2023年5月17日水曜日

本田翼「6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の憂鬱」(2023)

1月14日からテレビ朝日で放送されていた「6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の憂鬱」(2023)を録り溜めたものを2晩で完走した。本田翼が出演しているので見た。脚本は橋部敦子

第1話は1999年夏から始まる。花火師として夏の花火大会の現場にいる望月親子。橋爪功、高橋一生。
そして23年後の2022年夏へ。父と息子の二人暮らし。コロナのせいで花火の仕事がなく、父「今日も暇だなあ」息子は食事の準備しながら今後の仕事について父と談義中。これからは個人の客もとらないと。ゴミ出ししないと。
しかし、父は突然倒れるのであった。
そして2023年1月。望月星太郎(高橋一生)は荒んだ一人暮らし。仕事は相変わらず暇。友人がバイトしない?体力仕事はできないなと断る。
そこに「打ち上げ花火を上げてもらいたい」と本田翼が店へ。「うちはそういうのやってないので」

どうやら水森ひかり29歳(本田翼)は父望月航(橋爪功)の撒いたチラシを見てやってきたようだ。それでも断るのだが、突然大きな音。作業場で何か起こったか?!と駆け付ける。するとそこに亡き父の幽霊。
泡食って事務所に戻る。まだ本田翼がいる。30万円現金で「花火を打ち上げて」

本田翼が「望月煙火店」に花火を注文した理由は、ウェブページとかあるご時世にこんな雑な手書きチラシを見て「よほど花火に自信のある店」だと思ったらしい。そのへん、脚本がちゃんと練られてる。
けだるい感じの女の依頼は「素敵なもの」花火の目的など一切明かさない。
そして星太郎は独りで花火の製作を始める。花火職人ドラマって初めて見る。新鮮。
で、花火打ち上げというその日その時間。女は独りでやってくる。「連れは?」「いません」この女は「私だけの花火」が打ちあがるところが見たかっただと?!
30万円にしてはかなり豪華な花火シークエンスだったのでは?
だが、この女は「フッ」と鼻で笑う。なんで?
プライドが傷ついた星太郎。やるんじゃなかった。

しかし翌日、女「私をここで働かせてください。住み込みで。」「えっ?!」
ドラマとして第1話のつかみが完璧。これは面白いドラマの予感。
この女はすべてを棄ててきた。行くところがない。
「困ってることは全部やります。」なんと理想的な人材だ。
本田翼の目がずっと座ってる。あと声がずっと低い。テンション低い。ほぼ桃井かおり。

「もしかして望月さんに気があって押しかけて来たと思ってます?」
花火を打ち上げたとき鼻で笑ったことを問いただすも、覚えてない…。
アラフォー独身男の一人暮らしに妙齢の女性。それは戸惑いしかない。だが、お手洗いを勝手に掃除。食事もあるものでちゃちゃっと、ちゃんとしたものを作ってくれる。

シャワーを借りる女。もしかして幽霊父、見た?星太郎は「それ、犯罪だからな!」と釘を刺す。
受け入れ態勢もないのに勝手に向こうから住み込みで働かせてくれ!と言ってきた女を多少のぞき見したところで犯罪か?そもそも幽霊には法は適用されない。
ちゃちゃっとホームページが作れてしまう。でも、映像とか写真とか載せたいのに撮ってない。「もうどんな花火だったか覚えてない」男はいちいち女の言葉がひっかかる。

「あ、鼻で笑った理由がわかった」本田翼がもうまるで個性派女優。茶をすすりながら身の上話独り語り。まるで白石加代子のよう。本田翼の演技が下手というやつを自分は認めない。このヒロインのキャラがすごく納得できる。
それはきっとたぶん脚本家の力量と本田翼の演技力。これこそ女優本田翼の正しい使い方。
この女がわりとするどくて、星太郎がいつも誰かと喋ってることに気づいてる。「誰と喋ってるんですか?」バレちゃった?
女には幽霊が見えていない。もしかして、この幽霊父は星太郎の深層心理が見せている幻覚?

第3話にしてついにひかりが花火作りを始める。女のほうが心理的に強いし星太郎を圧迫してる。脅して花火づくりを教えさせる。
ドラマ中盤、第5話あたりからなにやらサスペンスタッチ。星太郎と父、母にはいったいどんな秘密が?!4年付き合った彼女と別れた理由は?

このドラマ、星太郎の幼少の時からのあらゆる心理面の影響も描いてる。そのへんが深くて感心。ずっと疑問に思っていたことをひかりが代弁して星太郎につっこみを入れる瞬間には震えたw まさかのサイコ展開?!
「お父さんは本当に幽霊?」「え、どうゆうこと?」カメラが引くとこにちょっと笑った。
高橋一生と本田翼という人気俳優と人気女優の会話シーンはずっと素晴らしいと感じたし、このドラマの宝。星太郎と母の件での本田の低い声でのつっこみがすごくいい。とても感心。

この主人公とヒロインは仕事場も住むところも同じで、ふたりきりで暮らして(幽霊はいる)、田舎でどこにも遊びに行く場所もないのに、男女の関係になりそう感が最後までまったくなかった。
ずっとしみじみ。ほぼ星太郎の内面心理ドラマ。
エンディング主題歌はケツメイシ「夜空を翔ける」

1 件のコメント:

  1. 飾らないタイプの本田は、自分に嘘をつく必要の少ない役では好演できる?飾らないでも魅力が伝わるネットのほうが、性に合っている。面白いキャラクター。

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