小野不由美「営繕かるかや怪異譚」(2014)という本があるので読む。
平成30年6月刊の角川文庫。昨年12月に買っておいたもの。新しいピカピカの本なのにもう100円になっていて、これは自分が読むしかないと思った。
たぶん「鬼談百景」のような、怪談ライター小野不由美の本領発揮の一冊だと推測。6本の短編を収録。こういう本はきっと中高生によく売れるに違いない。
奥庭より
あまり親しくもなかった叔母から相続した古い町屋家屋に何かいる!という話。城下町の古い町並みにある間口が狭く奥に細長い家。何度閉めても開いてる襖がある。箪笥を置いて塞いである。奥からカリカリ、コトコト音がする…。
工務店に相談すると「営繕かるかやの尾端」という男が現れる。こいつのアドバイスの通りにしたら不審な現象がなくなった。「残穢」みたいなものを期待して読んだら「遠野物語」みたいな感じだった。
屋根裏に
これも古い城下町の旧家に住んでる住人目線。痴呆が始まった母親が屋根裏に何かいると騒ぎ出す。
この本の短編はすべて営繕かるかや尾端が終盤になるとすっと現れる。梁に置いてあった瓦をもとに戻せば?というようなアドバイスをする。こいつも「遠野物語」ぐらいのちょっと不思議な話。
雨の鈴
雨が降ると、土塀と石畳の小路に喪服姿でうつむいた女が見える。この女が訪問した家では誰かが死ぬ。ということは死神?
自分はジャパニーズホラームービーとしての映像イメージがしっかりできた。これは映像作品にしても面白そうだ。
異形の人
田舎に引っ越したら中学生の娘にだけ、その家に知らないお爺さんが蹲っているのが見える。何か食べ物も漁ってる。
中学生娘主観なのだが、このお爺さんの話をするとノイローゼ扱い。この話に至っては尾端は終盤そこに風景としているだけで話すらしていない。
潮満ちの井戸
海抜の低い河口の古い城下町。祖母から相続した古い家。庭に井戸がある。庭仕事にハマった夫が井戸の傍にあった古い祠を壊して処分したら、庭の植物が枯れ、生臭い臭いを発生させる何か生物のようなものの気配が。
これも尾端がふらっとやってきてアドバイスするだけで解決。この人、霊能者でも僧侶でもないのに問題解決において有能。単なる家の修繕のプロ。
檻の外
出戻りシングルマザーが親戚から格安家賃で借りてる家。格安で手に入れた車で娘を保育園に送りパートへ行くのだが、エンジンの掛かりが悪い。そして「ママ…」という子どもの声が車の中からしてくる…。
これも普通の業者にすぎない尾端がふらっとやって来てアドバイス。この若者の存在感が主人公にしては異常に薄い。何も詳しいことが書かれていない。こんな主人公見たことない。そしてどの家も生活カツカツの庶民。
中学生から大人まで楽しめる。ライトでそれほどホラーでない現代の「遠野物語」。雑誌記事でも読んでるような短編。
2020年4月30日木曜日
2020年4月29日水曜日
長澤まさみと小泉今日子
長澤まさみがパーソナリティーを務めたラジオ番組「タイトル未定(仮)」(2008年9月7日放送回)に番組史上2人目のゲストとして登場したのが小泉今日子。
当時21歳のまさみが収録中にケータイ着信を鳴らしてしまうハプニングがありつつ、今日子ねえさんに気を使いつつトーク。
音質は悪いのだが、貴重な資料なのでここに試験的にUP。
まさみは見たばかりの犬童一心監督作「グーグーだって猫である」の感想を語る。猫を飼ったことのないまさみは小泉の猫との接し方に感心。
まさみは後に住友林業のCMで猫と共演してるけど、猫アレルギーだったはず。犬はあっても猫を抱いた姿は見たことがない。
そして、小泉ねえさんが病院シーンでブラジャー姿をさらしてることに驚き感銘を受けた様子。
まさみは十代のころに「脱いでもいい」という覚悟があったのだが、2008年のこの時点ではいろいろな人から話を聴いて「それは違う」と考えを変えるに至った様子。そして2012年には「絶対に全裸にはならない」(日経エンタテインメント誌)と語るまでに変化。
だが、長澤まさみは2015年公開「海街diary」でブラジャー姿をさらしたことは世間に衝撃を与えた。まさみはずっと小泉今日子とのトークを覚えていた可能性のことを想った。
まさみ主演最新作「mother」予告編も公開された。先輩方の背中を見てまさみは今後、ヨゴレ役やヒール役もやっていくのかもしれない。
PS. もうひとつまさみネタ。友人がテレワーク専用部屋を作るために物置部屋を整理してたら、前のアパート時代に自分が置いていった雑誌が出てきたからと、何冊か古雑誌を返却された。その中にアイドル雑誌「DUNK 2000年12月1日号」があった。
これ、見た記憶はあったけど、どこに行ったかわからなくなってた。
長澤まさみが2ページ掲載。この当時のまさみは中学1年生の2学期。公式プロフィールでは身長160cmとなっている。2学期の間に2センチ身長が伸びたという。
学校では数学が苦手。社会科は先生が面白くて楽しい!と報告。
そしてこの年の8月下旬、長澤一家5人(両親、兄、祖母)はハワイ旅行に行ってきたことも語る。まさみによれば、家族での海外旅行は小1のグアム以来だったという。
シーウォーカーに挑戦。思ってたほどに魚がいなくてちょっと失望したとのこと。
家族全員でハワイ旅行ってなかなかできることではないが、この時期の和明パパは仙台単身赴任中。なので思い切っての水入らずハワイ家族旅行だったのかもしれない。元サッカー日本代表でジュビロ監督でもあったパパは海外に慣れていたに違いない。
長澤一家のハワイ旅行の写真はかつて、まさみパパの指導する高校が全国大会に出場するさいの特集番組で「長澤まさみの父」として紹介されたときに公表された。
ちなみに、まさみは高校の卒業旅行で友人たちとニューヨークへ行ってるし、その後もタイ、韓国、フランス、イタリアなど、家族で何度も海外旅行をしてるっぽい。そのへん、ラジオで話したことや公表された写真からなんとなく想像することしかできない。
この取材の時点で、まさみはすでに単身で新幹線に乗って仕事で東京まで通っていた。そんなことができるのは世界で日本だけ。ちなみに自分が新幹線に一人で乗ったのは中2が初めて。
2020年4月28日火曜日
音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!(2018)
2018年秋に公開されてた「音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!」(アスミック・エース)という映画があるので見てみる。何の予備知識もない。
主演はたぶん阿部サダヲ。この俳優はリアルにバンドのボーカルとしても活動。おそらくパンクロッカー役。見た目的に遠藤ミチロウでザ・スターリンっぽい。
自分がこの映画を見た理由は吉岡里帆。実は自分はまだ1回もこの人のドラマも映画も見たことがない。綾鷹か「URであーる」というCMでしか動いて喋る吉岡を見ていない。自分の見たいと思うようなドラマにも映画にも姿を見たことがない。ただときどきタイムラインで水着グラビアでしか見たことがない。ただ、顔がめちゃ好き♥w なので見てみた。
とにかくパンクでアナーキーでカオスな展開とグダグダ会話をテンポよく見せる。
ふせえり、麻生久美子、岩松了、森下能幸、松尾スズキといった面々が濃いキャラで次々と出てきて「もしや、三木聡では?」と思い始めた。調べてみたらやっぱり三木聡の監督脚本作だった。
この監督、まだ映画作ってたんだ。ここ数年はまったく自分と合わない作風でぜんぜん見てなかった。
だが、今回の映画は吉岡里帆がビジュアル的に興味があったので、たまたま見た。
吉岡里帆の演技を初めて見た。おそらく、ヒロインのキャラに合わせた意図的な棒読みギクシャク演技。テンションの高い阿部サダヲとの対比のため。もしくは、京都人が標準語でテンポよくしゃべるとこうなるのかもしれない。自分はかつての本上まなみの演技を思い出した。能年玲奈もこんな感じだったかもしれない。
阿部サダヲという俳優は中規模の劇場ではスターかもしれないのだが、まだお茶の間テレビドラマの世界では受け入れられていないのでは?と思った。この独特のテンションとセリフ回しに世間がまだ慣れてない。「いだてん」が視聴率が悪かった理由はこの人のせいだと思ってる。
阿部はシンというカリスマパンクロックボーカルなのだが、行動がメチャクチャすぎて怖い。喉に注射針をぶっ刺して声帯をドーピング。統一感のないイッちゃった客に血反吐をスプラッシュするシーンを見て、感染症的にヤバいと思った。ほぼ犯罪者。
そのわりにマネージャー千葉雄大が普通。音楽事務所の社長田中哲司との男色関係?を想像させるシーンもあって驚いた。
吉岡里帆はストリートで歌うギタ女。声が小さいがためにバンドも分解。こんなギタ女が唄ってる姿を立ち止まって聴いてくれるような聴衆が、声が小さいという理由で「聴こえませ~んw」なんて嘲笑しないと思う。
阿部のせいで母が買ってくれたギターがダンプに轢かれるシーンはヒロインでなくても「あぁぁ…」と思う。楽器が壊されるのは気分の良いものでもない。
ストーリーについては何も言わない。おそらくハチャメチャな現代のファンタジー。日本というカオス。(2020年の今、我々はさらにカオスな現実を生きているが)
韓国を巻き込んで何をやってんだ?!と思ったのだが、韓国でロケはやっていないようだ。
音楽が20世紀初頭の現代音楽っぽいので「もしや?」と思ってた。やっぱりゲルニカの上野耕路さんだ。映画のテーマからすると意外で違和感。だがむしろそこが良いのかもしれない。
あいみょん feat.ふうか(吉岡里帆)ともいえるこの映画の主題歌「体の芯からまだ燃えているんだ」はとてもよい。この曲を歌う前髪ぱっつん吉岡のビジュアルがちょっとmiwaっぽかったが。
自分、15年前に今のあいみょんと出会っていればおそらく毎回ライブに出かけてたと思う。あいみょんにはまだまだ期待している。
もうひとつの主題歌はhydeといしわたり淳治による阿部シン歌唱の楽曲。
もっともっとバズってもよさそうな映画に見えるのだが、自分の目にはまったく届いていなかった。たぶんそれほど流行ってない。
やはり他人に説明しずらい映画は口コミが広がりにくい。どう見ていいのか戸惑う。
最後は韓国映画のよう。ちょっと感動作風。だが、外国人受刑者を射殺するのはどうなの?60年代韓国ならありそうだけど。
107分という長さがちょうどよい。結果、三木聡作品にしては意外に面白く見れた。見ていて飽きなかった。
だが、それは吉岡里帆への関心が高かったから。吉岡演じるヒロインの面白さが自分のこの映画への集中を保ってくれた。吉岡がヒロインでなければきっと見ていない。映画タイトルは「音量を上げろ!」で良かったのではと思う。
主演はたぶん阿部サダヲ。この俳優はリアルにバンドのボーカルとしても活動。おそらくパンクロッカー役。見た目的に遠藤ミチロウでザ・スターリンっぽい。
自分がこの映画を見た理由は吉岡里帆。実は自分はまだ1回もこの人のドラマも映画も見たことがない。綾鷹か「URであーる」というCMでしか動いて喋る吉岡を見ていない。自分の見たいと思うようなドラマにも映画にも姿を見たことがない。ただときどきタイムラインで水着グラビアでしか見たことがない。ただ、顔がめちゃ好き♥w なので見てみた。
とにかくパンクでアナーキーでカオスな展開とグダグダ会話をテンポよく見せる。
ふせえり、麻生久美子、岩松了、森下能幸、松尾スズキといった面々が濃いキャラで次々と出てきて「もしや、三木聡では?」と思い始めた。調べてみたらやっぱり三木聡の監督脚本作だった。
この監督、まだ映画作ってたんだ。ここ数年はまったく自分と合わない作風でぜんぜん見てなかった。
だが、今回の映画は吉岡里帆がビジュアル的に興味があったので、たまたま見た。
吉岡里帆の演技を初めて見た。おそらく、ヒロインのキャラに合わせた意図的な棒読みギクシャク演技。テンションの高い阿部サダヲとの対比のため。もしくは、京都人が標準語でテンポよくしゃべるとこうなるのかもしれない。自分はかつての本上まなみの演技を思い出した。能年玲奈もこんな感じだったかもしれない。
阿部サダヲという俳優は中規模の劇場ではスターかもしれないのだが、まだお茶の間テレビドラマの世界では受け入れられていないのでは?と思った。この独特のテンションとセリフ回しに世間がまだ慣れてない。「いだてん」が視聴率が悪かった理由はこの人のせいだと思ってる。
阿部はシンというカリスマパンクロックボーカルなのだが、行動がメチャクチャすぎて怖い。喉に注射針をぶっ刺して声帯をドーピング。統一感のないイッちゃった客に血反吐をスプラッシュするシーンを見て、感染症的にヤバいと思った。ほぼ犯罪者。
そのわりにマネージャー千葉雄大が普通。音楽事務所の社長田中哲司との男色関係?を想像させるシーンもあって驚いた。
吉岡里帆はストリートで歌うギタ女。声が小さいがためにバンドも分解。こんなギタ女が唄ってる姿を立ち止まって聴いてくれるような聴衆が、声が小さいという理由で「聴こえませ~んw」なんて嘲笑しないと思う。
阿部のせいで母が買ってくれたギターがダンプに轢かれるシーンはヒロインでなくても「あぁぁ…」と思う。楽器が壊されるのは気分の良いものでもない。
ストーリーについては何も言わない。おそらくハチャメチャな現代のファンタジー。日本というカオス。(2020年の今、我々はさらにカオスな現実を生きているが)
韓国を巻き込んで何をやってんだ?!と思ったのだが、韓国でロケはやっていないようだ。
音楽が20世紀初頭の現代音楽っぽいので「もしや?」と思ってた。やっぱりゲルニカの上野耕路さんだ。映画のテーマからすると意外で違和感。だがむしろそこが良いのかもしれない。
あいみょん feat.ふうか(吉岡里帆)ともいえるこの映画の主題歌「体の芯からまだ燃えているんだ」はとてもよい。この曲を歌う前髪ぱっつん吉岡のビジュアルがちょっとmiwaっぽかったが。
自分、15年前に今のあいみょんと出会っていればおそらく毎回ライブに出かけてたと思う。あいみょんにはまだまだ期待している。
もうひとつの主題歌はhydeといしわたり淳治による阿部シン歌唱の楽曲。
もっともっとバズってもよさそうな映画に見えるのだが、自分の目にはまったく届いていなかった。たぶんそれほど流行ってない。
やはり他人に説明しずらい映画は口コミが広がりにくい。どう見ていいのか戸惑う。
最後は韓国映画のよう。ちょっと感動作風。だが、外国人受刑者を射殺するのはどうなの?60年代韓国ならありそうだけど。
107分という長さがちょうどよい。結果、三木聡作品にしては意外に面白く見れた。見ていて飽きなかった。
だが、それは吉岡里帆への関心が高かったから。吉岡演じるヒロインの面白さが自分のこの映画への集中を保ってくれた。吉岡がヒロインでなければきっと見ていない。映画タイトルは「音量を上げろ!」で良かったのではと思う。
2020年4月27日月曜日
yui が J-WAVE 吉岡里帆 UR LIFESTYLE COLLEGE に出演
FLOWER FLOWER の yui が、女優の吉岡里帆がメインパーソナリティを務めるJ-WAVE UR LIFESTYLE COLLEGE 4月26日放送回に単独ゲスト出演した。
吉岡里帆は現在27歳で、まさにYUI世代ど真ん中。それにサブカルの匂いがする女優。映画ではストリートで歌うギタ女も演じたことがある。たぶん邦楽ロックの論客。楽しみにして聴いた。
いつものように要点を活字にまとめておく。
yuiは太りやすいことをいつも気にしてる。そして、ブルース・リーは意外。初めて聞いた。あと、「(部屋を片付けたりするのは)下手い」という福岡方言が出た。
目黒川の世界地図のある橋のことはJ-WAVEに来るとyuiはいつも語ってる。
吉岡里帆が「to Mother」がとくに好きというのは初耳。吉岡も京都から女優のオーディションを受けに高速バスで東京にやってきたり苦労した。上京する自分の背中を押すのにYUIの歌に勇気づけられた。そんな情報がわかる良い番組だった。(Special thanks to nowayyui-san.)
