2019年4月30日火曜日

カメラを止めるな!(2018)

2018年邦画界最大の話題作「カメラを止めるな!」を金ローでやってくれたのでやっと見ることができた。
自分、こんな低予算で無名俳優ばかりの映画を見ることはほとんどない。とにかく話題作なので見てみた。

もう公開から1年経つし、すでに多くの人が見たと思うので、ネタバレ最低限で感想を言わせてもらうと、ゾンビ映画じゃないじゃん!

見ていて色々と違和感を感じたのはそういうことか!どうりで出演俳優たちがみんな問題ありそうだったわけだ。

「最後まで見て!」というのは本当にそうだなと思った。こんなにも爽快感のある映画はそうあるものでもない。
見終わったあとみんなが自然と笑顔になれるいい映画!陽の当たらない泡沫邦画がこれほど輝いたのは快哉。
素晴らしいアイデアに満ち溢れていて、見ていてちょっと泣いた。笑いながら泣いた。

まだ見ていなくてこれから見るという人には以下の2点のみ忠告したい。
開始40分だけは集中して見るべき。違和感のある個所を記憶するべき。
そして、グロホラーが平気な人であっても、食事をしながら見るのはオススメできない。

日本社会の縮図そのものだと思った。日本が回ってるのは制約しかない現場の人間がなんとか必死でやりくりして回していたから。現場が優秀だったから。
上で見てるだけの偉い人たちが立派だったわけではない。日露戦争の時代から今日まで何も変わっていない。

2019年4月29日月曜日

ラリイ・ニーヴン「無常の月」(1971)

ラリイ・ニーヴン「無常の月 ザ・ベスト・オブ・ラリイ・ニーヴン」(小隅黎・伊藤典夫 訳 ハヤカワSF文庫)という本が昨年3月に出版され、SFファンの間でちょっと話題になったようだ。出版から1年、ようやく読んでみた。
INCONSTANT MOON AND OTHER STORIES by Larry Niven 
1966~1975年に書かれた短編7本を集めた日本独自企画。なんともう日本ではラリイ・ニーヴンの本はこれ以外ほぼ絶版。いつのまにかそんな事態になっていて驚いた。
  1. 「帝国の遺物」A Relic of the Empire (1966)
  2. 「中性子星」Neutron Star (1966)
  3. 「太陽系辺境空域」The Borderland of Sol (1975)
  4. 「無常の月」Inconstant Moon (1971)
  5. 「ホール・マン」The Hole Man (1974)
  6. 「終末も遠くない」Not Long Before the End (1969)
  7. 「馬を生け捕れ!」Get a Horse! (1969)
1から3までは同じ世界観にあるノウンスペースシリーズ。おそらくハードSFと宇宙物理というものに慣れていないとまったくちんぷんかんぷん。

自分は「中性子星」を読みたくてこの本を手に取った。中性子星に接近するとどうなるか?死亡事故の調査。ガチハードでそれほどよくイメージできない。

「無常の月」は名作だと思う。巻末解説によれば映画化の企画があるらしい。
ある夜とつぜん月が異常に明るく輝きだしたのを目撃した男。前触れもなくいきなり世界の終わり「新星(ノヴァ)」が来たことを悟る。昼間を迎えている地球の反対側は太陽光で何もかも燃えて溶けてしまってるはず。そろそろ衝撃波が来るはず。こんな夜は恋人と一緒に過ごそう。という話。文体も魅力がある。

あとは変化球タイムマシンもの「馬を生け捕れ!」のユーモアが好き。

2019年4月28日日曜日

新垣結衣「掟上今日子の備忘録」(2015)全10話を見た

新垣結衣岡田将生の主演で2015年10月期に日本テレビ系で放送されていた「掟上今日子の備忘録」を3月に全10話をイッキ見した。

これ、第2話が録画できていなかったという理由だけでずっと放置していた。放送直後はhuluで見れたのだが、ここ最近は配信サービスをやっていない。再放送も無い。
なのでしかたなく第2話をTSUTAYAさんに頼ることで、3年半経ってようやくの完走。

2019年3月時点で出版されていた西尾維新著「掟上今日子シリーズ」全11巻を読んだうえでのドラマ視聴だった。自分にとっていまだかつてそんなことはなかった。
まずいきなり驚いたことがある。原作にないキャラクターが登場している。
及川光博が喫茶店マスター。あとはレプロバーターの内田理央、ジャニーズ枠。ドラマレギュラー陣のたまり場になる場所が必要だったのかもしれない。

ドラマの企画が持ち上がったときに原作本は4巻まで出ていた。4巻までのエピソードを、構成を変え、2つで1つのドラマ脚本にし、場合によっては犯人も変えたりしていた。それはドラマ化する上で仕方のない問題だ。なにもかも活字の通りにはできないこともある。
そして親切守というキャラはバッサリ割愛。隠館厄介というキャラ1人にしたのは適切。
だが、新垣結衣演じる掟上今日子さんの白髪とメガネという設定は死守。これを放棄するともはや掟上今日子ではなくなる。

この白髪ガッキーに自分はまったく萌えることができなかった。女の子は黒髪じゃないといけない。それは日本人のDNA。
このヒロインは忘却探偵。記憶が1日ごとに、眠るとすべてリセットされる。なので探偵としてどうしても必要な申し送りは地肌にサインペンで書く。

このときガッキーの太ももの血管の網目の走り方を確認できる。こういうの、男にとってはとても興味深いw
原作通りの順番というわけにはいかない。第1巻「掟上今日子の備忘録」の後半にある、掟上さんが愛読する推理作家・須永昼兵衛の死の謎をめぐるストーリーを、中盤クライマックスに持ってきた。このエピソードは掟上さんと厄介の相互理解(掟上さんは忘れてしまうのだが)で重要。
99冊を眠らず読破にチャレンジする今日子さんが不機嫌になっていく箇所はかなり萌えることができたw 
シャワー中に昏睡状態になってしまうところは画的にもうちょっと冒険もできたのに…って思った。これでは厄介くんが今日子さんの全裸を見たということが伝わりにくい。

ガッキーがセーラー服姿になって女子中学へ潜入する第6話は、用務員になった厄介くんの事件への巻き込まれ方が大幅に改変。ドラマのほうが見た目が納得がいく。
自分が原作で良いと感じたポイントは探偵と助手以外のすべての脇役がまるで記号のような存在感しかなかったこと。そこは徹底してドライ。

事件の鍵を握る女子中学生がドラマ映像になると、セリフはまったくないのにもかかわらず、存在感がかなり強くなっていた。なんとも説明できない異常な動機と殺意を抱いた生徒へ、厄介がイイことを言おうとしていたのがちょっと興ざめ。
第9話と第10話最終回はドラマオリジナル。第4巻「掟上今日子の挑戦状」第3話ダイイングメッセージ回の犯人がラスボス的に登場。
原作でもまだ触れられていない今日子さんの過去の秘密と、寝室天井に書かれた文字の謎が解かれる?

