2023年2月12日日曜日

イーデン・フィルポッツ「赤毛のレドメイン家」(1922)

イーデン・フィルポッツ「赤毛のレドメイン家」(1922)武藤崇恵新訳の2019年創元推理文庫版で読む。
THE RED REDMAYNES by Eden Phillpotts 1922
この本は江戸川乱歩が絶賛したことで早くから日本でも知られていた。ちなみにフィルポッツはアガサ・クリスティーの隣家に住んでいて、十代のアガサにミステリー小説の助言をした人としても知られている。
実はこの本(宇野利泰の旧訳版)を高1ぐらいのとき買って持っていた。読まないうちに何度かの引っ越しの後に見なくなっていた。時空を超えてようやく読む機会を得た。

イーデン・フィルポッツ(1892-1960)は多くの作品を残したのだが欧米では忘れ去られた存在らしい。なのに日本で最近になって新訳がでたことは驚き。発表から100年経って読む。

この物語の主人公はスコットランドヤードの刑事ブレンドン。35歳の若さで出世し貯金も貯まって田舎で鱒釣り休暇中。ずっとこの若い刑事主観。この人がすごく思慮分別がある紳士。謙虚と自制心を英国人そのもの。

この刑事が絶世の美女とすれ違う。この美女がこの物語のヒロインであるジェニー・ペンディーン。
祖父がオーストラリアで財を成したレドメイン家。長男ヘンリー夫妻は海難事故ですでに死亡。その一人娘がジェニー。25歳なのに18歳に見えるという美女。

ジェニーの夫マイケル・ペンディーン(貿易商)は体が弱く、大戦中の兵役の件でジェニーの叔父ロバート・レドメイン(元大尉)と険悪。ジェニーとマイケルの結婚にも反対。
しかし仲直りをし一緒に出掛けていったのだが、バンガローが血の海。周辺の目撃証言によれば、ロバートは大きな麻袋をバイクに乗せて出かけて行きどこかに遺棄し、いちどアパートに戻ってから逃亡したらしい。

休暇中の刑事ブレンドンにジェニーから助けを求める手紙。この若い刑事はジェニーに恋してしまう。休暇中だけど地元警察と協力して捜査開始。
英国警察網の全力捜査によってもマイケルの死体が見つからないし、ロバートの足取りがまったくつかめない。
ロバートの婚約者とその両親によれば、ロバートは戦争神経症?さらにもとから短気でカッとなりやすい性格。

ジェニーはレドメイン家の3男ペンディゴー(貨物船の元船長)の家で過ごす。ドリアというイタリア人青年をボート操縦士に雇っている。ドリアが超ハンサムでブレンドンはジェニーを取られるんじゃないかと不安。

ロバートが逃亡したまま半年。だが突然ペンディゴーの家の周囲でロバートが目撃される。逃亡生活によって体が弱っているようだ。海岸の崖の窪みに隠れているようだ。
ロバートとペンディゴーの2人だけの会談がセッティングされるのだが、またしてもロバートはペンディゴーを殺害し逃亡?そしてまたしても死体もロバートも消え失せてる。

そして舞台はイタリア。陽光のコモ湖。レドメイン家最年長の古書蒐集家アルバートも危ない!?

なぜか中盤からブレンドンに代わって、アルバートの親友で高名なアメリカ人の元刑事ピーター・ギャンズが探偵として登場。ブレンドンに助言していく。ギャンズのほうが名探偵に相当。

ギャンズが登場してから探偵としてブレンドンへの講釈会話が長い。犯人をはめるための心理戦が始まる。

なにせ100年前の古典的作品。自分としては登場人物がわりと少ないので犯人が絞り込めて早々にわかってしまい、長く感じた。どう説明してもネタバレになってしまうのであまり詳しく話せない。
この作者は単純なミステリーに終わりたくなくて文学的にしたかったようだ。

ラストは犯人の独白手記が長々と続く。事件の背後であったことを詳細に説明。
江戸川乱歩が「万華鏡が、三回転するかのごとき」と激賞。昔から日本では評価の高い作品だが、それは言い過ぎのような気もする。実際年々評価を下げ、今ではほとんどフィルポッツは忘れられている。

2023年2月11日土曜日

加藤あい「世界SL紀行 イタリア サルデニア島」(2001)

加藤あいがイタリア・サルデニア島を旅した2001年放送の紀行番組「煙はるかに 世界SL紀行 イタリア サルデニア島 ゴイトといた三日間」が昨年10月に再放送されたので録画して見た。これ、10年ほど前にも再放送されたらしい。

実は自分、2001年の本放送時にVHSビデオテープに録画したものを当時5回か6回見ている。だがそれ以後まったく見てなかった。なので本当になつかしい。
たぶん実家の押し入れにまだある。当時は加藤あいはCMでとてもよく見かけたアイドル女優タレントだった。ドコモiモード、C1000タケダ、などなど、大手企業のCMばかりだった。

加藤あいは1982年12月12日生まれ。たしか、深田恭子と堀越で同級生の仲良し。深田がまず売れて、その後しばらくして加藤が売れた。自分が覚えているのは「池袋ウェストゲートパーク」。そのころ自分も加藤あいが好きだった。たぶん写真集が実家の押し入れにあるはず。

だがその後はまったく覚えていない。加藤あいの代表作というと「海猿」らしいのだが、自分はそのころにはもうまったく加藤あいを見ていない。実はあんまりタイプでもなかった。
もう15年以上はまったく見てないし気にもしてないし追いかけてもいなかった。昔ちょっと好きだった人の近況とか追うのはちょっと怖い。なので、本当に久しぶりに加藤あいを見ている。これを久しぶりに見た理由。それはこの番組のクオリティがとても高かったと記憶してるから。
イタリア・ミラノへ卒業旅行でやってきたという加藤あい。たぶん当時18歳ぐらい。
ホテルのベッドで寝ていると、GOITOという1893年ナポリで製作された蒸気機関車が語りかけてくる夢を見る…というてい。紀行番組でありながら台本のあるドラマでもある。ナレーションも加藤が担当。

チヴィタヴェッキアからフェリーでティレニア海を渡りサルデニア島カリアリへ。当時に加藤あいは、カリアリを見たとき「街が死んでると思った」と何かで感想を語ってたと記憶している。
とりあえずカリアリで鉄道博物館を訪ねてみる。古い蒸気機関車車両を見ていると、かつてGOITOに乗っていた伝説の機関士コンスタンティーノから話しかけられる。ここで元機関士のインタビュー映像。

ゴイトは108歳(放送当時)なのにまだ現役。マンダスからアルバタックスの観光用路線(冬場の特別運行)を今も元気に走ってるとのこと。これが標高1000mを越える山岳ルート。160kmほどの路線。ディーゼルに置き換わる1960年代まで蒸気機関車が主力だった。
マンダスまで線路を走る車(70年前の骨とう品)で69kmを北へ移動。鉄道を走る自動車に加藤あいは「わあ!」と声をあげる。 
マンダス駅のバールでカフェ・マッキャートを飲みながら駅員に聞いてみる。だがGOITOは今日は運行していない。車庫にあるGOITOと対面。二人の機関士がまるでジブリアニメに出てくるような感じ。なにせ100年以上変わらない同じ技術。