吉岡里帆は現在27歳で、まさにYUI世代ど真ん中。それにサブカルの匂いがする女優。映画ではストリートで歌うギタ女も演じたことがある。たぶん邦楽ロックの論客。楽しみにして聴いた。
- 初めて会うふたり。り「会える人とは思ってなかった。レアすぎてうれしい。」
- ゆ「顔ちいさすぎて」り「やめてくださいよ。そのまま返しますよ。」
- り「この時間(18時~)は何をしてることが多い?」ゆ「お腹すく時間」
- り「好きな食べ物は」ゆ「酢豚好きですw 中華料理屋で働いてたので」
- ゆ「あるもので自炊してます」
- バンド結成の経緯。ゆ「あるフェスで天パーのまふまふを見つけた。」
- ゆ「グループ名?ゆるい感じで。昔よくお腹痛くなってた。お腹痛いときに見ても嫌じゃない文字にしようと思って。あったかいものだといいなと思ってつけました。」
- ゆ「去年ツアーをやった。ライブの風景は美しい。お客さんの笑顔などを思い描いて作った。それが『旅の途中』という曲だったりする。
- ゆ「初めてのデュエット曲。レコーディングは興奮してしまった。初めてディレクションをした。手探りだった。ミゾベさんは同郷だったのでやりやすかった。」
- り「インスタ見て小籠包がでてきて『お!』と思ったw」
- ゆ「ミゾベさんの声を活かせるもうちょっと高いキーにした。」
- 「夢」をON AIR
- り「パワフルな曲ですね。ずっとYUIさんを聴いてた。自分も一緒に大人になっていってることを実感する曲。」
- ゆ「実家に帰ったサラリーマンが押し入れからボールとグローブを見つけたときのイメージ」
- り「見失い続けてたら日々がくすんで色を無くした大人になったって、大人になったことを悔やんでいるようにも感じるんだけど、最後に全肯定してくれる。」
- ゆ「大人は何かを守る。それは強さだけど、たまに弱くなってもいいよって自分に言ってあげられたらいいなって。」
- ゆ「筋トレやってます。おうちでできるようにいろいろ買ってるけど、なかなかムキムキにならない」「お肉がいっぱいついてぷにぷに」「体幹を鍛えてます」
- ゆ「あぐら大好き」「最近ブルース・リーを見てる」り「私もこどものころ弟と一緒にめっちゃ観てました。」
- ゆ「子どもの頃は外で遊んだ。サッカーしたり、歌を歌ったり画を書くのも好き。」
- ゆ「母はぜんぜん歌わなかった。ユーミンさんを聴いていた。」
- ゆ「福岡は路上ライブがあった。生でギターの音を聴いてすごくいい音だと思ってとりこになった。」
- り「去年の札幌の路上がニュースになったじゃないですか。YUIさんを昔から聴いてるひとりとしては胸アツ事件w」
- ゆ「誰も気づいてくれなくて。懐かしいなこの目線って思った。CHE.R.RYを3曲ぐらい連続で歌いましたねw」
- ゆ「CDジャケットはがんばってダイエットしてるとき撮ってる。昔、CD置いて路上ライブやってるときに、ちょっと面白かったんですけど、『ぜんぜんCDと違う人だ』って言われてw 水飲んだだけでも太る時期が女子にはあるw むくんでたんでしょうね。酔っぱらったおじさんに言われた。CDは買ってくれたけど、落ち込んだ。」
- り「私も東京に行きたいと思ってた。すごい背中を押された。悲しい時に聴いて勇気が出た。」ゆ「今までやってきてよかった。」
- ゆ「東京に初めて来たときは目黒川によく行ってた。ちょっとした世界地図のある橋でよく筋トレしてた。」
- ゆ「腹筋100回やったら恥骨らへんの皮がむけたんですよwすごい痛かったw」り「やばいやばいやばいw」ゆ「何か敷いてくださいw」り「アクティブだな~」
- り「to Motherという曲が好きでむちゃくちゃ聴いた」「あれは東京に来てから?」「やっぱそうなんだ~」
- ゆ「掃除機はなるべくかけたい。でも片づけは下手いw」吉岡に部屋の写真を見せるyui
- ゆ「子どもが多いと逆に手を抜けるらしいw」
- ゆ「こどもは上がもうちょっとで5歳。上が3人男で一番下が1才で娘。」
- ゆ「ブルースリーごっこやってる」
- ゆ「トレーニング器具がいっぱいほしい」「家で全身できるぐらいそろえたい」
- ゆ「これからの展望?音楽は夢がある。心を癒したり、助けになったりするものになったらいい」
yuiは太りやすいことをいつも気にしてる。そして、ブルース・リーは意外。初めて聞いた。あと、「(部屋を片付けたりするのは)下手い」という福岡方言が出た。
目黒川の世界地図のある橋のことはJ-WAVEに来るとyuiはいつも語ってる。
吉岡里帆が「to Mother」がとくに好きというのは初耳。吉岡も京都から女優のオーディションを受けに高速バスで東京にやってきたり苦労した。上京する自分の背中を押すのにYUIの歌に勇気づけられた。そんな情報がわかる良い番組だった。(Special thanks to nowayyui-san.)
2020年4月26日日曜日
新垣結衣「ギャルサー」(2006)
2006年4月期に日テレで放送されていた「ギャルサー」(全11話)を、本放送を録画してずっと寝かせて一度も見ていなかったDVD-Rを見始めた。久しぶりにJKガッキーを見たくて。
だが、第7話~第9話を録画しておいたDVD-Rがどんな方法を用いてもまったくデータを読み取ってくれなかった。ゼロ年代はこんなクソ技術を「デジタルは永遠にキレイなまま」とか言って消費者をだました。がっでむ!
よって今回は7,8,9話はスルー。TSUTAYAを探し回るのも不要不急。調べてみたら昨年にhuluで配信されていたみたいだ。うーん、タイミングが悪い。これはもう見る機会がないかもしれない。
主演は当時33歳の藤木直人と、当時17歳だった戸田恵梨香。ともに人気俳優、人気女優として上昇気流に乗っていた時期。このふたりを軸にドラマは進む。
主人公の進之助はなんとカウボーイ。幼少時にアリゾナでインディアンと一緒に育ったw いきなり米軍機から東京渋谷へパラシュート降下。なので2006年東京渋谷の常識がまったくない。藤木はずっとカタコトの日本語を話す。
設定がまるで「裸の大将」だし、藤子不二雄「ジャングル黒べえ」「忍者ハットリくん」みたいな感じ。子ども向けっぽい。こんなオリジナルのドラマ企画がよく通った。藤木もよく引き受けた。
そういえばこのドラマは10代少女たちが大勢出演しているのにラブや性的な要素はまったくない。安心して家族で見れる楽しい作品。
戸田恵梨香はパラパラを踊る渋谷最大のギャルサーグループの一番下っ端。設定では300人の大所帯で、第1話では代々木体育館の前で大人数で踊っていたのだが、通常回ではせいぜい20人ほど。おそらく役名があるギャルは8名ほど。
藤木が掘った落とし穴に戸田が落ちる。戸田「何すんだよ、おっさん!(怒)」藤木「動物を捕まえる罠に人間がかかるのはおかしい」ずっとこの調子。会話が噛み合わない。
カウボーイ藤木はカタコト会話と中途半端な日本語理解と、偏見に満ちた中途半端な日本社会の知識で、少女たちや商店主たち、警官佐藤隆太の言うことを独自に勝手に解釈。それが全て騒動になる。
にもかかわらず、たまに物事の本質を突くような、人間として大切な心を語って説く。毎回クライマックスはそんな感動シーンのヒューマンコメディードラマ。
17歳の戸田恵梨香は体型がまだほぼ子ども。ガリガリ。だが、世間の注目を浴びるにふさわしい演技力を見せた。このドラマ以降にブレイク。主演クラスの女優へと成長していく。(この時期の戸田はメンタル的に相当にきつかったらしい。後にインタビューなどで語っている)
藤木がトモダチと呼ぶジェロニモが古田新太。こいつが日本人のイメージするテキトーなインディアン。アリゾナのテント住居から通信動画で中途半端な日本知識を藤木に教授する。騒動の元凶。
「インディアン、嘘つかない」など、日本独自のネイティブアメリカンイメージをデフォルメしたようなキャラ。藤木と古田の奇跡的にかみ合う会話が毎回コント。
あと、藤木と古田のインディアン娘を居候させるのが佐藤隆太。こいつが警察官でありながら超絶貧乏でいいやつ。みんなから「おまわり」と呼ばれる。
ボロアパートで暮らし食料がインスタント麺のみ。結果、登場人物たち全員がいつも腹を空かせている。そんなんじゃ犯人を追いかけられない。
藤木は勝手に公園に動物捕獲の罠をしかけ野菜を育てる。佐藤は都条例を持ち出して「コラ!」と叱る。だが毎回ナメられる。こいつのツッコミのテンポがとても気持ちいい。
そしてなんといっても新垣結衣。渋谷最大のギャルサー幹部でナンバーツー若頭のナギサ。こいつが悪ガッキー。カリスマ読者モデルで冷徹な策士。邪魔な幹部を追い落とすために、集めた会費を盗んでおいて、無くした幹部の責任を追及。うーん、JKガッキーにシメられたい。
ギャルサー「エンゼルハート」の総代リーダーが鈴木えみ。SEVENTEENスター鈴木えみ、ニコラスター新垣結衣の夢の共演。
この二人はライバルでほぼ対等な間柄。リーダーを適切に補佐するガッキー。この二人が高身長ツインタワー。パラパラを踊るシーンは毎回このふたりに自然と目が行く。
鈴木は毎回寒いたとえ話ジョークをする。唯一ツッコめるのがガッキー。回を追うごとに逆パターンがあったりと脚本に感心。
ストーリーにはまったくリアリティはないし演出も雑だが。
第1話ではベレー帽のようなものをかぶっているのだが、その後はギャルっぽいキャップをかぶっている。毎回デザインが違う。
このナギサガッキーがメインの回が第3話。読者モデルとしてダイエットに苦しみハンバーガーを棄てるところを藤木に見つかる。「食べ物、棄てる、よくない!」
藤木はナギサを穴に落とす。ケータイも奪う。腹が減る。すると、穴の下の土から野菜の種が発芽。しんのすけは「食べることは命をいただくということだ」とナギサに教える。「ああ、わんこそば、美味しい」
このドラマは毎回毎回バカバカしい。とくに「八つ星てんとうむしの呪い」の第6話は圧倒的バカ回。くだらなすぎw
そもそもアリゾナのネイティブアメリカン居住地から、しんのすけが必要とするものが1日で佐藤隆太のボロアパートにパラシュートで届くことが可笑しい。ドラえもん的世界観。そのへんのことは考えるな!という態度が潔いし清々しい。
番組ラストは出演者みんなでダンス。それが日テレドラマの伝統。
その点でもこのドラマは家族で見て楽しい良ドラマ。こいつを今、地上波ゴールデンでやってほしかった。無理ならまた配信希望。
そしてこのドラマこそがガッキーと戸田恵梨香の最初の共演。2017年コードブルーまで続く。17歳だったふたりとも30歳を越えた。すっかり大人のレディ。
だが、第7話~第9話を録画しておいたDVD-Rがどんな方法を用いてもまったくデータを読み取ってくれなかった。ゼロ年代はこんなクソ技術を「デジタルは永遠にキレイなまま」とか言って消費者をだました。がっでむ!
