色黒でガリガリに細い。みーぱんも柿崎も大人しく神妙。
もうこの時期は平手のメンタルが不安定なのだが、この映像ではわりかし楽しそうにしている。ほとんど喋らない。出しゃばらない。

巨大蛇と触れ合おうとして佐藤詩織がやたらパニックできゃーきゃー騒ぐ。そういうのいいから!と、見ててちょっとイラついたw
越谷に移動してBBQの場面では、平手友梨奈は志田愛佳と一緒にいることが多かった。この二人をみて「あ、不良」と思って見てる自分がいた。
このふたりが肉を焼くのだが、とにかくやることなすことが雑!w 思い切りがいいというのか、テキトーというのか、問題児。高級食材がもったいない。

平手の隣に柿崎芽実。まだラブラブ仲良しにはなっていなかったようだ。
平手さんが時折見せるラブリーで可愛らしい表情をこの当時は「キャロてち」とか呼んでいた。もう今では平手さんをカワイイと呼ぶ声も少ない。

柿崎さん(現在20歳)は今頃何をしてるんだろうか?
芸術家であるパパ柿崎氏のツイート(3月22日)によって、どうやら父のアシスタントをしてアートの現場にいることが判明。
このDVDを見た所で、何も楽しくなかったw 齋藤の「これから欅坂はもっともっと楽しくなる」との発言が悲しかった。

2022年3月22日火曜日

堀未央奈「ホットギミック ガールミーツボーイ」(2019)

乃木坂46の堀未央奈が主演した映画「ホットギミック ガールミーツボーイ」(2019 東映)を今になってやっと見る。
原作は小学館「Betsucomi」連載の相原実貴「ホットギミック」。脚本と監督は山戸結希。この監督は「溺れるナイフ」でも知られている。(自分としては苦手な映画だった。)
女性の若手監督はMVみたいな映画を撮りがち。あまり期待せずに見る。

堀未央奈は乃木坂在籍時にはわりと人気メンバーだったはず。だが、卒業後はぜんぜん見かけない。どういう活動をしてるのか自分はよく知らない。

この映画が最初から堀未央奈のドアップから始まる。なかよし妹が桜田ひより。会話で説明。幼なじみ金髪男梓(板垣瑞生)がスターになってしまったらしい。
なぜか橋の上でバイトに向かう兄と出会う。投げたものを通りがかった高校生がキャッチしたりといろいろ不自然なMVみたいな映像が続く。ぜんぜんのみこめない。アレは妊娠検査薬だったのか。

豊洲の不気味なマンション群。一緒の高校に通う不気味な男が清水尋也。こいつが全国レベルの秀才。妊娠検査薬の件でヒロインを脅迫。
ヒロインの兄間宮祥太朗も粗暴そうで不穏で不気味。この兄が一橋大という設定なのに異常な量のバイトを詰め込んでいる。
顔のアップ映像が多い。まるで日本映画な感じがしない。周囲が悪意だらけなことを細かいテンポのカットバック映像でつないでいく。

金髪男の喋り方がかつての窪塚洋介のよう。少女コミック映画でしかみないような喋り方。虫唾が走る。
どSイジメ男がやたらイジワルで罵る。構ってくる。「オマエは奴隷」「俺にキスしろ」こういう男と一緒にいようとしてる女はどMにしか見えない。「周囲にやりまくりだって言いふらすぞ」これはもう完全に侮辱罪。

しかもその間中ずっとアレンジされたクラシック風音楽がやたらうるさく流れてる。会話シーンが相手の話したことを受けて反応するのに間合いがないマシンガン。まるでCM。開始20分でもう見ていて疲れた。こういう演出だと演技の稚拙さは目立たない。
いやもうずっと不愉快シーン。こういうのは女子高生しか見ない映画では?

この集合住宅ドラマは各家族たちの不倫ドラマなの?!その件で子どもたちが悩むとか、横溝正史なの?血のつながらない兄と妹とか、どう見ればいいの?

