2019年6月30日日曜日

窪塚洋介「ピンポン」(2002)

史上最高の卓球映画「ピンポン」(2002 アスミックエース)を久しぶりに見た。じっくり見たのは今回が初めて。

松本大洋の原作を映画化したもの。監督は曽利文彦。脚本は宮藤官九郎
ちなみに「ピンポン」は能年玲奈が好きな映画。

主演の窪塚洋介の喋りがちょっと知的に障害が?と思わせる卓球少年。松本大洋の主人公はみんなそんな感じか。
昔と違って今は高校の卓球部はそれなりに人数のいる人気部活動?

窪塚洋介という俳優を今の子はあまり知らないかもしれない。自分も最近はぜんぜん見ていない。かつてキムタクと人気を二分した俳優。このころが人気の頂点。
ARATA中村獅童も現在も映画やドラマで活躍中。

橋から飛び降りるシーンで松尾スズキ巡査登場。
ちなみに窪塚が横須賀の自宅マンション9階から飛び降りて生還!という大騒動はこの2年後。

これ、映画冒頭から音楽がかっこいい。日本テクノ人脈とSUPERCAR
それに今見ても映像が古くない。

「ミックス。」というガッキー主演映画を見て見返そうと思った。卓球クラブというものを見るのはこの「ピンポン」が最初。

ピンポンはインターハイ卓球映画。「ちはやふる」みたいだが、ヒロインがいないことが残念。

中国人卓球留学生とコーチの会話で勝負の解説させる。中国人っていつの間にか、人民服着て自転車に乗って人民公社へ仕事に行くイメージからクールなイメージになってたw
江ノ電が走ってるのを見て湘南が舞台だったと初めて知った。

全員剃髪してる高校って少林寺かよ比叡山の僧兵かよ。あんな卓球虎の穴高校あんのかよ。
プロ卓球はテーブル挟んで罵り合いマイクパフォーマンスしてほしい。

主人公が最初からめちゃめちゃ強いわけでないところが良い。
佐藤二朗が大会運営スタッフとして出演してて今よりスリムで驚いた。

主題歌SUPERCAR「YUMEGIWA LAST BOY」

2019年6月29日土曜日

黒島結菜「いだてん」に登場

黒島結菜NHK大河ドラマ「いだてん」第1部「金栗四三」編の終盤になって登場した。

自分、今回の大河ドラマは宮藤官九郎脚本ということで期待していたのだが、初回から第6話あたりまで見たものの、一向に面白くなってくれなくて挫折。
黒島結菜が出る回から再び見始めたのだがびっくりした。いまだに面白くなっていなくてw これは後半の巻き返しがないと相当キツイ。
黒島は女子生徒たちのリーダー?
黒島結菜が大河に出るのは「花燃ゆ」で高杉晋作の妻を演じて以来。
「アシガール」といい「漱石の妻」といい、NHKドラマの出演がとても多いイメージ。時代劇、明治大正ドラマの出演が多いイメージ。着物姿と日本髪が多いイメージ。
黒島が演じた役はたぶん実在の人物だが、自分は何も詳しいことを知らない。ドラマをほとんど見てないのだから。
竹早女子って今の都立竹早高校か?生徒たちは全国区で自慢できるw

今回のドラマの衣装は大正時代っぽさがよく出ていた。ヘアスタイルはそれほどリアルを追及していないように感じた。そこはあんまり追及してもね。
テニス選手になった黒島。日本テニスの黎明期どころか事始め期。道具もウエアもルールもまだ何も浸透していない時期。
(ちなみに日本人で初めてテニスをした人は、白洲次郎の義理の父、樺山愛輔伯爵だと云われる)

黒島と一緒の女の子がかわいい。小柄。調べてみたら北香那という21歳の女優。今までまったく知らなかった。黒島と同じ年だが学年は一つ下っぽい。

このロケ地が牛久のシャトー神谷。「イケメンパラダイス」など多数の映像作品でロケ地として使われて来た。自分は十数年前に初めて牛久大仏見物に出かけたとき立ち寄った。すばらしいところだった。一度行ってみることをオススメする。
おそらくもう今後「いだてん」での出番はない。寂しい。

できることならもうちょっと顔はふっくらしていてほしい。25ぐらいまでは美少女感を保ってほしい。

2019年6月28日金曜日

三島由紀夫「花ざかりの森・憂国」

三島由紀夫「花ざかりの森・憂国」を新潮文庫版で読む。そろそろ本気出さないと死ぬまでに全作読み終わらない。

あれ?新潮文庫の三島由紀夫は独特の美しいグレーとオレンジの明朝体表紙かと思っていたのだが、現在出版流通しているものはほとんど新表紙だ。

三島由紀夫こと本名・平岡公威くん(16歳)が戦時中に書いた処女小説「花ざかりの森」(文庫本だと49P)を読むためにこの本を手に取った。

これがもう数ページめくっただけで天才少年の書く文章だと感じた。なにしろ大人が注意深く読んでもぜんぜん頭に入ってこないw 
何を書きたいのかもわからないw 何も知らずに読んだなら、老人の書いた文章だと思うに違いない。困惑。

小説に夢中でありながら、学習院高等科を首席で卒業。東大法学部、大蔵省という天才くんの書くものなので一般人の理解を超える。
幸いなことに、新潮文庫版は巻末解説が三島由紀夫。本人によれば「リルケ風」「浪漫派の悪影響」。もうこの16歳のときの作品をぜんぜん気に入ってないらしい。

「憂国」(昭和36年)
二・二六事件から3日後に「皇軍万歳」と自決した青年将校とその妻。美男美女の官能自刃プレイ。三島の趣味嗜好。腹に軍刀が刺さっていく実況解説。そして夫人も自刃。日本語文章力には脱帽。怖くて痛くて読めたものでない。

収録された13編すべて読み通したけど、個人的に「良いな」と感じられたものは「海と夕焼」「詩を書く少年」、次点で「卵」と「新聞紙」。

「海と夕焼」(昭和30年)は鎌倉時代の時代小説と思わせておいてフランス人が出てきてびっくり。「なぜあのとき海が二つに割れなかったのか」という信仰の終わりの体験。
すぐさま「なぜ神風は吹かなかったのか」という敗戦体験を連想。

