2024年7月7日日曜日

梓林太郎「北岳 殺意の岩壁」(1992)

梓林太郎「北岳 殺意の岩壁」というノベルス本を無償でいただいてきたので読む。こいつも図書館で除籍処分された本を無償でいただいてきたもの。

梓林太郎(1933-2024)という推理作家の名前はちらちら斜め視界に入ってはいたのだが読むのは今回が初めて。1992年11月に青樹社より刊行されたものを2004年にワンツーマガジン社ポケットノベルスより出版。

長野県警豊科署の刑事道原は、山梨県警から南アルプス北岳の「北岳バットレス」で落石遭難事故死亡者の連絡を受ける。所持していた保険証から豊科町の西島利広という名前が判明したのだがすでにその住所にない。松本市の妹にも現住所を知らせていない。

岩に血で文字を書いた形跡。殺人の線が浮上。西島は偽名を名乗って仙台市の建設作業現場で働いていた。いったいなぜピッケル職人だった西島が夜逃げ同然で仙台に?
所持していた写真には女性の姿が。新潟、小樽、各地で撮影したらしい写真も。

後日、穂高岳の涸沢で頭を割られて死んでいるカメラマンが発見。このカメラマンは西島が死んだ同じ日に北岳に登っていた?!予定を1日短縮して帰宅していた?

消えた男女の足取りを探る地道な出張聴きこみと裏取り。事件の全体像を解き明かす警察のお手並み拝見という硬派な刑事ドラマ。
正直、特に驚くような展開はなかったのだが真犯人にたどり着いたときは爽快感があった。末期がんの女を連れて流浪する男。「砂の器」を連想。

最近読んだ西村京太郎よりは楽しめた。北岳バットレスをググった。こんな山は自分は登れないなと思った。
驚くことに、この本を読んだ感想を述べている人がツイッターで検索してもほとんど誰もいない。

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