2019年6月24日月曜日

アガサ・クリスティー「ゼロ時間へ」(1944)

アガサ・クリスティー「ゼロ時間へ」を田村隆一訳1976年ハヤカワ・ミステリ文庫版で読む。
TOWARDS ZERO by Agatha Christie 1944
冒頭で司法関係者の老人たちが話し合い。その中でもとくに尊敬を集めているトリーヴス氏は最近の推理小説を批判。殺人は終局であるべき!ゼロ時間へ収束していくべき!

そして自殺に失敗した男と看護婦の会話、女学校内での窃盗事件で罪を認めた娘の件で呼び出された警視、そんな場面が断片的に続く。

しかし、この本の主役たちはウィンブルドンにも出場するほどのハンサムスポーツマン・ネヴィルとその前妻オードリイと現妻ケイ(美人)。遅めの夏のバカンスでガルスポイントに集まった男女。

何かが起こる…という緊張と不安で異様な雰囲気。やがて心臓の弱かったトリーヴス氏が自然死?前夜にエレベーターが故障で停止中という立て札(悪戯と判明)を見て無理して階段を登ったせい?
そして病弱女主人トレシリアン未亡人も部屋で頭を叩き割られて死んでいる…。

たまたまソルトクリークに滞在していたバトル警視は捜査を開始。「エルキュール・ポアロなら…」という考えが頭をよぎるバトルだが、この本にはポアロは出てこない。
このバトル警視が切れ者。そして自殺未遂男マクハーター氏の意外な登場。

クリスティ女史お得意のハンサム男ひとりに女が二人という状況。「ナイルに死す」のように前妻と現妻の争いに見えて実は…という、「こいつを殺したい」というその時「ゼロ時間」へ向かっていく。意外なラスト。そしてやっぱり爽やか恋愛小説。

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