「詩を書く少年」(昭和31年)は超名門男子進学校でされていそうな会話。「卵」(昭和30年)は大学生5人のドタバタと思っていたら童話だった。
「新聞紙」(昭和30年)は想像力のありすぎる夫人の他に類を見ない妄想。

2019年6月27日木曜日

三島由紀夫「命売ります」(昭和43年)

三島由紀夫「命売ります」がここ数年の間にとてもブレイクしたらしく、多くの人が話題にしている面白い小説らしいので読んでみる。

現在は山本容子装画の1998年ちくま文庫版が増版を重ねていて入手が難しくない。文庫以外だと新潮社の三島由紀夫全集にたよるしかない。

この小説は昭和43年になんと週刊プレイボーイ誌に21回連載されたもの。三島の通俗的大衆娯楽小説。昨年1月にはBSジャパンで連続ドラマにもなっていた。
……羽仁男は、目をさまして、まわりがひどく明るいので、天国にいるのかと思った。しかし後頭部にきつい頭痛が残っている。天国で頭痛がするわけはあるまい。
ある日突然、新聞の活字がゴキブリに見えだしたという男が睡眠薬自殺を図り、やがて病院で目を覚ます。そして男は自分の命を売ろうと新聞広告を出す。

男は「ライフ・フォア・セイル社」の札を掲げる。次々と仕事が持ち込まれる。これがハードボイルド探偵小説のような展開。
お互いにそっぽを向いた乳房の女、昆虫図鑑を売る女、吸血鬼の母親、大使館のスパイ、そして自宅の離れを貸す女…。

主人公の男がテンション低くてスカしてる。作者名を伏せて読まされたなら、誰でも村上春樹の初期作品?と思うような予測不能荒唐無稽ファンタジー展開。

男はやがて組織に追われる。「死にたくない」と、飯能駅前から青梅の山中を逃げ回る。そんなエンターテインメント作品。
ちなみに、乃木坂の高山一実もこの本を読んだことがあるらしい。文体で「トラペジウム」に影響を与えたかもしれない。

「三国人の妾」という言葉が出てきて驚いた。聞いた話だと三国人って戦後すぐの昭和20年代にしか使われていない言葉だと思っていた。
すくなくともこの本によれば、昭和40年代で、おそらく日本語を話す東アジア系外国人という意味で使われている。

2019年6月26日水曜日

広瀬すず「高校生になったら男子と会話が噛み合わなくなってた」

さらに、TVガイドアルファ EPISODE G(2017年8月)もCとほぼ同じ時期に手に入れた。これもそこに100円で売られていたから連れ帰った。B4変形判というデカすぎグラフ誌。

これも全11組のアイドル、俳優のグラビア&インタビューを扱う。目当ては今回も広瀬すず。2017年2月号から半年、すずは18歳になっていた。少女が大人になるスピードは速い。

アニメ映画「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」岩井俊二監督による1993年放送のテレビドラマのリメイク作。
この映画、なんと脚本が大根仁だったとは気づいてなかった。大根は長澤まさみを再ブレイクさせた最大の功労者。そのうち見たい。

で、声優に挑戦した広瀬すず。
「事務所に入ったときに、8割息で2割しか声が出てないねってマネージャーさんに言われたことがあったんです(笑)。もともとそういう喋り方みたいなんですけど、疲れていたり、うれしかったり、色っぽかったり…、息で色々なことが表現できるな、と思って。」
「周りの方から、誰ともかぶってない声だねと言ってもらえたときはうれしかったです。」
すずの特徴的声は「8割息」だったのか!w それはわかりやすい表現だ。

高校を卒業したすずは学生時代を語る
「高校のときはもう仕事を始めていたからか、男子と会話が全然噛み合わなかったんです。俺、今ペン回しを極めてるんだとか言われても、何を言ってるのかよくわからない、みたいな(笑)。何か趣味があるのは素敵だし、それについて話しているところも幸せそうでいいなぁと思うけど、ペン回しについて細かく説明されても困る、という感じで会話が成り立ちませんでした(笑)。」
男子学生たちは女子たちに趣味の話をしてはいけないという教訓だw 熱心に話せば話すほど馬鹿だと思われる。
てか、美少女に話しかけてもいいことなど何もない。女には話しかけるな!話しかけられるのを待て!と男の子には教えたい。

2019年6月25日火曜日

アガサ・クリスティー「七つの時計」(1929)

アガサ・クリスティー「七つの時計」を読む。深町真理子訳1981年ハヤカワ・ミステリ文庫版で読む。
THE SEVEN DIALS MYSTERY by Agatha Christie 1929
クリスティーといえばポアロとミス・マープル、あとはベレスフォード夫妻と短編だとばかり思っていたのだが、バトル警視もの長編がいくつかあることを「ゼロ時間へ」で知った。

鉄鋼で財を成したクート夫妻の招待でチムニーズ館に集まった若者たちのシーンから始まる。クリスティの作品に登場する人々は英国上流階級の人々ばかり。働いてる様子がない。
昼になっても起きてこない寝坊くんジェリーにいたずらを仕掛けるために、音のでかい8つの目覚まし時計を購入。寝たのを確認してからベッドの下に置く。

翌朝、隣の部屋も飛び起きるほど鳴ったというのにやっぱり起きない。きっと起きてるけど、こちらの意図に気づいてあえて起きてこないに違いない。

だが、ジェリーは部屋で多量の睡眠薬を摂取し死んでいた!睡眠薬なんて必要ないし飲んだこともないのに。

やがて事件当日館にいた若い外交官ロニーも銃撃され死亡。謎のダイイングメッセージは「セブン・ダイアルズ」。

チムニーズ館所有者ケイタラム卿の娘バンドル嬢が、よせばいいのに好奇心からロンドンのセブンダイアルズクラブへ潜入捜査。

謎の秘密結社セブン・ダイアルズ・クラブとは?ナンバー7の男の正体とは?
あ、これもやっぱりクリスティ女史お得意の好奇心お嬢様の冒険型スパイスリラーか?

いちおうつぎつぎと事件は起こっていてバンドル嬢の冒険が続く。
ラストで明かされる衝撃の真実とナンバー7の正体にはそれなりに驚かされた。バトル警視の頼もしい落ち着きっぷり!