と思いきや、そんなことは起こらなかった。あくまでドラマ版の終わり方だった。原作にはまったくない今日子さんと厄介くんのラブ要素まで盛っていた。

原作だと掟上今日子さんはかなり性格が悪い印象だったのだが、ガッキーが演じると可愛く心優しく可憐な美少女だったw

面白かったか?ミステリーものは脚本がすべて。ガッキーの目をパッチリ見開いた表情の可愛らしさを含めても75点ぐらいの出来栄え。

2019年4月27日土曜日

西尾維新「掟上今日子の乗車券」(2018)

ついに西尾維新「掟上今日子の乗車券」(2018)も読了。これが昨年10月に発売された最新刊。おそらくシリーズ第11巻に相当。

今回は今日子さんが営業のために旅行へ行くと言い出した。親切さんもボディガードとして随行。費用は掟上探偵事務所もち。
名探偵とはいえこれまでの顧客だけを相手にしていたのではじり貧だということでの営業旅行。名探偵なら行く先々で事件に巻き込まれるに違いない。なに、その逆転の発想。

で、いきなり夜行寝台車で男が殺害される事件発生。次の駅に着く55分間で容疑者を特定し引き渡したい。あまりに簡単にアッサリ事件を解決。

ホテルで一緒になった判事から、大学受験の兄が小学生の妹を殺した事件の話を聴き、はっきりしなかった動機を提示。

処刑島という横溝正史っぽい世界観の島へ向かう高速フェリーに乗り込むと、内側から鍵をかけられた操舵室で船長と副船長が頭を殴られ心肺停止で発見された事件にも遭遇。

水上飛行機があると聞いて乗りにいってみたら運休。社長が飛行操縦中に服毒自殺?!
ふたりは新婚を装って強引に飛行機に乗り込み捜査。掟上さんは飛行機も操縦できる?ジブリアニメオタ?

帰りの夜行バスでまたしても乗客が殺されかける事件にも遭遇。名探偵の行く先々で事件が起こるというお約束を潔いまでに連発。

すべてにおいて証拠や手がかりを捜すようなことも、事件関係者に話を聴くことすらしていない。すべて思考実験による仮説のスクラップ。掟上さんが提示することが真相である説得力はなにもない。

そして次回作「掟上今日子の五線譜」への前奏曲。親切が初めて冤罪で拘留中の隠館と面会。面会残り時間が「4分33秒」だったことはおそらく…。

コントラバスの中の死体?五線譜の暗号?それ、完全に最近読んだばかりの横溝正史「蝶々殺人事件」だ。
あと、今日子さんの口調はミス・マープルっぽいなと気づいた。

今回「掟上今日子」シリーズ全11作をイッキ読みw これをもって自分は一旦終了。しばらく読まないと思う。

2019年4月26日金曜日

西尾維新「掟上今日子の裏表紙」(2017)

ひきつづき西尾維新「掟上今日子の裏表紙」(2017)を読む。おそらくこれが第9巻に相当。
今回は「初めまして。容疑者の掟上今日子です。」というように、今日子さんが強盗殺人容疑で逮捕されているという状況。

資産家コインコレクター宅の展示室という密室で、胸を刺されて死んでいる被害者と一緒に、凶器を握りしめ眠っている状況で発見された掟上今日子。駆け付けた警察官によって身柄を拘束され逮捕。

「犯人は私ですね、間違いなく」忘却探偵なので眠ってしまった以前のことは何も覚えていない。なので取り調べも難航。てか、掟上今日子という人物を取り調べること事態が難航。

この巻、これまでのものより2割3割増しで分厚い。だが、本の前半分は読んでも読んでも話が進まない。事件の本題に入らない。拘禁状態の掟上さんとのやりとり以前に、冤罪製造機刑事・日怠井警部と、今日子さんを救うべく駆け付けた厄介の内容のないやりとりが長くてダルくてイライラする。

医療ミステリーとダイイングメッセージ暗号がテーマの回だった。人によっては予想外で楽しめたかと思う。自分にはあんまり合わなかった。

2019年4月25日木曜日

西尾維新「掟上今日子の退職願」(2015)

西尾維新「掟上今日子の退職願」(2015)を読む。おそらくこれがシリーズ第5作目。

今回は書き下ろし短編が4本。すべて不審な死体の謎。すべて掟上さんと刑事の対話形式。すべて刑事目線なので心の声で掟上さんをツッコミまくる。

第一話「掟上今日子のバラバラ死体」
誰からも憎まれる社会のクズ男が殺されノコギリで遺体をバラバラに切断されてバスタブに放り込まれていた凄惨な事件。バラバラにされているのに身元を隠そうともしていないのはなぜ?バラバラにするためには1時間から2時間はかかる。なぜそんな労力を?

多すぎる容疑者すべてにアリバイがあった。バスタブに横たわったりして掟上さんがたどり着いた結論とは?!