よって今回は7,8,9話はスルー。TSUTAYAを探し回るのも不要不急。調べてみたら昨年にhuluで配信されていたみたいだ。うーん、タイミングが悪い。これはもう見る機会がないかもしれない。
主演は当時33歳の藤木直人と、当時17歳だった戸田恵梨香。ともに人気俳優、人気女優として上昇気流に乗っていた時期。このふたりを軸にドラマは進む。
主人公の進之助はなんとカウボーイ。幼少時にアリゾナでインディアンと一緒に育ったw いきなり米軍機から東京渋谷へパラシュート降下。なので2006年東京渋谷の常識がまったくない。藤木はずっとカタコトの日本語を話す。
設定がまるで「裸の大将」だし、藤子不二雄「ジャングル黒べえ」「忍者ハットリくん」みたいな感じ。子ども向けっぽい。こんなオリジナルのドラマ企画がよく通った。藤木もよく引き受けた。
そういえばこのドラマは10代少女たちが大勢出演しているのにラブや性的な要素はまったくない。安心して家族で見れる楽しい作品。
戸田恵梨香はパラパラを踊る渋谷最大のギャルサーグループの一番下っ端。設定では300人の大所帯で、第1話では代々木体育館の前で大人数で踊っていたのだが、通常回ではせいぜい20人ほど。おそらく役名があるギャルは8名ほど。
藤木が掘った落とし穴に戸田が落ちる。戸田「何すんだよ、おっさん!(怒)」藤木「動物を捕まえる罠に人間がかかるのはおかしい」ずっとこの調子。会話が噛み合わない。
カウボーイ藤木はカタコト会話と中途半端な日本語理解と、偏見に満ちた中途半端な日本社会の知識で、少女たちや商店主たち、警官佐藤隆太の言うことを独自に勝手に解釈。それが全て騒動になる。
にもかかわらず、たまに物事の本質を突くような、人間として大切な心を語って説く。毎回クライマックスはそんな感動シーンのヒューマンコメディードラマ。
17歳の戸田恵梨香は体型がまだほぼ子ども。ガリガリ。だが、世間の注目を浴びるにふさわしい演技力を見せた。このドラマ以降にブレイク。主演クラスの女優へと成長していく。(この時期の戸田はメンタル的に相当にきつかったらしい。後にインタビューなどで語っている)
藤木がトモダチと呼ぶジェロニモが古田新太。こいつが日本人のイメージするテキトーなインディアン。アリゾナのテント住居から通信動画で中途半端な日本知識を藤木に教授する。騒動の元凶。
「インディアン、嘘つかない」など、日本独自のネイティブアメリカンイメージをデフォルメしたようなキャラ。藤木と古田の奇跡的にかみ合う会話が毎回コント。
あと、藤木と古田のインディアン娘を居候させるのが佐藤隆太。こいつが警察官でありながら超絶貧乏でいいやつ。みんなから「おまわり」と呼ばれる。
ボロアパートで暮らし食料がインスタント麺のみ。結果、登場人物たち全員がいつも腹を空かせている。そんなんじゃ犯人を追いかけられない。
藤木は勝手に公園に動物捕獲の罠をしかけ野菜を育てる。佐藤は都条例を持ち出して「コラ!」と叱る。だが毎回ナメられる。こいつのツッコミのテンポがとても気持ちいい。
そしてなんといっても新垣結衣。渋谷最大のギャルサー幹部でナンバーツー若頭のナギサ。こいつが悪ガッキー。カリスマ読者モデルで冷徹な策士。邪魔な幹部を追い落とすために、集めた会費を盗んでおいて、無くした幹部の責任を追及。うーん、JKガッキーにシメられたい。
ギャルサー「エンゼルハート」の総代リーダーが鈴木えみ。SEVENTEENスター鈴木えみ、ニコラスター新垣結衣の夢の共演。
この二人はライバルでほぼ対等な間柄。リーダーを適切に補佐するガッキー。この二人が高身長ツインタワー。パラパラを踊るシーンは毎回このふたりに自然と目が行く。
鈴木は毎回寒いたとえ話ジョークをする。唯一ツッコめるのがガッキー。回を追うごとに逆パターンがあったりと脚本に感心。
ストーリーにはまったくリアリティはないし演出も雑だが。
第1話ではベレー帽のようなものをかぶっているのだが、その後はギャルっぽいキャップをかぶっている。毎回デザインが違う。
このナギサガッキーがメインの回が第3話。読者モデルとしてダイエットに苦しみハンバーガーを棄てるところを藤木に見つかる。「食べ物、棄てる、よくない!」
藤木はナギサを穴に落とす。ケータイも奪う。腹が減る。すると、穴の下の土から野菜の種が発芽。しんのすけは「食べることは命をいただくということだ」とナギサに教える。「ああ、わんこそば、美味しい」
このドラマは毎回毎回バカバカしい。とくに「八つ星てんとうむしの呪い」の第6話は圧倒的バカ回。くだらなすぎw
そもそもアリゾナのネイティブアメリカン居住地から、しんのすけが必要とするものが1日で佐藤隆太のボロアパートにパラシュートで届くことが可笑しい。ドラえもん的世界観。そのへんのことは考えるな!という態度が潔いし清々しい。
番組ラストは出演者みんなでダンス。それが日テレドラマの伝統。
その点でもこのドラマは家族で見て楽しい良ドラマ。こいつを今、地上波ゴールデンでやってほしかった。無理ならまた配信希望。
そしてこのドラマこそがガッキーと戸田恵梨香の最初の共演。2017年コードブルーまで続く。17歳だったふたりとも30歳を越えた。すっかり大人のレディ。
2020年4月25日土曜日
ボッカッチョ「デカメロン」(1348-53)
ジョヴァンニ・ボッカッチョ(Giovanni Boccaccio 1313-1375)「デカメロン Decameron」を人生で初めて読む。こんな時代だから読む。
著者のボッカッチョは日本で言ったら鎌倉末期から室町南北朝時代の人物。巻末解説だと日本の元号も年表に書いてある。正和二年から天授元年まで。
14世紀、アジアからシチリアへ上陸、またたくまにヨーロッパ全土へと広がったペストはフィレンツェでも猛威をふるい城壁内が死屍累々。死臭と悪臭が漂う。
裕福なものは高い給金で雇った使用人が看病するのだがやはり感染する。死んでしまうか逃げる。で、農民たちも家畜のように死ぬ。ボッカッチョはフィレンツェだけで死者10万人と記録。(これはやや盛りすぎの数値らしい)
で、淑女7名(18歳から28歳ぐらいまで)、貴公子3名(一番若くて25歳)が、街道からやや離れた緑に囲まれた小高い丘の館に避難して、10日間に100の物語を語って聞かせるという本。(デカメロン、またの名をガレオット公とよばれる書物が始まる…という序文)
自分、中学生ぐらいのとき「デカメロン」を「でかいメロンの話」だと思ってたw たぶんみんなもそう。
4世紀のローマ司教アンブロシウスの著書「ヘクサメロン(6日)」(ギリシャ語)に倣ったボッカッチョの造語が「デカメロン(10日)」。
当時ヨーロッパで広く伝わってたちょっと面白話を知る本。
今回選んだものは4日目と5日目、7日目と8日目をバッサリ省略した河島英昭訳の1999年講談社文芸文庫。
それでもやっぱり現代人には面白さのわからない噺が多い。
何をもって徳が高いとするのか?何を恥と考えるのか?現代と違う。面白かったもののみ感想を書いていく。
DAY1
話のすべての感想を書くつもりだったのだが、ここで断念。
第10話が若い人妻をもらった金持ちだが体の弱い裁判官リッカルド卿の話。この妻がパガニーノに誘拐されるのだが、毎晩逞しい力強いパガニーノに抱かれる喜びを知り、説得に来たリッカルドを追い返すという話。男性としての能力の劣る男が若い美人妻をもったことを嘲笑う。この話で笑い転げられるイタリア人たちが理解不能。
中世ピサは美人が少ないことで有名?「斑の蜥蜴に似ていない女はめったにいない」とか酷い言われようw
DAY3は「才知によって、願っていたものを手に入れたり、失っていたものを取り返した人」についてがテーマだと予告があるのだが、講談社文芸文庫版ではDAY3もDAY4もまるまるカット。
DAY5 男女が苦難に遭い、最終的に結ばれる話のシリーズ。これも女を力づくで誘拐拉致し妻にする無法地帯中世ヨーロッパ。たぶんつい最近まで女の扱いは世界中どこでもそんな感じ。娘を身重にさせたら父は相手の男を殺してもいいの?!
5日目第4話は「デカメロン」を読んだ多くの人が感想を書いている印象深い話。その理由は…超絶シモネタ!w 「夜鳴き鴬」って何だよ。一番笑った。
中世イタリアの親たちは年頃の娘が裸で男と寝てる場面に遭遇しても「おやおや」と大して驚かずに上手いことを言うw
上巻はDAY5第7話までを収録。
下巻はDAY5第8話からスタート。
男が真剣に愛したのに同じ愛情を返してくれない女を、恐怖と暴力でいうことを聴かせる話。まるでストーカーDV男だが、犬に喰わせてる段階でホラー。
第9話は日本人の感性にも合った人情噺…だと思って読んでいたら、この話を翻案して尾崎紅葉が「鷹料理」という短編にしていた。
DAY6は当意即妙な言い訳や切り返しがテーマ。
第4話は鶴料理の話。これが一休さんみたいなとんち話。
第5話には高名な画家ジョットが登場。この話はパゾリーニ監督「デカメロン」でもほぼ忠実に再現されているそうだ。
DAY7とDAY8もまるまる省略。そしてDAY9へ。
第1話は美女が二人の男を厄介払いする話だが、一歩間違うと魔法使いとして火あぶりされる時代だけに酷い。
第2話は恋人を部屋に入れる若い尼僧。現場を押さえて問い詰める修道院長が間違って男の下着を頭巾にかぶったまま説教…という笑い話。
第3話は遺産を相続し金を持ってる男をだまして飲み食い。酷い話。
第4話は盗人猛々しい従者。金を盗んだうえに嘘ついて被害者をさらに酷い目にあわせる。
第6話も下品で酷い。第9話は女は殴って言うことを聴かせればいいという、この時代でしか許されない話。第10話もさらに下品で酷い。
DAY10 4話6話8話9話が省略。集まった男女10人にも皇帝派と教皇派という政治派閥があることが判明。第10話もいい話のようでいて酷い話。
結果、人に語って教えたくなるような話はほとんどなかったw やっぱイタリア人と日本人はまったく違うわw
19世紀ボストンでは「いかがわしい本」として発禁だったりもしたいわくつきの本。自分は今回、最初で最後のつもりで読んだのだが、この講談社文芸文庫は抄訳版。それほど強く人に「俺は読んだ」とも言いにくい。
ただ、ルネサンスの息吹のようなものはなんとなく感じた。
自分はその昔リュック一つでヨーロッパを独り旅して回ったことがあった。つらい旅でもあったのだが、フィレンツェは良い思い出。
フィレンツェ駅の近くにあったサンタ・マリア・ノヴェッラ教会がまさに、「デカメロン」が始まる場所だったということは、フィレンツェを旅した当時の自分は知らなかった。
たしか、あのあたりからユースホステルに行くバスが出ていたので、あの教会は印象深かった。
「デカメロン」に登場するイタリア人たちはだいたい酷い。今のイタリアにもそんな人はきっと多い。だが、現代フィレンツェの人々は優しかったことは断っておく。イタリアの人々が、世界の人々が早く普通の日常に戻れることを強く願う。
著者のボッカッチョは日本で言ったら鎌倉末期から室町南北朝時代の人物。巻末解説だと日本の元号も年表に書いてある。正和二年から天授元年まで。
14世紀、アジアからシチリアへ上陸、またたくまにヨーロッパ全土へと広がったペストはフィレンツェでも猛威をふるい城壁内が死屍累々。死臭と悪臭が漂う。
裕福なものは高い給金で雇った使用人が看病するのだがやはり感染する。死んでしまうか逃げる。で、農民たちも家畜のように死ぬ。ボッカッチョはフィレンツェだけで死者10万人と記録。(これはやや盛りすぎの数値らしい)
で、淑女7名(18歳から28歳ぐらいまで)、貴公子3名(一番若くて25歳)が、街道からやや離れた緑に囲まれた小高い丘の館に避難して、10日間に100の物語を語って聞かせるという本。(デカメロン、またの名をガレオット公とよばれる書物が始まる…という序文)
自分、中学生ぐらいのとき「デカメロン」を「でかいメロンの話」だと思ってたw たぶんみんなもそう。
4世紀のローマ司教アンブロシウスの著書「ヘクサメロン(6日)」(ギリシャ語)に倣ったボッカッチョの造語が「デカメロン(10日)」。
当時ヨーロッパで広く伝わってたちょっと面白話を知る本。
今回選んだものは4日目と5日目、7日目と8日目をバッサリ省略した河島英昭訳の1999年講談社文芸文庫。
それでもやっぱり現代人には面白さのわからない噺が多い。
何をもって徳が高いとするのか?何を恥と考えるのか?現代と違う。面白かったもののみ感想を書いていく。
DAY1
- 第1話 強欲でろくな信仰心もない男チャッペッレット氏が臨終の間際の懺悔。神父にも嘘八百。死後やがて聖人としてあがめられるという話。
- 第2話 ユダヤ人アブラアム氏をキリスト教に改宗するよう勧めるチヴィニのジャンノット。そんなにいうなら「ローマへ行って枢機卿の生活を見てくるわ」堕落した聖職者を見たらきっと失望すると思い諦めてたら、「淫蕩貪欲美食欺瞞嫉妬傲慢、ありとあらゆる悪事でキリストの教えを無にしようとしてるのに、むしろ広まってるような教えはむしろ尊いにきまってるわ。改宗することにしたわ。」
- 第4話 修道僧が女を連れ込んで楽しんでたところを修道院長に見つかる。見られたことに気づかないふりをして、女を部屋に残し修道院長に鍵をわたして森へ薪を拾いに行くと言う。するとやっぱり修道院長も部屋に入って女といいことをする。DAY1で一番下品な話w どうやら男のする話は女たちのとりすましたような話より面白い。
- 第9話 凌辱された婦人が正義を振るってほしいと訴えるも臆病な王は何もしない。王の卑屈さをなじる。もし王が自分の苦しみを味わったら、どうやって耐えるのか教えてほしいと訴える。躊躇と怠惰の王は目覚め、貴婦人に与えられた不正に対して厳しい復讐を果たす。
話のすべての感想を書くつもりだったのだが、ここで断念。
第10話が若い人妻をもらった金持ちだが体の弱い裁判官リッカルド卿の話。この妻がパガニーノに誘拐されるのだが、毎晩逞しい力強いパガニーノに抱かれる喜びを知り、説得に来たリッカルドを追い返すという話。男性としての能力の劣る男が若い美人妻をもったことを嘲笑う。この話で笑い転げられるイタリア人たちが理解不能。
中世ピサは美人が少ないことで有名?「斑の蜥蜴に似ていない女はめったにいない」とか酷い言われようw
DAY3は「才知によって、願っていたものを手に入れたり、失っていたものを取り返した人」についてがテーマだと予告があるのだが、講談社文芸文庫版ではDAY3もDAY4もまるまるカット。
DAY5 男女が苦難に遭い、最終的に結ばれる話のシリーズ。これも女を力づくで誘拐拉致し妻にする無法地帯中世ヨーロッパ。たぶんつい最近まで女の扱いは世界中どこでもそんな感じ。娘を身重にさせたら父は相手の男を殺してもいいの?!
