2018年10月13日土曜日

綾辻行人「黒猫館の殺人」(1992)

綾辻行人「黒猫館の殺人」(1992)を読んだ。
自分が手に入れたものは1996年講談社文庫版(2012年第44刷)。自分が見たところ、綾辻行人「館シリーズ」はこの第6作黒猫館までが旧版ならBO100円で手に入る。

この1冊も期待して読んだのだが、やはり予想以上の面白さ。もうエラリーとか読んでる場合じゃないかもしれないw

今回の主人公は「十角館」「時計館」で2度も地獄を味わった河南くんと40代推理作家鹿谷門実。阿寒の森林の中の洋館にたどり着くシーンから始まる。

この本の半分がホテル火災事故で記憶喪失になった男性(60)の手記ノート。この男性は黒猫館で住み込み管理人として世捨て人のように暮らしていた。黒猫館で1年前に起こった殺人事件の目撃と隠ぺいの告白。

黒猫館現所有者のドラ息子と友人たち(解散したバンドメンバー)が街で拾ってきた女性を連れ込んで薬物乱用セッ●スパーティーやってんですけど?! ま、見なかったことにしておこう…という。

すると翌日女が首を絞められ殺されてる…。現場は密室。4人のうちの誰かが殺した?
管理する男性を含めて話し合いの末、ポーの「黒猫」のとごく、この館の地下室に埋めて隠してしまおう。

やがてメンバーの一人が浴室内部で首を縊って自殺してる。女を殺したという告白の遺書も。

この告白手記がしっかり読んでる人にはところどころ違和感のある描写が目につく。実はこれが事件の真相の伏線。自分は「熊?そんなの出ないけど」で何かおかしいと疑惑を持つ。

鹿谷の聴き込み調査の末に阿寒の館にたどり着く。あれ?現場を調査してみても手記にあるような事態が起こった形跡がない…。

黒猫館を建てた天衣博士の言葉「鏡の世界の住人」とは?建築家中村青司が天衣を「どじすん」と評していた意味は? 地下室に隠されていた恐ろしい秘密とは?!

本当の「黒猫館」は別の場所にあるんだろうなと思っていた。だが、綾辻行人がラストで提示した結末はやはり自分の予想をはるかに超えていた。ええぇぇ…、おおぉぉ…、呆然とした。

この本もめちゃめちゃ面白かった。またしてもダマされた。綾辻行人、さすがだ。よくこれだけのアイデアを練り込んでまとめ上げた。すごい作家だ。

鹿谷探偵はどうやら警察官を嫌悪しているようだ。「警察?べつに言わないけど」綾辻作品には不思議と警察官や刑事が登場しない。
そうだな。できることなら警察官とか極力視界に入れたくないな。やつら、免許の更新だけで事務手続きに3000円も取りやがる。濡れ手に粟だな。

綾辻さんはたぶん京大学生時代に警察に嫌な目にあわされたのかな?警官が出てこないからこそ綾辻作品は面白い。

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