これはアイデア一発勝負でスカッと爽快。自分はまったくその結論を予想できなかった。
掟上今日子シリーズはどの作品も容疑者や目撃者へのグダグダ長い聴取とか、聴き込みとか一切ない。すべて把握してる刑事が質問に答えてくれる対話形式。とてもシンプル。

第二話「掟上今日子の飛び降り死体」
野球場のマウンドでベテラン投手が倒れて死んでいた事件。鑑識によれば高いところから飛び降りて死んだ典型的な特徴のある遺体。現場には高い場所がどこにもない。引きずった跡も運ばれてきた形跡もない。

あらゆる可能性を一つずつ消していく掟上さん。最後にたどり着いた真相は?
これも予想外で自分は思いつかなかった。

第三話「掟上今日子の絞殺死体」
病院のベッドで自分では何もできない92歳老人が首を絞められ死んでいたという事件。ナースコールから看護婦が駆け付けるまでのわずかの時間にどうやって?
これはあんまり自分は驚かなかった。

第四話「掟上今日子の水死体」
池から挙がった頭を金づちで殴られた女の死体。容疑者は近所に住む男。アリバイも無い。だが、なぜこんなカップルがボートを漕ぐような水深の浅い池に死体を棄てた?
これも理由は意外っちゃ意外だが、ああ、そう…って感じ。

4本すべてで掟上さんは死体と同じ状況を自ら体験。第二話ではフェンスをよじ登り落ちてみたり、第四話ではいきなりオシャレ着のまま池に沈んでみたりというエキセントリック探偵。
すべてあざやかに謎を解き、「はじめから解ってました」と大口を叩くw 記憶が1日でリセットされるが故の物事のドライな見方と人間性。金にがめつくずうずうしくふてぶてしい美人忘却探偵の活躍!

自分としては第一話が一番好きだった。

2019年4月24日水曜日

朝倉あき「歌舞伎町弁護人 凛花」(2019)

BSテレ東でこの4月から「歌舞伎町弁護人 凛花」というドラマが始まった。弱いものを助ける正義の弁護士ドラマ。
歌舞伎町を舞台に、キャバ嬢の弱みに付け込む悪い男たちと戦う弁護士。ちょっとした謎を解くミステリーとコメディー。いかにもC級なBS深夜ドラマ。
普通ならこの手のドラマをまったく見ないのだが、主演が朝倉あきなので見る。

朝倉あきは世間の知名度はまだまだ高くないようだ。かつてまさみと一緒に東宝芸能で頑張っていたのだが、一時期女優業を休業。
たぶんいろいろ辛いことがあって今またこうして頑張っている。見て語って応援しないといけない。
だらしのない弁護士だった父親を反面教師に大手企業の法律顧問法律事務所で活躍する弁護士先生が朝倉。
朝倉あきは困り顔と憤怒の表情の瞬発力において深田恭子に似ている。そんな表情を繰り返し交互に見るドラマ。

父親は歌舞伎町のキャバ嬢から困ったときに頼りにされる信信頼厚い弁護士だったのだが、突然きまぐれ失踪w 「あとは娘に」というわけで無理矢理歌舞伎町のキャバ嬢のストーカー被害事件に巻き込まれる。
キャバクラが舞台なのでおっ〇い目当て男性をターゲットにしたような画づくり。第1話からお色気シーンだらけ。
朝倉までも無意味に半裸でマッサージを受けてるシーンがあってびっくりw 無意味に「ああ~ん♥」と艶っぽい吐息を吐くw
だが、この弁護士先生がマッサージ中に事件の謎を解くカギをひらめく。なんだそりゃ?清純派朝倉あきに何をやらす。
で、ストーカー事件の犯人が勤務先事務所の大手クライアント社長だったというオチ。この嫌な社長を刑事告訴。事務所所長と口論の末にクビ。それは酷い。こんな事務所は懲戒請求するなり録音をマスコミに渡すなりすればいいのに。

あまりにわかりやすい中高年男性を対象にしたようなセンスのドラマ。もう第2話を見る気もそれほどない。だが朝倉あきを見るために見る。こんな深夜のBSドラマしか朝倉に主演ドラマがないことが悲しい。

2019年4月23日火曜日

西尾維新「掟上今日子の旅行記」(2016)

西尾維新「掟上今日子の旅行記」(2016)を読む。おそらくこれが第8巻に相当。なんと今回の舞台はパリ。

旅行会社に就職するもまたもやらかしてしまいクビの厄介。口止めと退職金代わりの航空券でパリへ。
なんとそこで掟上今日子さんを目撃!w 尾行するも見つかってしまう。
今日子さんは金払いのいい代理人の代理人を経由し仏日政府の超法規的措置でパスポートもないまま仕事でフランスに来ていた!

んでもって寝て目が覚める。「初めまして。怪盗の掟上今日子です。」「えっ…」という変則回。

パリが舞台でエッフェル塔を盗むというスケールのでかさを想像させるも、展開のほとんどが厄介のああでもないこうでもないという脳内思考のみ。
内容のわりに冗長。今まで読んできた掟上シリーズ中で一番困惑。

探偵ミステリーとして読んだ人はつまらなく感じたかもしれない。
ふたりのキャラに萌えることが目的の人なら面白いかもしれない。
下北沢の小さな芝居小屋でかかっていれば面白かった本かもしれない。

パリ初日ラストでふたりはベッドを共にしてる?え、肉体関係?!

2019年4月22日月曜日

西尾維新「掟上今日子の婚姻届」(2016)

西尾維新「掟上今日子の婚姻届」を読む。2016年5月に出たもの。たぶんこれが第6巻に相当。

忘却探偵として有名人でもある掟上今日子さんが講演会に呼ばれて質問に答えているという場面でスタート。

掟上さんのメモリー機能が1日リセット状態になったのは17歳からという事実が判明。1回着た服は着ないともいわれる高いファッションセンスの秘密にも触れる。

隠館厄介が、その講演にも同席していた同じ年の女性ジャーナリストから、冤罪をテーマにしたインタビューを受け、その結果プロポーズされてしまうのが今作。

だが、その女性は好きになった男性はすべて「破滅」しているという過去があった。冤罪をことごとく退けてなんとか生きてる厄介なら、破滅の例外になってくれるはずだ。

本当にその女性が愛した男たちは破滅したのか?厄介は置手紙探偵事務所に調査を依頼。

今回の今日子さんはかなり厄介にキツく当たる。というのも調査依頼の内容からファーストコンタクトの段階から誤解され嫌悪されていた。
結果、調査も料金に見合った最低限度の仕事しかしない…と思いきや!

