中川右介「世界の10大オーケストラ」(幻冬舎新書 2009)を読む。これ、無償でいただいてきた本。新書なのに500P以上あって大ボリュームな内容。噛み砕きながら読むとすごく時間がかかった。この著者はコンサートプログラムとクラシック音楽演奏家の経歴から近現代史を教えてくれる。
世界の名門オーケストラ、とくに指揮者の帝王カラヤンと関係が深かったオケの歴史についての本。オーケストラ設立からカラヤンの死、東西冷戦終結あたりまで。
だが、カラヤンとほとんどなじみのないオケも章をさいて解説。
この著者は長年カラヤンやフルトヴェングラーについて調べてるうちにため込んだ知識でさらに別の本を書いた感じ?
有名指揮者たちの音楽性や芸術性についてはまったく触れないw 名門オケの首席指揮者や音楽監督といったポストをめぐる人事と政治のダイナミクスのみに焦点。戦争、ライバル、批評家筋、太客、文化担当当局、権力者、運不運、…。
ベルリンPOやウィーンPO、ニューヨークPOといった歴史のある名門オケのことは、これまで聴いて多くのCD解説書や書籍なんかでおよそのことは知っていた。しかし、それでもこの本(他の中川右介書籍)から得られた知識は膨大。「へえ!?」の連発。
ベルリンPOってせいぜいニキシュの時代ぐらいまでしか知らなかった。ベンヤミン・ビルゼ楽団?なにそれ。
とくに、コンセルトヘボウO、イスラエルPO、ロンドンのオーケストラ事情についてはほぼ初めて知ったことだらけ。
- アムステルダムのコンセルトヘボウは老指揮者にとって退出のとき階段を登るのが大変?!
- 日本がサンフランシスコ条約で独立して最初に国交を結んだ国はイスラエル?!
- トマス・ビーチャムってあのスミスクライン・ビーチャム製薬のビーチャム?!
そういったことに驚きながらページをめくった。
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