吉田篤弘「台所のラジオ」(2016)の2017年ハルキ文庫版がそこにあったのでめくってみた。友人の本棚から借りて。
いろいろな年代の男女目線によるエッセイのようで、とくにストーリーと言えるようなものはない12本の連作短編小説集。
読み進めるうちにそれぞれの主人公は同じ町に住んでいるようだと気づく。それぞれがラジオをそれほど集中しないで聴いている。そして街の小さな飲食店にこだわりを持っている。
読んでるうちにどんどん話の筋を忘れていく。もう数ページ前を覚えていない。
さらさらとページをめくれる薄味な本。何も事件が起こらずさっささっさと読み飛ばした。
ときどき人生哲学のようなものが垣間見える。味わいがあるようにも思えるし、まったく何も後味を感じなかったりもする。人に伝えたくなる教えたくなるような内容はまるでない。感想を語るのにも困る。
自分は読んでいて小さな飲食店の寿命サイクルの短さと儚さのようなものを感じた。
2018年10月31日水曜日
2018年10月30日火曜日
長澤まさみ ロケ地巡礼「プロポーズ大作戦」かずさアカデミアホール
長澤まさみのフジ主演ドラマ「プロポーズ大作戦」に登場した「かずさアカデミアホール」へ、11年越しの巡礼を果たしてきた。
実は今もって「プロポーズ大作戦」をちゃんと見たことがない。今もまさみのウェディング姿とか見たくないw
見てないので人物関係をよく知らない。高校で先生だった藤木直人がいつのまにか建築家になっていて、自分が設計した初めてのホールをまさみに見せるというシーン。
木更津までわざわざ見に行った理由は欅坂のMVロケ地でもあったから。
このホールの階段は「リーガルハイ」でも使われている。
ホールを取り囲む回廊が素晴らしいデザイン
内部もちょこっと覗いてみた。この日は講演会が間もなく始まるという時間で、ドラマで二人が座ってた場所の特定とシッティングはしなかった。
実は今もって「プロポーズ大作戦」をちゃんと見たことがない。今もまさみのウェディング姿とか見たくないw
見てないので人物関係をよく知らない。高校で先生だった藤木直人がいつのまにか建築家になっていて、自分が設計した初めてのホールをまさみに見せるというシーン。
木更津までわざわざ見に行った理由は欅坂のMVロケ地でもあったから。
このホールの階段は「リーガルハイ」でも使われている。
ホールを取り囲む回廊が素晴らしいデザイン
内部もちょこっと覗いてみた。この日は講演会が間もなく始まるという時間で、ドラマで二人が座ってた場所の特定とシッティングはしなかった。
2018年10月29日月曜日
横溝正史「大迷宮」(昭和26年)
横溝正史「大迷宮」の昭和54年角川文庫版(第7刷)を読んだ。こいつも100円で手に入れたもの。表紙イラストのセンスがヤバい。
昭和26年に「少年クラブ」に1年連載された少年向けジュブナイル作品だが、犯人が船から逃走するのにヘリコプターが出てくる。この当時はまだヘリコプターは一般的ではないので、おそらく単行本化のさいにリライトされたものかもしれない。こいつも怪獣男爵と金田一耕助の対決。
それにまたしてもサーカスだ。サーカス王って何?サーカスで洋館をいくつも作ったり地下迷宮をつくったり大金塊を蓄えるほどの巨万の富って得られるの?
上野公園の場面で「仮面売り」が出てきた。同じようなシーンをどこかで読んだことある!と思ったけど、「夜光虫」に同じような場面があった。同じモチーフの使いまわし。
自分、怪獣男爵シリーズを順番に読んでいないけど、マンネリを感じてしまい、読んでいてぜんぜんワクワクできなかった。
最後はやっぱり瀬戸内の無人島の大迷宮でインディージョーンズみたいな財宝探し。子ども相手ならこれでいいかもしれないが。
PS.フジテレビから金田一耕助新作ドラマの製作が発表された。平成最後の金田一さんは加藤シゲアキ31歳。
自分、その俳優をよく知らないので調べてみたら、上戸彩が鶴本直を演じたあの金八先生第6シリーズに出ていた少年か!
