2022年3月18日金曜日

広瀬すず「津田梅子〜お札になった留学生〜」(2022)

広瀬すず主演スペシャルドラマ「津田梅子〜お札になった留学生〜」が3月5日21時より放送された。こういった2時間スペシャルドラマで主演を張れる女優は本当の人気女優。

近年のこの手のドラマでありがちな、晩年(原田美枝子)からあのころを回顧するという形式。日本の女子留学生第1号津田梅子(1864-1929)の帰国シーンから広瀬すずとなる。
原田美枝子さんの見せ場がほとんどない。

北海道開拓使によってアメリカに送り込まれたまだ幼い少女たち。梅に至ってはわずか8歳。そんな子を留学させるとか何かおかしい。慣れない生活に心を病んで帰国する女子も出てくる。この時代はメンタルのケアという概念すらない?
10年後、やっと国のために尽くす人材になれる!と希望に胸を膨らませ帰国する。このシーンでは、あたりまえだが女子留学生たちは英語ネイティブになっている。幼少からずっとアメリカで暮らしていたのでは日本語の読み書き、マナーはまったく身についていないに違いない。

帰国するとすでに開拓使はなくなっていた。文部省の偉いお役人がめちゃくちゃ帰国した3人に対して失礼。「男だったら仕事もあったのにね」とけんもほろろ。こういうの、「あの男、気に入らない」と伊藤博文(田中圭)森有礼(ディーン・フジオカ)にとりあえず言ってみればいいのに。
アメリカのマナーが血肉となって見に着いた少女たちには日本の家父長制と旧態依然、男尊女卑は我慢のならない悪弊。気も沈む。
それでも留学生トリオ梅、捨松(池田エライザ)繁(佐久間由衣)には悲壮感もない。なぜなら働く必要のない華族の娘たち。
梅はなんとかコネで教師の仕事を得るのだが、外国人教師たちにくらべて給金が低いことにマジギレ。車代に給金の多くが消える。
怒りながら廊下を歩くシーンのすずが怖い。津田梅子、めちゃめちゃ気が強い。辞表を叩きつける。
めげずに梅は社交場で何か仕事がないかとあちこちで聞いて回る。しかし、みんな女性が働くことを想定していないらしくて冷たい。
言い寄ってくる男はバカにしたような表情と嫌味でピシャリとはねつける。そこは爽快。普段のすずもそうあってほしい。
今回、衝撃だったのが梅の母初子が内田有紀さんだったことだ。え、もうヒロインの母役なの?
内田有紀さんは今回のドラマでわりと存在感を出していた。夫仙(伊藤英明)の言う事にはいっさい逆らわない明治の女。まるで家政婦のよう。アメリカ帰りの娘からすると見ていてイライラしたかもしれない。
梅子の実家がものすごくデカい。まるで領主さま。
(ちなみに初子の姉竹子は松平春嶽の弟田安慶頼の側室で徳川宗家16代で初代静岡藩主徳川家達を生んでいる。つまり家達と梅子は従兄。)
捨松が大山巌から結婚を申し込まれてた。奥さんを亡くしたばかりで17歳年上の中年男性との結婚に反対する梅。え、この時代ってそんなの普通じゃないのか?今でも別にそのぐらい年の離れた夫婦は珍しくもなんともない。
鹿鳴館ができたのが明治16年。日本人が西洋人を猿真似する姿の滑稽さ。
女好き酒好きキャラの伊藤博文シーンも出てきた。こいつの家で住み込み家庭教師することには両親も反対。

今回のドラマは女優たちの明治西洋ドレス姿が見もの。博物館に保存されている衣装や古写真、錦絵などを参考に衣装スタッフさんの努力。
梅は華族子女の学校で英語を教えるのだが、生徒たちがみんなまるで加入したばかりの乃木坂のような生徒たち。声が小さくうつむきがち。そんな女子たちにスパルタ指導。教えても反応が薄い生徒たちにどんどんヒステリックになっていく。「そういうの求めてない」と下田歌子(平岩紙)からやんわり否定される。教育に情熱を燃やす梅の焦り。
留学したものの1年で脱落した亮役の女優はどこかで見たことが…と思ってたら、「鎌倉殿の13人」に阿波局役で出てる宮澤エマだった。このタレント女優のことはまだよく知らないのだが、宮澤喜一を祖父にもつセレブリティー家庭に育った人だった。もうすでに33歳なのにずいぶんと推されてる印象。

急に見なくなった亮を探して方々に話を聴きに行く梅。父から結核で死んでいたことを知らされる。哀しい。
津田梅子といったら津田塾大学だろと思ってた。なのにぜんぜん津田塾が出てこない。最後の最後でやっと出てくる女子英学塾がその前身らしい。え、こんな寺子屋みたいな学校だったの?

そういえば津田梅子や渋沢栄一が肖像となった新紙幣が出るらしいのだが、部屋のあちこちに埋もれてしまっている旧紙幣っていつまで使えるんだろうか。

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