マンダスの隣町サンスペラーテを散策。たぶん日本人はほとんど訪れない街。ここでもやっぱりおじさんに話しかけられる。この人は地元の芸術家。この人からサルデニアの歴史と風土を学ぶ。
翌日、マンダス駅から2日間の鉄道旅行へ出発。夏と違って冬は地元の愛好家たちが数名乗る程度。乗客たちとチャオと笑顔で挨拶。
そして美しいサルデニアの風景の中をSLは走る。加藤あいを乗せて。

最初の停車駅オッローリ駅に到着。機関士は蒸気圧を確認し機械部に油を刺す。ここから先は勾配がきつくなる。
蒸気機関車に乗るのが初めてだという加藤。あいにくの雨で寒い車内。しっかりコートにマフラー。途中で汽車に驚く羊の群れ。
そしてヴィラノヴァトゥーロ駅で給水。眺めの良い絶壁で途中停車。
峡谷を抜け谷合にひっそりたたずむベッティーリ駅に到着。ここで乗客は降りて農家が経営する食堂へ。ここで暮す女性駅長のインタビュー。

山岳路線の最高地点の街セウイに到着。ここで宿に泊まる。バールの2階にある一泊2000円ほどの木賃宿。共同トイレに共同シャワー。
翌日は快晴。ゴイトはアルバタックスへ下っていく。機関車の調子が悪いらしいので補給小屋で緊急停車。鉛管のススを落とす。質の悪い古い石炭を使用したことが原因だった。機関士の経験とカンが蒸気機関車を走らせている。
さらに点検のために機関士が常駐するガイロ駅で一時停車。
何もない辺鄙なヴィラグランデ駅で休憩。最初はぜんぜん話さなかった地元イタリア人たちと会話帳を開いてコミュニケーション。
最後の難所、サルデニアの最高峰の山すそ(スパイラル式登坂ルート)を最大限パワーで登る。そしてようやく東海岸の海が見えて来た。そしてアルバタックスに到着。歓迎の出迎えを受ける。
これ、ほぼ20年ぶりぐらいで見たけど、やはりとても良かった。クオリティが高くて、時間をたっぷり使って雰囲気が良くて、なおかつ日本人がほとんどなじみのないサルデニア鉄道で、しかも100年もの蒸気機関車という貴重なものが標高1000mの風光明媚な山岳ルートを通るという、鉄オタでなくても興味を引く要素だらけ。

かつての自分も欧州の辺境田舎駅とか、大まかな計画だけでホテルに飛び込んで空き部屋があるかと聞いて泊まり歩く旅行をしたことがある。けど、もうそういうのはいいw もっと安心安全な楽な旅がいい。てか、もう旅もそこそこでいい。人生自体が旅なわけだし。
加藤あいは今何をしてるんだろうか?たぶん結婚して子育てしてる?
この番組から22年も経ってる。幻滅したくないのであまり調べる気も起こらない。ただ元気で幸せでいてくれることを願う。

2023年2月10日金曜日

塩野七生「チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷」(1970)

塩野七生「チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷」(1970)を新潮文庫(平成16年46刷)で読む。
110円だけ握りしめてBOでじっくり選んで連れ帰った一冊。塩野七生を読むのはこれが初めて。この作家のほぼデビュー作で毎日出版文化賞を受賞した代表作。タイトルがとてもかっこいい。

チェーザレ・ボルジア(1475-1507)を自分はなんとなく名前しか知らなかった。これも世界史のお勉強のために読む。このマキャヴェッリ「君主論」のモデルとなった人物を、おそらく日本人の多くがこの本を読んだことで知ったに違いない。

シエナのカンポ広場で駿馬を競わせる大会に颯爽と現れるピサ大学に通うスペインの血をひく青年がチェーザレ・ボルジア。父は神の代理人ローマ法王アレクサンドル6世。本来カトリックの聖職者に子はいないはずだがそれはタテマエ。なんとでもなる。

17歳なのにバレンシア大司教。そして、父を補佐するローマで緋の衣を着る枢機卿に選ばれる。チェーザレは「若者が好みそうなあらゆることに興味を持ったが、神学をはじめとする学問だけはしなかった。」という点だけは好感をもったけどw、ようは父親の権勢によって偉くなった青年。

この時代のイタリアは教皇領、ナポリ、トスカーナ、ベネチア、ミラノ、フェラーラなどに別れていた。ミラノ公国はルドヴィーコ・スフォルツァ。フィレンツェではメディチ家内紛、サヴォナローラの時代。そしてフランス王シャルル8世によるナポリ王位を要求するイタリア戦争。

あれ?シャルル8世というとアンボワーズ城の梁に頭をぶつけて死んだ王という印象が強かったので、てっきり背が高いのかと思っていた。逆だった。背が低く貧相だったらしい。イタリアの価値観からすると王になれるような威厳がないらしい。騎士道と十字軍に憧れる困ったフランス国王。しかも強欲。

この本、てっきり時代小説みたいなものを期待していたのだが、ほぼ当時の歴史家と資料から視点。なので司馬遼太郎のような盛った面白くかっこいい会話台詞などが皆無。ずっと客観的な事実の列挙。

なぜチェーザレとその部下、傭兵からなる軍が、エミーリアロマーニャやトスカーナの小豪族、小僭主たちを次々と刈り取っていけたのか?ナポリのアラゴン王家、ミラノのスフォルツァ家を追い落とすことができたのか?そのへんはよくわからない。
織田信長だってのし上がる過程には信玄や謙信といった難攻不落のライバルがいた。だがチェーザレはほぼすいすいと敵と領地を切り取る。

佐藤賢一「王妃の離婚」にも登場するフランス王ルイ12世がチェーザレの後ろ盾でもあったのだが、あまりに勢力が増すと煙たくもなってくる。そして父アレクサンドル6世が死去するとチェーザレの没落が始まる…。

自分がざっくり説明すると、父親の権威を借りて増長し、イタリアに「俺王国」を作ろうとした一代記。
チェーザレ・ボルジアという人に関心がある人は何か他の資料も読むことをオススメする。同時代にマキアヴェッリ、レオナルド・ダ・ヴィンチがいる。この本のボリュームと速度ではあまり頭に入ってこないまま終わった。

2023年2月9日木曜日

土屋太鳳「赤々煉恋」(2013)

土屋太鳳の主演作に「赤々煉恋」(せきせきれんれん)という映画もあるので見ておく。朱川湊人による短編ホラー小説集(創元推理文庫)のうちの1本を映画化したもの。
2013年12月21日に公開。監督は小中和哉。脚本は山野井彩心。配給と制作はアイエス・フィールド。

女子高生ヒロイン樹里(土屋太鳳)はまた月曜が来て気が重い。母親が秋本奈緒美さんだ。この女優を久しぶりに見た。
制服着て登校してるようで手ぶら。不登校か?近所の団地をぶらぶら。自分のお気に入りの場所に座ってるのだが、そんな場所にいれば誰もが怪訝な顔で見るだろ。

ああ、どうやらこのヒロインはすでに死んでしまっているようだ。幽霊なので誰も話しかけない。けど、自分になんとなく気づいてる人が吉田羊さんだ。
かつて自分が通った高校の教室にも行ってみる。だとすると学校は霊場なのかもしれない。幽霊は退屈なんだろうと思う。

