2022年3月3日木曜日

梟の城(1999)

「梟の城 Owls' Castle」(1999 東宝)を見る。これ、過去に何度かテレビで放送され見る機会もあったのだが、公開当時からSFXとCGによる安土桃山建築内部の映像を「ダメだこりゃ」と思っていて見ようと思えなかった。10月にBSプレミアムでやってたので録画して見た。

この映画にあまり関心がなかったので知らなかったのだが、監督脚本は篠田正浩だったのか。製作総指揮は羽佐間重彰。1999年10月公開。もっと昔の映画だと思っていた。

自分、中学時代に「梟の城」を新潮文庫で読んでいた。司馬遼太郎の直木賞受賞作。忍者と忍者の闘いを描いた史実でない創作娯楽フィクション読物。今もって読み返そうと思ったことがない。そろそろ読み返してもいいかもしれない。

織田信長による伊賀の里侵攻と虐殺から始まる。信長は極悪。叢からわらわらと旗指物が現れる不穏なシーンから良い絵が撮れてる。
アフガニスタンもタリバンをしっかり掃討しておかなかったからアメリカも撤退する羽目になった。権力の支配が及ばない武装集団は消しておきたい。
山奥で隠遁生活を送る伊賀忍者・葛籠重蔵(中井貴一)の元へ秀吉暗殺の依頼。こいつはめっぽう強いし頭も切れるスーパー忍者。

90年代の美人女優といったら鶴田真由葉月里緒菜。ふたりとも今では50前後になってるのだが、あまりドラマでも映画でも見かけない。
戦国時代に男女が出会って恋が芽生える場所といったら女郎と飯盛り女のいる旅籠屋。ねっとり交わった末に心が通じ合う。小萩(鶴田真由)は宗久の養女?そういうの、すべて司馬遼太郎。
重蔵は堺へ京へ。秀吉暗殺計画の黒幕は今井宗久?幼子鶴松が死んだことで狂ってしまった秀吉は朝鮮役を始める。商人にとっては商売の邪魔でしかない。

淀がふたたび懐妊。秀吉に跡取りができた。重蔵はふたたび隠遁。だがそこに小萩。そして刺客。
このシーンの刺客が会話してる間なんでぼーっと突っ立ってるだけなの?って思った。
かつての仲間風間五平(上川隆也)は敵方?!

そして花見の能での秀吉暗殺未遂事件。突然の雷雨で失敗。さらに甲賀の摩利支天洞玄(永澤俊矢)が敵ボスキャラとして登場。重蔵の仲間を皆殺し。(なのにこいつの最後はショボかった)

木さる(葉月里緒菜)の声質と喋り方が時代劇らしくない。ほぼ現代人。この女優、こんな声をしてたのか。正直、葉月がこの映画でいちばん演技で浮いていたと感じた。今見ると福原遥っぽい顔してる。
忍者アクション映画は難しい。リアルに徹して娯楽作品として両立するのは難しい。敵と呪文合戦するな!いい年して恥ずかしいだろ!と思った。 
けど、カット的に安土桃山ぽさはよく出来ていた。画面的に美を感じる箇所もあった。(ゲームみたいなCG以外で)なくはない映画だと感じた。湯浅譲二の音楽が良いなと感じた。

五平が忍び込んだ賊(重蔵)と間違われて捕らえられ、前田玄以に見捨てられ石川五右衛門(なんでそんな名前を名乗った?)として釜茹で刑にされるのは憐れ。京都人たちは暇人なのか高みの見物。よく公開処刑見物なんかできる。てか、重蔵はなんで秀吉をあの場で殺さなかった?

五平が街でのいざこざで奉行所の役人が介入してくるのだが、この役人の感じがリアルに現代の警察官のような気持ちの悪さ。そこも評価する。

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