終盤、今までの今日子さんからは信じられないデレ展開。嫌悪感の第一印象からおざなり調査をしてしまった自責の念から、今日子さんは厄介をラブラブスウィートハートと書き残して、お互い半裸のまま就寝w 

少女時代のトラウマがテーマ。人間の記憶のアテにならなさと心と行動の不思議。なんだかクリスティ女史の作品を読み終わったかのような感覚。今まで読んできた掟上今日子シリーズとは毛色の違う予想外な一冊だった。

2019年4月21日日曜日

山下美月「電影少女 VIDEO GIRL MAI 2019」

山下美月主演「電影少女 VIDEO GIRL MAI 2019」が始まった。今回も桂正和センセイの原作の実写ドラマ化。なんと今回はダークサイド電影少女。

今回も前回と同じ喜安浩平脚本、関和亮監督によるドラマ。出演者は戸次重幸以外のキャストをすべて一新。主演の山下美月と萩原利久、転校生の武田玲奈以外はほぼすべてオーディションでの選出っぽい。
西野七瀬版「電影少女」は決してそれほど面白かったわけでもないのだが、ポップでコミカルだった。だが、今回の山下版は初回と第2回を見る限り狂気のビデオガール。まるで谷崎か乱歩か藤子A不二雄。暗い…。

主演の男の子が暗くて性格が歪んでいる。そんな雰囲気の顔をしてる。生徒役の男たちの荒ぶるイキリっぷりが怖い。
これは見ていて楽しくない。なにせ「願い事を叶えてあげる」に対して「あの女とセッ〇スさせろ」とか、若いうちから人間の醜さにどっぷり浸ってる。
前作と明らかに絵面を変えて来た。画面が暗い。とても見づらい。校舎内の光と影はまるでレンブラントかドラトゥール。
今どきの高校にしては校舎が古臭い。前作なら光で飛ばしてキレイに見せれるのだが、暗い絵にするとさらに暗く薄汚い。ま、その世界観にあった照明だろうけど。

山下美月の演技は素晴らしい。声質も女優らしい。だが、美少女は明るい太陽のしたでこそ美少女として輝く。今回の選択は山下にとって不利な条件。
これがまるでレ・ファニュ「吸血鬼カーミラ」のよう。美月オタ、乃木オタは今回のドラマを「ドS美月が見れる!」と楽しみにしていたに違いない。だが、これは求めていた方向とちょっと違う。

とりあえず2話見てみて、まだ何も面白いと思えていない。見ていてイライラすることのほうが多く爽快感がない。それはつらい。でもいちおう録画して見続けると思う。
脇役で武田玲奈が出ていることが驚き。この子の体型は見るたびに毎回軽く衝撃を受ける。自分はこの子を見て初めてグラビアアイドルという意味を知った。

だが今回は山下美月を見るドラマ。体調に気を付けて明るく元気で美しい美月でいてほしい。

2019年4月20日土曜日

西尾維新「掟上今日子の遺言書」(2015)

西尾維新「掟上今日子の遺言書」を読む。2015年10月に出たこれがおそらく第4巻。今回は書き下ろし長編。

女子中学生の飛び降り自殺(未遂)事件に巻き込まれ大怪我を負った隠館厄介。なぜか加害者扱いされる風評被害。
女子中学生が現場に残した遺書によれば、読んでいたマンガが自殺の原因か?今日子さんと一緒に謎解きに挑む。

表紙イラストで今日子さんはセーラー服になっている。セーラー服を着て学園に侵入w聴き込み捜査。そういえばガッキーもドラマでセーラー服になってた映像を見たことある。ということがこれもドラマの原作か。

掟上さんがJCたちと会話して覚えたばかりの「それな」を使う場面がある。「それな」が全国的に流行り出したのはこの時期か?

このイラストのように、ストッキングとの間の絶対領域に自分へのメッセージを書き込んでいるとすると、それは相当に刺激的な絵面w

遺言に記した漫画家の名前と作品に自殺との関連性はあるのか?真の目的は何か?
家庭や学校での生活などほとんど追求しない。
イラストから楽しい展開を期待してしまうかもしれないが、これが意外にエラリークイーンに匹敵する論理パズラー。可能性AとBと、項目ごとに細分化して検討。

そして真相。これが空前絶後でまったく予想できなかった。10代の子には相談できる大人が傍に居る必要性を強く感じた。

2019年4月19日金曜日

西尾維新「掟上今日子の挑戦状」(2015)

ひきつづき西尾維新「掟上今日子の挑戦状」を読む。おそらくこれが第3巻に相当するだろうということで読み始める。もう掟上今日子という人のキャラに慣れて来た。

第一章「掟上今日子のアリバイ証言」
鯨井は街で自分のアリバイを証言してくれそうな相手を探していた。カフェでコーヒー飲みながら本を読んでるあの娘にしよう。白髪なのが気にかかるけど。
だが、その相手はアリバイ証言など不可能な人物、忘却探偵・掟上今日子だった!

アリバイ崩しと浴室での感電死の方法という、ミステリー刑事ドラマでよくありそうな短編だと予想していたら、実は事件の構造がぜんぜん違っていた!という挑戦的な一本だった。

第二章「掟上今日子の密室講義」
そのアパレルショップの常連客が試着室内でハンガーで撲殺されて発見された事件。今日子さんによるガチ密室講義。
こちらは刑事目線で今日子を描く。お金を払わないやつには推理を教えないw

第三章「掟上今日子の暗号表」
血で床に書かれたダイイングメッセージ。殺された会社経営者の同僚が掟上さんに解読を依頼する。犯人目線で描く今日子が不気味。

どの作品もそれなりに面白かったけど、事件までのマクラが長い。会話のテンポも回りくどくて読みづらい。
巻を読み進めるにつれて、面白さ感じなくなってきた…。

2019年4月18日木曜日

有村架純「ナラタージュ」(2017)

有村架純主演の「ナラタージュ」を見る。行定勲監督作を久しぶりに見る。
島本理生の原作はもうだいぶ昔に出た本。2017年になってやっと映画化。

自分、ぜんぜん有村架純の映画もドラマも見ていない。これまで4本か5本ってところ。自分にはこの子がそのへんに居そうなごく普通の子に見える。文化祭でシェイクスピアを演じてるときのカツラ姿がぜんぜんかわいくなかったw 美人でもなかればスタイルがよくもないところがリアルなヒロインに向いてるのかもしれない。

これが140分と長めで地味展開で超絶退屈。多くの人が劇場で寝てしまったかもしれない。
「私の気持ちわかってますよね?」「どうして連絡くれなかったんですか?」「私のことどう思ってるんですか?」またしても高校教師と生徒の恋愛ものか。
先生にはメンタルを病んだ奥さんがいた。先生は地元東京を離れて暮らしていたのだが、妻の父からまた戻って会ってやってくれと頼まれる。「奥さんと別れたっていってたじゃないですか!」そんなヘビーな状況嫌だ。さらに坂口健太郎という第三の男も登場。

