赤川次郎「三姉妹探偵団①失踪篇」(1982)講談社ノベルスを読む。これも処分されるという中からキレイなものだけ選んでいただいてきたもの。
「ユーモアミステリー」と銘打ってある。昭和57年当時はそういうジャンルだと明記しないといけない雰囲気だったのかもしれない。
佐々本家の三姉妹は夜に自宅が火事で逃げ惑う。父は札幌出張で不在。
親戚もいない三姉妹。長女で大学生の綾子、三女で中学生の珠美は中学教師の家に、次女夕里子は友人の家にとりあえず泊めてもらう。
焼け跡の父の部屋の押し入れから女性の全裸焼死体が見つかる。検死の結果、刺殺されたらしい。
そして父は出張ではなく、会社に休暇を申請して行方知れず。警察は指名手配。家もお金もなくどうやって生きていけば?途方にくれる三姉妹。
頼りにならない長女、しっかりした次女、会計係になった中学生三女、父の冤罪をはらすべく調査開始。
80年代初頭だからか?父の会社の人々が酷い。父を殺人事件の犯人と決めつけてる。殺された女性の調査のためにバイトとして潜入した長女も「仕事ができねえ」とパワハラ。
中学校で三女は金を奪われそうになる傷害事件。夕由子は浮浪者から襲撃。この時代の日本の治安、悪すぎんか。
さらに長女綾子はやっかになってる中学教師が自分のこと好きになってるぽくて、奥さんに罵られる。こんなの地獄。読んでてぜんぜん楽しくないw
今のZ世代がこの本読むと、姉妹の会話が狂ってると感じるかもしれない。これが80年代ユーモアだ。
3ぶんの2あたりから、姉妹の身近な人物の造形が犯人のそれらしくなっていく。いや、これは読者を陽動する作戦か?とも思ったのだが、やっぱりそうなっていく。なので犯人はそれほど以外でもない。無計画で粗暴すぎる犯人。
それより、三姉妹の父が天然でどうしようもない。どんだけ娘たちに心配と苦労をかけてるんだ。
標準的で典型的な赤川次郎サスペンスだった。それほど評価もできない娯楽作。
自分、この1年でだいぶ赤川次郎を読んだけど、面白いなと感じるものに出会う確率は1割台だと思う。
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