アニメ映画「トラペジウム」が公開直後こそ出遅れたものの、じわじわとSNS口コミでその内容の文学的素晴らしさに気づく人が増え始め、劇場に足を運ぶ人が増えた。日々、X上では「〇〇回目の鑑賞」を報告するリピーターも散見。もうこれは2024年上半期の邦画とアニメ映画の話題作と呼んでよいのではないか?ひょっとして映画賞ノミネートとかも夢でないかもしれない。
「トラペジウム」は2016年5月号に初掲載され、2018年9月号まで隔月連載された後に、大幅に加筆修正され単行本化。
発売時の高山一実インタビュー掲載の「ダ・ヴィンチ」(2019年1月号)が部屋の片隅にあることに気づいた。ぱらぱらとめくってみて、改めて「おぉ」と思った箇所に注目。
- 「この本を読んでいただくことによって、私のアイドルとしての一幕が終わる。今までの高山一実が、アイドルとしてやってきたことの区切りがひとつつくのかなって……」
- 「普段読む者はミステリーが多かったので、さわやかな小説というよりは、非日常的なぞわぞわしたやつを書こうかなって最初は思っていたんです。でも、本当にそれを書きたいのかなって何回も自分自身に確認したら、しっくりこなかった。本当に自分が書きたいもの、自分だから書けるものは何かなと考えていったら、アイドルという題材に辿り着きました。私は実際にアイドルをさせてもらっているし、もともとアイドルが好きだし、アイドルになりたいという気持ちもよく知っている。そこを書けるのは、自分の強みなんじゃないかなって思ったんです」
- 「地元でカワイイと噂されている子たちって本当に最強にかわいい。でも、その子たちはアイドルになっていない。私はずっとアイドルになりたかった人だから、こんなにかわいいのに、なんでアイドルになりたくないんだろう?って疑問が昔からあったんですよ。」
- 「私自身がアイドルになった後で、アイドルになれるんだったらもっとこういう生き方をしておけば良かったと思ったことを、東には全部させてみたんです。英語がしゃべれる、とか(笑)」
- 「(東は)策士だと私も思います(笑)。特に最初のほうは、他の女の子には気付かれないように、よろしくない態度をたくさん振りまいているんですけど、本当はもっと策士で嫌な人にする予定だったんですよ」
- 「学校も個性も違うこの4人が一緒にいるのはなぜか?東としては自分の計画のための、嘘の優しさだった部分もたくさんあると思うけど、その優しさに助けられていたんですよね、他の3人は。表面的に仲良くしているだけの、薄っぺらい関係ではなかった。だから、東が間違った行動をした時に、他の3人が正してくれるようになっちゃったんですよ。そのおかげで、東の計画がなかなかうまく進まなくて大変だったんです」
- 「ダ・ヴィンチさんから小説を書きませんかというお話をいただいた時に、気持ちをぶわーっとスマホのボイスメモに喋った音声が残っている」
- 「連載終了後に本にするため第1話から読み直してみたらぜんぜんダメで、全部書き直さなきゃ!って絶望しました。まず、最初の頃の文章がかなり恥ずかしくて。今の私はこの文章は認められないっていう書き方ばっかりだったし、全部書き終えたうえで東の性格がやっとわかったので、東はこの状況でこういうことを言わないなと。連載を始めた頃から時間も経っているので、その時見ていたアイドルの世界と、今思うアイドルの世界はちょっと違う。削ったり足したりを、半年近くずっとやっていました」
- 「この小説で出し尽くした感じがするので、しばらくは吸収したいなって思います。本を読む期間にしたいです。語彙力もまだまだなので、勉強もしたい。でも……みなさんが読んでくださった反応で、小説をすぐまた書きたくなるかもしれないです!(笑)」
高山一実、いまもまだ新作は出ていない。今年の夏、結婚を発表。
自分、今まで一度も高山一実を女として見たことはないwのだが、誰と結婚したのかとか興味がないのだが、相手の男のXアカウントを探し出しブロックしたw
さらに、クイズノックのアカウントもブロックしたw 以前から、クイズノック製作の芸能人クイズ番組が多すぎると思ってたし、バラエティ番組での「さて、ここで問題です」という要らないやりとりが多すぎるなと思ってた。もうそういうのやめよう。
なお、この「トラペジウム」特集では、中村文則、羽田圭介、湊かなえの3氏が書評と激励の一文を寄せている。この3氏が高山一実を作った作家たち。
だが、自分がさらに興味を持って読んだ箇所は西野七瀬、齋藤飛鳥、長濱ねるの3にんが寄せた文。わりと長文なので一部のみ抜粋すると
西野七瀬「どの人物にも乃木坂メンバーの面影がにじんでいるように感じました。目標に向かって一生懸命な東ちゃんには、かずみんの性格が表れているように思います。」「表紙のイラスト、自分で言うのもおかしいけど、私に似てますよね(笑)」
齋藤飛鳥「非常に羨ましい。見事だとしか言いようがない。アイドル兼小説家として歴史に刻まれてもいい。それ程までに素晴らしい。」
長濱ねる「見透かされているようでどきっとしたり、ふと、ぽつんとした孤独を感じたり、最後にはどばどばと温かいものが流れ込んでくる丁寧で優しい物語だった。」
西野はマンガとゲームばかりなので本の執筆とか考えづらいが、長濱は今後いずれ本を書くだろう(昨年すでに初エッセイ集を出版)と思う。飛鳥は旅行記とか出せばいいのに。
0 件のコメント:
コメントを投稿