5日目第4話は「デカメロン」を読んだ多くの人が感想を書いている印象深い話。その理由は…超絶シモネタ!w 「夜鳴き鴬」って何だよ。一番笑った。
中世イタリアの親たちは年頃の娘が裸で男と寝てる場面に遭遇しても「おやおや」と大して驚かずに上手いことを言うw
上巻はDAY5第7話までを収録。
下巻はDAY5第8話からスタート。
男が真剣に愛したのに同じ愛情を返してくれない女を、恐怖と暴力でいうことを聴かせる話。まるでストーカーDV男だが、犬に喰わせてる段階でホラー。
第9話は日本人の感性にも合った人情噺…だと思って読んでいたら、この話を翻案して尾崎紅葉が「鷹料理」という短編にしていた。
DAY6は当意即妙な言い訳や切り返しがテーマ。
第4話は鶴料理の話。これが一休さんみたいなとんち話。
第5話には高名な画家ジョットが登場。この話はパゾリーニ監督「デカメロン」でもほぼ忠実に再現されているそうだ。
DAY7とDAY8もまるまる省略。そしてDAY9へ。
第1話は美女が二人の男を厄介払いする話だが、一歩間違うと魔法使いとして火あぶりされる時代だけに酷い。
第2話は恋人を部屋に入れる若い尼僧。現場を押さえて問い詰める修道院長が間違って男の下着を頭巾にかぶったまま説教…という笑い話。
第3話は遺産を相続し金を持ってる男をだまして飲み食い。酷い話。
第4話は盗人猛々しい従者。金を盗んだうえに嘘ついて被害者をさらに酷い目にあわせる。
第6話も下品で酷い。第9話は女は殴って言うことを聴かせればいいという、この時代でしか許されない話。第10話もさらに下品で酷い。
DAY10 4話6話8話9話が省略。集まった男女10人にも皇帝派と教皇派という政治派閥があることが判明。第10話もいい話のようでいて酷い話。
結果、人に語って教えたくなるような話はほとんどなかったw やっぱイタリア人と日本人はまったく違うわw
19世紀ボストンでは「いかがわしい本」として発禁だったりもしたいわくつきの本。自分は今回、最初で最後のつもりで読んだのだが、この講談社文芸文庫は抄訳版。それほど強く人に「俺は読んだ」とも言いにくい。
ただ、ルネサンスの息吹のようなものはなんとなく感じた。
自分はその昔リュック一つでヨーロッパを独り旅して回ったことがあった。つらい旅でもあったのだが、フィレンツェは良い思い出。
フィレンツェ駅の近くにあったサンタ・マリア・ノヴェッラ教会がまさに、「デカメロン」が始まる場所だったということは、フィレンツェを旅した当時の自分は知らなかった。
たしか、あのあたりからユースホステルに行くバスが出ていたので、あの教会は印象深かった。
「デカメロン」に登場するイタリア人たちはだいたい酷い。今のイタリアにもそんな人はきっと多い。だが、現代フィレンツェの人々は優しかったことは断っておく。イタリアの人々が、世界の人々が早く普通の日常に戻れることを強く願う。
2020年4月24日金曜日
Perfume「Reframe2019」
Perfumeが2019年に8公演行った「Reframe2019」LINE CUBE SHIBUYA公演の最終日(2019年10月27日)をBSプレミアムさんが昨年12月30日に放送。Perfumeが新生渋谷公会堂こけら落とし公演の栄誉を勝ち取った。
正月に見るつもりが放置してて、今年4月12日になって再びの放送。思い出したので録画しておいたものをやっと見た。
Perfumeは2000年の広島インディーズデビューからずっと3人組アイドル。2005年のメジャーデビューからテクノポップで活路を見出し、その後、Rhizomatiksとのコラボによって最新テクノロジー演出によるライブで独自に時代の先端を突き詰めて今に至る。
自分がもっともPerfume漬けだったのが2008年GAMEツアーから2010年東京ドームまで。ほぼ毎日動画を見たり最新情報を追っていた。
だがその後、Perfumeが先端テクノロジー演出を売りにすればするほど、他のライブ映像との区別がつかなくなり、長い活動歴の膨大な情報を詰め込む頭のメモリーが限界に達した。
初めて「エレクトロ・ワールド」MVを始めてみたとき、呆然となって20回ぐらい繰り返して観たことは今でも鮮明に覚えている。
だが結局、先端技術演出ライブよりも、MVと、原宿アストロホール公演を収録した「bitter」と、掟ポルシェさんとの二畳エレワがあればいいwと考えるようになっていたのが正直なところ。
このNHKとライゾマティクスによるPerfume最新活動報告とも呼べる「Reframe」の最初が2018年3月20日と21日「This is NIPPON プレミアムシアター『Perfume × TECHNOLOGY』presents "Reframe"」だった。
(これも録画して見たはずなのだが、録画したメディアがどこかへ行ってしまいわからない。よく覚えていない。)
そして2019年の新生渋谷公会堂「LINE CUBE SHIBUYA」のこけら落とし公演8DAYSだった。これが意識高いアートイベント。従来のPerfumeライブコンサートとは雰囲気がかなり違った。
結局こういうの「なんかすごかった」以上の感想はないw 当日やった曲などは他の音楽情報サイトなどを参照されたし。https://spice.eplus.jp/articles/259321
この8公演はメジャーデビュー後の膨大なビジュアル素材を「再生」する大回顧展。ベストアルバム発売に伴う新曲「Challenger」はなんとメジャーデビュー前からあった楽曲で、中田ヤスタカとPerfumeを結びつけた曲だという。
この演出とテーマは2020年のドームツアー「P-Cubed」へと拡大発展する。
「edge」は2009年の代々木体育館公演を思い出して涙する。だがやっぱり、「Challenger」を聴いてるとじわじわ涙があふれ出る。あの時代のPerfumeの雰囲気が懐かしい。Perfumeはこの15年間ずっと変わらずに変化を追い求めてきた挑戦者だった。
Perfumeの3人がまるでパラス・アテナ。神々しい。
以前はPerfumeの公演は必ず出かけていたのだが、「Reframe」の過去ライブ回顧シーンを見ると、もうだいぶ行ってない公演があるなと気づいた。
自分はもうライブへはあまり行けない。これからも応援するけど、それは在宅ですることになる。
2020年の東京ドーム公演がDAY2開場目前で突然ばっさり終了させられたのはなんとも残念だった。だがこれは世界中の音楽家すべて同じ。なんとか耐えがたきを耐えて、音楽の大切さをかみしめて、再び隆盛を迎えるように応援努力していくしかない。
だが、TOKYO2020もTOKYO2021も風前の灯火。開会式にPerfumeが出るものと信じてただけに痛恨。
正月に見るつもりが放置してて、今年4月12日になって再びの放送。思い出したので録画しておいたものをやっと見た。
Perfumeは2000年の広島インディーズデビューからずっと3人組アイドル。2005年のメジャーデビューからテクノポップで活路を見出し、その後、Rhizomatiksとのコラボによって最新テクノロジー演出によるライブで独自に時代の先端を突き詰めて今に至る。
自分がもっともPerfume漬けだったのが2008年GAMEツアーから2010年東京ドームまで。ほぼ毎日動画を見たり最新情報を追っていた。
だがその後、Perfumeが先端テクノロジー演出を売りにすればするほど、他のライブ映像との区別がつかなくなり、長い活動歴の膨大な情報を詰め込む頭のメモリーが限界に達した。
初めて「エレクトロ・ワールド」MVを始めてみたとき、呆然となって20回ぐらい繰り返して観たことは今でも鮮明に覚えている。
だが結局、先端技術演出ライブよりも、MVと、原宿アストロホール公演を収録した「bitter」と、掟ポルシェさんとの二畳エレワがあればいいwと考えるようになっていたのが正直なところ。
このNHKとライゾマティクスによるPerfume最新活動報告とも呼べる「Reframe」の最初が2018年3月20日と21日「This is NIPPON プレミアムシアター『Perfume × TECHNOLOGY』presents "Reframe"」だった。
(これも録画して見たはずなのだが、録画したメディアがどこかへ行ってしまいわからない。よく覚えていない。)
そして2019年の新生渋谷公会堂「LINE CUBE SHIBUYA」のこけら落とし公演8DAYSだった。これが意識高いアートイベント。従来のPerfumeライブコンサートとは雰囲気がかなり違った。
結局こういうの「なんかすごかった」以上の感想はないw 当日やった曲などは他の音楽情報サイトなどを参照されたし。https://spice.eplus.jp/articles/259321
この8公演はメジャーデビュー後の膨大なビジュアル素材を「再生」する大回顧展。ベストアルバム発売に伴う新曲「Challenger」はなんとメジャーデビュー前からあった楽曲で、中田ヤスタカとPerfumeを結びつけた曲だという。
この演出とテーマは2020年のドームツアー「P-Cubed」へと拡大発展する。
「edge」は2009年の代々木体育館公演を思い出して涙する。だがやっぱり、「Challenger」を聴いてるとじわじわ涙があふれ出る。あの時代のPerfumeの雰囲気が懐かしい。Perfumeはこの15年間ずっと変わらずに変化を追い求めてきた挑戦者だった。
Perfumeの3人がまるでパラス・アテナ。神々しい。
以前はPerfumeの公演は必ず出かけていたのだが、「Reframe」の過去ライブ回顧シーンを見ると、もうだいぶ行ってない公演があるなと気づいた。
自分はもうライブへはあまり行けない。これからも応援するけど、それは在宅ですることになる。
2020年の東京ドーム公演がDAY2開場目前で突然ばっさり終了させられたのはなんとも残念だった。だがこれは世界中の音楽家すべて同じ。なんとか耐えがたきを耐えて、音楽の大切さをかみしめて、再び隆盛を迎えるように応援努力していくしかない。
だが、TOKYO2020もTOKYO2021も風前の灯火。開会式にPerfumeが出るものと信じてただけに痛恨。
2020年4月23日木曜日
アガサ・クリスティー「ブラック・コーヒー」(1997小説版)
クリスティマラソン66冊目、アガサ・クリスティー「ブラック・コーヒー」を読む。
これは1930年に初演された戯曲。クリスティ研究家の作家チャールズ・オズボーンが小説化したものが2004年中村妙子訳早川書房クリスティー文庫にあるので読んでみた。
高名な科学者サー・クロード・エイモリー氏の書斎金庫から、新型爆薬の化学式が盗まれた。夕食の席で「部屋に外側から鍵をかけた」「部屋を暗転させている間に盗んだものは返しなさい」とエイモリー氏。
だが、暗転している間にエイモリー氏は死んでいた。食後の苦いブラック・コーヒーに毒が盛られていた?その直後にポアロが到着。一足遅かった。
長男リチャードの妻ルシアの様子がおかしい。イタリアからドクター・カレリがふいに訪ねてきてから何かおかしい。夕食も中座。そして不審な行動。
ポアロが聴き込み開始。ヘイスティングズくんはいつものようにポアロの役に立とうとはするのだが、犯行の部屋を見張ってるつもりが被害者の姪バーバラ(21)のキューティーちょっかいに陥落w ポアロから強めのツッコミw
グダグダ捜査の末、ポアロは犯人の目星をつけた様子。だが、いつものように物的証拠がなにもないので犯人を罠にかける。
しかし、逆にポアロが大ピンチ!かと思いきや、スレた読者は「どうせ逆ドッキリなんだろう」とお見通し。
読んでいていつものクリスティ。戯曲を第三者が小説化したものとは感じないし気づけなかった。
だが、ミステリとしての出来は全クリスティ中で下位の部類だったかもしれない。これを舞台で見たとしても、よほどのスター役者でないと、それほど面白いものにならないかもしれない。
これは1930年に初演された戯曲。クリスティ研究家の作家チャールズ・オズボーンが小説化したものが2004年中村妙子訳早川書房クリスティー文庫にあるので読んでみた。
BLACK COFFEE by Agatha Christieアパートで朝食をとっているポアロ。執事のジョージから仕事の依頼の電話があったと知らされる。ヘイスティングズといっしょにサリー州マーケット・クレイヴのエイモリー氏の屋敷へ。
Adapted as a novel by Charles Osborne 1997
高名な科学者サー・クロード・エイモリー氏の書斎金庫から、新型爆薬の化学式が盗まれた。夕食の席で「部屋に外側から鍵をかけた」「部屋を暗転させている間に盗んだものは返しなさい」とエイモリー氏。
