2024年7月17日水曜日

ジョン・ダニング「封印された数字」(1975)

ジョン・ダニング「封印された数字」(1975)を松浦雅之訳ハヤカワ・ミステリ文庫(1998)で読む。
べつに読みたい本というわけでなく、無償でもらってきた文庫本。数年積読していたものをやっと読む気になった。
THE HOLLAND SUGGESTIONS by John Dunning 1975
ジョン・ダニング(1942-2023)を読むのはこれが2冊目。この本が「死の蔵書」「幻の特装本」に続く邦訳3冊目?書かれたのは1975年。「死の蔵書」で話題の人気ミステリー作家が、まだ駆け出しの「作家もどき」が初めてフィクション小説を書いたという苦労を、序文で書かれてる。

建設会社社員ジム・ライアンは16歳娘ジュディと父娘で暮らしてる。ジムと妻ヴィヴィアンはかつて心理学者(催眠術の研究?)のロバート・ホランド教授の実験に参加し、ホランドは妻と不適切な関係。ホランドは教授職を追われ、ヴィヴィアンはジュディがまだ幼いうちに出て行ってしまい以後17年間音信不通。

ジムはジュディに妻のことをあまり話していない。年頃の娘の性に悩む父。秘書と不仲。酒の量が増え、仕事で重大なミスを犯しそうになりボスから休暇を命令。

差出人不明の封筒。中から写真。山中の洞窟と崖路。え、どこかで見たことあるかも…というデジャヴュ。気づいたら、無意識にマルタ十字と「50、96、12」という謎の文字も書いてしまう。それは催眠術によって脳に埋め込まれた記憶?

ヴァージニアからマイカーの旅。途中でヒッチハイカー娘エミリーを拾う。そしてコロラドのヒッピー村隣接のゴーストタウンへ。
主人が趣味でやってる人けのない宿なのに、なぜか他にマックスという登山家とジルという女性。途中からなぜか雪山の山小屋。

スペイン時代の廃金鉱山の伝説。黒いオールズモビルが行く先々で目撃。散弾銃で撃たれた死体。そして写真で見た洞窟。
読んでいてハラハラはするのだが一体何がどうなってるかわからない見通しの悪さ。主人公の行動も周囲の人々の行動も謎。まあこれがサスペンス小説というものだが。

70年代アメリカは中西部各地に金鉱ゴーストタウンが今よりもたくさん現存してたに違いない。埋蔵金伝説とか、大人の冒険小説の雰囲気。終盤は死屍累々。そこはホラー。

この本を褒めてるひとはほとんどいない。終わり方もスッキリしない。
たぶん作者本人もそれほど気に入っていない。この本の価値は今後も低下していくだろうと思う。

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