邦光史郎「邪馬台国の旅」を読む。1976年に光文社から刊行後、1987年に徳間文庫化されたもの。これも無償でもらってきた古い本。
邦光史郎(1922-1996)は推理作家から日本史・古代史研究へと範囲を広げた作家。自分は日本古代史に昔から興味を持っていたので街の本屋の棚でこの人の名前を見ることはよくあった。たぶん過去に何冊かこの人の本を読んでいる。
自分は暇さえあれば日本古代史本を読んでいるのだが、何冊読んでも一向に古代史の謎に近づけたという感じはしない。今も全体像が漠然としたまま。
この本は第1章で、正始元年(240年)、建中校尉・梯 儁(ていしゅん)が帯方郡の太守から魏使として倭国へ証書と印綬と贈り物を届けるよう命じられる場面からスタート。
邪馬台国の謎にアクセスする前に、魏使の目線と気持ちになってみることが大切。従者と一緒に未開の国への旅が現代人が話してるような口調で倭国を見聞しながら道を行く様子が描かれる。
第2章では日本における邪馬台国論争の歴史をおさらい。江戸時代の松下見林、新井白石、本居宣長、伴信友。明治の久米邦武、白鳥庫吉、内藤湖南、那珂通世、喜多定吉、笠井新也。戦後の榎一雄、津田左右吉、富来隆、安本美典、古田武彦。
東大京大の先生方から在野の民間研究者まで、みんな「水行十日陸行一月」と格闘し悩む。様々な新しい視点から邪馬台国がどこにあったのかという謎に迫る。
そして、第3章は九州北部と大和の邪馬台国候補地ガイド。
この本は1976年でほぼ出そろっていた邪馬台国問題のポイントすべてを読者に示してくれる入門書のようなもの。とても読みやすくわかりやすい。邪馬台国の謎に興味を持ち始めたという人には、ちょっと古いがオススメしたい。
自分はこの手の本を何冊も読んでる。邪馬台国本は読んでも読んでもそこに近づけない。自分は九州北部だろうと思ってるけど、大和の可能性も捨てきれない。もう死ぬまでわからないとあきらめてる。
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