だが、暗転している間にエイモリー氏は死んでいた。食後の苦いブラック・コーヒーに毒が盛られていた?その直後にポアロが到着。一足遅かった。
長男リチャードの妻ルシアの様子がおかしい。イタリアからドクター・カレリがふいに訪ねてきてから何かおかしい。夕食も中座。そして不審な行動。
ポアロが聴き込み開始。ヘイスティングズくんはいつものようにポアロの役に立とうとはするのだが、犯行の部屋を見張ってるつもりが被害者の姪バーバラ(21)のキューティーちょっかいに陥落w ポアロから強めのツッコミw
グダグダ捜査の末、ポアロは犯人の目星をつけた様子。だが、いつものように物的証拠がなにもないので犯人を罠にかける。
しかし、逆にポアロが大ピンチ!かと思いきや、スレた読者は「どうせ逆ドッキリなんだろう」とお見通し。
読んでいていつものクリスティ。戯曲を第三者が小説化したものとは感じないし気づけなかった。
だが、ミステリとしての出来は全クリスティ中で下位の部類だったかもしれない。これを舞台で見たとしても、よほどのスター役者でないと、それほど面白いものにならないかもしれない。
2020年4月22日水曜日
葵わかな「青夏 きみに恋した30日」(2018)
葵わかな主演作に「青夏 AO-NATSU きみに恋した30日」(2018 東北新社、松竹)という映画があるので見てみる。監督は古澤健。
東京のJKが夏休みに弟を連れて祖母の家に行き、そこで男の子と出会うという青春LOVEストーリー。誰もが夏にこんな恋に出会いたいという映画。マンガの原作があるようだ。
主に南伊勢町で撮影されたようだ。だが、若者たちがみんな標準語。あと、ポスターのビジュアルのセンスがコレジャナイ感がする。
このJKわかなが不慣れな田舎道を自転車で走ってるだけでがけ下に落ちるなどダメっぷりを発揮。
そこを酒屋の息子佐野勇斗に助けられ恋心。こいつは「3D彼女」でO脚オタク野郎を演じてた男だ。
この田舎がパキッと明るい色合い。地元の高校生たちからも歓迎され、橋の上から川に飛び込む度胸試しも。
男の幼なじみ古畑星夏が胸の谷間を見せつけながら現れる。なんて露出度の高い普段着なんだ。この女は佐野の婚約者?焦るヒロインは早くも告る。しかし、田舎でするべきことがたくさんあるし東京へは行けないしで断られる。
東京から高校の友だちもやってくる。親友久間田琳加がわかなを好きだという男も連れてきてしまう。それは困った状況だ。佐野とわかなの間にさざ波がたつ。
佐野は断ったのにわかなが気になり始めてる。男と川で泳ぐ勝負。東京から来たアホ男が割ったガラス器のかけらで足を切ってしまい同着に。このシーンでわかなをめぐって二人の男がスクラッチで争ってることを表現。
結局わかなと佐野は夏休みいっぱい田舎滞在で恋をお楽しみ。
村祭りのロックコンサートの盛り上がり方が理想的すぎ。
別れも告げずに東京へ戻るわかなをバイクで追いかけるシーンは「WOOD JOB!」も連想。
田舎の男女、東京の男女のたすき掛け四角関係。16~20歳の男女がつらい恋。
しかし男には東京でデザインを勉強する夢がある。ふたりは東京で奇跡の出会い。若者には夢があってよい。そんな爽やか青春映画。
主題歌は Mrs. GREEN APPLE「青と夏」。
東京のJKが夏休みに弟を連れて祖母の家に行き、そこで男の子と出会うという青春LOVEストーリー。誰もが夏にこんな恋に出会いたいという映画。マンガの原作があるようだ。
主に南伊勢町で撮影されたようだ。だが、若者たちがみんな標準語。あと、ポスターのビジュアルのセンスがコレジャナイ感がする。
このJKわかなが不慣れな田舎道を自転車で走ってるだけでがけ下に落ちるなどダメっぷりを発揮。
そこを酒屋の息子佐野勇斗に助けられ恋心。こいつは「3D彼女」でO脚オタク野郎を演じてた男だ。
この田舎がパキッと明るい色合い。地元の高校生たちからも歓迎され、橋の上から川に飛び込む度胸試しも。
男の幼なじみ古畑星夏が胸の谷間を見せつけながら現れる。なんて露出度の高い普段着なんだ。この女は佐野の婚約者?焦るヒロインは早くも告る。しかし、田舎でするべきことがたくさんあるし東京へは行けないしで断られる。
東京から高校の友だちもやってくる。親友久間田琳加がわかなを好きだという男も連れてきてしまう。それは困った状況だ。佐野とわかなの間にさざ波がたつ。
佐野は断ったのにわかなが気になり始めてる。男と川で泳ぐ勝負。東京から来たアホ男が割ったガラス器のかけらで足を切ってしまい同着に。このシーンでわかなをめぐって二人の男がスクラッチで争ってることを表現。
結局わかなと佐野は夏休みいっぱい田舎滞在で恋をお楽しみ。
村祭りのロックコンサートの盛り上がり方が理想的すぎ。
別れも告げずに東京へ戻るわかなをバイクで追いかけるシーンは「WOOD JOB!」も連想。
田舎の男女、東京の男女のたすき掛け四角関係。16~20歳の男女がつらい恋。
しかし男には東京でデザインを勉強する夢がある。ふたりは東京で奇跡の出会い。若者には夢があってよい。そんな爽やか青春映画。
主題歌は Mrs. GREEN APPLE「青と夏」。
2020年4月21日火曜日
芥川龍之介「河童」(昭和2年)
芥川龍之介「河童」を読みたくてこの一冊を手に取った。1969年岩波文庫版で読む。
河童(昭和2年)
ある若い精神病患者の体験談を書き留めた風刺的空想社会小説。上高地の穂高を登ろうとしていて河童に遭遇。追いかけてたら穴に落ち、目が覚めたらそこは河童の国の河童の街。大正から昭和へという日本の社会を風刺したような、日本を鏡に映した向こうの世界のような場所。
河童の出産シーンを読むと、芥川は母親が発狂して死んだということに強い不安と圧迫を感じていたんだなと想う。生まれてくる前に同意を求めるとか、優生思想とか、資本家と職工とか、時代の雰囲気を感じる。
雌が雄を追いかけて抱き着いて求婚するとか、女性問題で酷い目に遭った芥川の女性に対する恨みのようなものも垣間見えたw
面白い短編なので子どもたちの間でもっと読まれてもいいと感じたけど、やはり理解しがたい面もある。
蜃気楼(昭和2年)
とくに何も起こらないストーリーもない日常の一風景。水葬された死体についていた木札とか、片方だけの靴とか、ただ黙ってすれ違う男とか。ただ、自分は何か漠然とした不安を感じた。
三つの窓(昭和2年)
横須賀に寄港した軍艦での一コマ。いや、三コマ。軍艦は寄港すると艦内に鼠が増えるということを知った。
自分の発狂を恐れていた芥川は、友人の宇野浩二の発狂も見ていた。自身と宇野を戦艦にたとえてる。
河童(昭和2年)
ある若い精神病患者の体験談を書き留めた風刺的空想社会小説。上高地の穂高を登ろうとしていて河童に遭遇。追いかけてたら穴に落ち、目が覚めたらそこは河童の国の河童の街。大正から昭和へという日本の社会を風刺したような、日本を鏡に映した向こうの世界のような場所。
河童の出産シーンを読むと、芥川は母親が発狂して死んだということに強い不安と圧迫を感じていたんだなと想う。生まれてくる前に同意を求めるとか、優生思想とか、資本家と職工とか、時代の雰囲気を感じる。
雌が雄を追いかけて抱き着いて求婚するとか、女性問題で酷い目に遭った芥川の女性に対する恨みのようなものも垣間見えたw
面白い短編なので子どもたちの間でもっと読まれてもいいと感じたけど、やはり理解しがたい面もある。
蜃気楼(昭和2年)
とくに何も起こらないストーリーもない日常の一風景。水葬された死体についていた木札とか、片方だけの靴とか、ただ黙ってすれ違う男とか。ただ、自分は何か漠然とした不安を感じた。
三つの窓(昭和2年)
横須賀に寄港した軍艦での一コマ。いや、三コマ。軍艦は寄港すると艦内に鼠が増えるということを知った。
自分の発狂を恐れていた芥川は、友人の宇野浩二の発狂も見ていた。自身と宇野を戦艦にたとえてる。
2020年4月20日月曜日
中村ゆりか「ラーメン食いてぇ!」(2018)
中村ゆりかの主演映画「ラーメン食いてぇ!」を見る。マンガ原作があるようだ。
親友役で葵わかなも出てる。中村ゆりかと葵わかなというとNHK「舞え!KAGURA姫」というドラマと同じ。KAGURAの中村と葵のキャラを入れ替えたようなキャスト。
なんとグンマ女子高生映画。高校屋上で焼きまんじゅうを焼いて食ってる。そんなグンマJKほんとにいるの?w
片桐仁は料理評論家。パミール高原で事故に遭い荒野をさまよう。石橋蓮司は店の味を守れず店を休業。それぞれの人生の岐路。
ヒロインは進路に悩み失恋しリストカット。病院に家族が集まり家業のラーメン屋をどうするか?でもめる。そこで目を覚ました中村「わたしにラーメンを教えて!」
中村ゆりかのラーメン修行がこの映画のほとんど。かわいい女の子が何かに出会って頑張る青春ムービー。ヒロインは食が細くてラーメン見るのも嫌になる。それ、新鮮な視点。
遭難してる片桐、遊牧民のキルギス人と出会う。ヤギが骨折してしまうとその日の食事になる。このスープの味は!ピンク色の岩塩を使っていた。
ラーメン店と荒野の映像が交互に出てくるところがこの映画のユニークなところ。
制服にエプロンで麺をゆでる葵わかなが美しかった。制服の着こなしがとてつもなくオシャレ。わかなは食いしん坊役w
ヒロインがわかなを追い高崎駅を駆け回るシーンは良かったのだが、サラリーマンと2回ぶつかるシーンはいらない。
ふたりでラーメン修行を始める!というシーンで主題歌が流れるのはテレビドラマっぽくて安く感じる。
他店でラーメンのゆで方湯切り方を観察するJKの映像が面白い。「タンポポ」における宮本信子と桜金蔵を連想。
葵のママがラーメン評論家のような感想を言い出すシーンが突然すぎて可笑しいけど、なぜなのか?なんの説明もない。
岩塩のスープがDNAレベルで不思議な感覚を引き起こす理由を、常連客にひとつの答えとして説明させる。ああ、ラーメンが日本人の国民食となった理由はそれなのか。
片桐が清蘭の塩ラーメンにたどり着いた場面を見てて、自分はちょっと笑顔になってしまっていた。かわいい女の子ふたりでやってるラーメン屋の映像、ただそれだけで十分。
親友役で葵わかなも出てる。中村ゆりかと葵わかなというとNHK「舞え!KAGURA姫」というドラマと同じ。KAGURAの中村と葵のキャラを入れ替えたようなキャスト。
なんとグンマ女子高生映画。高校屋上で焼きまんじゅうを焼いて食ってる。そんなグンマJKほんとにいるの?w
片桐仁は料理評論家。パミール高原で事故に遭い荒野をさまよう。石橋蓮司は店の味を守れず店を休業。それぞれの人生の岐路。
ヒロインは進路に悩み失恋しリストカット。病院に家族が集まり家業のラーメン屋をどうするか?でもめる。そこで目を覚ました中村「わたしにラーメンを教えて!」
遭難してる片桐、遊牧民のキルギス人と出会う。ヤギが骨折してしまうとその日の食事になる。このスープの味は!ピンク色の岩塩を使っていた。
ラーメン店と荒野の映像が交互に出てくるところがこの映画のユニークなところ。
制服にエプロンで麺をゆでる葵わかなが美しかった。制服の着こなしがとてつもなくオシャレ。わかなは食いしん坊役w
ヒロインがわかなを追い高崎駅を駆け回るシーンは良かったのだが、サラリーマンと2回ぶつかるシーンはいらない。
ふたりでラーメン修行を始める!というシーンで主題歌が流れるのはテレビドラマっぽくて安く感じる。
他店でラーメンのゆで方湯切り方を観察するJKの映像が面白い。「タンポポ」における宮本信子と桜金蔵を連想。
葵のママがラーメン評論家のような感想を言い出すシーンが突然すぎて可笑しいけど、なぜなのか?なんの説明もない。
岩塩のスープがDNAレベルで不思議な感覚を引き起こす理由を、常連客にひとつの答えとして説明させる。ああ、ラーメンが日本人の国民食となった理由はそれなのか。
片桐が清蘭の塩ラーメンにたどり着いた場面を見てて、自分はちょっと笑顔になってしまっていた。かわいい女の子ふたりでやってるラーメン屋の映像、ただそれだけで十分。
2020年4月19日日曜日
東野圭吾「白馬山荘殺人事件」(1986)
東野圭吾「白馬山荘殺人事件」(1986)を読む。1990年光文社文庫(2016年45刷)で読む。さすがの国民的人気作家なので初期作品でも多くの人に読まれている。
大学生ナオコは信州のペンションでの兄の自殺に不審を持ち、同じ大学のマコトと、事件の1年後に同じ常連たちが集まる日をねらって同じ宿の同じ部屋に泊まりに行く。
このペンションは英国人所有の別荘だったものを現オーナーが買い取ったもの。各部屋の壁にはマザーグースの一節。
兄は密室でトリカブト毒で死んでいた。ノイローゼ気味だったことから自殺とされた。だが、妹に「マリア様が、家に帰ったのはいつか」という謎のはがきを出していた。
そして、その事件のさらに1年前に宿泊客が崖から転落死。さらに、前所有者英国人夫人の幼い息子も転落死。婦人も自殺。このペンションには一体何がある?!