金髪男梓の父が反町隆史なのだが明らかにできる男という感じのビシッとしたスーツ姿。パスポートを送り届けるよう頼まれるのだが、金髪男の仕事場に行くと他の女たちがやっぱり妬みとやっかみのイジワル妖怪たち。
だがその場で梓から夜デートに誘われる。この時初めてヒロインは今までで最高の映画を見せる。

女子高校生に酒飲ませるなよ。って思ってたら、やっぱり何か薬物を仕込んだのかよ。
兄がその場にいたおかげで家に帰ることができた。だが、スマホでやりとり。「かわいいなあ」連発の甘い言葉で裸の写真を送ることを要求。こいつも悪意かよ。そんな動画を送るなよ。
そして、山戸結希映画には志磨遼平が出ることになってるのかよ。

梓のマネージャー吉岡里帆も大人失格の酷さで笑った。「女が欲しくなったら世話するから」
実はどSかまってちゃん清水は言葉遣いが悪いだけでちゃんとしてたw けど、セッ〇スとかそんなことばっか言ってんなよ。これを他の乃木メンたちは見たのか?

大人たちが不在の子どもたちだけの世界映画。娘が不良に接近するという恐怖。周囲の男がみんな悪い奴ら。口も悪いし差別意識も強い。

堀未央奈の顔が個性的すぎ。それほど可愛く見えない。そもそも可愛く撮ってない。
若者だけに向けたMVみたいな映画。なのに暗い。見てよかったことはあまりない。退屈だった。苦行だった。これが初映画だった堀が気の毒。

2022年3月21日月曜日

清原果耶「夏への扉 キミのいる未来へ」(2021)

「夏への扉 -キミのいる未来へ-」(2021 東宝、アニプレックス)を見る。これはロバート・A・ハインライン作「夏の扉」(1956)の世界初映画化。監督は三木孝浩、脚本は菅野友恵。

主人公のエンジニア青年役が山﨑賢人。この俳優は毎回毎回チャレンジャーとしか言いようがない企画ばかり。
もちろん色々と設定を変更している。なんと1995年と2025年の日本に舞台を変更。まあそれは致し方ない。
だが、この映画の話題とか口コミとか一切聞いたことがない。原作を数年前に読んだときも、正直世評ほどには面白いと感じなかった。なのであまり期待せずに見る。

3億円事件のあった1968年から日本の出来事を振り返るのだが、どうやらパラレルワールド日本が舞台らしい。主人公の宗一郎(山﨑賢人)は幼少にして父を亡くして猫のピートを拾う。少年はロボット工学を学ぶ。やがて育ての親をも亡くす。主人公はすでに有名なロボット技術者。映像とナレーションで駆け足説明。
清原果耶が出ているので見た。育ての親松下博士の娘璃子。血のつながらない兄と妹的な存在。セーラー服にルーズソックス女子高生。聴いている曲がミスチルCROSS ROAD。日本の冬らしい寒色の映像。

さらに夏菜がやってくる。こいつが婚約者。ということは、原作を読んでいる人は「アイツか!」とわかる。しらじらしい詐欺師に見える。
株式を譲ったらたちまち豹変し株主総会。共同経営者眞島秀和と夏菜が組んで主人公宗一郎は取締役を解任される。自身の開発したロボット技術と会社を奪われる。自宅研究室からもすべてを盗まれる。酷い話やでまったく。「夏の扉」というタイトルからほど遠い不快なシーン。ちなみに社屋が高崎にある群馬音楽センターだ。

すべてを失った宗一郎の元には璃子しかいない。「ずっと好きだった」
宗一郎が行く場所が九十九里ビーチタワー。知ってる場所ばかり。

性悪女夏菜にいきなりインシュリンを首にぶっ刺され昏倒させられ無理矢理コールドスリープ。ほぼ殺人。
30年後に目覚めると、あれ?担当医が同じだ。猫のピートはどうした?

ピートと呼ばれる介護ヒューマノイドが藤木直人だ。この辺はまるで原作と違う。視聴者に説明する人物が必要ということか。
だが、30年眠っている間にコールドスリープ会社は破綻し全ての財産も失ってたという設定はそのまま。
さらに璃子の死も知る。コールドスリープで問題先送りが絶望的な浦島太郎という結果に。

あとは、つじつまの合わないことを確かめないといけない。30年経って太った夏菜が言ってた株券を持った男って誰?

