西村京太郎「下り特急富士殺人事件」(1983)を読む。光文社より刊行後に2000年徳間文庫化されたものを読む。国鉄時代の西村京太郎ブルートレインもの。
これも無償でいただいて来た古い西村京太郎。読みたいから手に取ったわけでなく、そこにあったので読んだ。古いので風呂場に持ち込んで読んだ。水風呂に浸かりながら読んだ。
婚約者をレイプされ自殺に追い込んだ犯人5人を追い詰めボコボコにして懲役1年の刑に服した警視庁捜査一課の元刑事橋本。弁護士から「上告すれば執行猶予を勝ち取れる」というのに判決を受け入れ網走へ収監。
出所する日に所長から宇野という老受刑者の死を知らされる。橋本が元刑事というのでリンチに遭いそうになるのだが、宇野は自分をかばって手製ナイフで刺され肺炎を併発し亡くなってしまった。命の恩人宇野が自分に遺品を東京の小田切正へ届けるように遺言。
小田切のアパートを訪ねると、そこには偽の小田切。元刑事のカンが冴える。偽小田切は逃走。
ホンモノの小田切を名乗る男から電話。「自分は監視されてて行けない」宮崎へ向かう特急「富士」に乗れ。そこで遺品を引き渡すように指示される。
雑誌記者の亜木子と一緒にブルートレインの旅。宇野の遺品の通帳や手帳を狙って、複数の不審な人物が接近してくる。
小田切の代理を名乗る戸田という女が接近してくる。戸田は小田切が血を流し倒れていた!と主張するも死体は消えている。さらに、新婚カップルかと思っていた乗客の男が殴りかかってきて橋本は昏倒。手帳を奪われる。
宮崎に着くと戸田は死体となって発見。前科持ちで無職の橋本は地元警察に勾留。だが、何者かからの圧力で釈放?!
さらに、鵜戸神社で特急富士で見かけた男が喉を切られて死んでいる…。行く先々で死人。
なんだか、ヒッチコックの「バルカン特急」やクリスティの若い男女が巻き込まれるスパイスリラーのような古典的サスペンスの雰囲気。これは読んでて楽しい。
橋本はかつての上司だった十津川警部も見かける。十津川警部のフェードイン具合が意外だった。
そしてなぜか宝探しへと展開。スリルとサスペンス、そしてLOVE。大人の冒険小説。それ、表紙とタイトル見ただけでは事前に予想できてなかったw
実は橋本は上層部の意思によって動かされていたのだが、こんなミッションを忠実にこなした人材は、法務大臣の超法規的措置により前科を取り消して復職させろ。
犯人一味がほぼシャーロック・ホームズの時代の「シカゴのギャング」のような悪党。てか、この本はそのままシャーロック・ホームズのいち長編としてリライトもできる内容。
正直、今まで読んだ西村京太郎で一番面白かった。十津川警部がまるで水戸黄門のような質感。
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