2024年10月22日火曜日

長濱ねる「たゆたう」(2023)

長濱ねる「たゆたう」(2023)を角川文庫で読む。

長濱ねるが21歳だった2020年8月から「ダ・ヴィンチ」誌に連載を開始したエッセイ「夕暮れの昼寝」から21編を厳選し改題し、書き下ろしを加え単行本化したもの。
オビをよく読むと、同時に特装版(2,970円)も発売(2023年9月)だったらしい。
「稚拙でも、独りよがりでも、矛盾していても、これが私の現在地です。」
長濱ねる24歳の現在地を知る自伝的エッセイ。
高校時代からの親友「おーしゃん」との出会いと別れと再会。そして東京で就職したおーしゃんとの現在から書き始めてる。

だいたい中学生~20代の女子というものは男子の理解が及ばない。たえず趣味嗜好も変化している。いつまでも変らないと思うなよ。

長濱ねるという人を初めて「欅って、書けない?」で見たときから面白かった。だが本人は日々悩み苦しんでいた。
「当時の私はアイドルという仕事の実体をいつまで経っても掴めずにいた。何の技術も魅力もない十代の自分が、実力に見合わぬこんなに華やかな体験をさせてもらっていいのか。いつかメッキが剥がれて、君には何もないじゃんと失望されるのではないかと怯えていた。」
「2019年、20歳の時に私はアイドルを辞めた。その時は、表にたつ仕事を完全にやめようと思っていた。正直心がヘトヘトにくしゃくしゃになっていたし、息抜きの仕方がわからず、周りの人全員を疑い、同時に自分のことも信じられなくなっていた。」
ここ読んで泣いた。今野とソニーのスタッフは反省してほしい。

ラジオで「理想のキス」話で盛り上がって、ベタな少女マンガのようなシチュが理想だと話したら、ネットニュースで「路チュー宣言」と書かれ、「違ーう!」「面倒くさいな」とか面白い。

SNSで悪口言われてるのを把握してる話。中学時代に腹が鳴ると大きな音を出す話、休みの日は1日寝ていたいのでねるという名前が気に入ってるという話、オンライン英会話レッスンの話、自転車で転んで膝の皿にヒビが入った話、23歳の誕生日に暗いベッドでエゴサをした話、サッカー日本代表戦が見れないという話。どれも初めて知った。

あと、「アイスランド音楽」の件で、ふかわりょうがアイスランド音楽紹介の先駆者だと初めて知った。自分はビョークとシガーロスしか知らない…。

あとがきで西加奈子、村田沙耶香、池田貴史、U-zhaan、小宮山雄飛との食事会に参加してLINEグループに入って、むしろ落ち込んでる話とか興味深い。

自意識過剰で飾らず正直な心の声。長濱ねるは面白い。読んでいて何度も「フフッ」と笑ってしまった。この本を読むとたぶんさらに長濱ねるが好きになるに違いない。オススメする。
長濱ねるは10月スタートの日テレドラマへのレギュラー出演中。四姉妹の三女を演じてるのだが、たぶん長濱ねるが二番手キャストだ。主演の次女役堀田真由はねると同じ年の26歳だ。
なにげに長女役の仁村紗和がもう29歳になっていたことも驚きだ。

なんだかタイトルのセンスが古く感じる。オリジナル脚本らしいがコケそうで心配だ。

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