するとさらに宿泊客の男までもがペンション裏の朽ち果てた石橋から転落死。今度もトリックを使った殺人っぽい。
1年前に死んだヒロインの兄はこのペンションでマザーグースの暗号を解いていた?
マザーグースを使った暗号と宝探し。そして密室。古風な感じ。密室トリックも図を使って説明。正直文章だけだとよくイメージできてなかった。
この暗号は登場人物だけが分かってる感じで読者は置いてけぼり。途中からどうでもよくなるw
あんまり自分の好きなタイプの本ではなかった。それほどスッキリ爽快感もない。ヒロインにも刑事にも魅力も感じない。犯人のキャラがよくつかめないまま真相解明に突入。
まだ読者のツボをわかってない感じでわかりにくいし読みづらかった。ただ、面白い映像作品にすることはできそう。
大学生ナオコは信州のペンションでの兄の自殺に不審を持ち、同じ大学のマコトと、事件の1年後に同じ常連たちが集まる日をねらって同じ宿の同じ部屋に泊まりに行く。
このペンションは英国人所有の別荘だったものを現オーナーが買い取ったもの。各部屋の壁にはマザーグースの一節。
兄は密室でトリカブト毒で死んでいた。ノイローゼ気味だったことから自殺とされた。だが、妹に「マリア様が、家に帰ったのはいつか」という謎のはがきを出していた。
そして、その事件のさらに1年前に宿泊客が崖から転落死。さらに、前所有者英国人夫人の幼い息子も転落死。婦人も自殺。このペンションには一体何がある?!
するとさらに宿泊客の男までもがペンション裏の朽ち果てた石橋から転落死。今度もトリックを使った殺人っぽい。
1年前に死んだヒロインの兄はこのペンションでマザーグースの暗号を解いていた?
マザーグースを使った暗号と宝探し。そして密室。古風な感じ。密室トリックも図を使って説明。正直文章だけだとよくイメージできてなかった。
この暗号は登場人物だけが分かってる感じで読者は置いてけぼり。途中からどうでもよくなるw
あんまり自分の好きなタイプの本ではなかった。それほどスッキリ爽快感もない。ヒロインにも刑事にも魅力も感じない。犯人のキャラがよくつかめないまま真相解明に突入。
まだ読者のツボをわかってない感じでわかりにくいし読みづらかった。ただ、面白い映像作品にすることはできそう。
2020年4月18日土曜日
芳根京子「表参道高校合唱部!」(2015)全10話を見た
2015年夏にTBSで放送されていた「表参道高校合唱部!」を2020年になってようやく見通した。途中で長い中断もあったのだがやっと見通した。これが芳根京子の連ドラ初主演作。
TBSのオリジナルドラマなのだが、やはり典型的なTBSドラマで、自分としては見通すことがキツかった。
テレビドラマがマンガ原作や刑事もの医療ものばかりの中、オリジナルで勝負した心意気や良しなのだが、やはりクオリティはそれほど高くなかった。
高校生たちを主役にしても全世代を対象としたドラマで、脚本も演出も雑で粗がめだったように思えた。
小豆島からいきなり母の実家がある東京へ、父と母の別居というヘビーな状況を抱えて引っ越し。よりによって表参道という立地の高校へ。ここが父と母が出会った場所でもある。ここで父と母を結び付けた奇跡の「愛の歌」を探すことがヒロインの使命。
この高校がスクールカーストがあったりしてギスギスしてる。爽やかでガッツのあるヒロインが教室を変えていく。これが初回から見ていてかなりNHK朝ドラ感がする。ほぼ無名の10代の役者たちが多かったせいもある。
斜めぱっつん前髪ヒロインの髪型が斬新。このドラマで確かな演技を見せた芳根京子は翌年のNHK朝ドラ「べっぴんさん」のヒロインも勝ち取る。
異分子であるヒロインは浮き上がりはじき出される。壮絶なイジメや嫌がらせに遭う。第1話クライマックスが体育館でのアカペラ5人組合唱披露シーン。ジュディマリのオーバードライブ。ここ、合唱のすばらしさを見るものに教えてくれるかなり感動的なシーンで良いドラマになる可能性を感じた。
各回のクライマックスシーン、みんなで歌を唄えばなんとかなる。だが、それはいつも突然すぎて違和感でツッコミどころ。ドラマとしてそれほど効果的でない。
ヒロインがここぞという場面で自分を奮い立たせる10秒ジャンプという設定は良い。マサイ族みたいだが、合唱直前にそれをやると息が乱れるw
スクールカースト序列1位がまたしてもオスカー吉本実憂。
同じく2015年公開の「罪の余白」とほぼ同じような女帝キャラ。この子も芸能活動が上手くいってないイライラとストレスを抱え、取り巻き連中といざこざを起こし、爽やか芳根のグループへ入るという、ドラマによくある展開。
あんだけ酷いことしておいて合唱部に入ってから堂々とそのままのキャラでいて笑った。もっと控えめにしていろ。
このドラマが見ていて感情移入できないキャラだらけ。このドラマの第5話あたりまでひたすら各登場人物がそれぞれ抱える重たい問題の紹介。自分は途中で見るのを挫折しそうになった。
吉本の友人ふたりも酷い。汚水を2階から芳根にぶちまけるとか、友人から贈られた想い出DVDを破壊するとか、ほぼ犯罪者。
しかもツインテールは学園祭準備のために集めた金を紛失してるのにお咎めなし。なんで?
吉本の母原沙知絵も酷い。工場が潰れてホームレスとはいえ実の父親を棄てるように娘に強要とか母親のできることではない。
ヒロインの祖父平泉成も娘を無理矢理奪われたとはいえ、小豆島でのうどん店経営に行き詰まった元不良父川平慈英にあびせる言葉が酷い。この父が軽トラ1台で東京をさ迷う。辛くてみてらんない。
スポーツ推薦で野球部に入ったものの結果のでない生徒への他生徒の扱い接し方も酷い。
カリスマ合唱指導者城田優が教師を続けられなくなるかもしれない危機。その事情が酷い。コンクールで技量が劣る生徒に口パク指令を出したらその生徒が自殺未遂で廃人同然?両親から訴訟?
そんなの、途中で選手交代させられ傷ついたから訴える。代打を送られて傷ついたから訴える。ってのと同じでは?土下座して謝罪する必要なんてない。
ようするに登場人物たちほとんどがツッコみたくなる設定。
だが一番謎なのは教頭デビット伊東。こいつがほぼ「ドラゴン桜」と同じキャラ。しかも学校が廃校になる危機を招いてるのも同じ。
たいていの高校には合唱部はある。合唱は高校部活動としてメジャーなのに、なぜか合唱部を廃部に追い込もうとする。むしろ合唱部をしっかりした部に育てなくてはいけない立場なのに教育者失格で納得いかない。
ヒロインの母堀内敬子が父には冷たく、同級生結婚詐欺師石丸幹二にメロメロになっているのも子どもたちに見せてよい姿ではない。
第6話以降はメンバー内恋愛要素が出てきてようやく楽しくなりそうな感じはあった。
だが、志尊淳が心臓病でぶっ倒れて手術して回復とか、高杉真宙のLGBTは展開が速すぎ。
高杉と森川葵のお台場デートが完全に「賭ケグルイ」の鈴井と早乙女。
夏合宿シーンロケ地が小山町の旧和田邸。昨年秋に行ってきたので楽しく見れた。
第8話になっていきなりカリスマシンガー役で中島美嘉が出てきて驚いた。こいつがなかなか嫌な役。中島は10代の昔は主演ドラマもあったぐらい輝いていたんだが。
なお、このドラマの第5話に3秒ほど武田玲奈が出演している。校舎中庭にばらまかれた吉本の過去を告発するビラを見て「マジで?!」というワンシーンのみにチョイ役登場している。この時期の武田はグラビアアイドルとしてようやく名前を知られ始めた時期。
吉本の友人で心根の腐った嫌な女役小島梨里杏はシリーズ全体を通して目立ってる。それに美人だ。
このドラマの翌年に小島と武田は「オオカミ少女と黒王子」でやはりクラスの嫌な序列上位女子を演じてる。
あと、キャストにしっかり名前が記載されているヒロインの小豆島の親友葵わかなの登場シーンも少ない。ドラマってなりゆきで作っていくのでこういうこともたまに起こる。
TBSのオリジナルドラマなのだが、やはり典型的なTBSドラマで、自分としては見通すことがキツかった。
テレビドラマがマンガ原作や刑事もの医療ものばかりの中、オリジナルで勝負した心意気や良しなのだが、やはりクオリティはそれほど高くなかった。
高校生たちを主役にしても全世代を対象としたドラマで、脚本も演出も雑で粗がめだったように思えた。
小豆島からいきなり母の実家がある東京へ、父と母の別居というヘビーな状況を抱えて引っ越し。よりによって表参道という立地の高校へ。ここが父と母が出会った場所でもある。ここで父と母を結び付けた奇跡の「愛の歌」を探すことがヒロインの使命。
この高校がスクールカーストがあったりしてギスギスしてる。爽やかでガッツのあるヒロインが教室を変えていく。これが初回から見ていてかなりNHK朝ドラ感がする。ほぼ無名の10代の役者たちが多かったせいもある。
斜めぱっつん前髪ヒロインの髪型が斬新。このドラマで確かな演技を見せた芳根京子は翌年のNHK朝ドラ「べっぴんさん」のヒロインも勝ち取る。
異分子であるヒロインは浮き上がりはじき出される。壮絶なイジメや嫌がらせに遭う。第1話クライマックスが体育館でのアカペラ5人組合唱披露シーン。ジュディマリのオーバードライブ。ここ、合唱のすばらしさを見るものに教えてくれるかなり感動的なシーンで良いドラマになる可能性を感じた。
各回のクライマックスシーン、みんなで歌を唄えばなんとかなる。だが、それはいつも突然すぎて違和感でツッコミどころ。ドラマとしてそれほど効果的でない。
ヒロインがここぞという場面で自分を奮い立たせる10秒ジャンプという設定は良い。マサイ族みたいだが、合唱直前にそれをやると息が乱れるw
スクールカースト序列1位がまたしてもオスカー吉本実憂。
同じく2015年公開の「罪の余白」とほぼ同じような女帝キャラ。この子も芸能活動が上手くいってないイライラとストレスを抱え、取り巻き連中といざこざを起こし、爽やか芳根のグループへ入るという、ドラマによくある展開。
あんだけ酷いことしておいて合唱部に入ってから堂々とそのままのキャラでいて笑った。もっと控えめにしていろ。
このドラマが見ていて感情移入できないキャラだらけ。このドラマの第5話あたりまでひたすら各登場人物がそれぞれ抱える重たい問題の紹介。自分は途中で見るのを挫折しそうになった。
吉本の友人ふたりも酷い。汚水を2階から芳根にぶちまけるとか、友人から贈られた想い出DVDを破壊するとか、ほぼ犯罪者。
しかもツインテールは学園祭準備のために集めた金を紛失してるのにお咎めなし。なんで?
吉本の母原沙知絵も酷い。工場が潰れてホームレスとはいえ実の父親を棄てるように娘に強要とか母親のできることではない。
ヒロインの祖父平泉成も娘を無理矢理奪われたとはいえ、小豆島でのうどん店経営に行き詰まった元不良父川平慈英にあびせる言葉が酷い。この父が軽トラ1台で東京をさ迷う。辛くてみてらんない。
スポーツ推薦で野球部に入ったものの結果のでない生徒への他生徒の扱い接し方も酷い。
カリスマ合唱指導者城田優が教師を続けられなくなるかもしれない危機。その事情が酷い。コンクールで技量が劣る生徒に口パク指令を出したらその生徒が自殺未遂で廃人同然?両親から訴訟?