有村はずっとぼんやり考え事をしてるような表情。松本もずっとどこにも目の焦点があっていないような表情。それでいて起伏の無い静かな何も起こらないドラマ。会話の間合いもテンポも相手の言葉をかみしめるようにゆったり長め。ほとんど有村、松本、坂口の三人だけでドラマが進行。

ヒロインは映画が趣味で仕事。ビクトル・エリセ「エル・スール」や成瀬巳喜男「浮雲」をぼんやり見てぼんやり劇場を出ていく。こういうシーンは映画好きのつくった映画っぽい。

あと男といても全然楽しそうじゃないのが印象的。すごく不味いものを食べたかのような表情が印象的。とにかく煮え切らない先生にイライラしてる。

夜中に先生から電話がかかってきたことを坂口から問い詰められるシーンでの坂口の豹変ぶりが怖い。爽やか好青年かと思っていたのにこれだ。自分の女になったと思ったらもう自分の思うままにしようとする。なにげないシーンでもそれが明らか。坂口の不快で見苦しい醜悪なシーンが見るも地獄。
若い女の子はこの映画を教訓にしてほしい。1回でもあんな一面を見せた男とはただちに縁を切れ。てか安易に男とつきあうな。

夜道でキャリーケースをゴロゴロいわせる男が迫ってくる心理的圧迫シーン、昔のインテリ監督が入れそうなシーンだと思った。

濃厚なベッドシーンがあると事前に聞いていた。有村は下着姿さらしてがんばってるけど、露出はそこまででガッチリガード。行為中の表情がすごく嫌そうでリアルw
先生が奥さんの元へ帰ると聞いて、最後にもう一度部屋でセッ〇ス。ちょっと疑問。

ジャニーズと主演女優目当ての人しか楽しめないかもしれない映画かと思っていた。間違っていた。見ていて怖いし暗いし誰も楽しめない責め苦のような映画。

2019年4月17日水曜日

西尾維新「掟上今日子の推薦文」(2015)

引き続き「掟上今日子の推薦文」(2015)を読む。著者あとがきによればこのシリーズの第2巻。
自分は第10巻を読んだ次にこれを手に取った。親切さんが美術館警備員として掟上さんと初めて出会うのが本作。

第一章「鑑定する今日子さん」
いつも同じ絵画をじっと眺める白髪の女性に声をかけた警備員。あるときはその絵画を2億円と見積もり、別の日には200万円だという。
抽象絵画だと思っていたら、その絵のスケッチをとる少年によれば、その絵は地球の絵だという。
今度は老人がやってきてその絵を杖で破壊。警備の仕事をクビになる。一体なぜ?白髪の女性からもらった名刺をたよりに相談を持ち掛ける。

これは122Pとわりと長い短編だったのだが、今まで読んできた中で一番つまらなかった。
真相がどうってことないし、この内容のわりに冗長すぎ。

第二章「推定する今日子さん」
これも短編集かと思って読み始めたのだが、それぞれの章が繋がっていて一冊としての長編だった。
美術館をクビになった原因をつくった老人から、自宅タワマン地下アトリエでの仕事を邪魔されないように警備のバイトを高飛車に依頼される。そこに今日子さんも引き込む親切さん。
現場に乗り込むと老人はナイフで腹部を刺されて倒れていた!掟上「犯人はこの高層マンションの中にいる!」

第三章「推薦する今日子さん」
解決編ともいえる章だが本の半分を占める長編。高層住宅の住民はすべてパトロン老人に飼われた画家の卵たち。
エラリーとかだったら全員が容疑者としてねちねちと尋問を受けるところだが、忘却探偵は時間がないので端折る。名前のある容疑者はたったの一人。第一章から登場するスケッチ少年しかいない。
今日子さんは事件現場を見た瞬間から犯人がわかっていた。

だが、自分としてはこれまで読んできた今シリーズでこれが一番印象が薄かった。というのも犯人と動機が予想の範囲内だから。

事件解決後に親切さんは掟上さんから事務所警備員としての雇用を申し込まれる。第2巻からそんな関係だったのか。

2019年4月16日火曜日

西尾維新「掟上今日子の色見本」(2018)

西尾維新「掟上今日子の色見本」(2018)を読む。忘却探偵・掟上今日子シリーズの第10巻。昨年の1月に出たばかり。
自分、7「家計簿」→1「備忘録」→10「色見本」という順番で読んでしまっている。今のところそれで困ったこともない。

今まで読んだものは全て短編集だったのだが、今回は書き下ろし長編。冒頭でいきなり掟上さんが誘拐され身代金10億円が要求される。

不気味なほどに頭のいいミステリアス白髪25歳探偵と誘拐犯、そして事務所住み込みの非正規雇用警備員「親切さん」の3人で物語が進行。
誘拐犯目線、親切さん目線のみで会話と心の声が語られる。

誘拐犯が出たとこ勝負というか天然。これでは掟上さんに太刀打ちできない。
一方で親切さんが思いのほか有能。探偵の誘拐という異常事態にあらゆる可能性を焦りながら考える。短い時間で2億円を用意し犯人を驚かせる。

実写ドラマ版がガッキー掟上だったために、ついうっかり脳内でガッキー再現をしてしまう。だが、原作の掟上さんは腹が立つほどふてぶてしくてシビアに守銭奴w かなりお金にがめつい。それでいて怖いほど頭がいい。ほぼ鬼に思える。
たぶんミスマープルみたいな年台にキャラ設定したら誰も萌えない。

意外にも掟上さんは犯人にはそれほど厳しく当たらない。懲らしめるような報復はしない。そこは人間性がよい。

この本のキモは犯人の正体と、掟上さんの監禁場所。そして「色見本」の正体。
叙述トリックもビシッと炸裂。
今回も楽しく読めた。さくさくテンポよく快適。これがラノベか。
初めて読む本がこれでもぜんぜんかまわないとも思った。

2019年4月15日月曜日

本田翼「ラジエーションハウス」(2019)