だが、読んでいてあまり面白くないなと感じてた。クリスティの傑作とよばれる作品にくらべると、内容も展開も散漫で構成も美しくない。

自分はクリスティ長編66作読破に挑戦中。そろそろ折り返し点のはずだが、この「七つの時計」は読んでる途中から、今まで読んだすべてのクリスティ作品の中で、例外的な駄作だと感じた。読後の評価も同じ。「七つの時計」というタイトルからアリバイ崩しみたいな想像していたのだが、事件とまったく関係なくて笑った。

2019年6月24日月曜日

アガサ・クリスティー「ゼロ時間へ」(1944)

アガサ・クリスティー「ゼロ時間へ」を田村隆一訳1976年ハヤカワ・ミステリ文庫版で読む。
TOWARDS ZERO by Agatha Christie 1944
冒頭で司法関係者の老人たちが話し合い。その中でもとくに尊敬を集めているトリーヴス氏は最近の推理小説を批判。殺人は終局であるべき!ゼロ時間へ収束していくべき!という持論。

そして自殺に失敗した男と看護婦の会話、女学校内での窃盗事件で罪を認めた娘の件で呼び出された警視、そんな場面が断片的に続く。

しかし、この本の主役たちはウィンブルドンにも出場するほどのハンサムスポーツマン・ネヴィルとその前妻オードリイと現妻ケイ(美人)。遅めの夏のバカンスでガルスポイントに集まった男女。

何かが起こる…という緊張と不安で異様な雰囲気。やがて心臓の弱かったトリーヴス氏が自然死?前夜にエレベーターが故障で停止中という立て札(悪戯と判明)を見て無理して階段を登ったせい?
そして病弱女主人トレシリアン未亡人も部屋で頭を叩き割られて死んでいる…。

たまたまソルトクリークに滞在していたバトル警視は捜査を開始。「エルキュール・ポアロなら…」という考えが頭をよぎるバトルだが、この本にはポアロは出てこない。
このバトル警視が切れ者。そして自殺未遂男マクハーター氏の意外な登場。

クリスティ女史お得意のハンサム男ひとりに女が二人という状況。「ナイルに死す」のように前妻と現妻の争いに見えて実は…という。
「こいつを殺したい」というその時「ゼロ時間」へ向かっていく。意外なラスト。そしてやっぱり爽やか恋愛小説。

2019年6月23日日曜日

広瀬すず「長澤まさみさんの美しさとカッコ良さは本当に憧れ」

TV GUIDE Alpha EPISODE C(TVガイド関東版増刊 TVガイド アルファ)2017年2月号がそこに売られていたので連れ帰った。100円ゲット。

‎B4変型(330×238)というかなりデカいグラフ誌。これは書店も置き場に困る。それにしても100円は弱気価格。では自分が読んで感想を書く。

12組の俳優やアイドル、ミュージシャンを扱っているのだが、目当ては広瀬すずグラビア&インタビュー8P記事。「チアダン」宣伝期のすず。

「一番しんどかったのはダンス」だと言う広瀬すず
初めてチアダンスを見に行き、ストレッチなどの練習風景を見学させてもらったのは撮影に入る約半年前。本格的に練習を開始したのは2ヵ月くらい前からで、週に3~4度みんなで集まり、何時間も練習しました。何度やっても覚える量がとても多くて追いつかなくて、笑顔も作れず、声も出せず、ただ踊り過ぎて日ごとに顔がどんどん痩せていく、みたいな状況で(笑)。チームJETSを演じるキャストは元々ダンスが得意な人が多かったし、チアダンスをやっていた人もいたので、最初は本当に悔しいと思いながら、ひたすら練習しました。
というハードに過酷な練習風景。すずは競技カルタ、ヴァイオリン、弓道など、どの映画でも練習風景がついて回る。

このインタビューは「チアダン」について詳しくすずが語っているので、映画に興味があるすずオタには購入をオススメしたい。

だが、自分はやはり広瀬すずが普通の中学生からスターへと駆け上がっていく中学時代について語っている箇所に関心
私、14歳で仕事を始めたのですが、バスケができなくなったことが辛くて、最初の頃は早く辞めてやる!と思っていたんです。でもタイミングが分からず、ズルズル辞められずにいて。
中学生が仕事なんてしたくないと思うのは当然。それは本人の責任じゃない。若者にちゃんと仕事をさせるには楽しい!と思わせるしくみが必要。逆にそれがない仕事は続けても何も面白味も無い。

最後に、広瀬すずは憧れの女優として斉藤由貴長澤まさみの名前を挙げている。斉藤由貴は舞台をみて、長澤は実際にその人を知って憧れるようになったらしい。
「実際にその人を知っていて、いろんな面を見てカッコいいなぁと思うのは、やっぱり長澤まさみさんです。海街diaryでご一緒したときも、姉妹役4人の中でも必ず先頭に立ってみんなをご飯に誘ってくださったり、いろんな計画を立ててくださったり。私服もすごくカッコ良くて、一緒に展示会に連れて行ってもらったりもしました。女性として、あの美しさとカッコ良さには、本当に憧れています。なりたいけど、私は絶対にあんな風にはなれないだろうなぁ……」
すずがまさみに展示会に連れて行ってもらってたという話は初耳。それはプライベート?ニュース映像でも見たことがないし。
てか、まさみはそんな場所にも呼ばれてるんだな。人気女優でモデルもやってるんだから当然か。

長澤まさみは3つ年上の兄のいる妹で、部活動の経験もないのに、一体なぜここまで逞しい姉御キャラになったのか不思議だ。なんでも率先して先頭に立つ。

おそらく、15年ちかく一人で東宝芸能のトップ女優としての責任感と自信だろうと思う。仕事が人を作っていくということだろうと思っている。

2019年6月22日土曜日

天城越え(1983)

松本清張の短編「天城越え」を新潮文庫で読んだあとに、1983年三村晴彦監督版(松竹/霧プロ)を見た。

監督はよく知らない人だが製作に野村芳太郎、脚本に加藤泰の名前がある。それなりに期待して見る。

原作では大正時代に起こった事件だったのだが映画では昭和15年が舞台になっている。

渡瀬恒彦演じる老刑事が、平幹二朗が経営する小さな印刷会社に、40年前の「天城山土工殺し」の捜査資料を活字にして印刷する依頼を持ち込む。
植字工が1文字ずつ活字を拾って1ページをつくるシーンは原作を読んだときはイメージできてなかった。

今もドラマや映画でよく見る人びとが登場するので見ていて楽しい。
柄本明、吉行和子、阿藤海、山谷初男、伊藤克信といった2時間ドラマでよく見る(見た)面々。
石橋蓮司と樹木希林の取っ組み合い夫婦喧嘩シーンに笑った。