話の入り組んだタイムリープと完璧な復讐の話。原田泰造が信用できるいい人でよかった。これ、原作読んでない人が一回見ただけで理解できるのか?もっと単純でないとラブストーリーとして人を感動させることはできない。

かの「夏の扉」を日本を舞台に実写映画化という難しいミッション。ラブストーリーをメインに大幅に改変。改変した部分と残したところの判断は良い。改悪!と言おうと構えていたのだが、予想していたよりも悪くなかった。スカッと爽快!清原果耶のおかげで見ていられた。

しかし、画期的な発明をする才能が有り、悪い奴らを不幸にし、かわいい女の子も手に入れるのは都合よすぎ。日本人はそこまで完璧な幸せを手に入れる青年を許容できない。

1995年の世界が、阪神大震災と地下鉄サリン事件の間であることに気づいてハッとした。だが、その件はまったく出てこない。
あと、2025年にヒューマノイドAIロボットはできてないと思う。
主題歌はLiSA「サプライズ」

2022年3月20日日曜日

平手友梨奈「さんかく窓の外側は夜」(2021)

「さんかく窓の外側は夜」(2021 松竹)を見る。これもコロナで2020年秋公開が翌年1月に延期になった映画。ワタナベエンターテインメントと松竹の企画制作。監督は森ガキ侑大。脚本は相沢友子。原作はヤマシタトモコによる霊能力サスペンスホラーマンガ?!映倫PG12。

三角康介(志尊淳)は気が弱い書店店員。子どものころから霊が見えてビビリまくりで大人になった今も勤務中に霊が見えてしまう。
冷川理人(岡田将生)は未解決事件で警察に協力するほど有能な除霊師。三角くんの能力を見込んで助手を依頼。なんかこのふたりの接触の仕方にBL要素っぽいものを感じる。
その辺をうろつく霊は上司からのパワハラで自殺したんだったらクソ上司を呪えよ。

最初は拒否していた三角くんは冷川を受け入れる。焼き肉店で契約。そんなわけのわからない契約書にサインさせられるとか嫌だな。
三角くんの母は和久井映見さんなのかよ。ま、そういう年齢か。
そのころ街では若い女性の連続バラバラ殺人事件が連続で発生中。滝藤賢一刑事が事件を追う。(こんなヘアスタイルの刑事っているの?)
冷川の事務所にやって来る。被害者それぞれのカラダの部分が見つかっていない。それぞれを合わせると一人分。(この説明を聴いて、島田荘司「占星術殺人事件」を連想。殺人と解体シーンとか映すな。)

女子高生非浦英莉可(平手友梨奈)は通りかかっただけの美人北川景子を強い意志で呪い殺す。なんで?景子がチョイ出演すぎる。殺されるためだけのワンシーン出演。
しかもなぜ呪い殺されなくちゃならなかったのか?最後までその理由がわからない。

この時期の平手はメンタル激ヤバ期で、連日のように欅坂とそのファンを恐怖に陥れていた日々。北川さんはずいぶんと平手に気を使っていた。なのに何このシーン?平手が邪悪で凶悪すぎる。平手は呪い人形のために人を操って女性を殺してる?悪魔だ。
冷川もなんだか怪しい。三角くんに勝手に△マークを付けることで縛り付けてる?呪いを放置し、呪いを説いて金を得るのが冷川。こいつも悪魔か。もうなにがなんだか。

刑事は15年前の新興宗教施設での大量の死体発見という恐怖体験を三角に語る。その教祖が冷川?
この映画、ヒンヤリした画質が良いのだが、どう見ればいいのかわからない。平手はとある代議士とその周辺を呪ってる?現在地を見失う。

平手は刑事に呪いが効かないと知るやその妻を呪う。目から血を流し続ける。オカルトホラーすぎる。ジャンル的に「ドクタースリープ」みたいな?
平手も目から血を流してあえぐ。ここを見るとステージから転落した平手を思い出してしまう。もうヤダ。怖い。通り魔殺人事件がフラッシュバック。

髭面教祖筒井道隆が「呪い」の中心にいる最大の敵?貯金箱とか何?
やたら会話シーンが多い。やたら過去の記憶がフラッシュバック。時空を超えすぎ。イメージ優先。
おぞましい呪い地獄。きっとたぶんサンバルテルミの虐殺とかこんな感じ。今こんな呪いがプーチンロシアに求められている。

新機軸ではあるが正直退屈。こういうのは女子高生やアニメ好きに向けたラノベホラーっぽい。
平手友梨奈は画面に居るだけで画がもつ。強い存在感。雰囲気ある。

音楽が良いなと感じた。音楽担当は山口由馬という人だ。
主題歌ずっと真夜中でいいのに。「暗く黒く」

2022年3月19日土曜日

春日太一「市川崑と『犬神家の一族』」(2015)