で、ヒロインが自殺するに至った回想。ひきこもりの末にマンションで飛び降り。
生きてても死んでも人は孤独。かつての行動範囲をさ迷い歩くしかない。その感覚はリアル。

制服をコーラで汚されたクラスメートのミドリ(清水富美加)の身代わりで制服チェックをジャージでやりすごす。こんなゲシュタポみたいな教師がいるって80年代か90年代か。
高校1年のヒロインが好きだった潤也くんが吉沢亮。3人は屋上でランチする仲。
10年前だと吉沢亮はかなり子どもに見える。

樹里はミドリが潤也といつのまにか仲良くなってることに気づいて顔が曇る。ミドリから潤也へラブレターを渡されるように頼まれるのだが、明るくおどけて引き受ける。だがどうやら潤也にその気はないらしい。ミドリは涙。樹里はそんなミドリと一緒に泣く。そんな高校生によくある風景。

だが、樹里はひきこもるようになって不登校。あの明るかった少女になにが?なぜ自殺を?潤也もミドリも戸惑う。

幽霊樹里はなぜか自分以外の幽霊を見たことがない。だが怪物を目撃するようになっていた。それは心が弱った人間を自殺するように誘導する死神。樹里が虫男と呼ぶそれの声は故大杉漣さんだ。
こんな怪物が見えるのは自分で死を選んだ自分への罰?土屋太鳳の独白モノローグと街をさ迷い歩くシーンが続く。死はこんな無間地獄なのか。

樹里の母は大切な人を自殺で失った人たちの会に足を運ぶようになっていた。「自殺は殺人」「迷惑で愚か」「あの子を信じてたのに」という母の発言に幽霊樹里は反感。
「私のいちばんほしいもの、それは私に向けてくれる笑顔」だと悟る。死んでるのに。

樹里のことが唯一見えるリンゴちゃんが公園にやってくる。母親(有森也実)が負のオーラを出している。お金に困っている。子どもをひとり公園に置いて行ってしまう。
樹里はリンゴちゃんと一緒に楽しく遊ぶ。これは周囲の人が見てたらかなり異常に見えるかもしれない。なにしろ小さな子どもが見えない霊と話して遊んでるのだから。

買い物するからと子どもを置いていった母が手ぶらで帰ってきた。この母には虫男が取りついている。虫男は母娘に心中をするように導いてる。樹里は必死に引き留めようとするが実体がないので無力。
そこにベビーカーを押すミドリ(吉田羊)が通りかかる。ここで樹里から手紙を潤也に渡さなかったことが明かされる。吉田羊の役がなんのためにあるのかわからなかった。樹里の死後20年ぐらい経ってるってことか。

家では母親が一人で樹里の誕生日を祝ってる。なんと寂しい。こんなの大切な人を失ったことのある人は泣く。幽霊樹里も泣く。ここで母は樹里の声を聞いたような感じになる。「あなたを救えなかったママを許して…」「とってもさみしい」

翌朝、ミドリはマンションを見上げてつぶやく。「今日も樹里の夢を見た。あの頃、楽しかった」
これ、何かミステリーとホラー要素のある映画かな?と思ってた。まったくそうじゃなかった。自殺してしまったヒロインの後悔を映像化した非宗教的なしみじみ死生観映画。何が目的でこんな映画つくった?
若手アイドル女優の主演作としては主演女優をたくさん見れて良い作品。土屋がすっごく一人芝居を頑張ってる。女優鑑賞映像作品としては良い。なんかミュージックビデオみたいでもある。土屋太鳳が好きな人(そんな人をあまり見たことないけど)は一度見るべき。

主題歌はPay money To my Pain「Rain」

2023年2月8日水曜日

土屋太鳳「アルカナ」(2013)

土屋太鳳の主演作リストに「アルカナ」(2013 日活)という映画があるので見ておく。
土屋太鳳が今年1月1日に突然の結婚と妊娠を発表したので。おそらく、主演映画を見ることはもうないと思われるので。
監督脚本は山口義高。原作マンガがあるらしい。どんなストーリーなのかまったく予備知識がない。PG12。

マキ(土屋太鳳)は氏名・年齢・住所一切不明で記憶喪失。何か凄惨な事件に巻き込まれた?警察に保護され精神病院。霊が見える特殊能力者。

警視庁の村上刑事(中河内雅貴)は子どもを狙う爆弾魔を追いかけ全速力。なぜ銃で狙撃しない?って日本の警官は銃を携帯してないのか。
愉快犯爆弾魔を気持ちいいぐらいにボコボコに殴り倒してる。バディの刑事ともどもチンピラにしかみえない。言葉遣いもすごくチンピラ若者。
すごく凄惨な大量殺人事件が起こってる田舎町が不穏。
心臓を取り出された死体…という超凶悪事件を追う刑事ものホラーというジャンル。たぶんB級。

岸谷五朗刑事は心霊事件を扱う刑事部捜査共助2係。現場で煙たがられてる。自分の分身を見たと震える子どもからの相談に適当対応するのだが、直後に子どもは拉致。

村上は記憶喪失の少女土屋太鳳を大量殺人容疑で取調べ。かなり粗暴な口調。この少女が霊が見えるというのでビビる。少女は成仏できない霊魂と対話。
犯人を追いかけてるときにすら銃を抜かないのに取調室の土屋太鳳に自供させるため銃を向ける。なにしてんの?

土屋の霊視で死体が埋められているという現場にいくとイッちゃった犯人グループと鉢合わせ。土屋を人質に取られた上に銃撃戦。土屋は腕を撃たれるとか、なにやってんの?犯人が自爆とか、どう責任とんの?
上司から容疑者を外に連れ出したとどなられる。警察官だから粗暴なのか、粗暴だから警察官になるのか?

2係は捜査によりマキの両親にたどりつく。両親がすごく暗い。本当の名前はさつき。部屋が呪われたような部屋でビビる。土屋太鳳の写真だらけ。
マキとさつきは別の人間なの?ああ、本人とその分身がいるっていう話なのか。それは警察も混乱するだろう。

警察と化け物の戦いという怪獣映画。B級どころかインディーズな雰囲気だった。見ていてとてもわかりにくかった。これは何も話題にもなってなくても当然。面白さが感じられなかった。一体何と何が戦ってるんだ?