そんなの、途中で選手交代させられ傷ついたから訴える。代打を送られて傷ついたから訴える。ってのと同じでは?土下座して謝罪する必要なんてない。
ようするに登場人物たちほとんどがツッコみたくなる設定。
だが一番謎なのは教頭デビット伊東。こいつがほぼ「ドラゴン桜」と同じキャラ。しかも学校が廃校になる危機を招いてるのも同じ。
たいていの高校には合唱部はある。合唱は高校部活動としてメジャーなのに、なぜか合唱部を廃部に追い込もうとする。むしろ合唱部をしっかりした部に育てなくてはいけない立場なのに教育者失格で納得いかない。
ヒロインの母堀内敬子が父には冷たく、同級生結婚詐欺師石丸幹二にメロメロになっているのも子どもたちに見せてよい姿ではない。
だが、志尊淳が心臓病でぶっ倒れて手術して回復とか、高杉真宙のLGBTは展開が速すぎ。
高杉と森川葵のお台場デートが完全に「賭ケグルイ」の鈴井と早乙女。
夏合宿シーンロケ地が小山町の旧和田邸。昨年秋に行ってきたので楽しく見れた。
第8話になっていきなりカリスマシンガー役で中島美嘉が出てきて驚いた。こいつがなかなか嫌な役。中島は10代の昔は主演ドラマもあったぐらい輝いていたんだが。
なお、このドラマの第5話に3秒ほど武田玲奈が出演している。校舎中庭にばらまかれた吉本の過去を告発するビラを見て「マジで?!」というワンシーンのみにチョイ役登場している。この時期の武田はグラビアアイドルとしてようやく名前を知られ始めた時期。
吉本の友人で心根の腐った嫌な女役小島梨里杏はシリーズ全体を通して目立ってる。それに美人だ。
このドラマの翌年に小島と武田は「オオカミ少女と黒王子」でやはりクラスの嫌な序列上位女子を演じてる。
あと、キャストにしっかり名前が記載されているヒロインの小豆島の親友葵わかなの登場シーンも少ない。ドラマってなりゆきで作っていくのでこういうこともたまに起こる。
2020年4月17日金曜日
第十六代 徳川家達(2012)
祥伝社新書に樋口雄彦「第十六代徳川家達」(2012)という本があるので読んでみた。
自分、わずか4歳で徳川宗家を継いだ徳川家達(いえさと)の存在を知ったのは数年前。「やりすぎ都市伝説」で中田敦彦のプレゼントークで知った。本来であれば徳川将軍になっていたであろう人物で、30年も貴族院議長を務め、東京オリンピック組織委員会委員長にもなった人物。(いだてんに出て来た記憶がまったくない)
昨年にNHK「交信ヲ傍受セヨ」(昭和54年放送)をYOUTUBEで見てたら、二・二六事件で大命が下り討伐が始まるという夜に、首相官邸を占拠した栗原安秀と外部からの電話相談してる会話に「西園寺公もね、徳川もね、」という箇所が出てくるのだが、この徳川って家達のこと?そんなに国政に影響力があったの?
そんなわけで徳川家達という人物について何も知らなかったので、この本を選んだ。この人は教科書で見た記憶がまったくない。
松平春嶽の弟田安慶頼と津田竹子(側室)との子が田安亀之助(のちの家達)。
十四代家茂が死去した後、後継将軍に未亡人和宮は一橋慶喜を、十三代家定の未亡人天璋院は田安亀之助を推した。
結果、幼少すぎた亀之助ではなく慶喜が十五代将軍となった。慶喜の次は家達となるはずだったのだが、慶喜は大政奉還してしまう。慶応四年、明治新政府は徳川宗家の相続者に家達を指名した。駿府70万石の領主に。そして家達は初代静岡藩主。
廃藩置県によって家達は東京千駄ヶ谷に住むようになる。後に公爵になり貴族院議員。
大正3年に第1次山本内閣が総辞職したとき組閣の大命が下ったものの辞退。このとき辞退しなければ徳川総理大臣が誕生していた。
この人は政治家として野心があったわけでなく、議長のような仕事に自分を見出した。
議長や赤十字やオリンピックといった皇族の方がするような仕事ばかり。少年時代から英国留学して英語が堪能で英米に知己を得た。そういう意味で国際交流で国のために働いた人だとはいえる。
つまり、日本史の劇的な場面にいたのは幼少のときのみ。この本も読んでいてとくに面白いと感じる箇所はないw ひたすら経歴を読んでるだけの本。
徳川の静岡や沼津との関係の深さを学んだ。あとは、15代慶喜に対して冷たい対応。
「慶喜は徳川家を15代で終わらせた人。自分は新徳川家の初代。」
公務に婦人を帯同させた件と、男色家疑惑というスキャンダルがあったことも知った。
自分としてはワシントン軍縮会議全権委員としてどんな役割をしたのか?とか知りたかった。
自分、わずか4歳で徳川宗家を継いだ徳川家達(いえさと)の存在を知ったのは数年前。「やりすぎ都市伝説」で中田敦彦のプレゼントークで知った。本来であれば徳川将軍になっていたであろう人物で、30年も貴族院議長を務め、東京オリンピック組織委員会委員長にもなった人物。(いだてんに出て来た記憶がまったくない)
昨年にNHK「交信ヲ傍受セヨ」(昭和54年放送)をYOUTUBEで見てたら、二・二六事件で大命が下り討伐が始まるという夜に、首相官邸を占拠した栗原安秀と外部からの電話相談してる会話に「西園寺公もね、徳川もね、」という箇所が出てくるのだが、この徳川って家達のこと?そんなに国政に影響力があったの?
そんなわけで徳川家達という人物について何も知らなかったので、この本を選んだ。この人は教科書で見た記憶がまったくない。
松平春嶽の弟田安慶頼と津田竹子(側室)との子が田安亀之助(のちの家達)。
十四代家茂が死去した後、後継将軍に未亡人和宮は一橋慶喜を、十三代家定の未亡人天璋院は田安亀之助を推した。
結果、幼少すぎた亀之助ではなく慶喜が十五代将軍となった。慶喜の次は家達となるはずだったのだが、慶喜は大政奉還してしまう。慶応四年、明治新政府は徳川宗家の相続者に家達を指名した。駿府70万石の領主に。そして家達は初代静岡藩主。
廃藩置県によって家達は東京千駄ヶ谷に住むようになる。後に公爵になり貴族院議員。
大正3年に第1次山本内閣が総辞職したとき組閣の大命が下ったものの辞退。このとき辞退しなければ徳川総理大臣が誕生していた。
この人は政治家として野心があったわけでなく、議長のような仕事に自分を見出した。
議長や赤十字やオリンピックといった皇族の方がするような仕事ばかり。少年時代から英国留学して英語が堪能で英米に知己を得た。そういう意味で国際交流で国のために働いた人だとはいえる。
つまり、日本史の劇的な場面にいたのは幼少のときのみ。この本も読んでいてとくに面白いと感じる箇所はないw ひたすら経歴を読んでるだけの本。
徳川の静岡や沼津との関係の深さを学んだ。あとは、15代慶喜に対して冷たい対応。
「慶喜は徳川家を15代で終わらせた人。自分は新徳川家の初代。」
公務に婦人を帯同させた件と、男色家疑惑というスキャンダルがあったことも知った。
自分としてはワシントン軍縮会議全権委員としてどんな役割をしたのか?とか知りたかった。
2020年4月16日木曜日
仲間由紀恵「トリック」シーズン1(全10話)を見返した
「トリック」(2000 テレビ朝日)は自分にとってこの20年でもっとも印象深いドラマ。脚本も演出もテーマも画期的だった。
たぶん、15年以上ぶりにTRICKシーズン1を見返した。セリフも次の展開もほとんど覚えていた。自分はこのドラマから今も強い影響を受けている。
本放送当時はVHSビデオテープに録画して見ていたはず。その後にDVDが出たときに何度も見た。本当にそれ以来に見返した。今はサブスク配信という便利なものがある。なつかしいドラマも簡単に見れる良い時代になったものだ。
日常において、せこいダマシのテクニックを見ると「トリックかよ!」と突っ込む。土俗的なものが残っている島とか見ると「カミヌーリ」かよ!とつっこむ。男女ペア凸凹コンビを見ると「上田と山田かよ!」と突っ込む。
トリックが始まったのが2000年、オウムの地下鉄サリン事件が1995年。もうオマエら騙されるなよ!ハルマゲドンとか予言とか空中浮遊とか、そんなもんないぞ!という社会への警告メッセージ。
自分にとって仲間由紀恵という女優は「利家とまつ」でもなく「ヤンクミ」でもなく、今でもほぼ山田奈緒子オンリーw 申し訳ないが、仲間由紀恵の他の役名を一切知らない。
当時20歳だった仲間由紀恵が今見ても明らかに美人!と改めて驚いた。眉毛の角度が凛々しい。ちょっと怒ってるように見える。
それに体型が華奢で驚く。TRICKの仲間由紀恵はいつももこもこに着ぶくれしていた印象が強いのだが、シーズン1は夏放送のドラマだったため仲間由紀恵が薄着。
このドラマはシモネタが多い。ヒロインはやたらと「貧乳」と呼ばれるが、実際の仲間はそんなことはない。
このマジシャンが浅草で手品をやってるのだが、いつも球が宙に浮くこどもだまし手品のみ。これでは客が来るわけがない。
仲間由紀恵なにより声質が美しい。それに表情の演技がとても適切で情報量が多い。腕がガリガリに痩せている。
このドラマは阿部寛にとっても仲間にとっても俳優業のキャリアにおいて、コメディー俳優として重要な転換点だったはず。ふたりとも後にさらなる大女優大俳優へと成長した。
エピソード1「母の泉」のころのふたりの演技がまだ固い。ふたりの会話は軽妙だが真面目。まだそれほどフザケてない。
自分はこのエピソード1が一番完成度が高いと思っているし一番気に入っている。
横溝金田一の雰囲気と、乱歩のようなバカ展開を、バカ演出デフォルメ演技でドラマにしてしまったことも一周回って面白い。
上田が信者(伊藤裕子)を逃げるよう説得するシーンの阿部寛はどこか石坂金田一の雰囲気だったように感じた。
カーチェイスシーンがどこか「ルパン三世 カリオストロの城」を連想した。
母之泉教団に北海道弁を話す女幹部がいたことに初めて気づいた。「したっけさ」「はんかくさい」などが北海道弁だということを自分は橋本奈々未から教わった。
エピソード2「まるごと消えた村」もエピソード5「黒門島」も好き。
BGMがガムランっぽいしピアノが現代音楽っぽいところも好き。シャーマンの奇声のようなBGMは今でもバラエティ番組でたまに耳にする。
このドラマで初めて知った俳優が多い。自分にとって篠井英介は今でも「ミラクル三井」だし、佐伯日菜子という女優はほぼ「パントマイムで人を殺す女」の黒坂。橋本さとしは今でもほぼ「千里眼の男」。
最終回でマボロシの島に取り残された上田と山田。横からパンで主題歌を歌う鬼束ちひろが出て来た時は本当に面白かった。
このドラマは山田奈緒子と敵ボスキャラだけが頭脳明晰。それ以外はすべて天然バカ。
なつかしい俳優だらけだ。20年近くたつので鬼籍に入った役者たちも多い。
トリックシリーズはシーズン1が好評でマニアックな人気に火が付いた。製作者側は調子に乗ってフザケまくって駄作を粗製乱造してしまったのは残念。生瀬刑事と若い刑事のやりとりが自分はシリーズすべてを通してウザすぎてキライ。
トリックシリーズはすべて堤監督と蒔田脚本かと勘違いしていた。「パントマイムで人を殺す女」の演出は大根仁だったことに初めて気がついた。仲間と佐伯に「ドロン!」と言わせた大根は後に「モテキ」でまさみにも「ドロンしま~す」と言わせた。
仲間由紀恵が2014年に34歳でたいしてかっこよくもない中年脇役俳優と結婚してしまったのも残念。
仲間由紀恵と似た声質を出せる白石麻衣が20代前半でこの仲間由紀恵みたいな役に出会えなかったことも残念。
PS. 昨年夏に放送された「ピュア」での浜辺美波はトリック仲間由紀恵の後継者の資質十分に感じた。今後シリーズ化してほしいと思っていたら、ほぼトリックスタッフで「屍人荘の殺人」という映画ができた。
たぶん、15年以上ぶりにTRICKシーズン1を見返した。セリフも次の展開もほとんど覚えていた。自分はこのドラマから今も強い影響を受けている。
本放送当時はVHSビデオテープに録画して見ていたはず。その後にDVDが出たときに何度も見た。本当にそれ以来に見返した。今はサブスク配信という便利なものがある。なつかしいドラマも簡単に見れる良い時代になったものだ。
日常において、せこいダマシのテクニックを見ると「トリックかよ!」と突っ込む。土俗的なものが残っている島とか見ると「カミヌーリ」かよ!とつっこむ。男女ペア凸凹コンビを見ると「上田と山田かよ!」と突っ込む。
トリックが始まったのが2000年、オウムの地下鉄サリン事件が1995年。もうオマエら騙されるなよ!ハルマゲドンとか予言とか空中浮遊とか、そんなもんないぞ!という社会への警告メッセージ。
自分にとって仲間由紀恵という女優は「利家とまつ」でもなく「ヤンクミ」でもなく、今でもほぼ山田奈緒子オンリーw 申し訳ないが、仲間由紀恵の他の役名を一切知らない。
当時20歳だった仲間由紀恵が今見ても明らかに美人!と改めて驚いた。眉毛の角度が凛々しい。ちょっと怒ってるように見える。