映画監督市川崑(1915-2008)生誕100年にあわせて新潮新書より2015年11月に出版された「市川崑と『犬神家の一族』」を読む。やっと読む。

著者の春日太一氏はまだ40代だというのに、まるで70歳ぐらい?と感じる程までに時代劇と日本映画に特化した膨大な知識を持っている。感心しかない。
本の裏の著者経歴を読むと、この人は「時代劇・映画史研究家」という肩書を名乗ってる。大学院でガチで時代劇映画を研究した人だった。

この本は三章に別れている。第1章が市川崑の映画監督人生。第2章は、「犬神家の一族」がなぜこれほどまでに面白いのか?その理由を市川のテクニックと脚本から分析し解説。第3章部が石坂浩二との対談。
どれもがとてもハイレベルで面白い。この人は語りが上手。活字であっても語り口が温和。

だが、吉永小百合さんについての「監督クラッシャー」という記述は敵をつくらないかと心配になったw しかし名監督たちが吉永小百合をどう撮ってきたのか?という見立てはわりと適格ではなかったか。

春日氏が日本映画を見始めた80年代の終りから90年代の初めころ、市川崑は巨匠の名にふさわしくない駄作を連発していた。春日氏も「キャリアの中でも決して褒められた出来とはいえない映画を撮っていた」と書いている。
自分も同じように感じていた。「天河伝説殺人事件」とセルフリメイク「犬神家の一族」、豊川悦司主演「八つ墓村」は、あの傑作シリーズを作った市川崑が同じような手法で撮ってるのに、ぜんぜん面白く感じなかった。

市川崑が都会的でスタイリッシュな傑作を撮っていたとき、傍らには和田夏十(わだなっと)というパートナーで脚本家がいた。そしてこの女性が市川にとって軍師ともいえる存在。
市川は頼まれた仕事は引き受けるタイプの監督。どう映画にすれば?という問題を和田に相談した。この女性脚本家の書く台本が観念を切り捨てた即物的なものだった。市川の都会的で突き放したような冷たい眼差しは和田との共作。
和田夏十が亡くなってから市川崑は迷走し始める。そのことを教えてくれたのは春日太一せんせいだった。

ヒッチコックはミステリーはサスペンス映画になりえないと考えていたらしい。それも春日先生から教わった。
そして、日本映画で唯一面白いミステリー映画になっているのが市川崑の金田一シリーズ。一体どうしてこれほどまでの奇跡を起こせたのか?春日太一の分析は読者をいちいち納得させる。

第3章で石坂浩二さんに金田一を撮影していたときのことを聞いている。石坂さんはインテリ俳優だし演出家だしナレーター。当時の事をすごくよく覚えている。市川監督と演技のことですごく真剣にやり合った。

市川監督は「犬神家の一族」の1本で終えるつもりだったのだが大ヒットしてしまい第2弾が決まった。「悪魔の手毬唄」で本当に最後のつもりが、さらに「獄門島」も撮ることになった。
第4作「女王蜂」は今度こそ最後のつもりだった。「火の鳥」の準備もあったので新東宝時代の盟友だった松林宗恵監督に協力を仰ぎ、重要なシーンを含め半分ぐらいを松林監督が撮影。それ、知らなかった。

市川監督は坂口良子をとても気に入っていた。「悪魔の手毬唄」に坂口良子が出演できないことをとても残念がっていた。自分もなんで坂口良子が出てないんだよ?って思ってた。

市川金田一におけるスタッフ出演についての石坂さんの証言。「悪魔の手毬唄」にブンちゃんという照明スタッフが「ねえちゃん、水がお湯だよ」というNGを出してしまい撮り直したのだがNGのほうが使われたとある。え、そんなシーンあった?と思い見返したのだが、そのシーンはなかった。ここ、石坂さんのカン違い?だとしても、校閲でそういうの正さないのか?(このシーンは後日、女王蜂のものだったことを確認した)

この本は市川崑と石坂浩二の金田一シリーズが大好きな人には絶対面白い。一読をオススメする。

2022年3月18日金曜日

広瀬すず「津田梅子〜お札になった留学生〜」(2022)

広瀬すず主演スペシャルドラマ「津田梅子〜お札になった留学生〜」が3月5日21時より放送された。こういった2時間スペシャルドラマで主演を張れる女優は本当の人気女優。

近年のこの手のドラマでありがちな、晩年(原田美枝子)からあのころを回顧するという形式。日本の女子留学生第1号津田梅子(1864-1929)の帰国シーンから広瀬すずとなる。
原田美枝子さんの見せ場がほとんどない。

