聖徳太子と云う人物は架空の人物だという噂は数年前からなんとなく聞いていた。「完本 聖徳太子はいなかった 古代日本史の謎を解く」 石渡信一郎 河出文庫 という本も105円でそこにあったので、たまたま手に取った1冊だったのだが、とんでもないことが書かれていた。衝撃の連続だった。
自分は以前から日本史の中で唯一古代日本史にだけはなぜか関心が高く、こういった文庫や新書をヒマでしょうがないときに開いていた。古代日本史の面白さを教えてくれたのは松本清張だった。資料が少ないぶん、本の作者が自由にパズルを組み立てる余地が多い。ミステリーの度合いが高い。それぞれの本がどんな内容だったのかあまり覚えていないが、古代史のキーワードたち、著名な研究家たちの名前に聞き覚えがある。
まず驚かされたのが、行田の埼玉古墳出土の稲荷山鉄剣の金象嵌銘文にある「辛亥年」を531年と断定。そして「獲加多支鹵大王(ワカタケル)」を欽明と断定。そして、仁徳天皇稜(大山古墳)の被葬者を継体と断定。ここまで読んだだけでクラッとくるが、宋書「倭国伝」にある有名な「倭の五王」の「倭王武」を応神と断定。しかも、応神は百済王の弟「昆支」だという。誉田山古墳の被葬者は応神で、応神の次に即位したのはその弟の継体だという。となると、仁徳、履中、反正、允恭、安康、雄略、清寧、顕宗、仁賢、武烈の10代10人はすべて架空の人物だ。
645年以前のヤマト王朝の歴代大王は昆支→継体→欽明→敏達→馬子→蝦夷→入鹿であって、蘇我氏は昆支系の大王家だというのだ。日本書紀は勝者の歴史書で嘘だらけのファンタジーで、何かを隠して強引なつじつまあわせ。蘇我馬子=用明天皇=アメノタリシヒコだという結論にはぶったまげた。
しかも馬子、蝦夷、入鹿は本当の名前ですらない。このことを隠すために日本書紀は安閑、宣化、崇峻、推古、舒明、皇極という架空の天皇もつくりだしたという……。えぇぇ…。
日本神話のアマテラスとスサノオの話も、645年のクーデターをモデルにして8世紀につくられたもの。えぇぇーー!? 有名な曽我氏と物部氏との戦争も存在しない嘘っぱち。昆支系王統と継体系王統の争いを隠すための創作。聖徳太子のしたことはすべて大王蘇我馬子の功績。聖徳太子は馬子の分身。ええぇぇ……。
次々と刺激的なことが書いてあって、この手のジャンルの本の中で破格の面白さだった。
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架空の人物がこの国のお札の肖像画になっていてその人のことを学校の授業で学ぶ…、なんか変な感じですね。
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ブロガーさん、歴史好きですね。
子供の頃、梅原猛の『隠された十字架 法隆寺論』を読んで以来、
私の薄く浅い雑学の脳内でも聖徳太子は天武天皇やイエスと並ぶ人気者です。
新しい本が出るたびに、見方がガラリと変るのが面白く、
最近は実在説、虚構説、複数人物説が乱立しているようです。
先日もNHKの「BS歴史館」で聖徳太子は実在したかが議論されていました。
紹介されている本は未読ですが(話の展開はかなりアレっぽいけど)
太子の正体だけは私の脳内と合致していますよ。
抹消された天皇=聖徳太子(尊称)=蘇我馬子(蔑称)=「厩戸王」
「厩戸王」の名前は景教のキリスト伝説を借りてるだけではなく
「馬」を指してるんじゃないかと・・・それに
以前から奈良の石舞台には馬子が埋葬されているといわれてましたよね。
そろそろ来年あたり日本書紀に匹敵する古文書でも発見されて
「聖徳太子は女性だった」とかいう本が出るかもしれませんね。
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飛鳥の石の文化は日本史の中でも異様な感じがします。私はそこが蘇我王朝だと思います。もちろん太子も蘇我氏。
日本書紀は、そのころのアジアの「うちの国は古くからあったんだ」ブームにのったもので、もともとあった歴史に、重臣たちや王族が自分たちの先祖を入れ込んで物語として作りあげたもの。どこのお墓が◎◎天皇陵とか言ってることすら片腹痛しって感じです(^_^.)。
ちなみに、小林恵子さんって人の本はさらにぶっ飛んでます。聖徳太子は、突厥の大可汗達頭さん。隋との戦いに敗れ列島に逃れ倭王タリシヒコとなったとか。
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自分が日本史を気にし始めたのはここ5年ぐらいかな。それ以前は基本的なことも知らなくて、名所旧跡に出かけても何も見ないでいた。歴史って教科書に書いてあること通りじゃない。人物名を暗記させられたのは大人になって歴史の本を読ませるためだったのかなって。それにしても聖徳太子の実像のブレっぷりはひどい。
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これコピペですかね。
もほや荒らしレベル…
そんな専門的な話はさておき、『邪馬台国はどこにある』の鯨統一郎さんの話が好きです。
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うーん、なんか怖いけど石渡信一郎はすごい。
邪馬台国本も以前よく読んでたなぁ。