薄汚れた家屋と衣服、貧しい生活感、土砂降りの雨、そして伊豆下田方言まるだし感が強烈で良い。みんな一時代も二時代も前の人のような感じが強い。

役者たちがみんな汗びっしょりで驚く。着物がヨレヨレで数日風呂に入ってない感じで、着物も背広も表面まで汗で濡れた感じが今見ると新鮮。こういう夏場の汗びっしょり演出は近年まったく見ない。
(現在放送中の「いだてん」はそのへんがリアルに明治と昭和30年代を感じない。みんな小ぎれい。)
戦前の警察の取り調べが人権無視でとにかく乱暴。聴き取り調査で少年や老婆、市民には優しく接していた渡瀬恒彦であっても、容疑者・大塚ハナの髪をつかんで机に叩きつけたり殴り倒したりする。

「はばかりに行かせてえ」と懇願すらも拒否。その場で失禁するシーン(たぶん原作にない)は最悪。
戦前も戦後も警察はずっとこんな調子で冤罪を生み続けた。警察はいつまでも「俺たちは威張っていい」「暴力を行使する権利がある」と思ってる。
取り調べシーンでの渡瀬と田中裕子の演技は圧巻。起訴され移送される田中のシーンが哀れ。
だが裁判では証拠不十分で無罪判決。

事件のあらましがだいたい視聴者に示されてから、少年とハナ、土工をめぐる事件の真実再現シーンが長い。しかもル~ル~ル~♪という女声のムーディー歌謡メロディーには閉口。これが当時のロマンあふれる演出か?70年代80年代の映画は音楽が残念。

事件の被害者になる「流れ者の土工」が峠道ですれ違った時から気持ち悪くて不快。片手を股間につっこんで白痴のように口半開きでよだれを垂らしてる。まさにけだもの。
これは少年が憧れた娼婦を汚されたと嫌悪感を抱くのも当然。

あの汚らしい土工と「話があるから」と急に態度を豹変させ少年を追っ払おうとする田中裕子。少年にとっては理解できない急な心変わり。
ハナと土工の叢の中での情交シーンが長い。まるで成人映画。当時26歳ぐらいの田中裕子さんが胸をはだけて悶えてる。昔の女優さんはすごかった。
そういえばガッキーも田中裕子さんの演技は凄いと言っていた。そこにカメラがあることを意識してないかのようだと。

原作でサラッと書かれている場面がしつこい。原作にないものまで足してる。どうしてこういう構成にした?自分はあんまり好きになれなかった。
とくにラストの時代が変わった感を出すために暴走するバイクを通行させたシーンは嫌。

2019年6月21日金曜日

H.M.スタンレー「リビングストン発見隊」

リヴィングストンとスタンレーによるアフリカ内陸部探検は欧米人にとってはよく知られた物語なのだが、日本人にとってはなじみがないのと、後にアフリカの多くがヨーロッパ帝国主義の犠牲となってしまった暗い歴史もあって、あまり読まれない。適当で手に入りやすい本があまりない。

講談社青い鳥文庫のヘンリー・モートン・スタンレー作(山口進訳)「リビングストン発見隊」という本が小学生高学年以上向けで手に入りやすい。
自分はこのふたりを高校時代に世界史で初めて名前を知った。本によってようやくこのふたりについて知ることができた。

この本はスタンレー「リビングストン発見記」(1872)「暗黒大陸を横断して」(1878)「コンゴ自由国」(1885)、リビングストン「アフリカ南部伝道の旅と調査」(1857)「最後の日誌」(1874)、ドロシー・スタンレー「ヘンリー・スタンレー自伝」(1904)から、山口進氏がコンパクトにまとめたもの。当時の挿絵がそのまま使われている。

スコットランドに生まれたデイヴィッド・リヴィングストン(David Livingstone 1813- 1873)は27歳で医師に、後に宣教師となり1840年に初めて南アフリカへと渡る。ヨーロッパ人で初めてアフリカを横断した。

当時はまだアラブ人とポルトガル人によって奴隷狩りと売買が行われていた。リビングストンは奴隷売買に強く反対。キリスト教を伝道する目的と、地図上の空白地を埋める野心を持って内陸部へ進む。

南アフリカに伝道所を建てようとしたとき、ライオンに左肩の骨をかみ砕かれ生涯左腕があげられなくなる。
ザンベジ川を探検しカラハリ砂漠を横断する。西海岸ルアンダに到着し引き返し東海岸ケイマネに到着する。1855年にビクトリア滝を発見する。

このアフリカ探検がとてつもなく過酷。食料医薬品を現地人に持ち去られ、救援物資を送ってもらうとまた盗まれ、謎の熱病で生死をさまようという絶望!w 手紙を書いても「自分たちに悪いことが書いてあるに違いない」とスワヒリ人に捨てられる。そしてアフリカ奥地で音信不通の行方不明になりヨーロッパではリビングストン博士は死亡したものと思われる。

そのリビングストン博士を探し出したのがニューヨーク・ヘラルドの記者だったヘンリー・モートン・スタンリー(Henry Morton Stanley 1841–1904)

この人はウェールズで私生児として生まれ母に捨てられ親類を転々とし孤児院へ。強制労働を嫌い船員となりアメリカ・ルイジアナに渡りH.M.スタンレー氏に拾われる。献身的に尽くしたことで同じ名前を名乗ることを許される。アメリカ南北戦争で北軍兵士として従軍。このときの経験から新聞記者になる。
スペイン内乱取材中にベネット社長からリビングストン博士捜索隊を結成し探し出すように要請される。

1871年にザンジバルへ。対岸のバガモヨで荷運びポーターと探検隊(兵士)を集めて星条旗を翻し182人の部隊で出発。
粗暴な現地人の族長に通行税や貢物をしないと通行させてもらえない。布地やビーズ、銅線(?)で取引をする。この交渉がとても困難。現地人が好戦的だったり約束を守らなかったりで遅々としてすすまない。泥水とわずかな食糧しか手に入らない。

そしてマラリア蚊と、ロバや馬をも倒す眠り病を媒介するツェツェバエの襲撃!この当時のマラリア治療法はキニーネ(効くか効かないかさだかでない)を飲む以外にない。多くの隊員を失う。