だが、なんで今更「犬神家の一族」なん?良いドラマにできそうな原作が横溝正史には他にないのか?それになぜクリスマスイブに犬神家を見ないといけないのか?
昭和26年に「少年クラブ」に1年連載された少年向けジュブナイル作品だが、犯人が船から逃走するのにヘリコプターが出てくる。この当時はまだヘリコプターは一般的ではないので、おそらく単行本化のさいにリライトされたものかもしれない。こいつも怪獣男爵と金田一耕助の対決。
それにまたしてもサーカスだ。サーカス王って何?サーカスで洋館をいくつも作ったり地下迷宮をつくったり大金塊を蓄えるほどの巨万の富って得られるの?
上野公園の場面で「仮面売り」が出てきた。同じようなシーンをどこかで読んだことある!と思ったけど、「夜光虫」に同じような場面があった。同じモチーフの使いまわし。
自分、怪獣男爵シリーズを順番に読んでいないけど、マンネリを感じてしまい、読んでいてぜんぜんワクワクできなかった。
最後はやっぱり瀬戸内の無人島の大迷宮でインディージョーンズみたいな財宝探し。子ども相手ならこれでいいかもしれないが。
PS.フジテレビから金田一耕助新作ドラマの製作が発表された。平成最後の金田一さんは加藤シゲアキ31歳。
自分、その俳優をよく知らないので調べてみたら、上戸彩が鶴本直を演じたあの金八先生第6シリーズに出ていた少年か!
だが、なんで今更「犬神家の一族」なん?良いドラマにできそうな原作が横溝正史には他にないのか?それになぜクリスマスイブに犬神家を見ないといけないのか?
2018年10月28日日曜日
川口春奈「一週間フレンズ。」(2017)
「一週間フレンズ。」(2017 松竹)を見る。これもどう見ても少女コミック実写化映画。川口春奈が出ているという理由だけで見る。
自分、川口春奈の出演作をあまり見ていないのだが、川口春奈はかなりかわいいと思っている。それに性格も面白いし。
どうやらこいつも記憶に障害を持つヒロインの難病ものか。もうすでにこの手のパターンは食傷気味かもしれないのだが。
主人公は山﨑賢人だが、積極的にヒロインを追いかけていくアホ男子高校生というパターンはこの俳優にはめずらしいかもしれない。かなり落ち着きのない三枚目的主人公。
学校の図書室でヒロインの図書カードを拾う。名前からいってきっと美少女と直感。同じ学校でありながらまだ知らない女子がいた。くんくんと臭いをかいでるところを持ち主の川口春奈に見られるという最悪な出会い。
借りた図書(でっかい本)を座席に置いたまま、乗り過ごした!?と降りた男子に川口が機転を利かせて本を投げ渡す。この出会いシーンが劇的で美しい。
青春には一瞬で恋に落ちるこんな瞬間が必要だ。出会いはスローモーションで記憶に刻まれる。
川口は電車内でほくそ笑む。あれ?最悪な出会いだったのに、もうイイ感じにまでリカバリーできてる?
主人公と新学年で同じクラス。このシーンの川口春奈がかなり高精度にかわいい。窓際席で萌え袖で読書してる姿も美しい。清楚で可憐。まだまだニコモのスターだったハルルの面影を見た。JK役で活躍できることを証明していた。
だが、「友達になってください!」という問いかけにひと言「無理…」
これには見てる側も主人公と同じリアクション「えっ…?」
クラスメートからの頼み事にもひと言「無理」。1年の3学期に転校してきたもののずっとその調子。
川口演じるヒロインは一切人と関わろうとしない超絶クール&ドライ美少女だった。普通の主人公なら最初の段階で心折れるのだが、果敢にアタックし続ける。
なんとヒロインは無意識に特定のこと(人間関係)だけを忘れてしまうという、医者にも原因がわからない心因性の解離性健忘症だった。1週間で記憶が失われてしまう病だった。人間関係だけ忘れるならギリで普通高校に通うのも可能か。
積極的に関わってくる人を疎ましく感じてしまう。医者も無理して人と関わらないようにアドバイスしてるのだが、主人公はヒロインの病を知ったうえで交換日記を持ち掛ける。一途にバカな男の情熱はヒロインの心の不具合を変えるはず。
松田翔太みたいな転校生がやってくる。こいつが怖い。PTSDの原因か。「裏切り者」という言葉を発するたびにヒロインは事故の記憶がフラッシュバック。
だがこいつはヒロインの元恋人。なんで偶然同じ高校に転校?
