2019年4月25日木曜日

西尾維新「掟上今日子の退職願」(2015)

西尾維新「掟上今日子の退職願」(2015)を読む。おそらくこれがシリーズ第5作目。

今回は書き下ろし短編が4本。すべて不審な死体の謎。すべて掟上さんと刑事の対話形式。すべて刑事目線なので心の声で掟上さんをツッコミまくる。

第一話「掟上今日子のバラバラ死体」
誰からも憎まれる社会のクズ男が殺されノコギリで遺体をバラバラに切断されてバスタブに放り込まれていた凄惨な事件。バラバラにされているのに身元を隠そうともしていないのはなぜ?バラバラにするためには1時間から2時間はかかる。なぜそんな労力を?

多すぎる容疑者すべてにアリバイがあった。バスタブに横たわったりして掟上さんがたどり着いた結論とは?!

これはアイデア一発勝負でスカッと爽快。自分はまったくその結論を予想できなかった。
掟上今日子シリーズはどの作品も容疑者や目撃者へのグダグダ長い聴取とか、聴き込みとか一切ない。すべて把握してる刑事が質問に答えてくれる対話形式。とてもシンプル。

第二話「掟上今日子の飛び降り死体」
野球場のマウンドでベテラン投手が倒れて死んでいた事件。鑑識によれば高いところから飛び降りて死んだ典型的な特徴のある遺体。現場には高い場所がどこにもない。引きずった跡も運ばれてきた形跡もない。

あらゆる可能性を一つずつ消していく掟上さん。最後にたどり着いた真相は?
これも予想外で自分は思いつかなかった。

第三話「掟上今日子の絞殺死体」
病院のベッドで自分では何もできない92歳老人が首を絞められ死んでいたという事件。ナースコールから看護婦が駆け付けるまでのわずかの時間にどうやって?
これはあんまり自分は驚かなかった。

第四話「掟上今日子の水死体」
池から挙がった頭を金づちで殴られた女の死体。容疑者は近所に住む男。アリバイも無い。だが、なぜこんなカップルがボートを漕ぐような水深の浅い池に死体を棄てた?
これも理由は意外っちゃ意外だが、ああ、そう…って感じ。

4本すべてで掟上さんは死体と同じ状況を自ら体験。第二話ではフェンスをよじ登り落ちてみたり、第四話ではいきなりオシャレ着のまま池に沈んでみたりというエキセントリック探偵。
すべてあざやかに謎を解き、「はじめから解ってました」と大口を叩くw 記憶が1日でリセットされるが故の物事のドライな見方と人間性。金にがめつくずうずうしくふてぶてしい美人忘却探偵の活躍!

自分としては第一話が一番好きだった。

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