2014年2月9日日曜日

中山七里 「おやすみラフマニノフ」(2011)

中山七里 「おやすみラフマニノフ」(2011 宝島社文庫)を読んだ。著者のことは知らないが、なんとなくクラシック音楽がテーマの青春ミステリーっぽいので興味を持った。これは350円で手に入れた。

同じ作者の「さよならドビュッシー」という映画は見たことがある。たぶん続編じゃないか?的な想像をしていた。「さよならドビュッシー」もそこにあったけど、映画をなぞるように原作を読むのもどうかと思ったので今回はスルー。

音楽大学が保管している2億円のチェロが消えた!という事件で始まる。(別に人が殺されなくてもミステリーは成立する。刑事ドラマばかりのテレビドラマもなんとかしてほしい。)コンサートが何者かに妨害される、という話。名古屋が舞台。

音大生の辛い現実が描かれる。主人公の青年は貧乏ヴァイオリン奏者の4年生。読んでいてツラくなった。そういえば自分の高校の友人や先輩後輩で3人ぐらい音大へ行った人を知っているが、その後どうなったんだろう?音大卒業生のほとんどが音楽関係の仕事に就けないという現実……。

主人公と、彼を助けるスーパーマンのような客員ピアノ講師が音楽で青春していると最後に意外な事実が判明するという展開。なんでもこれぐらい物事がよく見えている大人になりたいものだ。ミステリーと云うより、どちらかというと音大学生青春小説。

この作者はラフマニノフのピアノ協奏曲第2番ハ短調の演奏実況を詳しく描写している。自分にはできないことだ。チャイコフスキーやパガニーニの曲も登場。曲を知っているとイメージしやすい。読んでから聴いてみてもいいけど、それだと文面から音楽が伝わってこない。

で、面白かったか?うーん、点をつけるとしたら75点ぐらいかな。
一昨年買ったCDを引っ張り出して聴いている。アシュケナージが70年代にプレヴィン&ロンドン響とDECCAに録音した4曲の全集2枚組み。まあ、これも500円だったから買った。安い。自分の持ってる唯一の全4曲収録のCD。

ラフマニノフは2番と3番ばかり演奏される。ピアニストにとって技巧的で華やか、演奏効果の高い超難曲。
このCDで第1番と第4番も何度も聴いてみた。この2曲ももっと聴かれるべき。

パーパッパパパパパ、チャカチャカーンで劇的に始まる第1番の魅力にこれで目覚めた。
ツィマーマン、アンスネス、アシュケナージをぐるぐる聴いてる。

2 件のコメント:

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    中山七里は両極端なミステリを書き分ける人。
    ボクはクラシック路線ではなく、グロ過剰の『連続殺人鬼カエル男』が好みです。
    以前は「クラシックは何が好き?」と聞かれると、ラフマニノフと答えていました。ラフマニノフであればなんでも買った時期がある。でもピアノ・コンチェルトと交響曲以外は「パガニーニ」と「ボカリーズ」ぐらいであんまり気に入ったのは無かった。
    やはりピアノC2番。アシュケナージのもあるけれど、最初に聴いたセシル・ウーセのが気に入ってます。あとラフマニノフ自作自演の「赤版復刻」も持っています。ノスタルジックな第二楽章はよき時代のハリウッド映画のようで爽やかで酔えます。
    ただ最近はピアノC2より交響曲2番が気に入っています。3楽章のAdagioの美しさが際立っています。この曲もピアノC2番同様に、けっこうあちこちで使われてますね。

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  2. SECRET: 0
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    グロは苦手なので「カエル男」は読まないかも。
    ウーセはまだ聴いたことない。自分はアシュケナージ&ハイティンクが初ラフマ2
    自分も自作自演盤CD持ってる!
    存命中は時代遅れの作曲家とみなされていたとしても、今ではこんなにも人気!
    交響曲は第2番しか知らないけど、第3楽章は誰でも好きになると思う。でも、自分も協奏曲&パガニーニと第2交響曲だけあればいいと思う。
    ピアノだと前奏曲集とピアノソナタ第2番がかろうじて聴いてもいい感じ。

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