2016年8月28日日曜日

江戸川乱歩 「ペテン師と空気男」(昭和34年)

またまた江戸川乱歩を読んでみる。こんな本を見つけた。

「ペテン師と空気男」 昭和30年代の作品5編を集めた1987年に春陽文庫から出た1冊。
自分の手に入れたものは1995年の第10刷。

「ペテン師と空気男」(桃源社 昭和34年11月)
登場人物は着物姿なので昭和初年以前が舞台っぽい。

「空気男」って何だ?
「私、野間五郎は青年時代から物忘れの大名であり、友人から、空気のようにたよりない男といわれ、そこから空気男というあだなが生まれていた。」
毎日ブラブラと母親からの仕送りで暮らすブサイクで愚鈍なダメ男が、ある日きまぐれで静岡行きの汽車に目的もなく乗ってみると、そこでメフィストじみた黒服紳士と出会う。この男がプラクティカル・ジョークの名手・伊東錬太郎だった!

プラクティカル・ジョークって何だ?ようはつまり、いたずら。この男、今で言う「どっきり」みたいなことを見ず知らずの人に試して反応を見て楽しむことを趣味とする、有閑迷惑男w
友人として親しく接しているうちに、伊東の美しい妻・美耶子との関係が深まっていき、やがて…、というストーリー。

ユーモアとミステリー要素からなる作品だが、それほど有名でないのはあまり面白くもないからかもしれない。
まあぶっちゃけると、たいしてプランもないままダラダラと書き始めたらやっぱり駄作になってしまった…って感じがぴったりかもしれないw
ヒマつぶしに読んでもてもいいけど、展開にそれほど驚きや関心することもない。

「堀越捜査一課長殿」(オール読み物 昭和31年4月)
「実は私が犯人でした」という、独白手紙形式による現金強奪事件の顛末記。
わりと古典的に感じる作風。なんと作品中にテレビが登場する。
この時代、テレビというものがまだめずらしかった…という点がトリックになっている。その点で今の映像化はあまり期待できない。

「防空壕」(文芸 昭和30年7月号)
空襲でとある個人宅の防空壕に逃げ込んだ男女の独白エロ話w ミステリー要素はまったくない文芸作品。自分は何も評価しないが、空襲の描写は実際に火の海を逃げ惑った人でないと書けないものかと思う。

「妻に失恋した男」(サンケイ新聞 昭和32年10月より5回連載)
これは短編ミステリーといってもいいかもしれないが、事件顛末記といった感じ。それほど面白いものでもない。

「指」(ヒッチコック・マガジン 昭和35年1月号)
これは以前に他の版で読んだ。わずか3ページの超短編。ホラーショートムービー的。

「ビブリア古書堂」を読んだことで始まった一連の江戸川乱歩読書は今回をもって一旦終了~。もう、しばらくは江戸川乱歩を見つけても買わないようにしようと思う。

PS. ちなみにロックバンド人間椅子の初のベストアルバムのタイトルが「ペテン師と空気男」w この本を読んでみた理由のひとつw

2 件のコメント:

  1. 川崎鶴見U2016年8月29日 0:56

    見事にカスばかり。もう少し選び様があっただろうに・・・wwww。

    乱歩と同時代作家なら作品に外れのない夢野久作あたり読んでもいいかと。手に入れやすいし。「瓶詰の地獄」「押絵の奇跡」「死後の恋」などなど。
    「犬神博士」・・・タイトルは博士でも乞食の爺さんが語る、美少女にしか見えなかった子供時代の活劇。未完なのですが、私はこれと「ココナットの実」を偏愛しています。
    代表作「ドグラマグラ」は日本ミステリ3大奇書の一つ。1000枚の巨編ですが、語り口が上手過ぎて脳みそが攪拌されているような気になる超怪作。短縮して映画化されて、怪人正木博士を桂枝雀が演じていました。DVDも出ているようです。

    ちなみに、3大奇書のあと2つは小栗虫太郎の「黒死館殺人事件」。これは異様な文体と、百科事典のようにポンポン引用される膨大な知識が実は殆ど嘘か間違いであるという魅力本。
    中井英夫「虚無への供物」。洞爺丸事件を扱っていて、深津絵里で連続TV化されました。

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  2. 江戸川乱歩も晩年はかなり才能が枯渇したんだなって知りました。
    夢野久作、小栗虫太郎って名前はよく聞くけどまだ1冊も出会えてない。これからも探してみます。

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