本田翼が4年ぶり月9ヒロインを演じてる「ラジエーションハウス」が始まっている。初回90分スペシャルはささっと流して観て、本田シーンだけ12分に編集して保存したw

本田は現在26歳、年齢的にせいぜい研修医だろ。まるでリアリティがない。まるでマヌカンのごとく白衣をオシャレに羽織って院内を颯爽とウォーキング。
「いい女ですよ」「プライド高いですよ」「バカ男は大嫌いですよ」という雰囲気を振り撒きながら闊歩する。はあ、美しい。
世間では女医やナースの衣服に異常に執着する性癖を持った男が多いらしいのだが、自分はまったく萌えない。
日本は司法と医療のドラマが多すぎ。自分は医療ドラマをまったく見たいと思わない。ガッキーの「コードブルー」ですら見たことがない。

ツイッター実況とか見てると「本田翼、下手…」という意見が多い。だが自分はまったくドラマの見方が違う。本田翼さえ見れればそれでよい。
それにしても本田翼が美人。本田が初めてテレビに出演したのが2011年。以来、年々美人になっていて驚く。キャリアが女優を作っていく。カワイイは正義。美人も正義。

もともと西洋美人ぽい雰囲気のあった本田。シェイクスピアやアガサ・クリスティで見てみたいような顔だと感じる。英国婦人っぽい。
放射線医師と技師の最悪の出会い。
ついうっかり破廉恥なことをしてしまったとしても、医師が病院内でビンタはともかくグーで顔面パンチはまずいだろ。
主演の男は三枚目的な与太郎的な風貌に見せかけて切れ者。そういうドラマ。
入院してきた男性患者の頭痛の原因が不明。そして意識不明。医者たちが会議で設備の整った大学病院へ転院させて責任逃れに走ろうとするも、正義の医師ばっさーが立ち上がる。「患者を見捨てるわけにはいきません!」すでに中堅ポジションなの?
他の男性医師たちから「なにかあったらすべてあなたの責任だ」と言われる。ということは、この有名人患者を完治させたらすべて手柄を独り占めしていいってこと?会議の様子を録音して世間に正義のスーパードクターアピールをしてもいいのでは?

主人公の知識と機転で男性患者は救われた。本田医師も「こいつ、やるじゃん」とちょっとは認めたところで第1話終了。
医療ドラマに関心なく流してしか見ていない。本田翼しか見ていない。それでも第2話も見ようと思う。

90年代美人女優として人気のあった和久井映見が院長らしいのだが、すっかりおばさんを通り越して、孫でも可愛がっていそうなおたふく顔お婆さんになっていて哀しい。

2019年4月14日日曜日

西尾維新「掟上今日子の備忘録」(2014)

西尾維新「掟上今日子の備忘録」(2014 講談社)を読む。第7作「家計簿」(2016)が面白かったので第1作を読む。

この探偵ヒロインは忘却探偵。1日で記憶がリセットされる。眠ってしまうと前日のことをまったく忘れてしまうため事件を1日で解決しないといけない。なので自分への申し送りを腕や足など自分の皮膚にサインペンで書いておく。こんな探偵はおそらく世界にも類がない。

「家計簿」がヒロインと刑事による短編集だったのだが、この第1作は隠館厄介(かくしだてやくすけ)という不幸な青年が主人公。掟上さんと同じ25歳という設定。

第1話「初めまして、今日子さん」
隠館くんが勤める研究所でのSDカード紛失事件。自分が疑われてる?!という状況で置手紙探偵事務所の掟上さんを現場に呼び出す。
隠館くんはこの事件以前に掟上さんのお世話になったことがあるらしい。だが覚えていないので現場で「初めまして」となる。
睡眠薬で探偵を眠らせようとする禁じ手を使った犯人を策略で追い詰める。
この真相と動機を自分はまったく予想できなかった。

第2話「紹介します、今日子さん」
漫画家の自宅から現金100万円を盗まれ返還のために1億円を要求されるという事件。これも自分にはそれをまったく予想できなかった。

第3話「お暇ですか、今日子さん」
第3話から第5話までは老推理作家の死をめぐる話。作家が死亡していることを知らせずに掟上さんと未発表原稿の隠し場所を探す。これも自分はそれを予想できず。
これを読んでガッキー主演ドラマ版のこの回だけはなんとなく見たことがあったと思い出した。

第4話「失礼します、今日子さん」
作家の死に不審を感じた編集者が掟上さんに調査を依頼。掟上さんは作家の全著作100冊を寝ずの読破に挑戦。

第5話「さよなら、今日子さん」
順調に読破を続けていたのだが徹夜がつづくとペースが落ちる。眠気をさますためのシャワー中に掟上さんは浴室で昏睡してしまう。
隠館くんも眠ってしまい、気づけば掟上さんは水を浴び続けて低体温症の危機!
もはや続行は不可能と判断した隠館くん、信義に反する隠ぺい工作で仕事はなかったことに偽装。

だが…、掟上今日子という人物は記憶を失ったとしても恐ろしいほどの頭の良さで、何が起こったかを見極める。

自分、ガッキーで脳内再生しながら読んでいたのだが、あまりガッキーは掟上さんのキャラと合っていないように感じた。

第5話ではシャワー中に昏睡した掟上さんを救助するため隠館くんが奮闘するのだが、全裸の掟上さんをベッドに運び、下着とパジャマを部屋から探し出し着せるという、画的にかなりヤバい状況。どうしたって全裸のガッキーを連想w 
内田康夫「贄門島」で浅見光彦もこんなシーンあったな。

この「備忘録」もやっぱり面白かった。なので次も読む。読み進んだらガッキー版ドラマも見る。

2019年4月13日土曜日

西尾維新「掟上今日子の家計簿」(2016)

西尾維新「掟上今日子の家計簿」(2016 講談社)という本をついきまぐれで手に取った。
西尾維新という名前はよく目にしている作家なのだが、いままで一度も手に取ったことがない。らぶんラノベ作家。

ガッキー主演で「掟上今日子の備忘録」というドラマもあったし、ちょっと関心あった。ドラマは録画したもののまだ見てないw 第2話だけ録画に失敗して、見始める気力がわかない。(はやく再放送してくれ)

このシリーズの探偵・掟上今日子は忘却の探偵。記憶が1日でリセットされるという特殊な設定。
つまり、本はどこから読み始めても毎回初回読者を相手にしているようなものらしい。そこに気づいて本を読むモチベが湧いた。