刑事たちが自分の昇進と左遷をすごく気にしてる。登場人物たちのその後がタイプ音と共に表示されるのとか、要る?って思った。なんだこりゃって思った。

土屋太鳳は女優キャリアの初期になぜこの仕事を受けた?土屋は後に「累」で一人二役を演じたのだが、今作が最初だった。無駄ではなかったかもしれない。
主題歌はRAM WIRE「むつのはな」

2023年2月7日火曜日

佐藤賢一「王妃の離婚」(1999)

佐藤賢一「王妃の離婚」(1999 集英社)を読む。この著者の小説を読むのは初めて。中世フランスの離婚裁判を題材にした娯楽小説。佐藤賢一の直木賞受賞作。
難しそうかな…と敬遠していたのだが、同じ作者による「ヴァロワ朝」という新書を読み、ヴァロワ朝の歴代フランス国王を頭に叩き込んだ状態で初めて読む。

先王シャルル8世(在位1470-1498)は男児がないままに急死。予期せぬフランス国王の座がオルレアン公ルイに棚ぼたで回ってきた。新国王ルイ12世が最初にした事業が王妃との離婚だった。

国王が時のローマ教皇アレクサンデル6世に働きかけた結果、アンボワーズで王妃ジャンヌ・ド・フランスを被告とする離婚裁判が始まる。とはいっても裁判に関わる判事も検察官も国王の手飼いで圧倒的に王妃に不利。
離婚と言ってもカトリックの教義でそれはできない。婚姻が無効であったことを確認する裁判。

ジャンヌ王妃(ルイ11世の娘で先王シャルル8世の姉)は脚が不自由で醜女と噂された。20年連れ添って子がなく、ルイ12世としては離婚したい。そこにはアンヌ・ド・ブルターニュと結婚したい(ブルターニュ公領が手に入るという)野心。

ルイ・ドルレアンとジャンヌとの結婚(妻は生まれながらに王女なので格上)はルイ11世から強要されたものだし、ルイ11世は洗礼親なので近親婚に当たるし、ジャンヌとは夫婦の関係がなかったので、そもそも結婚は成立してないし!という言い訳のような理由。

かつてカルチェラタンの伝説とも呼ばれたパリ大学法学部のフランソワ・ベトゥーラスはカノン法と婚姻問題を専攻する托鉢修道士で学士。本小説の主人公。
聖職者でありながら、ベリンダ(スコットランド隊長オーエン・オブ・カニンガムの姉でフランソワはかつてラテン語の家庭教師をしていた。)は内縁の妻。
それが今や暴君ルイ11世にパリを追われナント司教座法廷常設弁護士として細々と生きる47歳。中世ヨーロッパではもう人生の残りも少ない晩年にさしかかってる。

フランソワはトゥールで王妃離婚裁判を傍聴。自分を追いやった暴君ルイ11世の娘ジャンヌの不幸はいい気味。
だがしかし、ジャンヌよりも権力をかさに曲がったことを押し通す新国王も許せない。ジャンヌの弁護を担当。いきなり処女検査(最後の決闘裁判という映画でも見た)の件で痛烈な反撃を開始。王妃を擁護する世論もあってフランソワはヒーロー視される。

国王夫妻の性生活を掘り返すので内容がえげつない。フランソワ弁護士の論点がえげつない。この時代は聖書が家族法で婚姻法の唯一のよりどころ。
フランソワはルイとジャンヌの婚姻が成立していたことを示すために、コシェ医師の証人喚問を要請。現在の居場所はよくわからないけど、たぶんカルチェラタンにいるのでは?と弁護士仲間とパリへ向かう。途中で王の放った刺客に命を狙われる。
コシェを大捜索するも発見できないまま裁判の行われるアンボワーズに戻らないといけないタイムリミット。だがしかし!このへんは娯楽時代小説。

フランス国王ルイ12世が出廷してから裁判は非公開となる。このすらっと背が高く人好きのするハンサム優男がフランソワに被害者妄想泣き落とし。こんな空虚な男がフランス国王とは…。

有力者たちを使ってフランソワを懐柔してこようとする。田舎弁護士からローマの高いポストまで用意。引き抜こうとする。だがフランソワは断る。そしてさらなる刺客が!
果たして裁判はどうなるのか?王妃の運命は?!

自分は初めて佐藤賢一を読んだ。読む前はフランス史を知らないと難しいのかな?と思っていたのだが、まったくそんなことなかった。中年男の再生の物語。まるで武士の時代小説のよう。おそらく藤沢周平みたいな感じ?(読んだことないけど)

ラストも味わい深い。まだ読んでいないという人(男女の性愛について掘り下げてるので15歳ぐらいから)には強くオススメする。

2023年2月6日月曜日

佐藤賢一「ヴァロワ朝」(2014)

講談社現代新書2281「ヴァロワ朝 フランス王朝史2」佐藤賢一(2014)を読む。「カペー朝」読後に引き続き読む。

ヴァロワ伯フィリップが幸運王フィリップ6世(1328-1350)としてフランス王位を継ぐ。これをもってヴァロワ朝の王13人261年続く。

ヴァロワ伯は分家といってもほんの一代前に別れただけの新しい分家。ほとんど戦場に出なかった美男王フィリップ4世に代わって多くの武功を立てた弟ヴァロワ伯シャルルというフランス王家の実力者の子がフィリップ6世。
それはカペー朝2.0とでも呼ぶべき。ルイ10世から弟フィリップ5世への王位継承(ジャン1世を即位したとみなすなら甥から叔父)に変ったときのほうが事件。ヴァロワ朝に変ったといっても大した変化ではない。

イングランド王エドワード3世がフランス王位を要求。母イザベルはフィリップ4世の娘。
だがイザベルの子である以上は女系。フランスでは女子は王になれない。エドワード3世の要求は無理筋。アルトワ伯領相続問題とアキテーヌ公領没収によって英仏百年戦争開戦。
1340年スロイスの海戦、1346年クレシーの戦いでフランスは大敗。さらにペストの大流行と晩年は散々。

続く良王ジャン2世(1350-1364)はポワティエの戦いで黒太子エドワードの前にクレシーの二の舞。なんと王自身が捕虜。ブレティニィ・カレー条約でアキテーヌ公領、カレーと周辺を含む領土と国家予算の倍以上の賠償金を支払う羽目に。解放後に人質の王子ルイが逃走したことで自身がまたロンドンへ戻るという騎士道バカ。ロンドンで客死。ジャックリーの乱が起こったのもこの王の時代。

捕虜だった父ジャン2世の摂政王太子シャルルが賢王シャルル5世(1364-1380)。フランス王家始まって以来の秀才で頭脳明晰。(父を反面教師に?)
戦争はフランス史で一番の名将ベルトラン・デュ・ゲクランに任せて、王位継承ルールを定め、財政改革(税金の父とも呼ばれる)とパリ要塞化(バスティーユ要塞を作ったのもこの王)。常備軍を組織し中央集権化。フランス絶対王政への礎を築く。カスティーリャの内戦(英仏代理戦争)にも勝利。晩年には教会大分裂シスマ。

狂王シャルル6世(1380-1422)が即位。政務はブルゴーニュ公フィリップら叔父たちが行う。成人してブルターニュ遠征に向かう途中に発狂。舞踏会で仮装した貴族が事故って火だるまになるのを見てさらに悪化。
ブルゴーニュ公と反ブルゴーニュのアルマニャック派の内乱、さらにノルマンディーに上陸したイングランド王ヘンリー5世軍とのアザンクールの戦いで大敗。

パリ入城し実権を握ったブルゴーニュ公ジャンは王太子シャルルによって斬殺。ブルゴーニュはイングランドと同盟。気づいたらヘンリー5世は娘婿。国王死後はヘンリーがフランス王位につくことになっていた…。
だがヘンリーは急死。アルマニャック派のシャルル王太子がシャルル7世(1403-1461)として即位。
この王が百年戦争を終結させる。勝利王シャルルとなる。当時としては長生きで58歳まで生きる。