北海道開拓使によってアメリカに送り込まれたまだ幼い少女たち。梅に至ってはわずか8歳。そんな子を留学させるとか何かおかしい。慣れない生活に心を病んで帰国する女子も出てくる。この時代はメンタルのケアという概念すらない?
10年後、やっと国のために尽くす人材になれる!と希望に胸を膨らませ帰国する。このシーンでは、あたりまえだが女子留学生たちは英語ネイティブになっている。幼少からずっとアメリカで暮らしていたのでは日本語の読み書き、マナーはまったく身についていないに違いない。

帰国するとすでに開拓使はなくなっていた。文部省の偉いお役人がめちゃくちゃ帰国した3人に対して失礼。「男だったら仕事もあったのにね」とけんもほろろ。こういうの、「あの男、気に入らない」と伊藤博文(田中圭)森有礼(ディーン・フジオカ)にとりあえず言ってみればいいのに。
アメリカのマナーが血肉となって見に着いた少女たちには日本の家父長制と旧態依然、男尊女卑は我慢のならない悪弊。気も沈む。
それでも留学生トリオ梅、捨松(池田エライザ)繁(佐久間由衣)には悲壮感もない。なぜなら働く必要のない華族の娘たち。
梅はなんとかコネで教師の仕事を得るのだが、外国人教師たちにくらべて給金が低いことにマジギレ。車代に給金の多くが消える。
怒りながら廊下を歩くシーンのすずが怖い。津田梅子、めちゃめちゃ気が強い。辞表を叩きつける。
めげずに梅は社交場で何か仕事がないかとあちこちで聞いて回る。しかし、みんな女性が働くことを想定していないらしくて冷たい。
言い寄ってくる男はバカにしたような表情と嫌味でピシャリとはねつける。そこは爽快。普段のすずもそうあってほしい。
今回、衝撃だったのが梅の母初子が内田有紀さんだったことだ。え、もうヒロインの母役なの?
内田有紀さんは今回のドラマでわりと存在感を出していた。夫仙(伊藤英明)の言う事にはいっさい逆らわない明治の女。まるで家政婦のよう。アメリカ帰りの娘からすると見ていてイライラしたかもしれない。
梅子の実家がものすごくデカい。まるで領主さま。
(ちなみに初子の姉竹子は松平春嶽の弟田安慶頼の側室で徳川宗家16代で初代静岡藩主徳川家達を生んでいる。つまり家達と梅子は従兄。)
捨松が大山巌から結婚を申し込まれてた。奥さんを亡くしたばかりで17歳年上の中年男性との結婚に反対する梅。え、この時代ってそんなの普通じゃないのか?今でも別にそのぐらい年の離れた夫婦は珍しくもなんともない。
鹿鳴館ができたのが明治16年。日本人が西洋人を猿真似する姿の滑稽さ。
女好き酒好きキャラの伊藤博文シーンも出てきた。こいつの家で住み込み家庭教師することには両親も反対。

今回のドラマは女優たちの明治西洋ドレス姿が見もの。博物館に保存されている衣装や古写真、錦絵などを参考に衣装スタッフさんの努力。
梅は華族子女の学校で英語を教えるのだが、生徒たちがみんなまるで加入したばかりの乃木坂のような生徒たち。声が小さくうつむきがち。そんな女子たちにスパルタ指導。教えても反応が薄い生徒たちにどんどんヒステリックになっていく。「そういうの求めてない」と下田歌子(平岩紙)からやんわり否定される。教育に情熱を燃やす梅の焦り。
留学したものの1年で脱落した亮役の女優はどこかで見たことが…と思ってたら、「鎌倉殿の13人」に阿波局役で出てる宮澤エマだった。このタレント女優のことはまだよく知らないのだが、宮澤喜一を祖父にもつセレブリティー家庭に育った人だった。もうすでに33歳なのにずいぶんと推されてる印象。

急に見なくなった亮を探して方々に話を聴きに行く梅。父から結核で死んでいたことを知らされる。哀しい。
津田梅子といったら津田塾大学だろと思ってた。なのにぜんぜん津田塾が出てこない。最後の最後でやっと出てくる女子英学塾がその前身らしい。え、こんな寺子屋みたいな学校だったの?

そういえば津田梅子や渋沢栄一が肖像となった新紙幣が出るらしいのだが、部屋のあちこちに埋もれてしまっている旧紙幣っていつまで使えるんだろうか。