掟上今日子シリーズは今のところ全11巻が出ているようだ。文庫はまだ2冊しかない。文庫化を待っているのもなんだし、思い切って読んでみることにした。
この「「掟上今日子の家計簿」は4本の短編作品から構成されている。では最初から読んでみる。

第1話「掟上今日子の誰がために(クイボノ)」45P
吹雪で客が足止めされた山のペンションで一人旅のOLが撲殺された事件。刑事が置手紙探偵事務所の掟上今日子を現場に呼び出して事件を依頼。

簡潔にその世界観を示してくれるので、初心者の自分にもその世界観へスッと入り込めた。クローズドサークルなどの探偵推理小説マニア用語の解説などもやさしくしてくれる短編。

客たちの滞在費を負担できない警察から、正午のチェックアウトまでに事件を解決することを依頼される。探偵料金の交渉などしていて驚く。しかも、特急料金のようなものまで。

自分、完全にガッキーで脳内再生。この女探偵が化け物のように頭がいい。刑事から事件のあらましを聞いて部屋を見ただけでほぼ事件解決。容疑者を見てすらいないw

アイデア一発の短編。なかなか面白かったので読み進める。

第2話「掟上今日子の叙述トリック」95P
音楽サークルの合宿所でミステリー研部長が「グランドピアノで撲殺」されて発見。握られたスマホには叙述トリックの名作といわれる「XYZの悲劇」の表紙が表示されていた。

叙述トリックというものがなにもわからない刑事が、掟上今日子に叙述トリックって何?と教えを請う。
この掟上今日子女史の講義がすばらしい!これほどユーモアを交えて優しく丁寧に叙述トリックの全パターン13種類+1を解説した文章を他に知らない。ここを読んで自分は西尾維新という作家を尊敬し始めた。

この本はできれば数多くのミステリーに接してから読んだほうが楽しめそうだ。担当刑事が悉く見当はずれな質問とツッコミをする。たぶん推理小説に慣れた読者はイライラしまくるのだが、掟上さんは終始優しくわかりやすく丁寧に突き放さずに説明。
そもそもこんなにカンの悪い男は警察官の採用試験にも受からないだろうし警部になんかなれない。それどころか現代文入試問題も解けないだろうと思う。

掟上さんは寝るとそれまでの記憶を失うので、必要な情報を手や足の肌にサインペンで記入しておく。それだけで謎を解く。あたまが良すぎる。
この短編は短編推理小説というよりは「推理小説における叙述トリック」論ともいえるミステリファン向けエッセイ。掟上今日子さんは白髪で小柄で25歳という情報を得た。

第3話「掟上今日子の心理実験」49P
掟上今日子の頭が良すぎて怖いという刑事が、家族が家族を密室で殺したらしい事件の解決を依頼する。これは担当刑事の心理を掟上さんが見抜くというストーリー。味わい深かった。

第4話「掟上今日子の筆跡鑑定」47P
容疑者Aのアリバイを確認するため遊園地での脱出ゲームアトラクションに挑戦する掟上さん。掟上さんより早く約束の場所へ行ってはならないという暗黙のルールを犯してしまい、担当刑事が掟上さんを不機嫌にさせてしまう。
これは前3作に比べるとそれほどでもないと感じた。だがそれでもやっぱり楽しく読めた。

掟上今日子は忘却してしまう探偵という変わった人なのだが、その性格はいたって善良で常識人。それでいて会話は軽妙で知的だが、刑事たちとの会話はちょっとかみ合ってない。魅力的なキャラ。

自分、今まで西尾維新という人をナメていた。表紙イラストが萌えだから買ってる人が多いんだろうとまで考えていた。文体は軽く会話主体だが、ラノベ作家という感じでもなかった。楽しめた。今後もこのシリーズを探して読んでいきたい。もうエラリーとかの短編を読んでる場合じゃないかもしれない。

2019年4月12日金曜日

新垣結衣「新境地」

新垣結衣を特集した日経エンタテインメント!2017年11月号を手に入れた。そこに100円で売られていたので暇つぶしのために購入。日本芸能ショウビズ情報を1年以上経ってから念入りに読むのが自分。

「逃げ恥」で第2ブレイク期に突入!「ミックス。」公開直前、30歳直前のインタビュー記事が2P、古沢良太のインタビューが1Pという構成。

まず、「ミックス。」という映画がつくられた理由。それは古沢がもともと卓球が好きだったから。そして
古沢「誰が卓球をしている姿を見たいかと考えたときに、真っ先に浮かんだのが新垣さんでした。あまり汗をかくイメージがないから面白い気がしたのと、コメディエンヌとして大変な素質を持っている人なので、新垣さんが一番だな、と。早い段階でやってくれそうだという感触を得たので、脚本は、新垣さんを想定して書きました」
なんと新垣結衣を想定したアテ書きだった!

もし「リーガルハイ」であれほどのコメディエンヌぶりを発揮してなければ「ミックス。」もなかったかもしれない。そして「逃げ恥」もなかったかもしれない。

「リーガル」がなければ自分的に女優新垣結衣への関心度は低下していたかもしれない。「リーガルハイ」での古沢の脚本は毎回とても素晴らしかった。

新垣によれば、「リーガル」では堺雅人が引っ張ってくれたが「ミックス。」では自分がやるほうに回ることへのプレッシャーを感じていた様子。卓球の素振りは練習を重ねて
「フォームなら任せて!って感じです。フォームなら(笑)」
とのこと。あと、ヒロインの半生回想シーンについて
ギャルは何回かあるんですけど、ヤマンバは初めて。「どれが私でしょうか?」と友達に写真を見せせたら、みんな「消去法でしかわからない」と。今回の新境地は、まぎれもなく、ヤマンバです(笑)。
ヤマンバメイクは誰がやってもかわいくない。まるで化け物。それはガッキーであっても同じだった。

「ミックス。」は2017年10月公開の映画だった。もう1年と半分経つ。自分、まだ「逃げ恥」見てないし「獣なれ」も見ていない。ドラマは毎週見るのがしんどいので、なんとか映画にも力を入れてほしい。

ガッキーはまだ20代前半のようなイメージだったのだが、この写真をみるとまあ30歳前後の風貌だなという感じ。20前後のときよりも今のほうが断然キレイ。

2019年4月11日木曜日

氷川丸ものがたり(2015)