シャルルの子ルイ王太子は愛人にかまける父に反抗的。ついに父とたもとを分かちフランドルへ逃げブルゴーニュ公の保護下で父の死を待つ。そしてルイ11世(1461-1483)として即位。父の忠臣たちを軒並み追放。暴君で切れ者でエキセントリック。ブルゴーニュ公シャルルとの対立と戦い。ついにブルゴーニュを王領に追加。

2人の男児を夭折させ47歳でやっと授かった子がシャルル8世(1483-1498)。13歳で即位。ブルターニュ公女アンヌと結婚したことでブルターニュ公を兼ねる。これで国内に騒乱の心配がなくなった王はイタリアへ進軍。ナポリ王国を手に入れるはずが、アンボワーズ城の改築工事中に梁に頭をぶつけて死去。男児がいないためにヴァロワ朝直系が断絶。

シャルル5世曽孫のオルレアン公ルイがルイ12世(1498-1515)として即位。フランス史上最も遠縁の登板。シャルル8世よりも8歳年上の優等生新王。誰も思いがけない王位。誰も異議を唱えなかったのはシャルル5世の定めた王位継承ルールのおかげ。
ルイ11世の娘ジャンヌと結婚していたのだが、ローマ教皇アレクサンデル6世に働きかけシャルル8世王太后ブルターニュ女公アンヌと結婚するために離婚。(この離婚裁判の顛末を描いたのが佐藤賢一「王妃の離婚」。)
再びイタリアに介入するも失敗。男児がないままアンヌに先立たれ52歳で崩御。

シャルル5世の玄孫アングレーム伯フランソワがフランソワ1世(1515-1547)として即位。今回もルール通りで問題のない王位継承。ルイ12世王女クロードと結婚していてブルターニュ公でもあった。派手好きでルネサンス時代のフランス王。贅沢三昧で大増税。
フランス国王として神聖ローマ皇帝選挙にも初めて出馬。金の力で勝てると思っていた?19歳のスペイン王カルロス1世がカール5世に。以後、フランソワ1世とカール5世はライバル関係。捕虜になってしまったことも。

アンリ2世(1547-1559)は父親のせいで幼いときからスペインでの過酷な人質生活。父も怨むがカール5世も怨む。堅実な性格で慎重。メディチ家のカトリーヌ・ド・メディシスを王妃。
半世紀におよんだイタリア戦争はカトー・カンブレジ条約により終結。だが、騎馬槍試合での事故がもとで40歳で死亡。これはノストラダムスの予言的中?!

15歳のフランソワ2世(1559-1560)が即位。この王の王妃がスコットランド王ジェイムズ5世の娘メアリー・ステュアート。旧教と新教の対立が頂点。ギーズ公の専横。
フランソワは少年時代から耳鼻咽喉が弱く中耳炎から脳髄膜炎を発症。享年16。フランソワが早死にしたことでメアリーはスコットランドに帰らざるをえなくなる。メアリーの叔父ギーズ公は一夜で失脚。

弟のオルレアン公シャルル10歳がシャルル9世(1560-1574)として即位。ここから母カトリーヌ・ド・メディシスが政治の実権。フランスは宗教戦争。両宗派の宥和を図ってナバラ王アンリと王妹マルゴとの結婚式がノートルダムで行われ披露宴最終日にサン・バルテルミーの大虐殺。パリのプロテスタント(ユグノー)は皆殺し。粗暴な王は半狂乱のまま結核で死去。享年24。

ポーランド王になっていた弟アンジュー公アンリ23歳がアンリ3世(1574-1589)として即位。まだまだ新教徒勢力は強い。王は同性愛者疑惑?!
弟ナバラ王アンリ(ユグノー)が王位継承順位1位という事態にはパリ市民も反発し騒然。平和的解決を目指す王は修道士によって暗殺。
1589年、ナバラ王アンリ・ド・ブルボンがアンリ4世に即位することでヴァロワ朝が断絶。

ヴァロワ朝もずっと戦争の歴史。戦争が王の第一の仕事。百年戦争、ブルゴーニュ戦争、イタリア戦争。高校生の時はとても理解しきれないし覚えきれないと思っていた。
一読しただけではたぶん身につかない。でも、この本を読んだことでフランス王国の歴史がさらにぐっと身近になった気がする。高校時代にはわからなかったことがわかった気がする。
このシリーズは残すところ「ブルボン朝」がある。たぶんどんどん理解が難しくなる。しばらく時間をおいてから読みたい。

2023年2月5日日曜日

佐藤賢一「カペー朝」(2009)

講談社現代新書2005「カペー朝 フランス王朝史1」佐藤賢一(2009)を読む。
自分、まだ佐藤賢一の著作を読んだことなかった。直木賞の「王妃の離婚」(1999)は一度手に取りかけたのだが未読。

カペー朝いうても、カロリング朝が断絶した後にロベール家のパリ伯ユーグ・カペー(カペーって合羽って意味だったのか!?)が選挙で選ばれたということと、実力の伴わない弱い王権としか、高校世界史で習ってない。
だが、300年以上も続いてたって全く盲点だった。徳川幕藩体制よりも長かったのか。

ユーグ・カペー(987-996)の後は親から子へとフランス王位が渡されて行く。敬虔王ロベール2世(996-1031)、アンリ1世(1031-1060)、フィリップ1世(1060-1108)。このへんの国王はパリ周辺のわずかな伯領を守り、王権を継いでいくことのみに集中。なので結婚と離婚が最大の関心事。それはそれで正しい行為。

そして最初のターニングポイントが肥満王ルイ6世(1108-1137)。この人はわりと頑張った。そしてその息子がルイ7世。
若王ルイ7世(1137-1180)の妻がアリエノール・ダキテーヌ。この王妃を連れてフランス国王として初めて十字軍に参加。(離婚後にイングランド国王ヘンリー2世と結婚。)
フランス王領がアキテーヌ公領に比べてはるかに見劣りするほど小さい。臣下であるはずのアンジュー伯がイングランド国王とかどうなってんの?

そして尊厳王フィリップ2世(1180-1223)が登場。第三回十字軍に参加。
再婚というプライベートで苦しむ。デンマーク王妹王女を迎えたその夜から離婚を考える。いったい何が?!
イングランド王リチャードには苦杯。しかし敵が人格破綻者ジョン欠地王になると大反転攻勢。ノルマンディー、トゥーレ―ヌ、アンジュー、メーヌ、次々征服。内政でも王領を4倍にした征服王。ブーヴィーヌの戦いに勝利しフランス王の地位を確立。フランス王国は大国としての存在感を増す。

フィリップ2世の43年におよぶ治世の後ようやく獅子王ルイ8世(1223-1226)。両親ともカロリング朝の末裔で血筋に問題ない。さらにポワトゥー、南フランスを征服して王領を拡大。異端カタリ派を征伐するアルヴィジョワ十字軍に参戦。アヴィニヨン包囲戦の最中に赤痢に倒れる。