バガモヨを出発して226日目にタンガニーカ湖のウジジでリビングストン博士の忠実な現地人部下スシとチュマに出会う。そして博士との感動の対面。博士はすでに病で弱り切った体に白髪。これが世界的大スクープ記事となる。
スタンレーとリビングストンは尊敬しあう。師弟愛で結ばれる。一緒にタンガニーカ湖北部とルシゼ川を探検。

博士は帰国を拒む。一旦帰国してしまえばもう老齢の自分にはふたたびアフリカを探検するのは無理だ。
スタンレーは一旦ザンジバルへと戻る。そしてリビングストン博士の死。
スシとチュマの献身でリビングストンの遺体はロンドンまで運ばれる。国を挙げての葬儀となる。

博士の志を引き継いだスタンレーは、当時の地理学の最大の関心事であるナイル川源流がビクトリア湖であることを確かめるために1874年、224人の大探検隊でバガモヨを出発。
ビクトリア湖を周航しここがナイル川の最上流であることを確かめた。

これが世界史上でもかなり過酷な旅。熱病に倒れる隊員たち。毎日ポーターたちが死んでいく。1日平均2~3人の遺体を川に捨てていく。

タンガニーカ湖も周航。やがてコンゴ川で丸木舟のひとつが転覆し濁流に飲まれ十数人を一気に失う。英国人の同志ポコック兄弟とベイカーの全員死亡。
食人族現地人と交戦しまた死傷者。気づけば隊員が半減。恐ろしいまでの致死率。まるで「八甲田山死の彷徨」。いくら大金をもらったとしてもこんな探検もう嫌だ。隊員たちの士気が低下。食料も尽き全員が餓死寸前。

やがてヨーロッパ人の交易のまちエンボマに到着。あまりに多くの犠牲者を出しての大旅行を終える。

ベルギー国王レオポルド二世の要請で1879年に今度はコンゴ川を逆のルートで遡る。ベルギーの植民地コンゴ自由国建国について、ササッと触れてこの本は終わる。
子供向けの本なので、残酷で暗い側面はササッと流す。あまり触れない。

スタンレーは重要な記録と手紙を守るためとはいえ、荷を担いで必死に川を渡るポーターに銃を突き付けて「ぜったいに荷を守れ!」と脅すなど人間性も酷いw 不幸な子ども時代もあって人を信じることができなかった人らしい。後に英国議員にもなる帝国主義人。

英国人とアメリカ人によるアフリカ暗黒部探検がいかに大変なものだったかを初めて知る本だった。リビングストンとスタンレーがいなければ、世界のアフリカ理解はさらに遅れていた。このふたりが強引にこじ開けた。

当時の地名をグーグル地図で調べてみても今のどこなのかよくわからなかった。

2019年6月20日木曜日

村上春樹「羊をめぐる冒険」(1982)

村上春樹「羊をめぐる冒険」(1982)を講談社文庫版(2004)上下巻で読む。村上春樹を久しぶりに読む。タイトルから内容がまるで予測できない。

だが内容は予想通りのいつもの村上春樹。翻訳業から広告代理店へ手を広げ、それなりに成功した29歳「僕」の日々。酒、タバコ、音楽レコード、アメリカ文学、そしてセッ〇ス。ああ、やっぱりか!「やれやれ」と僕はつぶやいた。

主人公「僕」が耳の形がイイ女の子に自己紹介してるシーンで「エラリー・クイーンの犯人はすべて知ってる」と言ってる箇所で、「羊をめぐる冒険」というタイトルはエラリー・クイーンのパロディ?って気づいた。エラリーもいちおうアメリカ文学か。
村上春樹作品に特有のかみ合ってるようなかみ合わないようなオシャレ会話が延々と続く。

この本が面白いのはいちおう探偵ミステリーっぽい展開をしてるから。主人公は満洲帰り大物右翼の代理人から「羊」を探すように依頼される。それは脅しでもある。
友人の「鼠」が北海道から送り付けた手紙と写真と小説があり、写真にとある人物が反応した。

恋人と一緒に北海道を捜索する。いちいち設定と描写が細かい。北海道は70年代後半から離農と過疎で人口が流出し始めていたんだな。町の描写が寂れている。日本はずっと寂れている。

で、街から遠く離れた山の中に「鼠」の家を見つけてそこでひたすら待つ。本を読んだり料理をしたり掃除をしたり周囲を走ったりしてるうちに雪が降り始める。そろそろ雪に閉ざされる時期。
そしてそこに「羊男」がやってくる…。

なんじゃこりゃ?!というのが感想。読んでて退屈はしなかったけど、結局何がどうなってるのかよくわからずに終わる。これが村上春樹。ありがたい人には有難い一冊かもしれない。

続いて「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」を読み始めたのだが、開始数ページがエレベーターのどうでもいい話が続いてるのに閉口、結果、挫折。もう読まないかもしれないw

2019年6月19日水曜日

浜辺美波 x Aimer「花の唄」(2017)

浜辺美波 は2017年にもAimer「花の唄」MVに出演している。これも完全に美少女浜辺美波PVになってる。
こちらも三木孝浩監督による映像作品。「I beg you」ともども女子の好きな世界観MVっぽい。
教室、そして花。幻想的なMVになってる。
まるで映画のようなクオリティ。近年のMVはイッキに画質がよくなったように感じられる。撮影機材と編集機材の進化だ。
このMVの後の浜辺美波の活躍ぶりがすごい。映画にドラマにCMに、女優としてもっとも理想的な活躍。

2019年6月18日火曜日

浜辺美波 x Aimer「I beg you」(2019)

浜辺美波がAimerのMVに出演している。自分、Aimerという人をよく知らない。なのでこのMVも知らなかった。
もう知ってる人も少ないかと思うが、ジャンル的にSalyuに似てると思った。
「I beg you」というタイトルの曲だが、そのタイトルがまったく好きじゃない。
これ、三木孝浩カントクによる映像作品だ。少女の好きそうな世界観だ。
浜辺美波が美少女だ。この子は10代の若手女優で一番キメ顔が上手い。ビシッと完璧に適切な表情をする。若い女優でここまでできる人はめずらしい。
小柄で体型がとても華奢。それがこのMVでもよくわかる。
最新のMVは画質がすごく良い。いま2000年代中頃のMVを見るととても見劣りがする。