主人公は寅さんみたいになる。これは切ない。その展開予想外。こうすれば感動のいい話になるのに…という期待をすべて避けて通る。
駆け足の最後の1年間は主人公が抜け殻のようで見ていられない。ボーイミーツガールものだと思っていたら、なんだこの映画。まあそうなるわなという現実を突きつけるバッドエンド。
こんな映画誰が見たい?何も知らずに見に行った人は劇場で困惑したに違いない。なんでこんなストーリーにしたのか理解できない。
でもまあ友だちになることが目的だったわけだし、あんなパラパラアニメを書いてる時点で三枚目なわけだし。
ずっと浮かない表情の川口のたまに見せる笑顔がすてき。自分の知ってた川口春奈とは違っていた。いつのまにかオトナの女性になっていた。どのシーンも感動的にまで美人すぎ。
この映画を観たことで高橋春織というスターダストの若手女優の存在を初めて知った。主人公に思いを寄せている幼なじみ。
文化祭が楽しそう。だがキャンプファイヤードミノ?!そんなものに青春の貴重な時間を費やすな。
自分、川口春奈の出演作をあまり見ていないのだが、川口春奈はかなりかわいいと思っている。それに性格も面白いし。
どうやらこいつも記憶に障害を持つヒロインの難病ものか。もうすでにこの手のパターンは食傷気味かもしれないのだが。
主人公は山﨑賢人だが、積極的にヒロインを追いかけていくアホ男子高校生というパターンはこの俳優にはめずらしいかもしれない。かなり落ち着きのない三枚目的主人公。
学校の図書室でヒロインの図書カードを拾う。名前からいってきっと美少女と直感。同じ学校でありながらまだ知らない女子がいた。くんくんと臭いをかいでるところを持ち主の川口春奈に見られるという最悪な出会い。
借りた図書(でっかい本)を座席に置いたまま、乗り過ごした!?と降りた男子に川口が機転を利かせて本を投げ渡す。この出会いシーンが劇的で美しい。
青春には一瞬で恋に落ちるこんな瞬間が必要だ。出会いはスローモーションで記憶に刻まれる。
川口は電車内でほくそ笑む。あれ?最悪な出会いだったのに、もうイイ感じにまでリカバリーできてる?
主人公と新学年で同じクラス。このシーンの川口春奈がかなり高精度にかわいい。窓際席で萌え袖で読書してる姿も美しい。清楚で可憐。まだまだニコモのスターだったハルルの面影を見た。JK役で活躍できることを証明していた。
だが、「友達になってください!」という問いかけにひと言「無理…」
これには見てる側も主人公と同じリアクション「えっ…?」
クラスメートからの頼み事にもひと言「無理」。1年の3学期に転校してきたもののずっとその調子。
川口演じるヒロインは一切人と関わろうとしない超絶クール&ドライ美少女だった。普通の主人公なら最初の段階で心折れるのだが、果敢にアタックし続ける。
なんとヒロインは無意識に特定のこと(人間関係)だけを忘れてしまうという、医者にも原因がわからない心因性の解離性健忘症だった。1週間で記憶が失われてしまう病だった。人間関係だけ忘れるならギリで普通高校に通うのも可能か。
積極的に関わってくる人を疎ましく感じてしまう。医者も無理して人と関わらないようにアドバイスしてるのだが、主人公はヒロインの病を知ったうえで交換日記を持ち掛ける。一途にバカな男の情熱はヒロインの心の不具合を変えるはず。
松田翔太みたいな転校生がやってくる。こいつが怖い。PTSDの原因か。「裏切り者」という言葉を発するたびにヒロインは事故の記憶がフラッシュバック。
だがこいつはヒロインの元恋人。なんで偶然同じ高校に転校?