そして列聖された唯一のフランス王ルイ9世(1226-1270)。(アメリカ・ミズーリ州のセント・ルイスってルイ9世にちなんで名前がつけられてた)
聖王ルイはカペー朝の名君。周辺諸国からも尊敬。第7回十字軍ではトホホのていで逃げかえる。ソルボンヌ大学を作ったのもルイ。現在まで続くフランススペイン国境もルイ9世の時代に確定。
信仰心の篤さから再び十字軍。北アフリカチュニスで疫病によって病没。

病没した父に従ってたフィリップは帰国して即位。勇敢王フィリップ3世(1270-1285)の時代は歴代フランス王と比べて穏か。シャンパーニュ伯領を併合しトゥールーズ伯の娘と結婚しポワティエ伯領、トゥールーズ伯領も手中。アヴィニヨン(ヴネサン)を教皇に寄進。(フランス大革命まで教皇領)
さらにアラゴン遠征。そしてシチリアの晩鐘事件。撤退中にペルピニャンで疫病により病没。

美男王フィリップ4世(1285-1314)は周囲より頭一つ背が高く美男で無口。側近を法律顧問官僚で固める。
13世紀末のフランス王家は他に比類のない強大勢力で美男王は唯我独尊。
ルイ9世時代の対イングランド平和共存方針を撤回。エドワード1世と闘争。アキテーヌ公領を占領しフランドル侵攻。だが、戦費に苦しむ。
ローマカトリックという国際組織に所属しつつ一定の自主性を保つというガリカニスムを最初に表明。全国三部会を初めて招集。
エドワード1世のイングランドとパリ条約でフランドルから撤退後、ローマ教皇ボニファティウス8世を幽閉するアナーニ事件。
フランス人教皇クレメンス5世をアヴィニョンに定住させアヴィニョン教皇庁を開始。
パリのテンプル騎士団員を一斉逮捕し騎士団総長ジャック・ドゥ・モーレーら幹部を火あぶり処刑。

喧嘩王ルイ10世(1314-1316)は短命。2人の娘しかいなかったのだが、崩御したとき王妃は妊娠中。これが男児でかろうじて親から息子へというカペー朝王家の伝統を守る。だが、幼子ジャン1世は生後5日で死亡。
なのでルイ10世の弟がフィリップ5世(1316-1322)として即位。フィリップ5世は美男王フィリップ4世よりもさらに長身。だが男児が夭逝して女子のみ。弟シャルル4世(1322-1328)が即位。
カペー朝フランス最後の国王シャルル4世も男児は夭逝し女子のみ。ここでカペー朝15代341年が断えた。

しかし、男子継承のみでこれだけ長く続いたことは奇跡。よほど遺伝学的に強い家系。
人々の平均寿命が短い中世で、最後の3人を除くと平均年齢52.6歳まで生きた。ルイ7世だけが60代まで生きた。

高校世界史では活字と記号でしかなかった歴代フランス国王が、一人ひとりのエピソード、結婚、王権の相続、内政と外交、イングランドや国内諸侯との対立と戦争、などなど読んでいくと、初めて人間として親しみを持ってイメージが具体化される。
それに佐藤賢一はさすが人気作家。文章がとてつもなく上手いし分かりやすい。高校生でも理解が進む良書。

「ジャンヌ・ダルク」という映画で、ランスでのシャルル7世戴冠式を見ていて「塗油式」というのがよくわからなかった。メロヴィング朝クロ―ヴィスの時代までさかのぼる王家の伝説に基づいた儀式だったのか。

2023年2月4日土曜日

加藤小夏「禍話」(2021)

ネットラジオ怪談話「禍話」の実写ドラマ(2021年7月11日放送)があるのでみる。加藤小夏さまが出演してるので以前から見ようと思っていた。これはYouTube、Radiotalkと連携し配信されていたらしい。

原作はFEAR飯/かぁなっき・加藤よしき。監督は後藤庸介。脚本は酒巻浩史。制作はABCテレビと東阪企画。主演は水谷果穂と声優の入野自由。

フリーライター加藤よしの(水谷果穂)は大学の先輩で古書店店主のかぁなっき(入野自由)と、ネットラジオ「禍話」を配信。かぁなっきが独自に仕入れてきたリアル怪談をさらに怖く二次制作し「禍話リライト」も配信。
古民家ハウススタジオでアイドルが事故物件に潜入レポートするという番組の撮影がされている。AD由貴(加藤小夏)、ディレクターの森山(大水洋介)、アイドルのモモコ(秋山ゆずき)が、長男が家族を惨殺した事件が起こった…というニセ設定を知らされた状態で収録が始まる。

加藤小夏が腰がひくいAD。本当に事故物件なのか?ひどく心配するアイドルからの質問には知らないので答えようがない。
だが、管理人さんの様子がなんかおかしい。襖を見つめてる。その奥には何が?「何もないですよ」なのに開けることは禁じる。
なのに管理人が立ち去ったタイミングですぐ開ける。なんでだよ。
襖1枚向こう側がコンクリートの壁。小夏は「えっ…」という顔。
事件をレポートしてたアイドルがエクソシストのように豹変。床を這いまわる。死体発見場所の風呂場で自分の皮膚を掻きむしりはがれて血だらけ…。これは何かヤバイ。

ここで怪談実況中の加藤よしのとかあなっきのやりとりというシーン。そして話のつづき。

血を止める処置をしてたらさらに別人格が憑依。「こんな細かい設定でこんな場所でやるからダメ」と瀕死のアイドルが笑いだす。
そしてAD小夏の耳元で男の声。恐怖に怯え家の外へと駆け出す。ディレクター大木の説得で家に戻ってみると誰もいない。廊下には手の跡。そして風呂場で全員の死体…。
水谷「これは禍い!」だがこのネタは実際に聴いた話にさらに盛り込んで怖くした話らしい。反響がすごいからやってるってゆう。

配信の数日後、かぁなっきとよしのの元にリスナーからさらに怖いリライト投稿が届く。
今度は本当にその家で凄惨な一家皆殺し事件が発生したていでの撮影が始まる。 
小夏ADは次のシーン撮影の準備をしてるとテーブルに爪のひっかき傷と畳に血痕を発見。
そして今度は大木ディレクターの様子がおかしい。休憩中にぶつぶつつぶやきながらぼーっとしてたと思ったらいきなりバタバタ廊下をはい回る。

さらに玄関のドアをガンガン叩く管理人。「そろそろ始まりますよ」
さらにアイドルもパニック。気づいたらその家では葬式の最中?保冷ボックスの中にどろどろした液体が漏れ出る黒いポリ袋。
怖すぎて水谷も怯える。そしてリライトしたリスナー「葱の回転」と音声通話。ハウススタジオで異変が起こる。「これは禍い!」
そこにリスナーの妹がやってくる。兄が行方不明?葱の回転の家へ。家族がなんかおかしい。さらにセーラー服の女の幻覚。そして妹から電話。兄が帰ってきたらしいのだが「もうそんなことどうだっていいじゃないですか」妹も帰ってきた兄も雰囲気おかしい。

いやこれ普通のジャパニーズホラー映画と同じぐらいのクオリティだった。映画にしてもよかった企画。
それにしても加藤小夏の演技が素晴らしく上手い。恐怖の叫び、怯えた顔、どれもが的確で感心しかしなかった。
PS. 加藤小夏は2021年5月に「おばあさんの皮」という20分ほどのショートムービーにも主演してる。
監督/脚本/編集は井上博貴。キャストは加藤小夏、浜野謙太、金澤美穂、片桐はいり、高橋惠子という、わりと豪華な俳優陣。

美人過ぎて困ってるヒロインが、それを着ればお婆さんになれるという衣装を、「困ったことがあったらこれを着ろ」と、お歯黒したこけしみたいな片桐はいりから渡される話。
ビジュアルからてっきりホラーだと思ってた。ちょっといい話ファンタジーだった。まんが日本昔ばなしだった。福島の民話がベースの話らしい。
(このメインビジュアルは選択ミスでは?これでは見てもらいたい層に届かない。)

こちらは今現在もYOUTUBEで公開されていて誰でも見れるのでここでは詳しくは触れない。(メーキングも公開中。撮影はたった4日間?)

