これはBOで110円で手に入れた。初めて読む作家だが光文社文庫だけで既に16冊あるベテラン。1959年北海道生まれらしい。
「或るローマ帽子の謎」「或るフランス白粉の謎」「或るオランダ靴の謎」「或るエジプト十字架の謎」という4本の連作短篇から成る一冊。短編という気がしない。中編かもしれない。2018~2019年に「ジャーロ」誌に掲載されたのが初出。「ローマ帽」のみ単行本化のための書き下ろし。
タイトルを見ればわかる通り、エラリー・クイーンの「国名シリーズ」を読破してる読者向けなマニアックな本格ミステリー小説。読み手を選ぶ作風。
米ニュージャージー州から来日している高名な心臓外科医の娘で法医学者のエリザベス・キンドリッジ(40代)が主人公探偵かと思いきや、エリザベスの父から心臓移植手術を受けたという札幌在住カメラマン南美希風(みなみみきかぜ)が主人公名探偵役。このふたりが事件現場に駆け付ける。
4本すべて、エラリー・クイーン国名シリーズから無駄で冗長な会話やりとりや証拠調べを省き、ぎゅっと圧縮し煮詰めて抽出したかのような作風。ひたすらロジック。
かなり硬派。探偵役のふたり、登場する刑事、関係者、誰も無駄口を叩かない。強い個性を出さない。誰もふざけない。
正直、よほどエラリーが好きでないと付いていけないかもしれない。とくに「オランダ靴」の足跡問題はややこしかった。
自分はもうエラリー国名シリーズは1回読み通して卒業したw 10代~20代の読者には新しい地平を開いてくれた作品ではあったのだが、正直、今はそんなに面白くも感じない。むしろ「その論理、ほんとうに合ってる?」と考えてしまってむしろストレス。
0 件のコメント:
コメントを投稿