2024年8月19日月曜日

辺見庸「反逆する風景」(1995)

辺見庸「反逆する風景」(1995)を読む。1997年講談社文庫初版で読む。これは昨年の2月ごろBOで110円購入。1990年から95年にかけて、各新聞雑誌に掲載されたものをまとめた一冊。

このジャーナリスト作家は共同通信社の外信記者だが、小説も書くようになって芥川賞を受賞し、前作のルポルタージュ「もの食う人びと」で、冷戦終結しバブル崩壊後の多くの日本の読者に衝撃を与えた。

この本は「もの食う人びと」にも出てくる同じエピソードを別角度で、さらに詩的な文体でつづる、90年代前半という時代を感じさせるエッセイとコラムな文芸作品。なので「もの食う人びと」を読んだ人の半分ぐらいは読んでるに違いない。

中国の公安に尾行される気持ち悪さを体験した日本人記者って一体今何人いる?
チェルノブイリ原発事故でゴーストタウンになったプリピャチの集合住宅を取材してる場面があるのだが、90年代初期からロシア人はウクライナ人をバカにしてたらしい。

え、って驚いたのが、ソ連でもヒトラー「我が闘争」ロシア語訳が出版されていたのか。
グラスノスチによる民族主義の高まりはソ連から多くの国々を独立させたが、ロシア民族主義者からするとバルト三国の独立は許しがたいことだったらしい。

この本の後半は文芸書っぽい作風になっていく。読み終わったところだが、内容はそれほど覚えていない。作者が心で感じた風景を綴ってる。読んでいて、とにかくやさぐれ中年男の感じが強く出てる。

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