加藤小夏が福島から上京した美人という設定。地元温泉地で福島訛で話してるシーンは見もの。ドラマ初期のおどおどしたあまちゃんみたいだった。
それにしても加藤小夏が美しすぎる。男はこんな素朴な美人と出会いたい。忠誠を誓いたい。
浜野謙太が仕事もできて性格もいいという内面ハンサム役。高橋惠子さんが老婆の皮役って、どうなん。

2023年2月3日金曜日

加藤小夏「二十四の瞳」(2022)

昨年8月にBSプレミアムで「二十四の瞳」が放送された。脚本演出は吉田康弘。制作はNHKエンタープライズと松竹。
本放送は見逃してしまったのだがお正月の再放送でカバー。録画して見た。加藤小夏が出てるから。

主人公大石先生を演じるのは土村芳。「ゆるキャン△」でぐでんぐでんに酔った先生を演じてた人だ。すごく顔が地味で老けてる。この役を演じることは大きなプレッシャーだったに違いない。
壺井栄の原作を監督・木下惠介が映画化した「二十四の瞳」(1954)は日本映画の有名作なのだが自分はまだ一度も見たことがなかった。原作もまだ読んでいない。

昭和3年4月の小豆島。島民のほとんどが着物姿という時代にハイカラな洋服姿の若くて元気で明るい女の先生が岬の分教場に赴任する。大石久子先生(土村芳)だ。4里の道のりを自転車に乗って通勤。道行く人は目を丸くする。

12人の新1年生を担任。出席を取るシーンからたっぷり時間を使ってる。やさしい先生に明るく元気な子どもたち。あまりに理想的。男児はみんなイガグリ頭。
ヒロイン先生の母親が麻生祐未さんなのだが、ああ、だいぶ年取ったなあ。

貧しかった日本。嵐で村の家が壊れて後かたづけというシーン。その状況で無事だった子どもたちと笑ってるだけで「何がおかしいん?」と嫌味言ってくるババアとかいる。田舎って嫌だね。
でも子どもたちはみんな悲しい先生を励ますような優しい子。

脚を怪我した久子をお見舞いに来た校長先生がすぱすぱタバコ吸ってるシーンがリアリズム。昔は何処へ行ってもタバコの煙。
子どもたちがみんな先生に会いたくて山道を歩いて来たというシーンは子どもたちの優しさに感動。でも大石先生は本校へ赴任と知らされみんな泣く。浜辺でみんなで記念写真。
そして5年後、先生は結婚。

子どもたちが背負う現実。まっちゃんの母が女の子を産んですぐ産後の肥立ちが悪くて急死。そして大阪に行かされる。あまりに急な暗転。
アカの疑いをかけられた先生のところに警察が来るとか昭和初期らしい出来事も。
修学旅行で金毘羅さんへ。大阪に行ったと聞かされてたまっちゃんが奉公先で働かされてた。あ、このシーンは木下版二十四の瞳で見たことある。義務教育はどうなってる?

住む家がなくなって将来の展望がない子が泣きだすとか、子どもを学校に行かせる余裕のない家庭とか、そんな話を子どもから聴かされる先生もつらい。
校長(國村隼)以下の男性教師たちがみんな男の子たちを軍国主義日本に兵隊として奉仕させることしか考えてない。こういう人たちが戦後もなんのお咎めもなく学校にいた。大人たちが狂ってた。
大石先生は「お国のために死ねなんて言えない」と教師を辞める覚悟。

奉公に行くお別れに来た子、一家で島を出た家庭、結核病みで死期を悟った子、そして戦争という地獄は田舎の島にも。子どもたちが成長するにつれて世の中がどんどん酷くなってる。そして夫にも召集令状。母が寝たきりの末に死。
そして夫の戦死の知らせ。日本の敗戦。末娘の急死。教え子たちの墓参り。なんだこの地獄人生。金八先生が甘ったるく見えるハードモード。

見ていて今の子はみんな演技が上手いなと感心した。

年老いた先生はふたたび分教場で教えることに。戦争を生き延びたかつての教え子たちから歓迎会。
ここでやっと成長したまっちゃん役で加藤小夏登場。ヘアメイクが戦争直後の感じをリアルに再現した感じ?これは都会的洗練と高貴な透明感の小夏さまにはあまり似合ってみえない。
1年生のとき浜辺で撮った写真をみんなで見ながらしみじみしてドラマは終わる。ああ、二十四の瞳ってこんな話だったのか。
でも、20年ぐらい経ったにしてもまだ40代のはずの久子先生が老けすぎに見えた。でも昔の人は40代で孫とかいたわけだしそんなものか。

2023年2月2日木曜日

エラリー・クイーン「犯罪カレンダー」7月~12月

引続きエラリー・クイーン「犯罪カレンダー CALENDAR OF CRIME 7月~12月」を宇野利泰訳2002年ハヤカワ・ミステリ文庫版で読む。

おそらく1946年から1951年にかけて発表されたもの。単行本として出版が1952年。早川書房から邦訳が2冊分売で初出したのが1962年。
5年前の秋。2冊共にBOで108円ゲット。掲載順に読んでいく。

7月 墜落した天使 The Fallen Angel
クイーンズ地区の大寺院風建築のセンター邸の老主人と結婚したドロシーはニッキ―の旧友。エラリーとふたりで訪問すると主人マイルズの目と鼻の先に屋根に飾られた怪物の石像が落下。もし当主が死ぬとセンター製薬は屋上にスタジオを構えるバイロン的な弟デイヴィドのものになる。そしてドロシーは主人の弟デイヴィドを愛し始めている…。
そしてマイルズが頭部を狙撃され弟デイヴィドが行方不明。
これはとても古典的なお屋敷ミステリー。

8月 針の目 The Needle's Eye
北欧系のエリクソン家所有のカリブ海の小島でのキャプテン・キッドの財宝探し。娘のインガの夫とその父の素性が怪しい。悪党かもしれない。娘が殺されるかもしれない…というエリクソンさんからの依頼でエラリーとニッキ―は島に赴いて行動を監視しながら宝探し。
エラリーの慧眼で宝のありかがわかった!と思ったらエリクソン氏は殺害。そして意外な真相。