2019年6月17日月曜日

エラリー・クイーン「ニッポン樫鳥の謎」(1937)

エラリー・クイーン「ニッポン樫鳥の謎」を井上勇訳1961年創元推理文庫版で読む。
THE DOOR BETWEEN by Ellery Queen 1937
この作品は雑誌連載時に「The Japanese Fan Mystery」とされていたものが出版時に「The Door Between」と改められた。本来なら国名シリーズに加えられるべき1冊だったのだが今日ではエラリーオタには国名シリーズと認められていない。

たぶん日米関係が悪化していた時期。出版社がニッポンという名前を入れたくなかった?
でも日本で売るなら「日本と関係がありますよ」アピールするためにタイトルにニッポンを入れたい。

樫鳥って何だ?調べてみたらカケスのことらしい。密室で殺害された流行作家カーレン・リース(東京帝国大学教授の娘で日本から米国へ帰国)が鳥かごでカケスを飼っていたからこのタイトルにしたっぽい。

主人である流行作家カーレンに茶の湯をふるまわれるエラリー。癌研究の権威で著名な医学博士マクルア氏とカーレンは婚約中。さらにその茶の湯パーティーで博士の娘エヴァは青年医師スコットと知り合う。こちらもいい関係。後日婚約。
エラリーとマクルア博士も後日、欧州で学位授与や講演から戻る船で知り合い意気投合。

エヴァはカーレンにスコットとの婚約を報告しに行くのだが、その場で死体を発見。だが、その直後に現れた私立探偵テリーに犯人と間違えられる。だが、読者はテリーの方が怪しく見える。エヴァを脅して偉そうにしてるけど、オマエだって怪しいだろ!
あと、キヌメなんてヘンテコな名前の琉球出身ばあやも怪しい。

寝室から屋根裏部屋へ抜けるドアの閂が閉まっていたことで密室殺人になってしまっている。エヴァは最重要容疑者で大ピンチ。狂気のハサミの片割れに指紋も残っていて、血の付いたハンカチを燃やした跡も。

これ、事前につまらないんだろう。だから誰も話題にしないんだろうと思っていた。だが、自分としてはなくはないなと感じた。それほど退屈しなかった。味わいのあるラストになってる。

この作品は日本人のほうが読んでいて居心地が悪くなる。エラリーくんの「日本人は…」という知ったか知識が痛い。
それと、この作品のアイデアのいくつかは「エラリークイーンの事件簿1」収録の「消えた死体」で再利用されている。「ニッポン樫鳥」を読む人は「事件簿1」は読まなくていい。

2019年6月16日日曜日

エラリー・クイーン「レーン最後の事件」(1934)

エラリー・クイーン「レーン最後の事件」を読む。鮎川信夫訳1959年創元推理文庫版で読む。
DRURY LANE'S LAST CASE by Ellery Queen 1934
これがX、Y、Z、と続いたドルリー・レーン探偵シリーズの最後。12歳で初めて「Xの悲劇」を読んでから始まった老俳優探偵ドルリー・レーンのシリーズもこれでようやく終えることができる。

サム元警部とペーシェンス嬢の探偵社に現れた七色の髭を持つ珍妙な男、詮索せずにこの封筒をあずかってくれという依頼。困惑しながらも1000ドルと一緒に封筒をその場で受け取る。
そして今度はバスの運転手から、失踪して行方不明の友人(博物館の警備員)を捜す依頼を受ける。

こいつが戦前のアメリカ警察そのもの。すでに警察を辞めているのに警部を名乗って取り調べ。乱暴で強引。
サム警部は老探偵ドルリー・レーンを頼る。シェイクスピアに関連する博物館だから頼んでいいよね?

博物館を調べてみるとシェイクスピア初版本が偽物とすり替えられいた!だが、すり替えられていた版は存在の知られていないさらにレアな一冊だった!

しばらくすると盗まれた初版が送り返されて来た。本の修理費用と一緒に。表紙が一部切り割いて中から何か紙片のようなものを取り出したのでは?
捜査の過程でエールズ博士なる謎の人物も浮上。さらに、新館長の身元も怪しい。

これ、なんの話題にもならない本なのでつまらないだろうと思っていた。だが、途中までは面白いかも…と思った。

ドルリー・レーンが何もしてない。すっかり老け込んでしまった。その一方でペーシェンスの活躍。

やっぱり途中からまたつまらなかった。何がどうなってるのかさっぱりわからない。すごくイライラする。
家に何人いた?とか、双子のどっちがどっち?だとか、読者を置き去り。
ページの残りが少なくなってくると、次から次へと、実はこうでしたという事実が出てくる。真犯人を当てるなんて無理!w

真相には驚かされた。こういうパターンか!?確かに衝撃の結末。
ペーシェンスの傷心から、自分はてっきり被害者を殺したのはアイツか?と思っていた。
ドルリー・レーン老人の耳が聴こえないという第1作からの設定はこのラストを見越してのものだった?!

だがそれ以外はやっぱりダメなほうのEQだった。正直それほどの完成度高く感じないし面白くもない。俺は「レーン4部作を読んだ」と言いたいがために読み通した感じ。

「Xの悲劇」に始まった長い旅を自分も終えた。すべてネタバレなく何も知らない状態で読めたことも良かった。

2019年6月15日土曜日

長澤まさみ「シネマガールズ Vol.2」隠し砦の三悪人特集

長澤まさみが表紙の「シネマガールズ Vol.2」隠し砦の三悪人特集 を手に入れた。
これ、発売時に買ったものがあるはずなのだが、そこに100円で売られていたので2冊目としてキープ。もう1年以上前のことだが。

11年前の長澤まさみグラビア&独白17ページの大特集。まさみは昔からこういった映画雑誌やムック本でたまに特集が組まれるような、誰もが名前を知ってる人気女優だった。

寒い時期の外ロケ、男ばかりの現場での苦労などを語る。
黒澤明オリジナルを観たとき「雪姫のアイメイクが濃くてびっくりした」とも語る。「眼力が勝負かなと」
以前の少女まさみは舌足らずで活舌が悪いことに悩んでいた。ドラマでもふひゃふひゃ喋っていたのだが、この「隠し砦」で監督から「強く!」と指導され、その発声方法が今日のダー子にまで至っている。(その間に本谷舞台、三谷舞台もあった)