主人公は寅さんみたいになる。これは切ない。その展開予想外。こうすれば感動のいい話になるのに…という期待をすべて避けて通る。
駆け足の最後の1年間は主人公が抜け殻のようで見ていられない。ボーイミーツガールものだと思っていたら、なんだこの映画。まあそうなるわなという現実を突きつけるバッドエンド。
こんな映画誰が見たい?何も知らずに見に行った人は劇場で困惑したに違いない。なんでこんなストーリーにしたのか理解できない。
でもまあ友だちになることが目的だったわけだし、あんなパラパラアニメを書いてる時点で三枚目なわけだし。
ずっと浮かない表情の川口のたまに見せる笑顔がすてき。自分の知ってた川口春奈とは違っていた。いつのまにかオトナの女性になっていた。どのシーンも感動的にまで美人すぎ。
この映画を観たことで高橋春織というスターダストの若手女優の存在を初めて知った。主人公に思いを寄せている幼なじみ。
文化祭が楽しそう。だがキャンプファイヤードミノ?!そんなものに青春の貴重な時間を費やすな。
2018年10月27日土曜日
アガサ・クリスティー「もの言えぬ証人」(1937)
アガサ・クリスティー「もの言えぬ証人」加島祥造訳(昭和52年版)ハヤカワ・ミステリ文庫の昭和56年第11刷を手に入れた。100円。
莫大な資産を持っている老嬢ミス・エミリイが自宅階段から転落するも軽傷。だが、その数日後に病死という自然死。
エルキュール・ポアロのもとに死者から手紙が届く。まるで内容のない不安をつづった手紙。だが…すでに死から半月以上も経って届いている。なにかヘンだ。
有閑探偵ポアロはヘイスティングズくんときまぐれ興味本位捜査へ。
お金に困ってる甥や姪を差し置いて、それほど長く勤めてもいない家政婦が邸宅やほとんどの資産を譲られていた。死の直前に遺言状を書き換えていた。
ポアロは伝記作家と偽ってヘイスティングズと周辺で聴き込み開始。何かが起こらないといいが…と心配するポアロ。だが驚いたことに最後の95%まで読んでも事件が起こっていない。読んでいて飽きはしないが無駄に長い。
そしてラストで関係者が一堂に会してポアロが真相を披露。なんとポアロは容疑者たちの間からたったひとり、やれるキャラはこいつしかいないと初対面の段階で気づいてマークしていた!すげえ。まったく予想外な物質で毒殺されていた?!
見た目と印象が普通でも、人は腹黒い…という1冊。犯人はそういう印象と先入観を植え付けようと行動する。
ポアロの報酬はずっと現場にいて主を失った犬だけ。あれ?ポアロって犬を飼っていたっけ?
タイトルはあんまり作品と合っていない。
ミス・エミリイの友人の老婆から先のとがった傘で脇腹ぐりぐりされるヘイスティングズが可笑しい。自分なら「なにしやがるんだこのクソババア!」とブチギレる。
ポアロの偽りだらけのハッタリ捜査を非難するヘイスティングズとのやりとりも面白い。
DUMB WITNESS by Agatha Christie 1937この本も実物がそこにあるのを見るまでまったくその存在を知らなかった1冊。あんまり評判を聞かないので期待せずに読む。
莫大な資産を持っている老嬢ミス・エミリイが自宅階段から転落するも軽傷。だが、その数日後に病死という自然死。
エルキュール・ポアロのもとに死者から手紙が届く。まるで内容のない不安をつづった手紙。だが…すでに死から半月以上も経って届いている。なにかヘンだ。
有閑探偵ポアロはヘイスティングズくんときまぐれ興味本位捜査へ。
お金に困ってる甥や姪を差し置いて、それほど長く勤めてもいない家政婦が邸宅やほとんどの資産を譲られていた。死の直前に遺言状を書き換えていた。
ポアロは伝記作家と偽ってヘイスティングズと周辺で聴き込み開始。何かが起こらないといいが…と心配するポアロ。だが驚いたことに最後の95%まで読んでも事件が起こっていない。読んでいて飽きはしないが無駄に長い。
そしてラストで関係者が一堂に会してポアロが真相を披露。なんとポアロは容疑者たちの間からたったひとり、やれるキャラはこいつしかいないと初対面の段階で気づいてマークしていた!すげえ。まったく予想外な物質で毒殺されていた?!
