簾内敬司(1951-2016)は秋田・白神山麓の二ツ井町で書店を経営する傍ら作家活動をしていた人らしい。今作で日本エッセイストクラブ賞を受賞。
オビに「神々の気配、山人海人の消息、北の自然と民族、現代の東北風土記。漂泊者が東北の飢餓回廊をゆく。」とある。そういう本だと期待して読む。
自分、10年前に友人と東北を旅して秋田・男鹿に立ち寄ったとき、なまはげの展示施設で初めて菅江真澄(1754-1829)の存在を知った。
三河・岡崎に生れ、天明三年に郷里を出発し伊那へ入り、信濃から越後へ出て、そのまま出羽、津軽、そして当時は渡島と呼ばれていた蝦夷へ渡った旅行家。各地を見て回って紀行、素描本を記した。採薬掛という技能を持っていたので薬を煎じたりしながら藩から藩へと移動。
菅江がたどったルートを地元民が車でたどって取材。どちらかというと東北という土地を見つめる歴史紀行エッセイ文芸というのが正しくて、とくに菅江真澄について調査した本という感じはしない。
「現代の東北風土記」と呼ぶしかない。太宰治「津軽」のような文芸書だが、私小説的な要素はほとんどない。
自分、10年ほど前に角館、秋田、男鹿、津軽、南部などを旅した。だが、まだ下北半島と恐山は行ったことがない。
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