以前は古書店でまさみ雑誌は容易に発掘できたのだが、ここ1年まさみ雑誌が不漁。自分はまさみ人気をBOでも感じ取ってる。

PS. 2008年にまさみが自身がパーソナリティーを務めたラジオ番組「タイトル未定(仮)」で募集したあだ名「がっさーわ」だが…
もし実際にまさみを「がっさーわ!」と呼ぶとどうなるか?関心ある人のために、「隠し砦の三悪人」舞台挨拶で観客から呼びかけられたときのまさみの反応をUPしてみた。
(バックで流れる楽曲の関係で再生速度を7%UP)

2019年6月14日金曜日

天安門事件

NHKスペシャル「天安門事件 運命を決めた50日」は多くの反響(反共?)を呼んだようだ。

天安門事件は日々発展をとげる中国においては今も完全にタブー。日本には多くの中国人留学生がいるのだが、彼らの多くは天安門事件をほとんど知らない。教育の現場で教えてないし、事件について書かれた本もない。
自分、高校世界史で「血の日曜日事件」「サンバルテルミの虐殺」とか、名前にワクワクするタイプw 今、天安門事件もそんな感じ。
今年は事件からまる30年。NHKがまたしてもがんばった。すばらしい番組だ。こんなふうに機密文書や当時の映像をわかりやすく編集した番組が、今までよく知らなかった事件を理解するうえで一番ためになる。

番組スタッフは天安門で北京の人々にマイクを向ける。「はあ?知らない」と芝居がかって不快げに答える女や中年男性がとても醜怪。無知は醜いというメッセージか?人選に悪意があるw
今後NHKは中国で取材を妨害されたりしないのか?大丈夫か?そうであってもこれぐらいの覚悟があってのニュースメディア。
事件は国民的に人気のあった胡耀邦総書記の遺影に始まる。多くの学生が献花に訪れた。ここまでは共産党幹部の想定内。
だが、日に日に民主化を求める学生デモへと発展。天安門広場は100万群衆で埋め尽くされる。
後継者とみられた改革派趙紫陽が保守派李鵬と改革路線をめぐって対立。最高指導者鄧小平が李鵬を支持したため趙紫陽は失脚。
そのへんのやり取りを李鵬は書き記していた。党幹部の会議で「学生たちの民主化要求デモは反革命反動」という人民日報社説が支持された段階で趙は失脚。と同時に中国の民主化は潰えた。政権内部の権力闘争はときに多くの犠牲を生む。
1989年5月20日戒厳令発令。そして運命の6月4日、人民解放軍は武器を持たない平和裏にデモを続ける群衆へ発砲開始。
在北京英国大使館と英国外務省は人民解放軍が北京に迫る様子を日々把握していた。死者は1万人と機密資料に記載。
共産党内部からリークされた情報で鄧小平は「200人死んで党が20年安泰ならそれでええやん?」と発言したらしい。すばらしいパワーワードを発掘したものだw
党と国を保つためには市民の命は二の次という恐ろしい政権トップ、それが鄧小平。
社会主義中国の資本主義経済発展はこいつの政策。「富める者から経済力をつけて順次発展させてくしかないよね?」「そのために共産党が強い指導力を発揮していくしかないよね?w」

今現在の中国中間層は経済発展というエサをもらえてるから何も言わないという暗黙の了解がある。だが、経済発展が隅々まで行き渡る前に格差があるままに止まったとしたら?おそらく流血のハードランディングが待っている。
アメリカのブッシュ(父)大統領の鄧小平にあてた手紙が酷いw 
「共同宣言で中国を厳しく非難する文言はアメリカと日本で消したったわw」「議会はうるさく言うけどわたくしめは大ごとにならないようがんばらせていただきま〜す♥」まるで中国の走狗。

たとえ人権蹂躙国家であっても市場と金を持った国はお客様。
人権にうるさい欧州各国は中国をヤバいやつだと認識したけど、日本も早々に天皇訪中などで国際社会復帰に後方支援。すべてお金のため。
欧米では中国に中間層が経済発展すれば市民が共産党独裁にモノを言うようになって民主化するだろうと呑気に思ってたらしい。
欧州の上流階級の人々は後に北京オリンピックでも同じ過ちを犯す。結局いまだに中国が民主化する気配がない。ウイグルやチベットでの人権蹂躙は今も続いてる。そして今、香港市民の危機感。

「天安門事件なんてなかった」と中国政府が言ってるうちは「南京事件で30万人殺された」なんて主張に国際社会は耳を傾けないだろうと思う。

2019年6月13日木曜日

応仁の乱

日本史上最長の内乱「応仁の乱」については以前から関心を持っているのだが、なかなか読みたいと思うような小説とか見当たらない。

そもそも歴史の先生もうまく説明できないようだし、登場人物たちの行動が共感を得ずらい面があってドラマにするのも難しい。

しかたない。それではマンガによる解説本を読む。2017年夏に宝島社から出た「マンガ応仁の乱」小和田哲男監修という一冊を読む。

「応仁の乱」をざっくり説明すると、応仁元年(1467年)から文明9年(1477年)まで11年続いた内乱。
室町幕府ナンバー2の管領家である畠山氏、斯波氏の家督争に、細川勝元と山名宗全が勢力争いから加担。将軍足利義政の後継者が弟の義視か?日野富子の産んだ義尚か?などの要素もからんで戦火が京都から全国に広がった。

あまりに登場人物が多いし、局面ごとに誰と誰が戦ってるのかもよくわからない。当事者たちもよくわかってない。厭戦気分の孫子の代でなんとなく和睦して終わる。

 序章:一休宗純
第一章:足利義政
第二章:足利義視
第三章:日野富子
第四章:畠山義就
第五章:細川勝元
第六章:山名宗全
第七章:伊勢貞親
第八章:大内政弘
第九章:土岐成頼
第十章:朝倉孝景

それぞれを主人公にしたマンガで、多面的に応仁の乱を描く。なんと、それぞれで漫画家が違う。何度も登場する共通の人物たちの顔が違う。むしろそれが良い。そして教科書的な解説文。

繰り返し反復して読むことで誰が重要なキーパースンかわかってくる。
自分にとってこの本が最初の「応仁の乱」入門書になった。ちなみに第十章のマンガ執筆者の名前が内田有紀(女優と同姓同名)。

2019年6月12日水曜日

浜辺美波「大根侍」(2019)