氷川丸ものがたり(伊藤玄二郎著 2015 かまくら春秋社)を読む。

この本は「氷川丸物語」(高橋茂著 かまくら春秋社 昭和53年)と「氷川丸とその時代」(郵船OB氷川丸研究会 海文堂出版 平成20年)を底本とし、新たな資料と取材した部分を加筆したもの。

現在横浜山下公園に係留されている氷川丸、内部に氷川丸の歴史とあゆみが展示されているのでそちらで見た人はもう十分に氷川丸について知ってるかと思う。自分は氷川丸内部を1度見学したことがあるけど、知らない知識を補完するために読む。

氷川丸は昭和5年に今のみなとみらい地区にある横浜船渠(帆船日本丸が係留)で誕生。その名前は武蔵国一之宮氷川神社から。氷川丸船長は毎年氷川神社を参拝する。

この船は日本郵船の豪華客船。誕生からほとんど神戸-シアトル間、もしくは香港-神戸-シアトル航路を行き来した。

ディーゼルエンジンはデンマークB&W(バーマイスター&ウェイン)社製。この4サイクル450馬力のディーゼル発電機3基を搭載した状態で保存されているのは世界で氷川丸だけらしい。
パリ万博で発表されたばかりのフランス直輸入アール・デコ様式の内装も貴重。

シアトル航路は荒れる海。一等キャビンの窓も人が通れるやっとの大きさ。外板も16ミリでリベットを打って張り付けてる。
昭和6年12月には復路で左舷29度、右舷25度まで傾いたことがある。

氷川丸はとくに食事に力を注いだ。ロックフェラーが「こんなおいしい料理は初めて食べた」と絶賛。
チャップリンも来日時に乗船。英国王ジョージ6世戴冠式に出席した秩父宮殿下もカナダ・ビクトリアから横浜まで乗船。

昭和13年、カイロでのIOC委員会で第12回オリンピックの東京招致を成し遂げた加納治五郎は、帰路の氷川丸船内で肺炎のために亡くなってる。横浜に帰港する2日前のことだった。現在放送中のNHK大河ドラマ「いだてん」でその場面も登場するに違いない。

戦争中は海軍に徴用され病院船として太平洋を駆け回った。シンガポールで触雷に当たり、敵潜水艦にマークされたり、機銃掃射されたりと危険もあった。だが、ハーグ条約の病院船として生き延びた。
高射砲を運ぶよう軍刀つきつけられて脅されても拒否。だが、日本は船舶を次々と失っていくと、暗号書や重油などグレーな物資を運ぶ羽目に。

昭和17年には連合艦隊司令長官山本五十六が患者を見舞うために来船。
多くの患者を運ぶのに活躍。舞鶴で終戦。
戦後は引き揚げ船に。多くの日本人にとって氷川丸は大切な思い出。

占領時代はGHQ管理下へ。戦後初の外航はSCAJAP管理識別ナンバー「HO22」としてラングーンへ。
やがて北海道と横浜、大阪を国内輸送に使われ、再び外洋を渡ってシアトルへ。

宝塚歌劇団が渡米したさいに搭乗した寿美花代はNYマジソンスクエアガーデンの楽屋で、息子を戦争で亡くした老婆からいきなり蹴られたという。
さらにどっちのトイレかわからずまごついてると黄色人種専用を指さされたという。ファーーーック!

そして昭和35年、老朽化のためスクラップか観光船か迫られ、神奈川県と横浜市の要望で観光資源として横浜山下公園に係留。ユースホステルとして宿泊もできた時期があったらしい。

というような氷川丸の歴史を知れる本。あの船は戦前戦中戦後の日本の歴史そのもの。

2019年4月10日水曜日

れんたん、酷道を行く

テレビ東京で「車あるんですけど…?」という番組を3年ほど放送していたのだが、この3月に終了してしまった。
この番組が好きだった。たまに乃木坂メンバーがゲスト的に助手席に座っていた。

日本各地にある酷い道路をトヨタ車で走ってみて告発する番組。
出演者たちは芸能人なので日々東京で過ごしていて酷い道などほとんど体験したことがないに違いない。え?そんな道めずらしくもなんともないけど?っていう田舎道に新鮮に驚いている。
この番組に廃道探索のプロ平沼義之氏が出演していて驚いた。乃木坂と廃道探検マニア、けっして交わらない自分の知ってるふたりが同じ番組で共演している。それは新鮮。
酷道なんて奥多摩にも埼玉にも山梨にも神奈川にもどこにでもあるのだが、今回は千葉県の房総半島奥地。
乃木坂三期生・岩本蓮加はなんと2004年生まれ。つい最近過ぎる!w 
自分が乃木坂を好きでい続けることを断念させたメンバーw この春やっと高校生になったばかり。この子もかなりの美人。ちょっと昔の松たか子さんに似ている。

乃木メンは伝統的に通信制の高校へ通うことが多いのだが岩本さんはどうだろうか?現役アイドルが教室内に男子がいるような普通高校へ通うことは考えづらい。
こんな美人が同じ教室にいるとすれば、普通の男子たちは命を吸い取られるw 自分が15歳なら下僕として傅きお護りする。
平沼氏も初めてだという千葉県大多喜町にある「洗い越し」へ到達。平沼氏も驚いていたけど、これほどの規模の洗い越しが千葉にあるとはまったく知らなかった。
おそらく地元農家の方しか車で通行できないことになっている。なので番組出演者とスタッフは歩いて渡る。これはやってみたい。
岩本さんは乃木坂制服のまま参加していた。衣装を管理するスタッフは気が気でないだろうと思う。
この道を渡った先には普通に田んぼがあった。日本は高度経済成長が始まるまで、牛馬で荷物を運べれば良いという道がいたるところあった。
まだ15歳の岩本さんにとって、それは初めての新鮮な体験だったに違いない。
房総は隧道(トンネル)王国。鎌倉や三浦半島に切通しがあるように、房総も地質的に人の手で切通と隧道を通すことができた。古代からやっていた。まだまだ知らない通ったことのない隧道がたくさんそのまま残されている。
助手席でツンとすましてる岩本さんを見て、姫だなと思った。
車で行ける道の終点に到着。ここから先はハイキングコース。いつか行ってみたい。