横溝正史短編集 池松壮亮の金田一耕助 登場！

11月24日から26日までの3夜連続、BSプレミアムで「横溝正史短編集 金田一耕助 登場！」が放送された。長谷川「獄門島」も直前に知って慌てて録画予約したけど、これも直前になるまで知らなくて慌てた。

今回の短編ドラマ化三作品、すべてこの夏に角川文庫「殺人鬼」に収録されていて読んだばかりだった。記憶に新しいうちにドラマを見ることができる！ちょっと楽しみにしてた。

今回の金田一耕助は池松壮亮。各話30分ドラマ。制作はNHKエンタープライズ。プロデューサーは淵邉恵美、製作統括は千葉聡史、松永真一、長嶋甲兵。

第1夜「黒蘭姫」　演出 宇野丈良　朗読 秋山慎治　

出演 山田真歩、レイザーラモンHG、相楽樹、鳥居みゆき、中村ゆうじ、ほか

ああ、このパターンか…って思った。満島ひかり版明智小五郎のときと同じような、クリエイターの個性が強く出た朗読CG紙芝居演劇。

終戦直後の焼け跡に残った百貨店デパートが、ちょっと自分のイメージしていたものと違っていた。宝石婦人服売り場がよこにスクロールする画面。舞台っぽい。

山田真歩が一人二役。この女優、「獄門島」でも重要なアクトだったし、最近売れている。

百貨店の主任を見たとき「だれ？このレオナール藤田みたいな人」って思ってたら、エンドクレジットを見て初めてレイザーラモンHGだと気づいた。こういう顔をしていたんだな。素顔解禁？

あと、鳥居みゆきって美人だなって思った。

池松金田一、史上空前に汚い！ｗ　まるでホームレスな感じでちょっと衝撃だった。

この「黒蘭姫」という作品、読んだときもそれほど面白く感じなかった。ドラマにしてもやっぱりそれほど面白く感じない作品だった。

これ、いっしょに見ていた友人から「どうして犯人は偽黒蘭姫が登場したとき、あんなに驚いてたの？その場を逃げ出したの？」という質問に自分は答えられなかった。

第2夜「殺人鬼」　演出 佐藤佐吉

出演　松居大悟、福島リラ、松村卓矢、永野、岩井志麻子、森下能幸、佐藤佐吉、ほか

この作品も読んだとき、パッとしないなって思った。映像にしてもやっぱりパッとしない。原作を読んでない視聴者も「？」な作品だっただろうと思う。

金田一さんが第１夜よりもかなり小奇麗になっていたｗ

主演の女優の顔が怖すぎる。布団で寝ている姿が完全に墜落したUFOから収容した宇宙人の遺体だったｗ

第3夜「百日紅の下にて」　演出 渋江修平　朗読 栁俊太郎

出演 嶋田久作、コムアイ、栁俊太郎、マギー審司、ゆってぃ、白仁祐介、ほか

これは誰がどう作っても面白いだろうなと思っていた短編だったのだが、今回の池松金田一三部作で一番フザケた作品だった。背景はCGの低予算映像化。

池松金田一がニューギニアから復員して市ヶ谷のお屋敷町にやってくるのだが、初登場シーンから異常。頭がボンバり過ぎ。なぜかぬいぐるみを背負ってる。

金田一さんが鮮やかに解答を提示する間、だんだんと頭にさるすべりの花が降り積もっていくとかフザケすぎ演出。

「水曜日のカンパネラ」のコムアイ演じる由美と嶋田久作演じる年の差夫婦の閨房の記述朗読が、食事の背後できぐるみ布団ときぐるみ布団がぶつかりあってるという謎の演出。これ、言葉であんまり上手く説明できないｗ　こんな演出、テレビドラマで初めて見たｗ

あと、由美の一周忌法要での酒の席が原作読んでイメージしてたものとまったく逸脱してフザケすぎｗ

ハンサム川地・栁俊太郎がポケットから間違って薬瓶を落としてしまって慌てふためく演技がコント演出。

「百日紅の下にて」は横溝先生もお気に入りだったらしい。もし今回の映像化作品を先生が知ったら「おこ」なんじゃないだろうか。

今回の金田一ドラマ、数ヶ月後には誰も覚えていないかもしれない映像化だったのかもしれない。

だが、今回のドラマ化ではこの「百日紅」だけが面白かったｗ　NHKには今後も横溝作品のドラマ化を希望する。