今回の「世にも奇妙な物語」の最大の注目は浜辺美波が主演した「大根侍」だった。
だが…、これはクオリティ高くもないし人に教えたくなるような話でもなかった。よくある不条理回。

憧れのセンパイにぶり大根を作りたいと夢見る夢子が浜辺。買い物帰りに大根がすれ違った小手の大根と触れた…というだけで大根で斬りつけられる。まるで通り魔。
「じゃ、決闘な」「逃げたらオマエのセンパイを斬る」。メチャメチャな言いがかり。
でもって大根で斬るために特訓。バカバカしいw よくこんな企画で若手スター女優浜辺美波で1本撮ろうと思ったな。こういうのは内村コントでやれ。

コンフィデンスマンJPの五十嵐役で注目度の増してる小手にしてもこれでは役不足。
浜辺の顔芸には感心する。10代でこれほど顔芸ができる女優はそういない。

だが、最近はまるで拒食症?ってぐらいに痩せていて心配。腕の細さは危険なレベルの痩せ方。顔は今現在はまだ可愛らしいが、これ以上痩せると人気に影響が出るかもしれない。

2019年6月11日火曜日

横溝正史「七つの仮面」(昭和31年)

横溝正史「七つの仮面」(昭和54年 角川文庫)を読む。7本の短編を収録。すべて昭和30年代に発表された金田一耕助探偵もの。これが初の単行本化。すべて初めて読む作品。では順番に読んでいく。

「七つの仮面」(講談倶楽部 昭和31年8月)
聖処女とその信奉者である醜い女。餓狼のごとき男たちの欲望に弄ばれ転落…という女の独白形式。だが真相は…という話。秘密を嗅ぎつけた金田一さんが不気味。

「猫館」(推理ストーリー 昭和38年8月)
日暮里駅から坂を上った山の途中にある元写真館で、女占い師と猫、同居する婆や、内弟子の凄惨な死体が次々と発見され…。

「雌蛭」(別冊週刊大衆 昭和30年8月)
女からの匿名の電話によって渋谷区H町の高級アパートの一室にハンドバッグを取りに行く金田一さん。ズボンにアロハシャツ、ハンチング帽にべっ甲メガネという変装w そして顔を塩酸で焼かれた男女の死体を発見。

古典的な被害者と加害者の入れ替わり。悪女のたくらみの露呈。
被害者の男が元薬剤師で流行作家(サディスト)って、横溝先生がモデルじゃん!
前科者ハンサムバーテン多門六平太という人物が登場する。これは金田一ものに登場する多門修と同一人物だろうと思うけど、なんでそんな名前?

「日時計の中の女」(別冊週刊漫画タイムス 昭和37年8月21日)
その屋敷を買った流行作家の妻はノイローゼ?前所有者がサディズム変態画家で妻を殺して庭に埋めて自身も交通事故死?
最後はなぜか関係者討論という形式。なんで?って明確には答えない。それが戦後民主主義。

「猟奇の始末書」(推理ストーリー 昭和37年8月)
金田一さんの旧制中学時代のセンパイの画家の別荘での事件。いたずらでボウガンで矢を崖に向かって射たらその付近で胸に矢の刺さった死体が発見される。
これは20分ほどのドラマのあらすじという感じ。それほど完成度の高いものでもない。金田一さんが水着姿だと?

「蝙蝠男」(推理ストーリー 昭和39年5月)
大学受験勉強中の女子高生が、向かいにあるアパートの一室内に住む若い女性が複数の男を部屋に引き入れての情事を目撃していた。そして冬の真夜中、蝙蝠のような男の影が女を短刀で殺す場面を目撃。

「薔薇の別荘」(時の窓 昭和33年6~9月)
親族一同と弁護士、そして金田一探偵を北鎌倉の別荘へ集めた戦後派の女傑・マダム鶴子にはある企みがあったらしいのだが、客人たちの前に姿を現さず部屋で死体となっていた。
マダムの右腕のごとく勤めていた美枝子は、警察と弁護士から知らないうちにマダムの養女になっていたことを知らされ容疑者にされる。

とても古典的なアリバイ作り。これは10代の読者でも早々に見破るかと。登場人物のキャラクター像はいかにも横溝正史らしい。

すべて金田一探偵が急転直下サクッと事件を解決。ページをめくるとすでに事件が解決というパターンが多い。物足りなく感じる読者もいるかもしれない。短編で金田一ものを読みたい人向け。

2019年6月10日月曜日

黒島結菜「さかさま少女のためのピアノソナタ」(2019)

黒島結菜が6月8日放送の世にも奇妙な物語「さかさま少女のためのピアノソナタ」に登場した。
主演はジャ〇ーズの玉森(よくしらない)らしい。音大ピアノ科学生を演じてる。
玉森が才能をうらやむピアノ才女が黒島結菜。黒髪と瞳の色素が強い。眉毛が濃い。結果、とても美しい。
ちなみに、玉森がコンクールで弾いていた曲はラフマニノフ:ピアノソナタ第2番変ロ短調から第1楽章Allegro agitato。かなりの難曲。結果、黒島に敗れピアノに挫折。

でもって玉森がたまたま古い楽譜を発見。それは呪われた楽曲だった。
演奏を始めると時間が止まる。途中で間違うと手に大怪我を負う。弾いてみた友人は両手が血だらけ。やだこわい。
黒島は海外名門音大オーディションへ。このとき弾いた曲はリスト:超絶技巧練習曲集から第4曲「マゼッパ」。こちらも難曲。
黒島も挫折し飛び降り自殺。ピアノ英才教育スパルタ指導の結果、多くのピアノ学生がこうなる。
ちょうどそのとき玉森が問題の曲を演奏開始。時間が止まる。
黒島は逆さまに落下する途中で時間が止まるのだが、玉森と心で会話。
会話しながらピアノを絶対に間違えないように弾かないといけない。間違えれば手を失う。
この会話シーンが単調。もっと画を動かしてよかったのではと思った。
自分はポール・デルヴォーの絵画のように感じた。無音という恐怖にも似た緊張感。
このシーンの黒島、違和感があるものの美しい。自分としては10代のころのまさみに似ているように感じる。
たぶん実際には逆さになっていない。自由落下なので無重力のはずだがそうもなってない。

主人公の機転で「ああ、助かった」と思いきや、しばらく意味を考えないといけない謎のラスト。説明があってもよかった。
これ、北山猛邦「千年図書館」から採られたものらしい。