三谷幸喜脚本によるドラマスペシャル「オリエント急行殺人事件」(2015)がこの夏再放送されたので録画してチェック。昼過ぎ地上波放送でものすごく挟まれるCMが多かった。
三谷幸喜はアガサ・クリスティー原作ドラマを3本も手掛けているが、これが第1作。自分、ドラマを見るか見ないかは出演するキャストに依る。今作は見てなかった。今回、ようやくタイミングが合って見た。
今回も昭和初期の日本・下関から寝台特急「東洋」に舞台を置き換えてる。登場人物たち英国人、米国人、欧州人の名前を、響きの似ている日本人らしい名前に置き換えている。(これは毎回面白い)
なので翻案といえるかもしれないが、自分が見たところ、ほぼ原作に忠実。
本放送当時はドラマを第1夜、第2夜と分けて放送。今回の再放送では1夜ぶんをさらに2回に分けて放送。
だが、第1夜ぶんが終盤にさしかかるにつれ、もうほぼ全パート完走では?!となって戸惑った。
それに、この悲劇を視聴者にわからせるためには、発端となった剛力家で起こった悲劇を、もうちょっとフラッシュバック的に写真なり短い映像なりで見せないといけないのでは?と思って観ていた。
だが、さすが三谷幸喜だった。第2夜では剛力家回想パートと、寝台列車に剛力家の人々が乗り合わせて以降の、ポアロ氏側から見えていなかった背後ドラマをすべて、行間を補って、新規創作して見せていた。これには驚いたし、口あんぐり。
第2夜後半の、実は背後でこんな会話とやりとりがありましたパートはとにかく感心した。クリスティが原作でまったく描いていない箇所がみごとだった。本当にそんな会話がなされたに違いないとすら思った。
ほぼ「12人の優しい日本人」のようなテイスト。「鎌倉殿の13人」かもしれない。
全員が一蓮托生。想定外の事態に焦ったり、口論したり、テンション上がって予定外のことしたり、うっかりミスしたり…。ほぼ三谷舞台のブラックコメディー。
日本人は忠臣蔵が好き。なのでこの「オリエント急行」も仇討話として見てるはず。
全体としてコメディ調なのに殺害現場シーンはエグい。
たぶんおそらく竹中平蔵は介護施設で藤堂と同じような最期を迎えるに違いない。
この三谷版はかなり好印象。出演した役者たちがかなり高い精度でしっかり役割を演じていて感心しかしなかった。悲劇を浮かび上がらせるためにはコメディパートも必要。
このテイストで三谷脚本の金田一耕助が見たい。
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