村上春樹「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」(1985)を読む。2005年の落田洋子新装版(新潮社)で読む。オビに「80年代の記念碑的長編!」とある。
これ、10年ぐらい前に開始数行読んで、「いつまでエレベーターの話しとんねん!」と悪態ついて投げ出して放置w
だが今になって「羊をめぐる冒険」「海辺のカフカ」ぐらいには面白い可能性もあるなと思い返して、掘り返して、じっくり読んでみた。4日かかった。
本をめくって最初に世界観を示す地図がある。虚構世界を舞台にした虚構職業の僕が語るファンタジーっぽい。だが、読んでいくうちに現実の東京も出てくる。いつもの村上春樹のようにやたら描写が細かい。主人公「僕」は35歳。聴く音楽のレコードを選び出し語る。
読み始めて早々に困惑したし現在地を見失ったw こういうの好きで「夢中でページをめくった」などと熱く語る人もいるだろうけど、自分は最も苦手なタイプの村上春樹だった。それはカフカの「城」「審判」だったし、安部公房「燃えつきた地図」をも想わせた。ハードボイルドでもワンダーランドでもない。
とにかく長くて閉口。それに僕と出会う人々との会話がとても現実的とは思われない。こんな会話は現実世界には存在しない。何か意味を見出しながら読むことは困難。自分が村上春樹氏と出会ったところで会話が成立するとは思われない。
この本を読んで、自分は失望した。「やれやれ」
もうこの本を人生に残された時間で開くことはたぶんない。
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