それに体型が華奢で驚く。TRICKの仲間由紀恵はいつももこもこに着ぶくれしていた印象が強いのだが、シーズン1は夏放送のドラマだったため仲間由紀恵が薄着。
このドラマはシモネタが多い。ヒロインはやたらと「貧乳」と呼ばれるが、実際の仲間はそんなことはない。
このマジシャンが浅草で手品をやってるのだが、いつも球が宙に浮くこどもだまし手品のみ。これでは客が来るわけがない。
仲間由紀恵なにより声質が美しい。それに表情の演技がとても適切で情報量が多い。腕がガリガリに痩せている。
このドラマは阿部寛にとっても仲間にとっても俳優業のキャリアにおいて、コメディー俳優として重要な転換点だったはず。ふたりとも後にさらなる大女優大俳優へと成長した。
エピソード1「母の泉」のころのふたりの演技がまだ固い。ふたりの会話は軽妙だが真面目。まだそれほどフザケてない。
自分はこのエピソード1が一番完成度が高いと思っているし一番気に入っている。
横溝金田一の雰囲気と、乱歩のようなバカ展開を、バカ演出デフォルメ演技でドラマにしてしまったことも一周回って面白い。
上田が信者(伊藤裕子)を逃げるよう説得するシーンの阿部寛はどこか石坂金田一の雰囲気だったように感じた。
カーチェイスシーンがどこか「ルパン三世 カリオストロの城」を連想した。
母之泉教団に北海道弁を話す女幹部がいたことに初めて気づいた。「したっけさ」「はんかくさい」などが北海道弁だということを自分は橋本奈々未から教わった。
エピソード2「まるごと消えた村」もエピソード5「黒門島」も好き。
BGMがガムランっぽいしピアノが現代音楽っぽいところも好き。シャーマンの奇声のようなBGMは今でもバラエティ番組でたまに耳にする。
このドラマで初めて知った俳優が多い。自分にとって篠井英介は今でも「ミラクル三井」だし、佐伯日菜子という女優はほぼ「パントマイムで人を殺す女」の黒坂。橋本さとしは今でもほぼ「千里眼の男」。
最終回でマボロシの島に取り残された上田と山田。横からパンで主題歌を歌う鬼束ちひろが出て来た時は本当に面白かった。
このドラマは山田奈緒子と敵ボスキャラだけが頭脳明晰。それ以外はすべて天然バカ。
なつかしい俳優だらけだ。20年近くたつので鬼籍に入った役者たちも多い。
トリックシリーズはシーズン1が好評でマニアックな人気に火が付いた。製作者側は調子に乗ってフザケまくって駄作を粗製乱造してしまったのは残念。生瀬刑事と若い刑事のやりとりが自分はシリーズすべてを通してウザすぎてキライ。
トリックシリーズはすべて堤監督と蒔田脚本かと勘違いしていた。「パントマイムで人を殺す女」の演出は大根仁だったことに初めて気がついた。仲間と佐伯に「ドロン!」と言わせた大根は後に「モテキ」でまさみにも「ドロンしま~す」と言わせた。
仲間由紀恵が2014年に34歳でたいしてかっこよくもない中年脇役俳優と結婚してしまったのも残念。
仲間由紀恵と似た声質を出せる白石麻衣が20代前半でこの仲間由紀恵みたいな役に出会えなかったことも残念。
PS. 昨年夏に放送された「ピュア」での浜辺美波はトリック仲間由紀恵の後継者の資質十分に感じた。今後シリーズ化してほしいと思っていたら、ほぼトリックスタッフで「屍人荘の殺人」という映画ができた。
2020年4月15日水曜日
横溝正史「悪魔の手毬唄」(昭和46年)
ついに横溝正史「悪魔の手毬唄」を読む。角川文庫平成8年61刷で読む。
自分、これを16歳ぐらいのとき読んでいると思っていた。今回これを読んでみてまったく読んだ記憶がなかった。
この超有名作の初出は昭和30年代の「宝石」。初単行本化が1971年の角川文庫。意外に最近。映画では昭和27年が舞台になってた。なのでもっと昔からある作品だと思ってた。
小説では昭和30年夏が舞台になっている。1977年の市川崑「悪魔の手毬唄」は多くの点でこの原作小説と違っている。
まず金田一さんは完全な休暇で鬼首村へやってくる。この村が位置的に岡山県だけど交通的には兵庫県からじゃないと行きにくい場所。つまり境界に位置している。
映画では最初からいきなり歌名雄と村の娘たちの三角関係が示されているのだが、この本では手毬唄の伝承と鬼首村について詳しい設定説明から始まる。
村の庄屋さんである放庵が行方不明であることは、5人目の妻おはんの件で胸騒ぎの金田一さんと井筒の女将さんが急行して発覚する。
手毬唄を聴かせてくれるばあさんもキャラ変。映画ではだいぶ耄碌してる設定だったけど、原作では悪意のあるばあさん。磯川警部が「畜生ッ、あのくそったればばあ!」って悪態ついてたのは可笑しかった。
原作では最後の金田一さんによる真相説明部分が座談会形式討論会形式になっているというのは本当だった。残された謎のひとつひとつを関係者が「そういえば」と証言を始めて理由を考えていく。ひとすじなわでない真犯人の殺害動機を納得いく説明を付加していく。これがだらだら長い。
原作は詳細まで細かくちゃんと理由があって伏線を回収しているのだが冗長にも感じた。
市川崑映画はかなり簡略化し映画として完成度の高いものをつくっていた。映画を知ってしまってると原作はかなりくどい。岡山方言会話がひらがな活字だと読み難い。だが、この会話やりとりがこの話の味になってる。
自分、これを16歳ぐらいのとき読んでいると思っていた。今回これを読んでみてまったく読んだ記憶がなかった。
この超有名作の初出は昭和30年代の「宝石」。初単行本化が1971年の角川文庫。意外に最近。映画では昭和27年が舞台になってた。なのでもっと昔からある作品だと思ってた。
小説では昭和30年夏が舞台になっている。1977年の市川崑「悪魔の手毬唄」は多くの点でこの原作小説と違っている。
まず金田一さんは完全な休暇で鬼首村へやってくる。この村が位置的に岡山県だけど交通的には兵庫県からじゃないと行きにくい場所。つまり境界に位置している。
映画では最初からいきなり歌名雄と村の娘たちの三角関係が示されているのだが、この本では手毬唄の伝承と鬼首村について詳しい設定説明から始まる。
村の庄屋さんである放庵が行方不明であることは、5人目の妻おはんの件で胸騒ぎの金田一さんと井筒の女将さんが急行して発覚する。
手毬唄を聴かせてくれるばあさんもキャラ変。映画ではだいぶ耄碌してる設定だったけど、原作では悪意のあるばあさん。磯川警部が「畜生ッ、あのくそったればばあ!」って悪態ついてたのは可笑しかった。
原作では最後の金田一さんによる真相説明部分が座談会形式討論会形式になっているというのは本当だった。残された謎のひとつひとつを関係者が「そういえば」と証言を始めて理由を考えていく。ひとすじなわでない真犯人の殺害動機を納得いく説明を付加していく。これがだらだら長い。
原作は詳細まで細かくちゃんと理由があって伏線を回収しているのだが冗長にも感じた。
市川崑映画はかなり簡略化し映画として完成度の高いものをつくっていた。映画を知ってしまってると原作はかなりくどい。岡山方言会話がひらがな活字だと読み難い。だが、この会話やりとりがこの話の味になってる。
2020年4月14日火曜日
ドラマ「映像研には手を出すな!」(2020)
TBS深夜ドラマ「映像研には手を出すな!」が始まった。自分はなんの予備知識もないまま見始めた。マンガ原作があって、アニメ化され、ドラマ化された。
乃木坂の齋藤飛鳥、山下美月、梅澤美波の3人が織りなす高校生アニメオタクドラマ。
どうしたって島本和彦「アオイホノオ」におけるガイナックス山賀、庵野、赤井の3人の出会いを連想。「こいつらとアニメをつくれば儲かる!」
この子たちはアニメオタク元年から数えて何世代目?
芝浜高校1年生ヒロイン浅草みどりは「この高校を舞台にアニメをつくりたい!」と夢見て妄想する。アニメの設定をひたすらスケッチブックに細かく描いてる特殊なクリエイティブオタ。たぶん天才。
この高校が芝浜という場所にあるらしい。小高い山の上に立つ建物は見た瞬間にわかった。今では港区郷土歴史館というらしいが、自分には国立公衆衛生院というほうが馴染みやすい。遠い昔に初めて自分でカメラを買ったとき一度行ったことがある。
このヒロインの喋り方がヘンテコ。訛ってるわけでなく、アニメオタク特有の芝居がかった異常なしゃべり方。唯一の友だちは金森氏(梅澤)。このふたりの会話がいかにもアニメ。つっこむときの梅澤の冷めた表情が良い。
そこに財閥令嬢にしてカリスマ読者モデル美少女ツバメ(山下美月)が加わる。美しいうえに性格もよさそう。なのにアニメーターになりたいという、キャラクター造形を専門とするクリエイティブオタ。
浅草氏の「財閥ってGHQに解体されたのでは?」というツッコミが良い。
浅草氏とツバメちゃんの出会いがオタとオタ出会いw オタ同士はすぐにお互いのイメージを共有する。
深夜ドラマにしてはクオリティがとても高いと思ってたら、5月劇場公開映画の前哨戦ドラマ。どうりでセットや演出やロケ地やメカやCGがしっかり作りこんであるわけだ。
妄想のマシンがビル街を飛ぶ。危うくビルに衝突しそうになるのを回避して山下「たのむぜ相棒!」そんな台詞を言うやつはアニメオタに決まってる。
アニメオタは組織というものを描くのが好き。「シン・ゴジラ」も日本国をひたすら官僚組織として描いた。日本の高校を舞台にすると必ず生徒会が立ちはだかる。中学生高校生が最初に出会う組織、それが生徒会。
この生徒会が部活動を「仕分け」してるシーン。え?前田敦子?調べてみたら小西桜子という子らしい。
近年、日本の高校もアフリカ系っぽい人がいる設定がたまにある。さらに、あばれるくんっぽい人がいる。
東宝芸能の福本莉子が演じる阿島九というキャラは「賭ケグルイ」における生志摩妄を連想。
野球部員が内野と外野でモメているコントは福田雄一っぽかった。大賀みたいなやつもいるし。
つまり、なぜかいろんな要素に既視感を感じるドラマ。監督はおなじみ英勉。
まだ第1話しか見てないけど面白かった。今後も楽しみにして見るつもり。
乃木坂の齋藤飛鳥、山下美月、梅澤美波の3人が織りなす高校生アニメオタクドラマ。
どうしたって島本和彦「アオイホノオ」におけるガイナックス山賀、庵野、赤井の3人の出会いを連想。「こいつらとアニメをつくれば儲かる!」
この子たちはアニメオタク元年から数えて何世代目?
芝浜高校1年生ヒロイン浅草みどりは「この高校を舞台にアニメをつくりたい!」と夢見て妄想する。アニメの設定をひたすらスケッチブックに細かく描いてる特殊なクリエイティブオタ。たぶん天才。
この高校が芝浜という場所にあるらしい。小高い山の上に立つ建物は見た瞬間にわかった。今では港区郷土歴史館というらしいが、自分には国立公衆衛生院というほうが馴染みやすい。遠い昔に初めて自分でカメラを買ったとき一度行ったことがある。
このヒロインの喋り方がヘンテコ。訛ってるわけでなく、アニメオタク特有の芝居がかった異常なしゃべり方。唯一の友だちは金森氏(梅澤)。このふたりの会話がいかにもアニメ。つっこむときの梅澤の冷めた表情が良い。
そこに財閥令嬢にしてカリスマ読者モデル美少女ツバメ(山下美月)が加わる。美しいうえに性格もよさそう。なのにアニメーターになりたいという、キャラクター造形を専門とするクリエイティブオタ。
浅草氏の「財閥ってGHQに解体されたのでは?」というツッコミが良い。
浅草氏とツバメちゃんの出会いがオタとオタ出会いw オタ同士はすぐにお互いのイメージを共有する。
深夜ドラマにしてはクオリティがとても高いと思ってたら、5月劇場公開映画の前哨戦ドラマ。どうりでセットや演出やロケ地やメカやCGがしっかり作りこんであるわけだ。
妄想のマシンがビル街を飛ぶ。危うくビルに衝突しそうになるのを回避して山下「たのむぜ相棒!」そんな台詞を言うやつはアニメオタに決まってる。
アニメオタは組織というものを描くのが好き。「シン・ゴジラ」も日本国をひたすら官僚組織として描いた。日本の高校を舞台にすると必ず生徒会が立ちはだかる。中学生高校生が最初に出会う組織、それが生徒会。
この生徒会が部活動を「仕分け」してるシーン。え?前田敦子?調べてみたら小西桜子という子らしい。
近年、日本の高校もアフリカ系っぽい人がいる設定がたまにある。さらに、あばれるくんっぽい人がいる。
東宝芸能の福本莉子が演じる阿島九というキャラは「賭ケグルイ」における生志摩妄を連想。
野球部員が内野と外野でモメているコントは福田雄一っぽかった。大賀みたいなやつもいるし。
つまり、なぜかいろんな要素に既視感を感じるドラマ。監督はおなじみ英勉。
まだ第1話しか見てないけど面白かった。今後も楽しみにして見るつもり。
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