2016年7月27日水曜日

ロッキード事件ドラマが面白すぎた

「戦後史の闇」的な事件が大好物な自分はロッキード事件にもずっと関心を持っていた。
だが、なかなか読みたいなと思うような本がなくて、ずっとドラマ化を希望していた。

そしたらNHKがやってくれた!こういう再現ドラマを待っていた。7月23日24日と2夜に渡って「未解決事件」としてNHKで放送された。
ロッキード事件は戦後最大の疑獄事件。昔って今よりもはるかに贈収賄事件が多かった。
石橋凌の田中角栄に笑った!モノマネに徹しればもっと似たかもしれないが、そこは一流の俳優。石橋凌ならではの田中角栄を見せていた。
東京地検特捜部の吉永主任検事(松重豊)、堀田参事官(石井正則)らのアメリカ司法当局への嘱託訊問とか前例のないギリギリの闘い。児玉誉士夫への臨床訊問のキリキリするような緊迫感がすごかった。
都市伝説LOVERでもある自分はロッキード事件を、アメリカの頭越しに独自の資源外交を進めたことで不興を買った田中角栄がハメられた陰謀でしょ?という知識だけで満足していたバカだった。
陰謀説を否定する人なら、ロッキード社とグラマン社は航空機の販売で世界でしのぎを削っていて他国でも逮捕者が出てるからありえない!って言う。
けど、CIAはそんなことも利用するんだよ!って思ってた。
秘書や賄賂の5億円を運んだ運転手までが不審死してるって、完全にケネディ暗殺事件で見た要素。
国会の証人喚問に出席した大企業のトップたちがガタガタと震えるさまをみれば、戦争を生き抜いてきた来た世代にはリアルに恐ろしい闇が迫ってたとしか思えない。関係者が裁判中につぎつぎと病死してる。
みんな記憶にないことにしたかった。
田中角栄のカネにものを言わせる政治がずっと続いていいわけがなかった。70年代半ばになってやっと国民が実態を思い知ったのは遅すぎた。
丸紅の幹部たちがつぎつぎと訊問で陥落していくシーンの再現ドラマがよかった。
伊藤専務って事件後ヒラ社員に降格って、丸紅って会社はサイテー。ピーナッツとか投げつけるなよ。イジメ、ダメ、ゼッタイ!
大久保専務は大久保利通の孫。これ、ロッキード事件トリビア。
最大の謎がロッキード社から児玉誉士夫に渡った21億円のゆくえ。
児玉は戦前の中国大陸で特務機関を率いてたプロ中のプロ。常に戦後の闇の中心にいた男。証拠を残すようなヘマはしない。事件発覚前にロッキード社から連絡がいくと即段ボール箱ごと資料を燃やして処分。地検特捜部としてはここを解明できなかったのは痛恨。
大物右翼がなぜロッキードからお金を?日本再軍備の夢と軍用機P3Cを売り込みたいロッキード社との思惑が一致。それにしても児玉、怖すぎる。
ドラマで都心の一等地に豪邸かまえて鯉にエサやってる黒幕シーンの元ネタはこの人だと自分は思ってるのだが、それ、合ってる?
国士を自認しながら自宅に特攻セスナの自爆攻撃を受けたのはすごい皮肉。
この事件はロッキード社のトライスター機導入の贈収賄とみせかけて、軍用機P3C導入のやり口を目立たなくさせることが本当の目的。アメリカ側からそう証言が出てる。田中はそのための犠牲。
「日本国民の税金でアメリカの軍事力を増強できた」w

「これ以上名前を明らかにしないでね」「オッケ~」、田中逮捕だけで手打ちが日米の間で成立。
対潜哨戒機の国産化をハワイでのニクソンとの会談で即あきらめてP3C導入の後押しをした田中を、アメリカはなんで徹底して守ってやんないの?

他に金を受け取った政府高官は誰だ?アメリカ政府を牽制したのは誰だ?そのへんは明らかにせずに番組は終了。なぜそこを隠す?まだ存命の大物?

2 件のコメント:

  1. 川崎鶴見U2016年7月27日 23:08

    それにしても、普段光の当たりにくい地味な年輩役者たちの迫力が凄い。特に丸紅の幹部たち・・・感心しながら観ていた。これ演技なんだよなって。角栄も普段の石橋らしからぬ好演だった。
    NHKのHPに役者と本物の比較写真が掲載されていたけど、松重豊以外の東京地検特捜部のメンバー11人全部が本物そっくりだった。すごい徹底ぶり。

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  2. 石井の堀田参事官がいちばん似てた。

    質の低い2時間ミステリードラマしか中高年俳優が活躍できる場がない。。
    これからはこんな昭和の未解決事件ドキュメンタリーとドラマを合わせたような企画をもっとやってくれればベテランたちももっと輝けるはず。

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