2019年4月7日日曜日

今村昌弘「屍人荘の殺人」(2017)

たまには流行ってる本を読む。今村昌弘「屍人荘の殺人」(2017 東京創元社)を読む。話題の新人デビュー作を読む。

第27回鮎川哲也賞受賞作とある。自分、その作家の本をまだ1冊も読んだことない。たぶんかなり有名な推理作家。平成になってから推理作家の登竜門的な賞に名前を残していた。きっと玄人筋から評価の高い本格なんだろうと読みだした。

大学のミステリー研究会(愛好会)のメンバー(2人のみ)が、映画研究会とそのOBの合宿に参加する。そこに剣崎比留子という探偵美少女も加わる。

廃墟ホテルでの撮影を終え、豪華なペンション紫湛荘でBBQなどをして男女肝試し大会から本の雰囲気が一変。向こう側から明らかに異常な集団がやってくるんですけど!

これ、クローズドサークル型殺人事件かと思っていた。今どきカーや綾辻みたいなのを書いてデビューするような人がいるんだなと思っていた。だが、違っていた。
え?!この本、ゾンビホラーだったの?それ、聞いてないんですけどw

吹雪とか嵐とかのパターンはよく見るけど、周囲をゾンビに包囲された状態のクローズドサークル殺人事件は初めてw
何やら秘密結社のようなテロ組織が、ペンションから山一つ挟んだところでやってるロックフェスで参加者数人にゾンビウィルスを針で刺して感染。またたくまにほぼ全員ゾンビ化。あとはもう「アイアムアヒーロー」「ザンビ」のような展開。

参加者の一人が自室で天井まで血潮が吹き飛び、顔をかじられた状態の死体が発見される。
ゾンビは動きが鈍いうえに知性も無い。部屋に侵入できたはずもない。だが死体はゾンビに襲われたことは疑いようがない。これは一体…。

とりあえず安全を確保できる2階と3階に避難する。周囲からは常にゾンビのうめき声が聞こえてくる。非常扉をガンガンぶったたくゾンビ。ゾンビはスタミナが無尽蔵。
やがて扉とバリケードを突破してくるゾンビ。刻々と危機が迫る中での犯人捜し。やがて第2第3の殺人が!

ぶっとんだ状況設定だけど、それぞれの犯行トリックの情報量とアイデアの密度が高かった。
かなりややこしい本格パズラーの新機軸。凡庸なのは動機だけ。相当に気合の入った力作だった。読んでいてヒヤヒヤしたし面白かった。

探偵ヒロインも魅力的。もうちょっと笑いの要素もあればよかった。これは映画化され今年中に公開が予定されているそうだが、きっと浜辺美波がビシッとかわいく演じてくれてるだろうと思う。

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