しかし、数ヶ月待つのが自分の性質。3ヶ月ぐらい後になって400円で古本屋で売られているのを発掘してきた。 まっすぐこちらを見つめるYUIの眼力が、こちらの姿勢を正さないといけない気にさせる。大前多恵も「実現できると思ってなかった」という時期に録られたインタビューだった。では、個人的に近年最重要シングルだと思っている「Green a.live」について、重要と思われるYUIからの言葉を一部引用
■未来への希望も歌われているんですけど、悲しみや苦しみに直面する人たちの〝今〟の気持ちに寄り添う姿勢がとても素晴らしいと思ったんですよね。
YUI この曲が勇気になったり、背中を押す曲になったらいいな、とは思ったんですけど、無理強いをする曲にはしたくないな、と思っていて。「頑張れ」とただ言うのではないメッセージがいいな、と思いました。すごく裸の状態というか。〝運命〟というものについても考えたりしましたし。「正義ってなんだろう?」という言葉がいちばん伝えたかったんですけど、お母さんがいて、子供がいて、その子がたとえば事故に遭ったりしたら、「なんでうちの子がそうなっちゃったの?」「なんでうちの子だけが?」と思ったりして、その疑問や憎しみがぐるぐると回って出口が見えないときもあると思うんですよね。その感情って誰にもぶつけられないし、どこにも行かないじゃないですか?でも、その感情とも向き合う、というか。■逃げずに見つめるっていう?
YUI そうですね。「それっていったいどこに行くんだろう?」と考えましたね。むしろどこかに行くのなら楽になるかもしれないけど、きっとその感情ってすごく大事なんだとおもうんですよ。いとおしい人を思うからこその気持ちだし、それをなくせない苦しみがたぶんあって。ズルい人がのうのうと元気に幸せに生活しているのに、なんの罪もない人に、そういう疑問を持つような大変なことが起きたり……。そこで「神様ってどういうふうに考えているの?」という疑問が出てきたんです。でもその疑問にさえも、誰にも答えることができないんじゃないかなって。■YUIさんの中にも解決策はない?
YUI そうですね。「歌を歌ってる人は答えを知ってるんじゃないかな?」と思われるかもしれないんですけど、同じように疑問を持ち続けているし、解決できないことも普通にたくさんあるんですよね。それでもちゃんと向き合っていく、ということをずっと続けていくのが歌を歌うってことなのかな、と思うので、この曲を作るということはすごく意味がありましたね。■〝悲しみはいずれ優しさになる〟というフレーズもグッときました。
YUI 深い悲しみというのはきっと、大事なものを守る力になるはず、と信じたいですね。共感できる、「わかるよ」って言ってあげられるということはすごいなと思うんですよね。この曲は、日常のことなどもいろいろ含めて言えたらな、と思って作ったんですけど、例えば友達にぐちるにしても、「ああ、わかるよ」と言ってもらえたら、それだけで「よかった!」ってスッとしたり。そういう、「わかってくれている」と感じることだけでも救われることがあると思うんですよね。悲しみを感じた人っていうのは、きっと悲しんでいる人に手を差し伸べられる人なんじゃないかなって。心の中に、それ以上の優しさが宿っているはずだと思いますね。
「自分にも解決方法がわからないこともある」というけど、YUIが考えた果てにつくった曲は、多くのファンは納得できるものと考えてるんじゃないのかな。CHE.R.RYのような曲を聴くと、YUIは平安時代の和歌の名手のように感じるときもある。Green a.liveを聴くと、YUIは我々の時代の思想家だと感じるときもある。