見た目と印象が普通でも、人は腹黒い…という1冊。犯人はそういう印象と先入観を植え付けようと行動する。
ポアロの報酬はずっと現場にいて主を失った犬だけ。あれ?ポアロって犬を飼っていたっけ?
タイトルはあんまり作品と合っていない。
ミス・エミリイの友人の老婆から先のとがった傘で脇腹ぐりぐりされるヘイスティングズが可笑しい。自分なら「なにしやがるんだこのクソババア!」とブチギレる。
ポアロの偽りだらけのハッタリ捜査を非難するヘイスティングズとのやりとりも面白い。
2018年10月26日金曜日
欅坂46「ゼンマイ仕掛けの夢」MVロケ地巡礼
今泉佑唯が欅坂を去る前に、ゆいちゃんず「ゼンマイ仕掛けの夢」MVロケ地上総山田駅へ行ってきた。
これで今泉佑唯と小林由依によるフォークギターデュオゆいちゃんずも見納め。
これが上総山田駅。小湊鉄道の駅舎はほとんどすべてこんな感じの異常に味わい深い無人駅。駅前には何もない。数軒あった商店もすでに休業して久しいようだ。(1店舗のみパン屋らしき店が営業していたようだ)
視界に誰一人いない。列車もたまにしか来ない。
これで今泉佑唯と小林由依によるフォークギターデュオゆいちゃんずも見納め。
これが上総山田駅。小湊鉄道の駅舎はほとんどすべてこんな感じの異常に味わい深い無人駅。駅前には何もない。数軒あった商店もすでに休業して久しいようだ。(1店舗のみパン屋らしき店が営業していたようだ)
視界に誰一人いない。列車もたまにしか来ない。
小湊鉄道はどこもこんな風景
MVでは「つきのき」駅
撮影時とほとんど何も変わっていない
次に向かった場所が木更津の潮干狩りのメッカ江川海岸
この場所は昔からそれなりに有名だったのだが、近年SNS隆盛と共に再びバズり始めている。土曜の午後3時半ごろだったのだがカップルや写真を撮っている人が20人ほどいた。
今泉と小林が歩いたこの突堤
歩くには意外に幅が狭い。怖くなかったのか?
これで今回の千葉ツアー終了。土日の夕方は木更津金田ICからうみほたるまでの渋滞が酷い。
2018年10月25日木曜日
吉村昭「深海の使者」(1973)
吉村昭「深海の使者」を読む。1976年版文春文庫で読む。自分、この本の存在を知らなかった。昭和47年から48年にかけて文芸春秋に掲載されたもの。
おそらく潜水艦もの。自分はまだ太平洋戦争における潜水艦に関する本を読んだことがなかった。
日独伊は三国軍事同盟だったけど、連合国とは違って、戦争中に首脳同士や軍の幹部同士が直接会って双方で意思を確認したりすることがほとんどできてなかった。
駐在する大使や武官との連絡は暗号無線に頼るしかない。では人や物はどうやって送り届けていたのか?
