2024年7月6日土曜日

ロバート・A・ハインライン「宇宙の戦士」(1959)

ロバート・A・ハインライン「宇宙の戦士」(1959)を1979年矢野徹訳ハヤカワSF文庫(1996年31刷)で読む。
BOの100円棚で見つけて5年積読しておいたもの。108円の値札が貼られている。
STARSHIO TROOPERS by Robert A. Heinlein 1959
ようやく重い腰を上げて読んだ。読み通した。これ、結論から先に言って、自分はぜんぜん面白くなかったし楽しくなかった。苦痛だった。軍国主義者ハインラインが前面に出ちゃってるやつ。

そもそもぜんぜんSFじゃない。18歳ジョニーが軍に志願し、新兵シゴキに遭い、下士官イジメに遭う。こちらの人格を完全否定してメンタルを破壊しにくる上官たちの長広舌。そんなのいらねえ。
現代日本人は徴兵制がなくなってつくづくよかったと思う本。

たぶん老ハインラインの世代のアメリカ人は、アメリカ市民に生れた男の子は兵士になり祖国のために死ぬことが当然の美徳と考えていた。ジョニーの高校の恩師も父親も、ジョニーが軍に入隊したことは当然のことのように褒めそやす。
たぶん、ベトナム戦争までのアメリカはこんな感じ。若い兵士の犠牲で国が繁栄。

クモ怪獣と戦っている。一兵卒仲間も死んでいる。その前の訓練の段階で死んでいる。上官を殴り返した奴は兵籍剥奪で除隊。もう残りの人生はアメリカ社会では生きていけない。最悪なのは脱走兵の処刑。これが軍隊。

ハインラインからすると共産主義者は卵で増殖する蜘蛛と同じ存在。ソ連人も中国人も。
だがその思想と予想は合っていたかもしれない。現在のロシアと中国を見る限り。話の通じなさにおいてクモ怪獣と同じ。

自分が手に入れた文庫本は108円値札の下に560円の値札が貼られている。そんな値段で買わなくてよかった。

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