夢野久作「ドグラ・マグラ」(昭和10年)を昭和51角川文庫版上下巻で読む。
これ、高校生のときから存在は知っていたのだが今日までまったく手に取ろうと思えなかった。米倉斉加年による表紙イラストがキモすぎる。これでは子どもは買えない。
ずっと違う表紙の新装版とか出ないかな?と思っていたが、もうそう悠長なことを言ってられない。もう残りの人生において読書時間は有限だ。
精神病棟で目覚めた青年。自分が何者かもわからない。
隣の部屋から狂った少女の絶叫w 「お兄さまお兄さま」
そこに法医学が専門だという若林博士。精神科の正木博士から記憶を喪失している自分を引き継いでいる?
なんだか出だしはキャッチ―で面白くなってくれそうな予感はした。
だが、この本を読み始めてしばらくして、やっぱり後悔したかもしれないw ページをめくってもめくっても面白くならないw 無駄に長い。
衒学的な最新脳科学や、ゆうめいな「チャカポコチャカポコ」言う精神病患者の取り扱いについての建白講談のような箇所のひたすら終わらない長さに閉口。
下巻は呉一郎という狂人少年。その婚約者モエ子。殺人と関係者の証言。伝説を記した巻物。いや、読んでてわかりにくい。
「これを読む者は、一度は精神に異常をきたすと伝えられる」という奇書……と聞いていたが、あらゆるサイコホラー小説や映画ドラマに触れてきた現代の読者にとっては、「まあこんな感じか」という感想しかないかもしれない。
読んでる最中はとにかくジャンルがわからなかった。サイコホラーかもしれない。
脳髄と精神と遺伝という、100年前の人々には皆目わかっていなかった領域。突詰めて想えば狂うかもしれない。
現代の人気作家なら、もっと平易にわかりやすくコンパクトにまとめて、劇的に面白くできそうではある。大正から昭和期の大卒作家はやたらペダンチックでたまらない。
「俺は読んだ」と言いたいがために読み通した。苦行だった。
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