9月 3つのR The Three R's
ミズーリにあるちょっと変わったバーロウ大学からエラリーへ救いを求める手紙。ポー研究の教授が夏休み中にアーカンソーの山小屋に小説を書きに行ったまま戻らない。研究室の床には血痕。日付を偽装した絵はがきまで届く。これはもう殺されてるかもしれない…。
だが、超一流探偵エラリーは騙されない!これもまったく意外な顛末。

10月 殺された猫 The Dead Cat
エラリーのアパート付でニッキ―に届いた黒猫会秘密集会の招待。黒猫衣装に仮面で指定ホテルへ向かうことになるニッキ―とエラリー。招待したのはニッキ―の旧友アンだった。
スペードのエースを引いた人が殺人鬼になるパーティーゲーム。暗闇の後にアンの夫が喉を切られて死んでいる…。わりと本格なクローズド密室殺人。

11月 ものをいう壜 The Telltale Bottle
麻薬取引が行われているレストランで偶然に符丁が合ってしまいブツを渡されたエラリー、憐れなネイティブアメリカン老夫妻、タクシー運転手、ウェイターの死体。それぞれが絡み合う刑事ドラマ。

12月 クリスマスと人形 The Dauphin's Doll
人形コレクターの婦人が遺した人形は孤児たちの保育事業基金のために競売されるのだが、価値があるのは10万ドルのダイヤ王冠をかぶるフランス王太子(Dauphin)に贈られた人形のみ。こいつを銀行の地下金庫からクリスマスのデパートで展示しないといけないのだが、弁護士ボンドリング氏は気が気じゃない…という駆け込み依頼。

怪盗コーマスからの犯行予告。エラリー親子とヴェリー警部らによる厳戒警備が敷かれたのだが…。
びっくりした。まるで名探偵明智小五郎と怪人二十面相で見るやつ。

以上6本、上巻を入れると12本を読んだ。「エラリー・クイーンの冒険」「新冒険」と並ぶ傑作短編集だった。
どれももれなく開始数ページがまるで頭に入ってこないような、英文特有の分かりにくい、エラリー特有のペダンチックな書き出し。
どれもがアメリカ文化と歴史をまぶしたアメリカのホームズ譚とでもいうべき作品。

2023年2月1日水曜日

エラリー・クイーン「犯罪カレンダー」1月~6月

エラリー・クイーン「犯罪カレンダー CALENDAR OF CRIME」を宇野利泰訳2002年ハヤカワ・ミステリ文庫版で読む。

「1月~6月」「7月~12月」と2冊に別れている12本の短編集。おそらく1946年から1951年にかけて発表されたもの。早川書房から邦訳が初出したのが1962年。
これを手に入れたのが5年前の秋。2冊共にBOで108円ゲット。もうエラリーはどれを読んでもさして面白く感じない。なかなか開く気になれなかった。積読されていたものをようやく読む気になった。では順番に読んでいく。

1月 双面神クラブの秘密 The Inner Circle
ニューヨークのイースタン大学はまだそれほど歴史がない。1913年が第1回卒業生を出した年。なんとたったの11名。双面神(ヤヌス)クラブという年次回を開催していたのだが、その後の大戦への出征、不況による破産での自殺、飛行機事故などで7名となってしまっていた。

そのうち5名がさらに秘密クラブをつくってお金を出し合って基金を積み立てていた。そのうち3名が今年中に死亡。銀行家アップダイク氏からエラリー事務所への依頼。また1人殺されそう。だがメンバーの名前は教えてくれない。

アップダイク氏は交通事故で車が崖下に転落し死亡。これは秘密クラブメンバーが基金を独り占めしようとしてる?
アップダイク氏が妻に語った秘密クラブメンバーの共通点から、エラリーは犯人を特定。
これはアイデア1発勝負。アメリカ人以外には馴染みがないかもしれない。

2月 大統領の5セント貨 The President's Half Disme
エラリー事務所に偽の電信で呼び出されたジョージ・ワシントンの収集家、貨幣収集家、稀覯本収集家。一体なぜ?と不審に思っていると、そこにフィラデルフィア近郊の農場主の娘が登場。「呼び寄せたのは私!すぐに6000ドル現金を用意できないと先祖代々受け継いだ農場と屋敷を失う。」

買っていただきたいものがある。だがそれはまだ見つかっていない。先祖の残した日記に、ジョージ・ワシントン大統領夫妻が1791年に農場に立ち寄った際に、サーベルとコインを埋めていったと書かれている。それを探して!
これも今まで読んだ探偵エラリーらしくない。時空を超えた宝探し。ワクワクする楽しさ。

3月 マイケル・マグーンの凶月 The Ides of Michael Magoon
3月15日といえば全米で確定申告の締め切り日。その書類を前日に盗まれたとクイーン探偵事務所に駆け込んだ私立探偵マグーン氏が可笑しくてたまらないニッキ―。
そんなものを盗まれるわけがない。どうやら、探偵氏の契約をしてる富豪未亡人の悩みの種である娘の万引き癖をネタに強請ろうと考えた者が犯人か?
これも読者の予想を超える展開。短編として水準以上で感心した。

4月 皇帝のダイス The Emperor's Dice
なぜかコネティカットの田舎へと出かけるクイーン父子とニッキ―。父と馴染みのあるハガード家に招待されたという。汽車が遅延し迎えの車をよこしたマークがハガード家当主の銃撃死亡事故について語り始める。「死んだ父が握りしめていたのはカリギュラ帝のダイス2個。」
これもラストが予想外だしおしゃれ。

5月 ゲティスバーグのラッパ The Gettysburg Bugle
仕事帰りにゲティスバーグへと立ち寄ったエラリーとニッキー。途中で車が故障し雨でびしょぬれ。助けを求めた家が医者で村長で警察署長。なんとこのジャックスバーグ村には南北戦争の生き残りが3人もいるという。
だが、そのうち1人(97歳)は昨年の戦没将兵記念日の式典でラッパを吹いてる最中に倒れて死亡。だが検死解剖などはしなかった。

エラリーが村長宅に泊まった翌朝、さらに生き残り老人の1人が脳溢血で死亡。そして今年の記念日にも最後の老人が死亡。
この南北戦争の生き残り3人は戦争中に財宝を見つけていて最後まで生き残ったものが財宝を手にする約束だった?!
この話も面白かった。やっぱりラストに意外性がある。

6月 くすり指の秘密 The Medical Finger
資産家美人娘ヘレンに2人の求婚者。欧州出身のヴィクターはフラれたのだが諦めが悪く、つきまとう上に粗暴ないわゆるストーカー。ヘレンと結婚することに決まったヘンリーに殴りかかり取り押さえられたり。

ヴィクターはしおらしく謝罪して許されるのだが、目に陰湿な殺意があるのでエラリーの指示で刑事が尾行につく。
そして結婚式。新婦ヘレンが毒針が仕込まれた結婚指輪で死亡。普通に考えたら犯人はヴィクターしかいないのだが、あらゆる犯罪パターンに触れてきたエラリーは様々な可能性を考える。この本の6本中でこれが一番印象薄い作品。

以上6本、予想以上に面白く意外な展開に驚くことができた。アメリカの歴史と文化が月ごとに知れる良い短編。エラリークイーンの長編はダラダラ長くて退屈なものが少なくないけど、この短編集はどれもアイデアと才気があって面白かった。続いて「7月~12月」を読む。