なんと潜水艦で送り込んでいた。当時日本が占領していたペナンから、ドイツが占領していたフランスのロリアンかブレストまで、インド洋を横断し喜望峰を回って、英軍哨戒圏をかい潜り2か月間の命がけの大旅行をしていたのだ。帝国海軍は遠く大西洋までにも進出していた。インド洋、大西洋で戦死した日本兵もいた。それ、今までまったく考えが及んでなかった。
独ソ戦が始まるまではシベリア鉄道や空路も使えた。だが、独ソ開戦後は、東條や陸軍はソ連を刺激すること極度に恐れた。当時ドイツ占領下だったクリミア半島から中国北部の包頭までの直線ルート(イタリア軍輸送機サヴォイア・マルケッティSM-75機)がソ連領空を通過することを問題視。アリューシャン上空を通るルートですら許可しない。
最初の経路開拓でドイツへ派遣された伊号第30潜水艦は華々しい成功だったのだが、帰路にシンガポールで英国軍の機雷に触れて沈没…。
インド独立の闘士チャンドラ・ボースは亡命先のドイツから日本へ、潜水艦で脱出し潜水艦へ乗り移ってた。
意外だったのが潜水艦内部が暑いということ。周囲が海水なので流水で冷却されてると思いきや、赤道付近を航行してるときは汗と脂にまみれろくに体も洗えない。それに狭い密閉空間に人員が詰め込まれている。食事も缶詰しかない。高級将校も一兵卒も同じ。これはつらい。Uボートはさらに狭い。
敵機の襲来のときは深く潜航。なかなか浮上できないときは二酸化炭素濃度が上昇。息が詰まる。爆撃には息をひそめて艦の無事を祈るしかない。潜水艦乗組員にはなりたくない。
戦争中はドイツも物資が不足。命がけで南方から錫やゴム、マニラ麻などを運ぶ。だが、たいていが英国空軍機や艦船に攻撃されていた。
人員の不足は暗号無線通信の質にも影響。業を煮やした日本外務省はドイツの日本大使館と直接電話することに。鹿児島弁が使えるもの同士で早口なら大丈夫だろう。
だが、米軍陸軍情報部に鹿児島の同じ村の出身者が居た。バレてた。
ノルマンディーに連合国軍が上陸。日に日にドイツ降伏が迫っている。ドイツに駐在していた日本人のベルリンからの脱出。そして中立国スウェーデンへの脱出。ドイツの降伏前後の出来事を自分は何も知らなかった。
海軍からの指令で帰国の途中でドイツ降伏という事態に遭遇した二人の技術中佐がUボートで自決したのは悲しい。東京帝大卒でドイツで研究活動し日本に技術を持ち運ぶはずが虚しい死。なにもかもが永遠に失われる。
潜水艦はいつどこで沈没したのか詳しいことがわからない。米軍の交戦記録を読み解くしかない。艦長と100名以上の乗組員、そして便乗者が海中に沈む。爆雷で撃沈された潜水艦はやがて水圧でつぶれる。その音は相手艦が聴いている。悲惨すぎる。
吉村昭の本は何を読んでも毎回自分に知らなかった歴史の1ページを教えてくれる。この本も同じ。読んでいてまったく飽きなかった。広くオススメする。とにかく戦争は壮大な資源と人材の無駄遣い。
おそらく潜水艦もの。自分はまだ太平洋戦争における潜水艦に関する本を読んだことがなかった。
日独伊は三国軍事同盟だったけど、連合国とは違って、戦争中に首脳同士や軍の幹部同士が直接会って双方で意思を確認したりすることがほとんどできてなかった。
駐在する大使や武官との連絡は暗号無線に頼るしかない。では人や物はどうやって送り届けていたのか?
なんと潜水艦で送り込んでいた。当時日本が占領していたペナンから、ドイツが占領していたフランスのロリアンかブレストまで、インド洋を横断し喜望峰を回って、英軍哨戒圏をかい潜り2か月間の命がけの大旅行をしていたのだ。帝国海軍は遠く大西洋までにも進出していた。インド洋、大西洋で戦死した日本兵もいた。それ、今までまったく考えが及んでなかった。
独ソ戦が始まるまではシベリア鉄道や空路も使えた。だが、独ソ開戦後は、東條や陸軍はソ連を刺激すること極度に恐れた。当時ドイツ占領下だったクリミア半島から中国北部の包頭までの直線ルート(イタリア軍輸送機サヴォイア・マルケッティSM-75機)がソ連領空を通過することを問題視。アリューシャン上空を通るルートですら許可しない。
最初の経路開拓でドイツへ派遣された伊号第30潜水艦は華々しい成功だったのだが、帰路にシンガポールで英国軍の機雷に触れて沈没…。
インド独立の闘士チャンドラ・ボースは亡命先のドイツから日本へ、潜水艦で脱出し潜水艦へ乗り移ってた。
