赤川次郎「僕らの課外授業」を昭和59年角川文庫版で読む。
こいつも処分するというのでもらい受けてきた古い赤川次郎文庫本の一冊。
今回、実に15冊まとめて赤川次郎を読んでみた…という私的イベントにトライしたわけだが、最後に読んだこの一冊だけは読んだことがある。遥か昔、中1のときだ。
この本は昔、確かに自分は持っていた。何度かの引越しのうちに失われ、こうしてまた手許にやってきて読んだことになる。
だが、その内容はほとんど忘れていた。13歳当時の自分は実は内容を理解していなかったのかもしれない。
「僕らの課外授業」(初出が単行本だったと書かれているけどいつ発表されたか不明)
主人公の中込友也くんは杉並区内の公立中学校に通う中学三年生。二学期が始まった9月の平日、親から頼まれた荷物受け取りのために満員電車で朝8時40分の東京駅へ。
この当時の中央線上りの混雑は今以上に酷いことになっていたに違いない。
ふと気づけば、自分ぐらいの年頃の制服姿の女子が同じ車両に乗っている。場違いだ。
東京駅で車両から吐き出された乗客たち。ホームの階段を足元も見えないまま下る。そこにその少女。転倒しそうになるのを手首をつかんで助ける。「ありがとう」
だがその後、人波にもまれ見えなくなる。少女はすたすたと東京駅構内を進む。後をつける友也くん。だが、途中でフッといなくなる。どこへ消えた?そこには身分証と吉祥寺東京間の定期入れが落ちていた。
その定期入れをその日のうちに家まで届けたら、持ち主の大和田倫子は1か月前に自殺していた…。
何やら大和田の両親の様子がおかしい。同級生の北川容子と一緒に東京駅を探索。どこかに秘密の階段があるのでは?だが、容子は喫茶店から突然姿を消す。
友也くんの家庭教師だった新聞記者迫田、倫子と友人だった不良少女アリサ、容子の父らと相談しながら、陰謀と真相に迫っていくという、ジュブナイルサスペンス。
眉村卓の古いジュブナイルSFを読んでるかのよう。ひと昔もふた昔も前の昭和な素朴な作風で荒唐無稽ではあったが、読んでいてワクワクできた。楽しかった。
「何でも屋は大忙し」(Vコース1983年4月号)
幼なじみ男女3人がバイトとして何でも屋を開業したら、暴走族のケンカの仲裁を持ち込まれ、殺人事件に巻き込まれる。
「ラブ・バード・ウォッチング」(高三コース1981年8月号)
無趣味少女がバードウォッチングを始めるために双眼鏡を買ってもらったのだが、何を見てるかっていうと近所の若い男。犯罪を未然に防ぐ。
「夢の行列」(中一コース1983年3月号)
アイドル歌手コンサートのチケットを求めて並んでた女の子が凍死?!
表題作以下の短編3本は内容をまったく覚えていなかった。どれもそこそこ。初読時に何の印象もなかったことが今もわかる。
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