意外だったのが潜水艦内部が暑いということ。周囲が海水なので流水で冷却されてると思いきや、赤道付近を航行してるときは汗と脂にまみれろくに体も洗えない。それに狭い密閉空間に人員が詰め込まれている。食事も缶詰しかない。高級将校も一兵卒も同じ。これはつらい。Uボートはさらに狭い。
敵機の襲来のときは深く潜航。なかなか浮上できないときは二酸化炭素濃度が上昇。息が詰まる。爆撃には息をひそめて艦の無事を祈るしかない。潜水艦乗組員にはなりたくない。
戦争中はドイツも物資が不足。命がけで南方から錫やゴム、マニラ麻などを運ぶ。だが、たいていが英国空軍機や艦船に攻撃されていた。
人員の不足は暗号無線通信の質にも影響。業を煮やした日本外務省はドイツの日本大使館と直接電話することに。鹿児島弁が使えるもの同士で早口なら大丈夫だろう。
だが、米軍陸軍情報部に鹿児島の同じ村の出身者が居た。バレてた。
ノルマンディーに連合国軍が上陸。日に日にドイツ降伏が迫っている。ドイツに駐在していた日本人のベルリンからの脱出。そして中立国スウェーデンへの脱出。ドイツの降伏前後の出来事を自分は何も知らなかった。
海軍からの指令で帰国の途中でドイツ降伏という事態に遭遇した二人の技術中佐がUボートで自決したのは悲しい。東京帝大卒でドイツで研究活動し日本に技術を持ち運ぶはずが虚しい死。なにもかもが永遠に失われる。
潜水艦はいつどこで沈没したのか詳しいことがわからない。米軍の交戦記録を読み解くしかない。艦長と100名以上の乗組員、そして便乗者が海中に沈む。爆雷で撃沈された潜水艦はやがて水圧でつぶれる。その音は相手艦が聴いている。悲惨すぎる。
吉村昭の本は何を読んでも毎回自分に知らなかった歴史の1ページを教えてくれる。この本も同じ。読んでいてまったく飽きなかった。広くオススメする。とにかく戦争は壮大な資源と人材の無駄遣い。
2018年10月24日水曜日
欅坂46「アンビバレント」MVロケ地「かずさアカデミアホール」巡礼
欅坂46「アンビバレント」MVが撮影された千葉県木更津市にある「かずさアカデミアホール」まではるばると出かけて来た。
このホールは研究施設の集まった巨大工業団地の一画にある。音楽コンサートや講演会、会議など学術目的で建てられた立派なホール。
通常だと中に入れない。外から写真を押さえて撤収するつもりで行ったのだが、我々が行った日はたまたま地元バイオ企業の講演会と展示会などやっていた。なので「しれっとイン」。多くの人が来ていたのだが、人がいなくなった一瞬の隙をついて写真を撮った。
ちなみに「ひらがなけやき」もこの階段でMVを撮っている。だが、漢字欅がMVを撮るとそれはまるでエイゼンシュテインの「戦艦ポチョムキン」における「オデッサの階段」のようになってしまう。
では、左側にあるエスカレーターで登ってみる。
このホールは研究施設の集まった巨大工業団地の一画にある。音楽コンサートや講演会、会議など学術目的で建てられた立派なホール。
通常だと中に入れない。外から写真を押さえて撤収するつもりで行ったのだが、我々が行った日はたまたま地元バイオ企業の講演会と展示会などやっていた。なので「しれっとイン」。多くの人が来ていたのだが、人がいなくなった一瞬の隙をついて写真を撮った。
ちなみに「ひらがなけやき」もこの階段でMVを撮っている。だが、漢字欅がMVを撮るとそれはまるでエイゼンシュテインの「戦艦ポチョムキン」における「オデッサの階段」のようになってしまう。
では、左側にあるエスカレーターで登ってみる。
登ったところがホール入口
だが我々はこういったポイントを押さえて歩き回る
ホールに沿って巡らされている湾曲した光の回廊
同じ風景の中に自分がいる。ロケ地めぐりをする人にしかわからないこの感覚。
この場所は入口スロープエスカレーター
こういうホールって大抵のドアは閉め切ってあるのが普通だと思うのだが、ここはどこもかしこも開いていて自由に移動見学。
この場所の手前奥左手に椅子とテーブルのあるイートスペースがある。そこでYOUTUBEでMVを見ながら同じ風景を見てしばらく過ごす。
1時間ほどウロウロして階段を何度も上り下りして撤収。ちなみにこの池は錦鯉も泳いでいる。
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